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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

自営業者、フリーランスにも傷病手当支給を

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は4月26日の参院行政監視小委員会で、フリーランスにも国民健康保険の傷病手当金の支給をすすめるよう求めました。

 被用者については昨年3月から国の財政支援により、8割の自治体で傷病手当金の支給がすすめられています。吉良氏は、国の財政支援が6月末までになっていることにふれ、延長すべきだと質問。厚生労働省の榎本健太郎審議官は「適切に判断する」と述べました。

 吉良氏は、国の財政支援の対象が被用者に限定されていることについて、フリーランス、個人事業主、自営業者にも対象を拡大するよう要求。三原じゅん子厚労副大臣は、休業期間や収入減少の状況、所得補てんとして妥当な支給額の算出、財源などの課題をあげ、「慎重な検討が必要だ」と答えました。

 吉良氏は、課題となっている支給額について、市町村が独自に支給をしている事例もあげ、算定方法など地方の取り組みも参考にすれば支給できると主張しました。

しんぶん赤旗2021年5月4日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 昨日から三回目の緊急事態宣言が出されております。宣言に伴う様々な業種への休業要請に対する補償というのは待ったなしです。しっかりしていただきたいと思うんですが、そして、忘れてはならないのが感染者に対する所得保障、傷病手当についてです。今日は、この傷病手当について伺いたいと思います。
 公的医療保険の加入者が仕事中の事故以外での理由で病気やけがの療養のために仕事を休んだ場合に、所得保障を行う傷病手当金が支給されます。しかし、国民健康保険については、その傷病手当の支給は市町村に任せられていて、しかし、長年、実際に支給している市町村はありませんでした。
 国保に加入している非正規や自営業、フリーランスの皆さんは、コロナはもちろん、その他の病気やけがをして休業すれば途端に収入がなくなるわけで、なのに、何の保障もない状態と。だから、無理をしてでも仕事をしているし、安心して休むことができないと。この間ずっと傷病手当金の支給を求めてきたわけですが、それが動いたのが昨年の三月で、国保において傷病手当金を支給する場合に国が財政支援を行うことになったと聞いております。
 これ、大事な取組だと思うんですが、今回、昨年三月に国が財政支援をしてこの傷病手当金の支給始めたと、これはきっかけとなったのは何なのか、理由を簡潔にお示しください。

厚生労働省大臣官房審議官(榎本健太郎君)

 傷病手当金について今御指摘がございました。
 これは、療養のため労務不能となりまして収入の減少を来した場合に、これをある程度補填して生活保障を行うものというものでございますが、健康保険法においては法定給付でありますけれども、委員今御紹介いただいたように、国民健康保険においては任意給付というふうになっているところでございます。
 国民健康保険においては、様々な就業、生活形態の方が加入しているということを踏まえまして、傷病手当金の支給については、市町村などが条例などを定めて行うことができるということにしているところでございます。
 先ほど御指摘ございましたように、昨年三月にこの傷病手当金の支給につきまして事務連絡を出しているところでございますけれども、これは、今般の新型コロナウイルス感染症における国内での更なる感染拡大防止の観点として、労働者の方々が感染した場合に休みやすい環境を整備するということが重要でありますことから、市町村などに傷病手当金の支給を促すこととするとともに、緊急的、特例的な措置として、当該支給に要した費用につきまして国が全額の財政支援を行うということとしたものでございます。

吉良よし子

 つまり、新型コロナ対策として、感染防止の観点で、コロナにかかった場合に休みやすくするための措置だということです。これ、国が財政支援をしたというのは本当に大事で、これによって八割の自治体で傷病手当金の支給が始まったということで、本当に画期的だと思うわけです。
 先ほども言ったように、今回また三度目の緊急事態宣言に入っているわけですが、この財政支援、延長もされましたけれども、今年六月までが期限とされているわけですが、これは感染状況がまた拡大するその状況を見て財政支援の期限の再延長はあり得るということでよろしいか、その点、お願いします。

政府参考人(榎本健太郎君)

 今御指摘のとおり、この特例的な財政支援の期間につきましては、これまでも新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえまして期間を延長してきております。現時点では、御指摘のとおり、令和三年六月末を期限として市町村などにお示しをしているところでございます。
 今後の財政支援の期間延長についてのお尋ねでございますけれども、やはりこの新型コロナウイルス感染症の感染状況などをよく踏まえまして適切に判断してまいりたいというふうに考えております。

