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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2020年・第201通常国会

新型コロナ対応「休校中も昼食提供可能」文科相が答弁/居場所、文化芸術支援、学費値上げただす

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は10日の参院文教科学委員会の所信質疑で、新型コロナウイルス対応による一斉休校にかかわって、学校給食の再開や子どもの遊び場・居場所の確保、学校鑑賞教室での文化・芸術イベントの中止を損失補てんの対象とするよう求めました。

 吉良氏は「給食復活を求める声は強く、貧困家庭の子どもには極めて大事だ」と強調。学校施設を利用した昼食提供のあり方についてただしたのに対し、萩生田光一文科相は「学校に自習に来ている子、来ていない子にも、昼食提供は可能」と答弁しました。

 吉良氏は、子どもの公園での外遊びに制約を課すような自治体もあると述べ、「健康維持のためには体を動かすことはやるべきだ」と指摘。丸山洋司初等中等教育局長は、外遊びを否定しませんでした。

 また、吉良氏は「学校休校で劇団やオーケストラなど学校観賞教室が中止され、収入が途絶え、死活問題になっている」と指摘し、休校にともなう損失補てんを要求。相次ぐイベント中止で悲鳴が上がっている現状に触れ、「国として柔軟で必要な対応を検討すべきだ」とただしました。萩生田文科相は「文化の灯を消さないよう緊急事態に対応するメニューを増やしていきたい」と答えました。

しんぶん赤旗2020年3月13日号より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 先週の予算委員会に引き続きまして、コロナ対策、学校一斉休校に関して伺いたいと思います。
 突然過ぎる休校要請による現場の怒り、混乱というのはいまだに収まっておりませんし、特に子供、保護者の皆さんのストレスというものもたまってきている状況であります。午前中来この問題議論されているわけですが、文科省にはもう本当に丁寧に、現場に寄り添った対応を求めるものです。
 まず聞きたいのが給食についてです。
 今日発表される政府の緊急対策第二弾の中で、給食費の全額返還も含まれるやに報道もありました。確かに、この保護者の休校に伴う負担を減らすという意味では、これは重要なことだと思うわけです。
 ただ、やはり現場の保護者、子供たちの声聞くと、むしろやはり切実な願いは、先ほど高瀬委員からもあったように、給食の復活、これ望む声が本当に多いわけです。なので、今日はもう給食費のことは一旦おいて、この昼食提供についてまず伺いたいと思うわけです。
 この給食、なくなったためにお弁当の準備をしなければならない保護者の方からの声があるのと同時に、やはり給食だけが頼みの綱の貧困家庭の子供にとっても、この給食復活、昼食、本当に大事なわけです。
 一方、文科省においては、三月二日付けの子供の居場所の確保のための依頼通知、これによって、家庭などの事情を踏まえ、学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することは可能ということを示していらっしゃるわけです。
 なので、ちょっと具体的に確認をしたいんですけれども、先ほどちらりともう例にもありましたが、学校施設を今回開放していない場合であったとしても、隣接するような条件の整った学童保育等に対してその学校施設を活用した昼食を提供する、これは否定されない、可能であるということでよろしいでしょうか、大臣。

国務大臣(萩生田光一君)

 児童生徒等に学校給食の調理場や調理員を活用して昼食を提供することは自治体の工夫により十分可能であり、地域の実情やニーズを踏まえて、自治体において適切に判断いただきたいと考えております。
 国としても、この度の臨時休業に係る各地域の取組の工夫を集めて、参考として情報提供してまいります。決して否定しません。

吉良よし子

 学校自体が閉じていたとしても、学童に対して昼食を提供することは否定されないということだったと思うんです。
 もう一点確認したいと思うんです。じゃ、学童保育を利用していない児童生徒に対して、学校施設を利用して飲食する場も含めて昼食を提供すること、これは可能でしょうか。否定されないということでよろしいですか、大臣。

国務大臣(萩生田光一君)

