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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

公立病院 再編・独法化やめよ 感染症対策・地域医療を守る役割損なうと批判

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は7日の参院行政監視委員会で、「新公立病院改革ガイドライン」について、公立病院の感染症対策や地域での医療提供の役割を損なっていると批判しました。

 吉良氏は、東京都内でコロナ病床の35%が公立・公社病院である一方、独立行政法人化した病院では都の医療政策に直接位置づけられず、2床しか確保できなかったことを指摘しました。

 また、コロナ専門病院となった都立広尾病院で出産予定だった200人の妊婦が他病院での出産を余儀なくされたことを紹介。都立病院が16病院から8病院に半減させられた経緯を示し、「病院が再編されていなければ別の都立病院への転院で対応できていたかもしれない」として、ガイドラインで推進している再編や独法化をやめるよう求めました。

 武田良太総務相は、赤字を解消するために再編や独法化などの「取り組みを進める」と繰り返し答弁。吉良氏は「経営の効率化を迫ることで、不採算部門も含めた必要な地域医療を壊すことはあってはならない」とガイドラインを取り下げるよう迫りました。

しんぶん赤旗2021年4月15日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 質問に入る前に、やはり総務行政の根幹に係る総務省接待問題について一言申し上げておきたいと思います。
 認可権限などに関わる幹部官僚や大臣、副大臣、政務官に対する高額な接待が繰り返され、行政がゆがめられたのではないかという疑念は、国会審議を通じてますます深まり、行政そのものに対する国民の信頼が大きく揺らいでいるわけです。幹部官僚の辞職で終わらせず、事実の徹底解明、真相の究明こそ必要であると、このことを指摘しまして、質問に入りたいと思います。
 今日は、国主導で進められている公立病院改革について伺います。
 この間、国は、平成二十七年、二〇一五年に新公立病院改革ガイドラインを示し、公立病院の再編や経営形態の見直しという名の独法化、公立病院独法化などを進める公立病院改革を地方に促しています。
 このガイドラインは、プランの期間を令和二年、二〇二〇年度までを標準だと示しているわけですが、既に二〇二〇年度は終わり、四月から二〇二一年度始まっているわけですが、この二〇二一年度以降、このガイドラインはどうするのか、政府参考人、お願いします。

総務省自治財政局長 (内藤尚志君)

 お答え申し上げます。
 今お話ございましたように、平成二十七年三月に策定いたしました現行の新公立病院改革ガイドラインにつきましては、各公立病院におけます改革プランの標準期間を令和二年度までとしておりましたことから、令和二年度中の改定を予定しておりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、現行ガイドラインの改定等を含む取扱いにつきましては、その時期も含めて再整理するとしたところでございます。
 今後、厚生労働省における新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた地域医療構想の考え方、進め方も勘案しながら、持続可能な医療提供体制の確保に向けて公立病院が地域において担うべき役割などにつきまして議論を重ねまして、新公立病院改革ガイドラインの改定等について検討してまいりたいと考えております。

吉良よし子

 先ほど、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえて再検証と。
 地方財政審議会は、この厚労省の動きを踏まえて、公立病院が地域で担う役割について、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて再検証する必要があると考えられると指摘し、ガイドライン取扱いについても再検討すべきと書いているわけですけれども、つまり、新型コロナ感染症の拡大を受けて、これまでのガイドラインを抜本的に見直すと、そういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(内藤尚志君)

 お答え申し上げます。
 先ほど御答弁申し上げましたように、新型コロナウイルス感染症への対応、これらを踏まえて、感染症対策も盛り込むような形で現行のガイドラインの改定等について取り組む必要があると考えております。

吉良よし子

 感染症対応を踏まえて、盛り込んでと言いますが、私は、この新型コロナ感染症拡大を受けて、やはりこの公立病院改革見直すべきだと、抜本から見直すべき政策だと思うわけです。何より、このコロナ感染拡大が進む下で、公立病院、地域の公立病院の重要性、役割の重要性はいよいよ際立っていると思うんです。
 例えば、東京の例を示しますけれども、東京都の場合、都内のコロナ病床の三五%が都立病院、公社病院の病床になっていると。都内には大学病院始め民間大病院など六百数十施設あるんです。都立・公社病院というのは合わせて十四病院。それがコロナ対応の中核を担うという状況なんですね。
 やはり、これを見ても、感染症対策という観点から、公立・公社病院の役割、いよいよ重要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

