【閉会中審査】学費半減 学生生活補償せよ 「給付金 必要な人全員に」
要約
日本共産党の吉良よし子議員は22日の参院文教科学委員会で、コロナ禍で学生生活が壊され、生活が困窮している大学生の実態を示し、学費一律半減や学生支援緊急給付金の拡充・継続を行うよう求めました。
「毎日が課題地獄」「オンライン授業本当にやめてください」―。吉良氏は、ツイッター上の「#大学生の日常も大切だ」にあふれる学生の悲鳴を紹介。コロナ禍で、全面的な対面講義をしている大学は173校(16・2%)、学内施設が全面的に利用可能としている大学は160校(15%)にとどまっていることを明らかにして「せめて学費を一律半減し、学生生活の補償をしていくべきだ」と迫りました。
また、吉良氏は、1次推薦が締め切られた学生支援緊急給付金は大学ごとに枠が決められ、支援が必要なのに申請すらできなかった学生がいるとして「文科省のいう『柔軟な対応』とは程遠い実態だ」と指摘。政府が実態をつかみ、2次推薦では枠を撤廃し、予算も増額して支援が必要な学生すべてを大学が推薦できるようあらためるよう求めました。
萩生田光一文科相は「(申請を)受け付けすらしないことがあってはならない」としながら、「(支援が必要な学生に)一人残らず支給することができる制度ではない」などと強弁。吉良氏は、大学で窓口対応に当たっている事務職員の「学生を本当に救いたい」という声なども紹介し、「生活苦にある学生、退学さえも検討せざるをえない学生に支援をいきわたらせるまで制度を継続すべきだ」と重ねて強調しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
まず、コロナ禍での文化芸術への支援について伺います。
この間、イベントやライブ、また演劇などなど、公演再開に向けたガイドラインも作られて、各団体が公演再開に向けて動き出していましたが、今や感染が再び拡大しつつあると。今後、活動自粛も再び求められる局面にもなってきていると思うわけです。
感染防止のためには、もちろんゴー・ツー・キャンペーンはやめるべきですし、地域ごとに休業要請を出すことも今後あり得ると思います。その場合、徹底した補償というのは絶対に欠かせないものだと思うわけです。
そもそも、ガイドラインどおりに営業したとしても、公演したとしても赤字になるという悲鳴も上がっているわけです。その上、また更にイベント休止とか休業ということになればその損失は計り知れないわけで、心が折れるという声も聞かれております。
この間、ゴー・ツー・トラベルについてはキャンセル料の補償をするという話になっているわけですが、一方、文化芸術イベントについてはもうゴー・ツーにたどり着く前にキャンセルが発生する懸念もあるわけで、その場合のキャンセル料の補償、自粛、休業に対する補償を行う仕組み、この際改めてきちんとつくるべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君)
国難とも呼ぶべき現状におきまして、人々の心を癒やし勇気付ける文化や芸術の力が必要であり、文化芸術活動の再開、継続、発展を力強く支援していくべきと考えております。
このため、個別の損失に対する直接の補償ではございませんが、文科省において、文化芸術団体に対する活動継続や技能向上に向けた積極的な取組や収益力を強化する取組への支援、文化施設の感染症予防対策に対する支援、文化施設における感染拡大予防ガイドラインの策定の支援や周知等を通じ、文化芸術活動の再開に向けて取組をしているところです。
文科省としては、こうした事業等を通じて、文化団体や文化施設に必要な支援が速やかに行き渡るように努め、感染対策にも留意しながら文化芸術の振興を図ってまいりたいと考えております。
吉良よし子
いや、再開への支援、行われていることは承知していますし、それが必要ないとは言わないんです。ただ、それは全部終息した後の話であって、今懸念されるのは、本当にこのまま再開ができるのか、やっぱりまた休止、休業、もう公演休止というのも幾つか出てきているわけですけれども、それが起きるんじゃないかという話です。そこへの損失補填は待ったなしだと。
私、この間、都内のライブハウスの方々やライブを企画するイベンターの皆さんの声も聞いてきました。もう営業しなきゃ潰れちゃう、続けられないという声がある。けれども、このまま営業しても赤字続きで、それでもやっていけないと。何より、自分たちが活動することで感染拡大させたくないという、そういう苦しい胸のうちも様々聞いてまいりました。一方で、補償さえあれば安心して休業ができるんだという声も聞いているわけです。補償あってこその感染拡大防止なんだと、改めてその必要性、強く訴えておきたいと思います。
次に、今日は、コロナ禍での大学生への支援について質問をしたいと思います。
今、ツイッター上で、「#大学生の日常も大切だ」、また、「大学生の日常も大事だ」とする学生の声が多数上がっています。そのうちの幾つか例を紹介したいと思います。