 既にそのような取組を行っている自治体もあると承知をしております。大事なことは、感染予防に細心の配慮をしていただいて、その上で各自治体がいろんな知恵を絞っていただく中で、様々な良い取組というものはもう積極的にやっていただいて結構だと思っています。

吉良よし子

 様々な良い取組ということでした。否定されないということでした。本当に細かいことですけど、やはり一つ一つ確認して、自治体がちゅうちょなく取り組めるようにという思いで聞いております。
 もう一点確認したいんです。では、休校中に学校給食のみ全面的に再開する、つまり、学校自体は再開しないんだけど、全校生徒を対象にして、例えば時間枠をずらすなどの工夫をしながら全校生徒に対して昼食を提供する、全校生徒にということも可能だということでよろしいですか、理論上。

国務大臣(萩生田光一君)

 臨時休業中の子供の居場所の確保や学習指導の在り方については、各地域において様々な取組がなされていると承知しております。今週からは、学年別の登校日を定めて、そしてある程度近況報告や学習進捗状況などを見ていただいて、その中で例えば昼食を出すという判断をしている自治体もあるやに承知をしております。
 学校外の児童、学童クラブなどで食べるパターンと、学校に自習などで子供が来ているパターンに給食を提供する場合、それから学校に昼食のみ食べに来るパターン、いずれにおいても学校給食機能を活用して昼食を提供することは可能であり、各自治体において、衛生管理に十分留意しつつ、また地域の実情やニーズに応じ対応を判断していただきたいと思います。子供たちが密集するようなことがあっては元も子もありませんので、当然、前提はそういうことでございます。

吉良よし子

 大事な答弁だったと思うんです。昼食提供するといっても、希望者だけを募るというこの事務負担が負担で自治体が取り組めない場合もあるわけですし、様々な可能性があるんだということで、工夫すれば昼食提供できるということだと。
 そういう意味では、大臣、是非工夫していただきたいのは、ただ可能ですよと言うだけではなく、もっと踏み込んだメッセージを出せないかということなわけです。栄養バランスの取れた給食が再開すれば、全ての子供たちの健康確保にとっても好影響ですし、親の負担も減らせますし、また今課題になっている、問題になっている給食食材、納入している業者や農家の救済にもつながるという意味では、こうした昼食提供、様々な工夫をしながら進めていってほしいと、そういうもうちょっと踏み込んだメッセージを文科省として出していただけないかと思うのですが、大臣、いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 一週間臨時休業やってみて、本来、自治体に、設置者の皆さんに様々な権限があるんですけれど、もう自分たちの判断でいろんなことをやっている自治体もあれば、その都度割と聞いてくる自治体もございまして、そういう意味では、この給食については非常に形態が様々なものですから、これ昔のように、みんなが自校方式で、みんなが直営方式でやっていれば、例えば文科省として一つの大きな方向を示すということは可能なんですけれど、御案内のように、直営もあれば、民間委託もあれば、センター方式もあれば、業者委託もあるものですから、一概に給食の再開が可能ですよということを出すとまた混乱してしまう可能性があると思いますので、今先生の問題意識共有しながら、QアンドAでできるだけ分かりやすく、あるいは実施例、実践例を横展開をしていけるように努力してみたいと思います。

吉良よし子

 横展開、努力ということで、もう是非そういう好事例あればどんどん周知していただきたいですし、そういう現場の保護者、子供たちのニーズに寄り添った対応を自治体が踏み出せるように、文科省としても後押しをしていただきたいということを強く求めたいと思うわけです。
 さて次に、もう一つ、子供たちの外出問題についても伺いたいと思うんです。
 先週の予算委員会の質問で、大臣は、天気の良いとき、密集を避けた上ではあるが、例えば学校施設を開放した場合に校庭を使って遊ぶこと、運動することは否定されないという答弁をされたわけです。
 確認しますけれども、ということは、校庭だけではなくて、近所の公園などで気分転換を兼ねて子供たちが軽度の運動、遊ぶことということも、それ自体は否定されないという理解でよろしいでしょうか。