総務大臣(武田良太君)

 多くの公立病院の皆さんが新型コロナウイルス感染症患者を受け入れているところであり、公立病院は感染症対策において大変重要な役割を担っていただいておると認識をいたしております。

吉良よし子

 重要な役割担っていると大臣の答弁もありました。
 ここで、先に独法化について伺いたいんですけれども、この新型コロナ感染症対応の病床確保で役割を果たしてきたのが公立病院ですけど、その障害となるのが先ほどのガイドラインで示されている経営形態の見直し、公立病院の独法化なんです。
 昨年八月の段階で、東京都は、都立・公社病院で新型コロナ対応の病床を計一千床確保する方針を示していたと。しかし、既に独法化している医療センターは都の医療政策に直接位置付けることができないため、そのコロナ対策については要請、お願いにとどまると。結果、重症患者用にこの医療センターに対して三床確保を依頼していたけれども、実際にその独法化した医療センターで確保されたのは二床にとどまってしまった。独法化したことがこの病床確保の障害になっている。
 病床確保をちゃんとしていく上では、公立病院の独法化始めとした経営形態の見直し自体やめるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

総務大臣(武田良太君)

 新公立病院改革ガイドラインにおいては、公立病院の経営形態の見直しについて、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度の導入などを選択肢として示し、その検討を要請しております。
 各公立病院の経営形態に関しては、地域の実情や公立病院の置かれた現状を踏まえ、地域医療の確保や経営の安定化などの観点から、各地域においてその在り方を検討していただくことが重要であると考えております。

吉良よし子

 各地域においてとおっしゃいますけど、こういうガイドラインまで示されて、国主導で進められている問題だからここで質問しているわけですけれども。
 実際、先ほど御紹介した病院は、独法化してから病院全体の四分の一の病室を個室にして百六十一床も削減しちゃったと。だからコロナ対応もかなり難しくなってしまったという事態が起きているわけですね。
 一方で、都立・公社病院はかなり頑張っていると。今年に入って都立・公社病院では、更に新型コロナ患者専用病床を千百床から千七百床に増やすということの対応をしていると。都立広尾病院では、基本的に新型コロナ以外の診療、入院を休止、公社荏原病院、豊島病院も基本的に周産期と精神科救急を除いて新型コロナ以外は休止という対応を取ったと。急増していたコロナ患者の病床確保、これ都立・公社病院だからできた対応だとも言えると思うんです。
 ただ一方で、問題も出ていて、広尾病院で出産予定だった人、突然病院を替わることを余儀なくされたと。広尾病院で出産予定だった妊婦二百人、ほかの病院探すように連絡受けた。今年一月末に出産予定だった女性は、一月九日に広尾病院の担当者から、担当医から、うちでは分娩できないのですぐほかの病院探せと言われて、探したけれども、都内の民間病院の分娩費用は高過ぎると、結局都内での出産諦めたという事態が起きています。
 出産というのは、軽い陣痛から始まって時間掛かるものもあれば、突然破水して急激に進むという場合もあるわけで、そういう意味では、できる限り近くの病院で分娩できた方がいいわけですけれども、それができなくなってしまった。もうその心労、負担は計り知れないわけです。
 この事態が引き起こされた背景に何があるかというと、やはり東京都でこの間、都立病院の再編が進められたということがあるんだと思うんです。この間、十六あった都立病院、八病院と半減してきたんです。もし以前と同じ十六病院あれば、たとえ一部コロナ専門病院となったとしても、都内の都立病院への転院で何とか済ませられたかもしれない。
 そういう対応ができなくしてしまうのがこの再編だと言えるわけですけど、これもガイドラインの中で再編・ネットワーク化を進めるんだと書いてある。やっぱりこれもやめなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

総務大臣(武田良太君)