一つ目、オンライン授業。ダウンロードしたファイルが動画ならそれは極めて良いケースで、音声ファイルのみや文字の資料だけ送られてくる授業が当たり前のように存在する、出席アプリがあるのにほぼ全ての授業がテストや課題の提出をもって出席とみなすとされていて、毎日が課題地獄だという声です。また、俺自身、今年入学した一年だけど、一人自室にこもって課題をこなす日々は精神的に結構きついという声もあります。あと少しってオンライン授業に耐えてきたところに秋学期もオンライン説濃厚ってとどめ刺されて、もうつらいという声。オンライン授業本当にやめてください、サークル活動させてください、大学生だけがこれだけ我慢させられている意味が分かりません、もし理由があるなら、筋の通った、納得いくように説明してください、大事な時間を返してくださいなどなど、学生の悲鳴のような声があふれているわけです。もちろん、感染防止のための対応というのは一定必要なわけです。とはいえ、この学生の声というのは本当に深刻だと思うんです。
大臣、改めて、このコロナ危機の下、今、これまで当たり前とされてきた大学生活が送れない状況にある、壊されていると言ってもいい状況にあるという認識はありますか。いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君)
そういう問題意識は持っています。
吉良よし子
問題意識あるということでした。
現状をちょっと確認したいと思います。
文科省が大学の授業の実施状況を調査しているとのことですが、では、その調査において、全ての授業を学生が通学して対面で行っている、つまり全面的にいわゆる面接授業を実施している大学の数と全体に占める割合、また、学内施設の利用について全面的に可能としている大学の数とその全体に占める割合というのはどうなっているのか、最新の数字、教えてください。
文部科学省高等教育局長(伯井美徳君)
文部科学省の調査でございますが、本年七月一日時点での全国の大学、高専における授業の実施状況でございます。専ら対面、すなわち面接による授業を実施している大学の数でございますが、百七十三校で、全体に占める割合が一六・二%となっております。
また、学内施設の利用の可否の状況についてのお尋ねですが、全面的に利用を認めている大学等の数は百六十校で、これは約一五%に相当いたします。
吉良よし子
全面的に対面での講義があり、また全面的に学内に入れる大学、どちらも一六%、一五%、全体の一割を超える程度です。ほとんどの大学、八割以上が通常どおりの講義というのは行えていなくて、キャンパスの利用についても一定の制限がされているのが現状だということなわけですね。都内の幾つかの大学では、もう既に秋以降もオンライン中心とするということも発表されていると。もう再開の見通しは立っていないというのが現状なわけです。
先ほどの学生のツイートをまた見てみますと、PDF配付するだけ、ひどいのは自分で教科書読むだけの授業もあり、授業と呼べない授業に百三十万円も払って、私はこんなことするためにお金払っているんじゃない、大学入ったんじゃない、こういう声もあるわけです。
ほとんど全ての学生がコロナ禍でこれまでと同じような学生生活を行えていない、そういう認識あると大臣先ほどおっしゃいましたけれども、だけじゃなくて、その上、世界に比べても高過ぎる高学費が、学費の負担がのしかかっていることがもう学生のモチベーションを大きく下げてしまっている現状があるわけです。今後も一定この状況が続くことが考えられるこの機に、やっぱり、せめて国としてできることとしては、感染対策はしなきゃいけないわけだから、せめて学費を一律半減にすると。コロナ禍における大学生全体を支援し、国として学生生活の保障、していくべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(萩生田光一君)
先生から御披露いただきましたとおり、非常に充実したオンライン授業を実施している学校もあれば、もう本当にやすきに流れて、オンラインみたいなことをICT上でやっている学校もあって、いろんな大学の団体から大臣室の方に要望が来まして、例えば単位数の上限を少し緩和してくれと、もう今やこういう時代なのでオンラインの授業ができるんだと、こういう説明されるんですけど、いや、全ての学校がそうじゃないですよということを私も逆に申し上げています。
御指摘にありましたように、そのオンラインでの授業が全て悪いと言うつもりは全くありませんし、コロナを経験して、そういうツールを使いこなせる新たな時代というのも必要なんだと思いますけれど、率直に申し上げて、入学以来、一度もキャンパスに行ったことない、図書館で本を借りたことないけど図書館利用料は毎月払っている、こういう学生たちの不満というのはどんどん膨らんでいくんだと思います。