文部科学省初等中等教育局長(丸山洋司君)

 お答え申し上げます。
 臨時休業を行った趣旨を踏まえれば、感染予防をする実効性を担保するために、子供たちには基本的に自宅で過ごすように指導ということをお願いをしているわけですが、三月四日付けの事務連絡におきまして、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解を踏まえて、児童生徒の外出については、軽い風邪症状でも外出を控えること、また、規模の大小にかかわらず、風通しの悪い空間で人と人とが至近距離で会話をする場所やイベントにできるだけ行かないことに留意して指導するよう教育委員会に依頼をしたところであります。
 それから、外で遊んでいくということ、遊ぶということについては、先日の大臣の予算委員会での答弁もございましたが、子供たちの健康維持のために、屋外で適度な運動をしたり、また散歩をしたりすることなどについて妨げるものではなく、感染のリスクというものを極力減らしながら適切な行動を取っていただくということが重要であるというふうに考えております。

吉良よし子

 公園等での外遊びも否定されないということだったと思うわけです。ただ一方で、聞いておりますと、子供たちがそうやって公園で過ごしていると、いや、公園での外遊びは休校趣旨に反するのではないかということで地域住民の声が学校に寄せられると。学校も親もその対応に苦慮している。地域に配慮して、学校側が不要な外出控えるようにという禁止的な制約を課すような指導を保護者に求めるところもある。その下で保護者や子供たちがストレスをためるという悪循環が続いているような場所もあると聞いているわけです。
 やっぱり、一斉休校から一週間たち、まだこれから長い期間の休校も続く場所があることを考えますと、自宅だけで、若しくは学童だけで黙って過ごすなんということはもう済まない。特に、低学年だけじゃない、高学年や中高生もいることを踏まえれば、一定、自宅だけではなく、健康保持のためにも、むしろ公園など屋外で、近所で体を動かすこと自体は否定されないし、健康維持のためにはそういう体を動かすことはむしろやるべきだよということぐらい大臣からメッセージ発していただけないかなと思うんですが、いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 三月九日付けに発出しましたまさに文部科学省からのQアンドAで、今先生が御指摘のことは、ジョギングや散歩や縄跳びなど、適切な環境の中で是非体を動かしてくれということは申し上げているところでございます。
 昨日、港区の小学校に急遽視察にお邪魔したんですけれど、校庭や体育館をうまく分散しながら、学校を居場所にしている子供たちの外遊びも、積極的に先生方が立ち会っていただいて、しかし二十人ぐらいをマックスにしてなるべく密接しないようにと努力していましたので、そういった例もまた展開をしていきたいと思っています。

吉良よし子

 先ほど、午前中にイタリアの校長先生のメッセージ紹介されましたけれども、やはりこういうときだからこそ散歩とか読書とかふだんできないことをしましょうねと、そういうメッセージがあったわけです。神戸市教委などでも、公園で遊ぶことはむしろ推奨されるべきというような教育委員会が表明しているところもあるわけで、疑心暗鬼というか、監視のような雰囲気が広がる下で子供たちが萎縮してしまっているような状態というのは余りにもかわいそう過ぎると。やはり、子供たちが健康に生活できる環境を保障するという意味では、神戸市教委とか若しくは先ほどのイタリアの校長先生のように、健康のためにはできることをしてねということを、大臣、是非言っていただきたいと思うんですが、もう一言、もしよろしければ。

国務大臣(萩生田光一君)

 私のメッセージでいいかどうか分かりませんけど、ちょっと前半一週間はやや硬直的な対応をされた自治体もあるやに承知していますので、ここで少しいろんな例を示しながら、特にやっぱり小さなお子さん、しゃべるななんというのもありましたよね。学童で口を利くなって小学校一年生、二年生に言ってもこれはもう無理な話でありますし、部屋から絶対出ちゃいかぬというんじゃなくて、安全をしっかり確保しながら適度な運動はしていただくべきだと思いますので、もうちょっと積極的に発信していきたいと思います。

