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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

正規教員増 国の責任で

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は12日の参院行政監視小委員会で、国の責任で正規の教員を増やすよう求めました。

 吉良氏は、文部科学省が教員たちにSNSでの発信を呼びかけた「#教師のバトン」プロジェクトに、「出勤7時退勤21時。基本的に休憩なし」など教員の過酷な労働実態が次々と告発されていることを指摘。異口同音に語られているのが「人員を増やしてほしい」という声だと紹介しました。

 丹羽秀樹文科副大臣は「教師不足に関する全国的な実態調査を実施する」と答弁。吉良氏は、教員の人事権は地方にあるが、定数策定の権限は国にあるとし、「国の責任で教員確保をすべきだ」と強調しました。丹羽副大臣は「中長期的な見通しをもって教員を確保していくことは重要。各教育委員会に計画的な採用を行うよう促したい」と答弁。吉良氏が求めた定数改善計画には触れませんでした。

 吉良氏は、非正規教員の正規化が必要だとし、非正規教員が増えた要因となっている義務教育国庫負担金の算定の見直しを迫りました。

しんぶん赤旗2021年4月13日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 文部科学省は、先月から、教職を目指す学生や社会人の方に、現職の教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうことが重要として、「#教師のバトン」プロジェクトを始めているわけです。が、ツイッターを見ますと、この「#教師のバトン」の中で教員の過酷な労働実態が次々と告発されている状況、そういう声があふれているわけです。
 私も読みましたけれども、例えば、出勤七時、退勤二十一時、基本的に休憩なし、小学校初任者四日目でこの状況、もう限界ですとか、育児時短勤務を申請したら、無理ですと即答、人員が足りないから不可能とのことだそうですとか、非常勤講師一年目ですが、校務分掌ばりばりすることになりました、手取り十万円じゃ無理などの声です。皆さん、そういう労働実態を告発すると同時に、異口同音におっしゃっているのが、部活などの業務負担の軽減を求めることとともに、とにかく足りない人員を増やしてほしいという声を出していらっしゃるわけです。
 私も、この間、この教員の確保の問題を取り上げ続けてきましたし、先月、少人数学級を進める義務標準法改正案の審議をした際にも、教員確保が課題だと指摘もさせていただきました。
 この教員の確保についてですが、公立学校の人事権は基本的には地方自治体にあるわけです。採用、研修も地方自治体が実施している。けれども、教員の配置や養成、研修の内容などは国が全国的に標準を定めており、給与については国庫負担もしていると。そういう意味では、この教員確保の取組、私は、地方任せにするのではなくて、国として責任持って取り組むべき課題だと思いますが、副大臣、いかがでしょう。

文部科学副大臣(丹羽秀樹君)

 お答えいたします。
 吉良先生おっしゃるとおり、教師の不足に対して、年度当初において小学校の学級担任が不足し、教頭等の他の教員で対応するなど、厳しい状況が生じていることは承知いたしております。
 教師の任用につきましては、各教育委員会の責任において適切に行われるべきだというふうに考えておりますが、文部科学省といたしましても、各教育委員会の教師不足の解消に向けて、例えば、学校・子供応援サポーター人材バンクや学校雇用シェアリンクの立ち上げ等による講師のなり手確保に向けた取組や、教師の業務負担を軽減し、働きやすい環境にするためのスクールサポートスタッフ等の外部人材の活用による学校における働き方改革、また出産、育児等で離職し、免許状の有効期限が経過している者等が復職する場合、一定の要件の下、臨時免許状の授与を行うことができる等の周知など取組を進めることに加え、教師不足に関する全国的な実態を把握するために、今年度調査を実施することといたしております。
 また、さきの義務教育標準法の改正によりまして、正規教員の安定的、計画的な採用が行いやすくなるというふうに考えております。教育委員会に対しまして、正規教員の採用をより一層計画的に行えるよう促しているところでございます。

吉良よし子

 るるおっしゃったわけですけど、やっぱり国の責任としてこの教員不足問題に取り組んでいただきたいと思うんです。
 で、穴空きの問題、副大臣からありました。先ほどの教師のバトンツイートでも、穴空きの実態も届けられていると。教員の人数が足りないまま新学期がスタートしました、そのため空きこまが一日一こまもない状態です、これでは満足に教材研究すらできません、サービス残業で何とか回していますという声ありました。
 一週間以上にわたって代替教員見付からない、副校長や教頭が代わりにという話は文教科学委員会の議論でもしているところですけれども、先ほど、副大臣、これについて、今年度調査を行うという話がありました。四月六日に大臣も記者会見でその旨おっしゃったわけですけれども、こうして、前回、文教委員会でこれを伺った際には、過去十一県市を抽出しての調査はあるが、全国の調査はしていなかったと思うんです。
 初めてこの全国調査に踏み切った背景は何なのか、何をどこまで調査するのか、参考人お願いします。