ですから、私、ほかのこともいろんなこと学校関係者にお願いしているんですけど、割と私が頼んだことは返事が遅いんですけど、もう後期から授業はオンラインでやるということだけ先に決めるのは何でなんだと言って聞いているんですけれど、まさしくハイブリッドで授業をきちんとやってもらう必要があると思います。感染拡大防止を心掛けることは大事ですけれど、やっぱり集団で学ぶことや仲間と顔を合わせていろんな意見交換することもリアルタイムでやることも大事だと思いますので、何も今から後期の授業まで全部オンラインでやるんだということを決め打ちする必要もないんじゃないかと、もう少し柔軟な対応も必要なんじゃないかなと思います。
そういった学校学校のそれぞれの努力がないと、結果として授業料に見合う授業を受けているという感覚が学生の皆さんは受け止めができないので、授業料があえて高いという認識を持つことにきっとつながるんだと思いますので、まずは学校現場に、状況をしっかり見ながら、感染拡大防止に気を配りながら、しかしやっぱりできることを積極的にやっていただくということを学校現場に今促しをしているところでございまして、まずそういう努力をさせていただきたいと思います。
吉良よし子
もちろん、大学側にそうした授業の中身を見直すなどの努力を求めるのは当然なんですけれども、ただ、現状、もう前期が終わろうとしている段階でこれだけの学生が、もう一人二人じゃないわけです。
もう全国でこうしたオンライン授業による弊害、モチベーションが下がっているという声が上がっている現状を見れば、やはりそれに対しての高過ぎる学費への対応というのはどうしても必要だと。やっぱり、一律半減を求める署名も集まっているわけですけれども、そうしたコロナ禍への学生への補償、ちゃんと行うべきだと思うんですが、もう一度、大臣、いかがですか。
国務大臣(萩生田光一君)
したがって、直ちに国の責任で授業料を半額にするというのはちょっと私なじまないと思うんです。やっぱりそれぞれの学校が、自校の学生ですから、学生の皆さんが授業料に見合う授業をしっかり受けれる環境をしっかり提供していくことに学校が努力していただきたい。そのための後押しをしっかりしていきたいなと思っています。
吉良よし子
各大学でと言いますけれども、もう大学側も必死だと。やっぱり、そこを国がどう援助するかという意味では、分かりやすい支援が、学費半減とか、そういった国費の投入だということを強く言っておきたいと思います。
さて、この間、その国費の投入ということでいえば、学生支援緊急給付金というものも創設されているわけです。これ先ほど来質問も続いているわけですけれども、六月十九日に一次推薦が締め切られ、今度は七月三十一日に二次推薦が締め切られる、その応募の真っ最中というわけですが、これについても様々な声が私のところにも届いているわけです。
相談なんですけれども、ひどいのは、申請に行って書類も持っていったけれども、大学の窓口でその申請が受け付けられなかったという声です。これも一人や二人じゃないんですね。この大学の窓口で受付もしてもらえなかった、申請したいと思ったけど申込みすらできなかったという学生、一体全国でどの程度いるのか、文科省、把握されているでしょうか。
政府参考人(伯井美徳君)
御指摘の学生支援緊急給付金は、これも先ほど来答弁させていただいていますように、各大学等におきまして総合的に判断、選考した上で日本学生支援機構に推薦をいただく仕組みとなっております。
こういう大学が選考して日本学生支援機構に推薦していただく仕組みということから、一次推薦において申請しようとしたけれども受け付けてもらえなかったという学生の数については、そういう仕組みの中では把握はしておりません。
吉良よし子
把握していないということですけど、それでいいのかと。
例えば、高等教育無償化プロジェクト、FREEの調査などを見ても、奨学金を使っていないというだけで給付金は受け取れないからと、持っていった資料すら受け取ってもらえなかったとか、任意のはずの書類の提出について、出した人が優先だからといって申請できなかったなどの声があふれているわけです。
支援が必要だと思って申請に行ったのに申請すらできなかった、選外とかじゃなくて申請すらできなかった学生どのくらいいるか、実態やっぱりつかむべきじゃないですか。大臣、いかがでしょう。
国務大臣(萩生田光一君)
御指摘の人数については把握をしておりませんが、本給付金について、最終的には大学等が学生の自己申告状況に基づいて実情を勘案して総合的に判断するものである旨大学等や学生に示しているところであり、大学等には学生の実情に寄り添った対応を繰り返しお願いをしているところです。
また、この制度に限らず、学びの支援緊急パッケージを制定をしまして、無利子の貸付けなど様々なメニューも用意しております。私は、学校の方でしっかり学生さんにいろんなメニューがあることも周知をしていただくようにお願いをしているところでございます。
いずれにしましても、大学等に対して学生の実情に寄り添った対応をお願いするとともに、学生には所属する大学等に積極的に御相談いただけるよう情報発信に努めてまいりたいと思います。今、二次募集を始めましたので、受付すらしないということがあっては私はならないと思いますので、その辺はしっかり現場に伝えていきたいと思います。