吉良よし子

 是非お願いしたいと思います。
 もう一点確認をしたいんですけれども、先ほど、学童に通っていない小学校高学年や中高生の居場所という話ししましたが、確かに、そうはいっても公園ばかりにいてもしようがないわけで、ただ、学校は閉まっている、学童等も使えないし図書館や児童館も自治体によっては休館している自治体も出てきているわけで、そういう意味ではもう行く場所がない問題もあるわけです。
 そういう意味では、学童に通う子以外の子供たちの居場所確保のためにも、例えば休館している図書館などであっても子供たちについては学習などの居場所として確保するなど、公共施設において子供を受け入れる柔軟な対応、居場所として確保していく、求めていく必要はあると思うんですが、大臣、この点もいかがでしょうか。

政府参考人(丸山洋司君)

 昨日九日付けで更新をいたしました各自治体の取組、いわゆるQアンドAにつきましては、その中で、閉館中の図書館の学習スペースを活用して子供の預かりを行っている例であるとか、図書館の利用に関する事例や考え方などを紹介をしております。
 このような事例等の積極的な発信、周知を通じて、公立の施設等を活用した子供の居場所の確保に向けた各自治体における取組を促してまいりたいというふうに考えております。

吉良よし子

 とにかく、子供の安全、健康第一という意味では、ストレスをためないということも第一で対応をよろしくお願いいたします。
 続いて、今度は学校の突然の休校に関わる問題で、劇団、オーケストラなどにも影響が出ているという問題を伺いたいと思います。
 この間、小学校や幼稚園、保育園でお芝居をしている、公演事業をやっているという方から、二月後半以降の学校等での公演が四十公演キャンセルになりました、今後も増えますとの声も聞いているわけです。学校鑑賞教室など学校行事としてこうした公演を行っているような学校もあるわけですけれども、そういったものがこの休校要請に伴って中止になった。その件数、その影響を受けた団体数など、文化庁、把握されているでしょうか。

文化庁次長(今里讓君)

 文化庁が小中学校等に文化芸術団体を派遣している文化芸術による子供育成総合事業、こういう事業があるわけでございます。この巡回公演事業では、今年度、コロナウイルスの影響によって中止となった公演はございませんけれども、今委員御指摘の各学校が独自に実施しているようなもの、これについては現時点では把握ができてございません。

吉良よし子

 これ、国の事業ではゼロだということですけど、直接学校若しくは幼稚園が依頼している行事もあるわけです。そういうものがキャンセルになったら、もうこういう劇団にとってはまさに死活問題なんです。特に、中小の小さな劇団などが学校で公演を続ける中で何とか収入を得ているわけで、もうそれが全部キャンセルになったら、それでもう劇団、音楽関係者が存続し得ないという状態になっているわけで、やっぱりこれ本当、実態どういうふうになっているのか、学校休止に伴う影響として調査、把握すべきではないかと、大臣、思うわけですけど、いかがでしょうか。

政府参考人(今里讓君)

 今申し上げましたように、各学校独自に実施している公演もあるわけでございますので、現時点では網羅的に把握しているものではございません。
 ただ、関係団体との連携により、できる限り状況把握に努めてまいりたいと、このように考えております。