文部科学省大臣官房審議官 (高口努君)

 お答えいたします。
 教師不足に関しましては、今議員から御指摘のように、文部科学省におきまして、平成二十九年度に十一県市の教育委員会に対しアンケート調査を実施したところ、年度当初において小学校計三百十六人、中学校で計二百五十四人の教師の不足が見られました。また、令和元年度には抽出で聞き取り調査をいたしましたところ、年度当初における小学校の学級担任の不足に対して、非常勤講師も充てられず、教頭、主幹教諭等の他の教員で対応する事例などがございました。
 このように、教師不足に関して厳しい状況が生じていることも踏まえ、全国的な実態を把握するために、今年度、任命権者である全ての教育委員会に対し調査を実施することといたしたところでございます。

吉良よし子

 経緯いろいろお話あったんですけど、私確認したいのは、これ、つまり国の責任でこの問題に、解消に向かっていくよと、そういう決意の表れなんじゃないかと思うんですが、副大臣、そういうことですよね。地方の採用の問題ではなくて、国として、教師不足、責任持って解決に向かうと、そういうことでしょうか。イエスかノーかでお願いします。

文部科学副大臣(丹羽秀樹君)

 しっかりと教員確保をするということは、これは文部科学省としても前向きにやっていきたいというふうに思っておりますが、ただ、いつ何どき何人必要かということは現場によって裁量もまた変わってまいります。そういった中で、この調査を行うことによって、令和三年度始業時時点及び五月一日時点の二時点でまずこの調査を行って、これを来月五月に行う予定でございます。

吉良よし子

 国の責任でやっていただきたいと思うんです。国の責任で教員確保することが大事なのは、やっぱり地方が現場で採用するんだと先ほど来おっしゃっているわけですけど、でも定数改善がやっぱり必要なんですよ。教師のバトンのハッシュタグでも、もう教職員定数変えろとしか言えないという声まで寄せられていて、その定数を改善する、定数を決める権限を持っているのは国なんです。しかし、その国が定める定数改善計画は、二〇〇五年度までの第七次計画が終わって以降、もう策定されないままここまで来ているわけですよね。
 改めて確認したいんですけど、なぜ十五年以上もこの計画策定できていないんですか。参考人、いかがでしょう。

文部科学省大臣官房学習基盤審議官(塩見みづ枝君)

 お答え申し上げます。
 教職員定数につきましては、昭和三十四年度以降平成十七年度まで七次にわたる教職員定数改善計画を策定し、学級編制の標準の引下げでありますとか加配定数の充実を図ってまいりました。また、第七次定数改善計画以降も、発達障害の児童生徒に対する通級の指導でありますとか日本語指導等のための教員定数につきまして、平成二十九年度から令和八年度までの十年間で計画的に基礎定数化を図るなど、中長期的な見通しを持って教員確保ができるよう取り組んできたところでございます。

吉良よし子

 七次計画以降も都度加配定数など改善してきたとおっしゃるわけですけど、それ、毎年の予算編成の過程の話なんですね。やっぱり、この定数改善計画というのは中長期の見通しなんですよね。そういう見通しがないままもう毎年の予算編成の中で決まるというところでいくと、地方自治体もなかなか先を見通して正規の教員を採用するというのが困難な状況になっていると思うんです。むしろこの間は、少子化を理由にした教職員定数全体として減少する、そういう数字ばかりが示されているわけですよ。それが年度当初の穴空きという事態を生み出した原因になっているんじゃないかと私は思うんです。
 改めてこの定数改善計画、ちゃんとこの機に、少人数学級も進めるんだというこの機に作るべきだと思いますが、副大臣、いかがでしょう。

文部科学副大臣(丹羽秀樹君)

 中長期的な見通しを持って教員を確保していくことは非常に重要であるというふうに考えております。
 今回の小学校三十五人学級につきましても、今年度から学年進行で五年かけて実現することと示しておりまして、各教育委員会におかれましては、これらを踏まえた必要な教職員定数を考慮し、教職員の採用計画を策定いただきたいというふうに考えております。
 なお、この中長期的な教員確保の観点からは、退職者数や児童生徒の推移等の把握、分析も重要でございます。文部科学省といたしましては、引き続き、各教育委員会に対し、これらを踏まえて計画的な採用を行うように促していきたいと考えております。