 公立病院が厳しい経営状況や深刻な医師不足に直面する中、救急・災害医療など公立病院が担うべき地域医療を適切に確保する観点から、公立病院の再編、連携を進めることは大変重要な課題と認識しております。
 このため、従前より公立病院の再編・ネットワーク化を要請してきたところであり、今後とも公立病院が担うべき役割を果たし続けていくためには必要な取組と考えております。

吉良よし子

 必要って、再編が進んだことで本来担うべき地域病院の役割が果たせなくて、実際に多くの妊婦が路頭に迷う事態になったわけですよ。
 コロナ感染症の対応ももちろん必要ですよ。と同時に、通常の病院の機能だって、役割だって果たさなきゃいけないと。そういう感染症対応だけじゃなくて、それぞれの地域で必要な医療を提供する役割をちゃんと果たす、そのためにも再編・ネットワーク化やめるべきじゃないですか。大臣、もう一度、いかがですか。

総務大臣(武田良太君)

 先ほども申しましたように、やはり公立病院というのは非常に経営が厳しいところが多いんですね。こうした問題をどうやっていくのか。また一方で、深刻な医師不足にも悩まされているんです。こうした問題をどうやって解決していくのか。そうした複雑な問題が存在する中にもかかわらず、こうした病院というものの役割をしっかりと担っていくために、我々はこの取組を進めているまでの話です。

吉良よし子

 いや、だから減らすというの、私、理解できないんですね。不採算部門を含めた必要な医療を守る、それが公立病院の役割なんですよね。
 だから、そこに一般会計から繰入れなどしていく、そういう対応も取っていると思うんです。地域の医療を守るというためにはそれやることだし、それで再編していって縮小していったら本当に必要な医療が届かなくなってしまう。この不採算部門も抱えるのが公立病院なのに、そこで再編・ネットワーク化のみならず経営の効率化で黒字化目指せと言っていることも、かなり公立・公社病院を追い詰めていると思うんですが、これもやめなきゃいけないんじゃないか。そういう採算化、経営の効率化を目指すというやり方自体が間違っているんじゃないですか。大臣、いかがですか。

総務大臣(武田良太君)

 公立病院には、やはり救急や災害医療など地域に必要な役割を果たしている一方、厳しい、先ほども申しましたように、経営状況に直面しております。地域に必要な医療をしっかりと提供していくためには、経営の効率化を努める必要があると思っております。経営の効率化に努めることにより経営基盤というものを強化して、公立病院に期待される役割というものを果たし続けていただきたいと、このように考えております。

吉良よし子

 経営の効率化といいながら、結局は妊婦二百人が路頭に迷うという事態になっているわけですよ。それじゃ地域医療が役割果たしているとは言えませんよね。やっぱりそういう事態を生まないように、どんどんとにかく再編だとか効率化だと、黒字化だと、こうやって迫るんじゃなくて、それぞれの地域の病院を守り抜く、たとえ不採算であっても守り抜く、そういう姿勢が求められているんじゃないですか。
 やっぱり、こういう公立病院改革、とにかく経営の効率化を目指す、再編・ネットワーク化だと、経営形態の見直しだ、独法化、進めるようなやり方は、やはりこの新型コロナ感染症が広がる下ではやめるべき、ガイドライン、もう見直しというか、中止、やめてしまうべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

総務大臣(武田良太君)

 公立病院改革の目的というのは、その病院が安定した経営の下で、救急や災害医療などの不採算医療を提供する役割を継続的に担うことにより、持続可能な地域医療提供体制の確立を図ることであります。
 この公立病院改革の目的は、医師不足が更に懸念される今後においても重要な課題であると認識しておりまして、総務省としては、今後とも持続可能な地域医療提供体制を確立すべく努めてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 医師不足なんておっしゃいますけど、そもそも厚労省が医師を増やしてこなかったことが、それ最大の問題ですよ。安定した経営と言いますけど、公立・公社病院は不採算部門であってもとにかく地域の医療を守る、そういう役割を担っている病院であって、たとえ赤字になってもそれを政治がちゃんと守り抜くと、それこそが政治の役割だと私は思うし、その政治の役割を放棄して、効率化ばかり進めて必要な医療が提供されない、そういう事態を各地域に生み出すようなことはあってはならない、そのことを申し上げて、質問を終わります。