吉良よし子

 いや、もう是非状況を把握していただきたいと思うんです。
 ちなみに、先ほど来、休校に生じる影響で、例えば修学旅行で影響が出た業者等を調べたり対応策考えるとか、若しくは先ほどの学校給食で影響出た事業者に対しても対策考えるという休校に伴う影響が出た業者等への対応というのを国として考えている旨の答弁等があるわけですけど、という意味では、この学校鑑賞教室、学校休校に伴って、それに伴う公演中止してしまった劇団等への対応、損失補填については、やはり休校対応の一環として何らか政府として支援等検討していくべきと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 学校の臨時休業に伴う措置については政府全体の中で検討しておりますが、鑑賞教室の中止に伴う事業者の個別の損失について国が直接補償するのは現段階では難しいと考えておりますが、子供たちが質の高い文化芸術に触れる機会を確保していくためには文化芸術による鑑賞教室等の取組は非常に重要であると考えております。このため、文科省としては、引き続き子供たちが質の高い文化芸術に触れる機会を確保するため、今後も継続的な支援に努めてまいります。
 学校が行う鑑賞教室の中止に伴う事業者の個別損失で、厚労省において雇用調整助成金の特例措置の活用を可能としたところであります。また、フリーランスを含む事業者に向けては、各関係機関における経営相談窓口の設置や金融公庫等による緊急貸付・保証枠として五千億円の確保等の措置を講じるなど、対応が取られております。
 先生、先ほどおっしゃった中小の劇団って本当に存続が厳しいと思います。何とかつなぎ融資などのメニューは用意していきたいと思いますし、逆に、元々学校で見に行く、あるいは学校に来ていただいて演ずる予定だった演劇については、これやめないで、落ち着きを取り戻してきちんと再開して、それまで是非何とか頑張ってもらえるような策を講じていきたいと思っています。コロナで修学旅行もなくなった、演劇鑑賞会もなくなったなんということに子供たちをするわけにいかないと思っていますので、もう意地でもどこかできちんとやると、その覚悟でしっかりサポートしていきたいと思います。

吉良よし子

 どこかでちゃんとやるためにサポートということでしたけれども、ただ延期されても、そこまで本当につないでいけるかという死活問題だということで、大臣も御認識だと思うんですけれども、是非そういう思いで対策急いで講じていただきたいと思うんです。
 あわせて、この学校鑑賞教室のみならず、やはりこの新型コロナについて言えば、この間のイベント自粛に関わって、もう史上例のないほど全ての公演、あらゆる公演がキャンセル相次いでいるわけで、もう演劇、音楽関係者、ことごとく悲鳴を上げていて、涙も止まらない状態だということを聞いているわけです。例えば、鴻上尚史さんのツイッターを見ますと、知り合いのプロデューサーから悲鳴のような電話、チケットの払戻しが二億二千万になるという、このまま中止が続けば七億円を超えて、自己破産の可能性も視野に入れていると。そういう声が実際出てきているわけです。
 そういう意味では、学校鑑賞教室にとどまらず、文化芸術振興を掲げる文科省として、やはりこういうイベント自粛に伴う音楽、芸術、演劇関係者の皆さんの今置かれている実態、全体ですね、全体把握して対策を取るべきだと思うんです。
 具体的にちょっと提案したいのは、例えば公演を中止した場合には、その劇場等のキャンセル料が発生してしまうわけです。今伺っているところでは、ある公的な文化会館などの一部ではそのキャンセル料をあえて請求しないというような自治体の対応もあるやに聞いているわけです。せめて、そういう意味では、こういう公的な施設においたこのイベント中止については、各自治体でキャンセル料を請求しないように依頼するとか、そのための支援を国として行うとか、でき得る策を国として様々検討すべきと思うんですが、文科大臣、いかがでしょうか。

政府参考人(今里讓君)

 今ほど申しましたように、大臣からも答弁がございましたように、個別の損失の直接の補填というのは困難でございます。そのために、経営相談の窓口の設置ですとか、緊急貸付・保証枠などの措置が講じられるなどの対応が取られているところでございます。
 また、舞台芸術創造活動活性化事業などによって今後の支援というのもあるわけでございますけれども、今御提案のございました箱物のキャンセル料、こういったものについても、全体の支援の中でどういうことができるのかということを考えていきたいと思います。