吉良よし子

 是非、定員改善計画、定数改善計画策定をしていただきたいと思うんです。計画立てるのは重要という答弁でしたので、計画策定をお願いしたいと思います。
 そして、併せて非正規教員を正規化することも重要、必要だと思うわけです。義務標準法、少人数学級の議論でも、文科大臣からは、今回少人数学級に踏み込んだことでこれを正規の職員としてきちんと雇用していただきたいとか、正規職員、正規の職員を増やしていただく努力を各自治体にお願いしてまいりたいなどという答弁が繰り返されているわけです。
 じゃ、なぜ今地方自治体で正規教員ではなく非正規教員の方が増えてしまっているのか。先ほど、手取り十万円というお話もあったわけですけど、地方自治体が勝手に増やしたわけじゃないと私は思うんです。
 注目したいのが義務教育費国庫負担金の算定の方法なんですけど、この間、二〇〇四年から義務教育費国庫負担金の算定が総額裁量制というやり方に変わっております。これどういうものなのか、簡単に説明をお願いします。参考人。

政府参考人(塩見みづ枝君)

 お答え申し上げます。
 義務教育費国庫負担金は、公立義務教育諸学校の教職員給与費の三分の一を負担するというものでありますけれど、従前は、給与や諸手当の費目ごとに国の水準を定め、これを超える額や定められた教職員数の上限を超える部分については国庫負担の対象外としておりましたところ、総額裁量制は、費目等ごとに上限を設けるのではなく総額として国庫負担額を算定するということで、都道府県等におきまして給与の種類や額、教職員配置の決定をより柔軟に行うことを可能とするため、平成十六年度から導入したものでございます。

吉良よし子

 給与の種類や額を自由に決定するための制度だという御説明だったんですけど、これ、文科省の資料を読みますと、例えばとあるんです。例えば、給与水準を引き下げた分を教職員の増員に活用することができる。これ、自由にといいますけど、予算の総額が変わるわけではないんですよね。その総額をどう使うかというところで、給与水準を下げた分、人数増やすのに使ってもいいよという裁量を地方に与えますというやり方なんです。
 つまり、国の予算が増えない以上は給与水準を下げないと増員できないという仕組みなので、地方にとっては定数改善計画もないと、予算も増えないままこの制度となると、もう給与水準の低い非正規教員を増やすしかない、そういう裁量が与えられたようなものなんです。実際、この総額裁量制が導入されて以降、非正規の臨時任用教員というのは、二〇〇七年以降の数字があるんですけど、一万一千人も増えてしまっている。この制度が導入されて以降、がんがんこの非正規教員ばかり増えているという実態があるわけです。
 正規教員を増やせというのであれば、この総額裁量制、これ見直すべきだと思いますが、副大臣、いかがですか。

文部科学副大臣(丹羽秀樹君)

 公立小学校等の教職員定数につきましては、義務標準法に基づき児童生徒数や学級数等に応じて必要な定数が算定される仕組みとなっており、全国的に見れば、都道府県及び政令指定都市におきましても教員定数に対する正規教員の割合も九割を超えております。この割合は、近年、大きく変動はいたしておりません。また、実際の教員の配置につきましても全国的に教員定数を超えておりまして、総額裁量制が非正規教員増加の直接の要因になったというふうには認識いたしておりません。
 なお、正規教員や非正規教員の任用、配置につきましては各教育委員会において判断されるものでございますが、今回の標準法の改正によりまして、より一層、児童数に応じて自動的に配置されますことから、都道府県及び政令指定都市の申請に基づく加配定数の配置と比べて、正規教員の計画的な採用が行いやすくなるというふうに考えております。

吉良よし子

 見直すという御答弁じゃなかったんですね。これ、本当に残念なんです。
 総額裁量制が非正規教員を増やした原因になっているというのは現場からも出ている声でして、それが原因じゃないなんていうことはないわけですから、正規の教員を増やすというのであれば、これ見直さなきゃいけないと。
 何よりも、もう定員改善計画の策定やめて人員見通しを示さない、少子化でどんどん現場の教員を削減していく、予算も増やさない。で、総額裁量制というふうにして現場の教員不足、非正規化を進めてきた原因、私はやっぱり国のこの制度の在り方にあると思うんです。増やすというのであれば、是非この国の在り方を見直していただきたい、現場の教員が安心して後輩に教師のバトン渡せる学校にするために、地方任せにせずに、国の責任で正規の教職員増やせる環境、予算整えていただきたいということを強く申し上げて、質問を終わります。