吉良よし子
受付すらしないことあってはならないとおっしゃっていますけど、実際にはあるということが本当に問題なわけです。
この間、先ほどもあったように、学生に寄り添った対応をするんだと国会では答弁が繰り返しされているわけですけど、現場ではそうした対応とは程遠い現状があるわけです。申請できなかった学生だけではなく、申請は受けてもらえたけれども結局選外となったケースというのも多々あります。
例えば、一人親家庭で住民税非課税世帯である学生で、自宅通学だが家庭からの支援はもう全くなく、学費も生活費も全てアルバイト収入で支払っていて、今年のバイト収入が五〇%以上減少したという学生が申請に行きましたが、窓口では、自宅外生が優先なので二次募集でも申請してももう受からないよと既に言われてしまったという声があるわけです。
この間、文科省は自宅生でも対象になり得るという説明、QアンドAでもされていたわけですけれども、現状は二次募集でももう無理だよって言われてしまっている。一方、同じような境遇でも別の大学だともうとっくに支給されたよという学生もいるわけで、通う大学によって支給されたりされなかったりって全くフェアじゃないと思うんです。
なぜこういう事態が起きているのかというと、結局それは、幾ら柔軟にとはいっても、文科省があらかじめ大学ごとに予算に応じて推薦枠、推薦できる学生の上限を配分してしまっているからじゃないかと思うんです。
例えば、東洋大学では、一次推薦の枠は千五百人程度だったわけです。これに対し三千五百人の応募があって、二千人が対象外となりました。しかし、二次推薦の枠は五百名程度と言われているので、このままだと普通に計算しても千五百人があぶれてしまうと。じゃ、この学生たちはどうなるのか。全員救われるのでしょうか。局長、いかがですか。
政府参考人(伯井美徳君)
この緊急支援金の仕組みは、各大学に推薦をしていただいた者を対象に支援をするということでございます。
今御指摘いただきましたように、七月三日に二次推薦を募集開始しておりますが、そこでは一次推薦で推薦できなかったものの各大学等において支援が必要と判断している学生の数を調査した上で、それを踏まえて各大学にその配分額という形で提示をしているところでございます。また、もしその二次募集において配分額以上に要件を満たすと判断した学生がいる大学等につきましては、その二次推薦の状況を踏まえて更に追加配分というのも検討する予定でございます。しっかり学生が支援を受けられるよう万全を期してまいりたいというふうに考えております。
吉良よし子
更に配分と言いますけど、全体、その四十三万人の枠は超えない範囲での配分だという説明を私、事前のレクでは受けているわけですね。一大学だけで千五百人もう既にあぶれるということが分かっているわけで、それが何大学もあれば本当に全部吸収、二次募集で吸収できるのかという疑問が出てくるわけです。
今からでも遅くないと思うんです。この二次推薦、やっぱりこの大学ごとの人数の枠撤廃して、予算も増額して、支援が必要だと思われる学生、もう全てを大学側が枠の関係なく、上限関係なく推薦できるように制度を改めるべきではありませんか。大臣、いかがですか。
国務大臣(萩生田光一君)
現在、二次募集で配分額以上に要件を満たすと判断した学生などがいる学校について、二次推薦の状況を踏まえ追加配分を検討する予定です。したがって、要件に合致する学生が支援を受けられないといった事態が生じないように是非対応してまいりたいと思います。
先ほども他の委員から御質問ありましたので、これ、今の段階であらかじめオーバーしても、幾らでも、全ての、一人残らず最後の学生まで支給するということができる制度ではないですけれども、しかし事態は、事態は学生の皆さんが修学を続けることが大事なので、先ほど局長答弁しましたけれども、二次募集で大体整理が終わった段階で次の対応を考えていきたいと思います。
吉良よし子
いや、一人残らず救える制度ではないと、こう開き直られると、これ本当にがっくりくるわけですよ。もうここに頼っている学生が本当どれだけいるかと、退学まで検討しているわけですから。
ちなみに、学生だけじゃなくて窓口対応に当たっている事務の方からも悲鳴が上がっているわけです。多数の応募の中から残念ながら採用、不採用決めていかなきゃいけないと、文科省のパフォーマンスではなく本当に学生を救いたいんですと、けちけち給付金の責任を大学に擦り付けられたくないということもおっしゃっている。
けちけち給付金などと言わせないと、ちゃんと支援が必要な学生に給付を行き渡させるまで制度継続すると、これを断言していただきたいと思うんですが、いかがですか。
政府参考人(伯井美徳君)
我々としては、要件に合致する学生、大学が総合的に認めた要件に合致する学生が支援が受けられないといった事態が生じないよう万全を期してまいりたいと考えております。
吉良よし子
制度の継続、強く求めて質問を終わります。