吉良よし子

 考えていきたいということでしたけど、例えばオーケストラなどだと多くは財団法人の形を取っているんですね。となると、業者ではないので、中小企業のセーフティーネット保証とか雇用調整助成金とかがそのまま使えない場面もあるわけです。そういう意味では、本当に柔軟な対応、必要な対応、国として考えるべきと思いますが、大臣、是非検討をお願いいたします。

国務大臣(萩生田光一君)

 まさに国を挙げての緊急事態だと思います。様々な各行政庁のルールも、既存のものもあると思いますけれども、しかし、やっぱり想像力を働かせて現場感覚を持って考えないと大変なしわ寄せが行く、そういう団体や業種というのもあると思います。
 今お話があった例えば箱貸しは、民間の業者でやっているとすれば損害が確定がしやすいです。あるいは自治体でやっているとすれば、減免で取りあえずしのいでおいてくれと、来年度の交付金で何とか賄うなんということもできると思いますので、ここは、いろんなレアケースを今省内で挙げていますので、少なくとも文化は国民の皆さんの心を癒やすまさにツールだと思っています。この灯が消えないように、しっかり各方面に目配りをしながら、様々な緊急事態に対応できるメニューを増やしていきたい、こう思っております。

吉良よし子

 是非検討を進めて、文化事業、文化芸術支援、振興を後退させないように、文科省として対応していただきたいということ強く申し上げたいと思います。
 残りの時間で、国立大学の学費の問題について少し伺いたいと思います。
 ちなみに、このコロナの影響で学生のアルバイトも中止されているようなところがあって、もう生活費が大変という声が学生からも上がっているわけです。そういう下で、この間、国立大学、四大学で学費の値上げが進んでいる。昨年は東京芸術大学、東京工業大学、今年からは千葉大、一橋大と。そういう意味では、もう学生にとっては死活問題だと思うんですが、さらに、文科省は今度、国立大学法人の戦略的経営実現に向けた検討会議において、授業料自由化の是非、検討するとされています。この授業料自由化というのは何なのか、時間ないので端的にお願いします。

文部科学省高等教育局長(伯井美徳君)

 御指摘の検討会議でございますが、これは国立大学がより個性的かつ戦略的な経営を行うことを可能とするため、制度的な規制の緩和方策等について議論をするというものでございます。
 そのため、国立大学のガバナンスの在り方とか学生定員についての自由化の是非、あるいは長期借入、大学債の発行要件の在り方など多岐にわたっておりまして、こうした検討事項に加えて、授業料の問題も検討事項の一つとして挙げているものでございます。
 これ、あくまで国立大学の授業料について、各大学の判断により一層柔軟に取り扱うことを可能とするかどうかを検討するものでございまして、その際には、当然国立大学の役割、その自主性、主体性にも配慮しつつ検討することとなると考えております。

吉良よし子

 各大学が柔軟に授業料を取り扱うことを可能にするということですが、でも、やはり運営費交付金が増えない以上、値上げする自由になってしまうと思うんです。
 今、安倍政権は大学無償化だと言っていますけれども、値上げを自由にしていくというのはこれに逆行するんじゃないかと思うんですが、大臣、その点、整合性どうお考えなのか、最後お聞かせください。

国務大臣(萩生田光一君)

 できるだけ学ぶ学生の経済的負担を軽減していこうというのが政府の基本的な方針です。
 一方、この国立大学の検討会は、先生方、値上げを前提のことだけをおっしゃるんですけど、値下げも含めて、あるいは地域の特性など含めて、やっぱり自分たちでこれからの国立大学の在り方考えてもらおうと、そのための検討会でありますので、直ちにその授業料の値上げをこの場で自由化をするとかということを決めることではないということは、是非少し幅広に見ていただきたいなと思っています。

吉良よし子

 とはいえ、本当に値上げが進んでしまったら無償化とは絶対言えないわけですから、こうしたどんどん値上げを進めていくようなことはやめていただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。