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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

義務教育標準法改正案への賛成討論

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は31日の参院本会議で義務教育標準法改正案についての賛成討論を行いました。

関連記事 しんぶん赤旗2021年4月1日付

議事録

吉良よし子

 私は、日本共産党を代表して、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行います。
 少人数学級の実現は、保護者、教職員、地方自治体など関係者が長年にわたって求めてきたものです。例えば、三十人学級、行き届いた教育を求める全国署名は、全国各地で長きにわたり継続的に取り組まれ、集まった署名の数は三十二年間で累計四億六千万筆にも上っています。
 本法案は、四十年ぶりに小学校二年生から六年生までの学級規模を四十人から三十五人に縮小するものであり、幅広い国民の世論と運動が勝ち取った大きな前進です。
 この前進を勝ち取る大きなきっかけになったのは、新型コロナウイルス感染症の感染リスク低減のために取り組まれた分散登校です。
 分散登校中には一クラスの人数が二十人ほどになり、一人一人の学びの状況が捉えやすく、子供たちも学びに集中していました。あのような学習環境が日常から実現できれば、学校が変わると実感しました。子供たち一人一人と目が合い、互いの存在を感じることができる、そんな学校を実現してください。子供たちには、負担ではなく誰も一人にしない、置き去りにしない、明るい未来を贈りましょう。
 昨年取り組まれた少人数学級を求めるネット署名のメッセージ欄を見ると、多くの教員、保護者や子供たちが、教室が少人数であることの良さを実感したという声があふれています。
 昨年七月に教育研究者有志十二名が提起した少人数学級実現を求める署名は、僅か三か月で二十五万筆集まるなど、これまで全国各地で取り組まれた署名とともに、分散登校を通じ少人数の良さを実感した人たちの声が、今回の三十五人学級を実現、後押ししたことは言うまでもありません。
 一方、本法案は、少人数学級を新二年生から段階的に実施するとしており、新三年生以上は卒業まで四十人学級のままです。昨年、子供たちに少人数学級をプレゼントしようと署名を集め、声を上げた保護者とその子供たちのほとんどは対象外となります。同じ小学生なのに、なぜ我慢し続けなければならないのでしょうか。このコロナ禍において、なぜ五年も掛けて段階的に行わなければならないのでしょうかとの訴えも出されています。
 自治体によっては、独自に先行して、小学三年生以上又は中学校での少人数学級の取組を行っているところもありますが、住んでいる地域によって差が出てしまうことも問題です。より早急に、三十五人学級が全ての小学校で実現されることを求めます。
 あわせて、本法案では中学校が対象とされていないことについて、菅総理や萩生田文科大臣が国会の場において、中学校を念頭に検討すると明言したことは重要です。直ちに具体化を求めます。
 さらに、特別支援学校、特別支援学級、公立の幼稚園、高等学校でも少人数学級の実現へ、三十五人にとどまらず、三十人学級の早期実現を求めます。
 少人数学級の実現には、教員の確保が大きな課題です。
 この間、学校現場では、教員不足から年度当初に学級担任がいないなど、教育に穴が空く事態が全国各地で生じています。全国九割の自治体で、毎年のように、複数の学校で一週間以上代替教員が見付からず、ほかの教員等が代わりに授業をしているという実態があります。こうした教員不足は国の責任で解消すべきです。
 何より、二〇〇五年に第七次教職員定数改善計画が終了して以降、国が新たな定数改善計画の策定を行ってこなかったことで、地方自治体が見通しを持って正規の教員を採用できなかったことは重大です。各自治体で教員の正規採用が減る一方、臨時的任用の教員はこの十年間で四千人以上も増えていて、雇用の調整弁となっています。
 この機に、非正規教員の正規化を進めることを求めます。そのためにも、国が改めて定数改善計画を策定し、教員確保の見通しを示すことが必要です。
 なお、本法案による教員の配置については、今後五年間で一万三千人余りの増員が必要とされていますが、その一方、少子化に伴い、二万人の自然減が見込まれています。さらに、現在、チームティーチングなど子供たち一人一人にきめ細かい指導を行うために活用されている加配教員の取扱いについても不透明なままです。三十五人学級に伴う教員の基礎定数化はもちろん、学校現場に不可欠な加配教員について、現状から配置数が後退することがあってはなりません。
 あわせて、教員の資質向上に役立たず、今や教員募集の阻害要因にもなっている教員免許更新制は直ちに廃止するべきです。そして、過労による休職や痛ましい過労死が後を絶たない教員の長時間労働の是正を進めることも強く求めます。
 教員不足と同時に、教室不足の解消も重要です。
 この二十年、公立学校で、三十一学級以上などの過大規模な学校の数は六倍に増えています。一学年五クラス以上、ぎゅうぎゅう詰めになっている過大規模校の解消は、少人数学級を実施する上で欠かせません。また、全国各地で行われている国主導で行われてきた学校統廃合は、直ちに一旦中断し、改めて検討をし直すべきです。
 最後に、本法案は、検討条項が設けられ、学力の育成などの指標による少人数学級の効果検証を求めています。しかし、委員会での参考人質疑においては、三人の参考人からそれぞれ、点数化できる学力だけではなくて、非認知能力を育てていかなくてはいけないとか、テストの点数を上げるだけではない、様々な観点から総合的に分析をして判断をしていくべき、そして、子供がやっぱり幸せだと思わなければ、今の社会から大事にされたということを実感できることが大事など、点数で測る学力では見えない効果に注目すべきとの話が異口同音に出されました。
 クラスサイズの縮小は、子供一人一人にきめ細かな指導を可能にするとともに、一人一人の授業中の発言の機会が増え、討論や実験などを通して物事を深く理解することになり、学習面で効果があることが実証されています。また、貧困の広がりや社会の変容の中で、深刻な悩みを抱える子供が増え、発達障害や外国人の子供などへの特別な支援の必要も増しており、学校生活の面からも学級規模の縮小が求められています。
 今回、政府が、三十五人学級により現場で子供の状況を把握し、一人一人にきめ細かい教育を実現すると述べ、その必要性を明言したことは重要です。
 改めて、少人数学級が実現する今こそ、点数で数値化された学力にばかり注目するのではなく、一人一人の子供たちが自分は大切にされていると実感できる学校現場への転換を図るよう心から強く求めて、討論といたします。(拍手)