吉良よし子

 要するに、再延長もあり得るというお話だったと思うわけです。
 ただ、これ、本当に大事な取組だということは申し上げたんですが、今回の国の財政支援で残念なのが、国保加入者のうち被用者、つまり雇われて働いている人だけが対象になってしまっていて、同じく国保に入っている自営業者、フリーランスなどは対象外になってしまっているということです。しかし、コロナに感染する方は被用者だけではなくて、休業すれば収入が減るというのは個人事業主、フリーランスでも同じわけです。
 昨年十一月には、日本俳優連合、落語芸術協会、日本マスコミ文化情報労組会議フリーランス連絡会、ユニオン出版ネットワークが、この傷病手当金の支給対象をフリーランスにも拡大するようということで、自民、立憲、公明、共産、超党派の議員同席の下、厚労省に要請して、山本副大臣が対応して、皆さんの思いを重く受け止めさせていただくと答えたと伺っているわけですけれども。
 さらに、全国市長会も昨年十一月に、この財政支援があれば取り組むことができるよということもいって、支援対象拡大等を求めているわけですけれども、やはり少なくともこのコロナの感染症に関しては、この国保の傷病手当金の支給、個人事業主も対象にして国が財政支援すべきと思うのですが、副大臣、いかがでしょうか。

厚生労働副大臣(三原じゅん子君)

 先ほど答弁いたしましたように、新型コロナウイルス感染症の対策の観点から、国民に加入する被用者に、あっ、国保、ごめんなさい、国保に加入する被用者について疾病手当金を支給をした市町村等に対して国が特例的に財政支援を実施してきたということでございます。
 ただし、個人事業主は、被用者と異なり、療養の際の収入減少の状況が多様で、そしてまた、所得の補填として妥当な支給額の算出というのが大変難しいことなどから、支給対象とすることについては様々な課題が大きいものというふうに認識しております。

吉良よし子

 要するに、算定が困難だから難しいよというお話だったと思うんですね。しかし、私、やってできないわけはないと思うんです。
 全国商工団体連合会、全商連がこの間調べたところでは、実際にもう個人事業主に対しても傷病手当を支給している地方自治体が出てきていると、現時点で九自治体。さらには、一時見舞金を支給している自治体も十一自治体あるというわけです。
 この傷病手当金の方でいえば、例えば岐阜県の飛騨市でいえば、一九年中の事業所得を基に計算して、一九年中の事業所得、その個人の、事業主の事業所得を三百六十五日で割って、掛けるところの三分の二を基本の額として、掛ける傷病で休んだ日数で掛け算して手当てするなどということで算定して取り組んでいるわけですけれども、こうした実際に個人事業主に支給をしている市町村の取組、参考にすればできるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。副大臣、もう一度お願いします。

厚生労働副大臣(三原じゅん子君)

 今、令和三年四月二十日時点で私どもが把握しているのは、二件の支給実績があったというふうにも承知をしているところでありますが、いずれにいたしましても、定額に療養日数を乗じることで算出するパターンであるとか、いろいろなやり方があるかとは思いますが、全部一体でというふうに考えますとなかなか難しいことがありますので、その算出の仕方についてもいろいろとまだ考えていくことがあるのが課題なのかなというふうに思っております。

吉良よし子

 なかなか難しいと言いますけれども、これ超党派でも申入れしていることですし、是非前向きにとお願いしたいんです。
 例えば、長野県伊那市では、昨年十月の臨時議会でこの傷病手当、個人事業主も含めた事業主まで広げることを全会一致で決めているわけです。こちらの場合は先ほど御紹介したような定額制で、日額五千円掛ける日数で支給するというやり方で、これで実際に休業、コロナに感染した、若しくは濃厚接触者になっても休業せざるを得ない状況になるわけで、そうした事業者からは、補償何もないと思っていたところ、こういう制度ができたので非常に助かったと、決して十分な額ではないけれども助かったという声も出されているわけです。これをやっぱり一部の自治体の取組にしておくのではなく、やっぱり全国に広げる必要があると思うわけです。
 日本俳優連合会が行った、昨年八月から九月にかけて行われた俳優や声優を対象にしたアンケート調査では、フリーランスに傷病手当金が支給されないことは不公平だと八割以上の方たちが答えているわけです。傷病手当欲しいです、国保高いです、本当に高くなりました、収入は高くないのにとか、フリーランスになりたくてなったわけじゃないと、俳優になったらたまたまもうフリーランスになるしかなかったと、なので自己責任で突き放されるのはつらいですと、元々の雇用形態があやふやなだけに、こういうときにやられてしまいがちと、芸術は日常役立っているはずなのにといった声が次々と上がっているわけです。
 副大臣も芸能出身ということで、そういう実情はよく御存じだと思うんですけれども、現在こうした多様な働き方広がる下で、フリーランスの保護というのは課題となって、国もガイドライン策定して取組進めていると聞いているわけです。やはりこのフリーランスの保護を進めるという観点から、国保において他の医療保険と同様に傷病手当金をフリーランスにも支給する、これ前向きに是非急いで検討していただきたいと思うんですが、副大臣、どうぞよろしくお願いします。

厚生労働副大臣(三原じゅん子君)

 この疾病手当金を全国統一の制度として恒久化することについては、また自営業者等では被用者とは異なり、休業期間や収入減少の状況が多様である、また所得補填として妥当な支給額の算出が難しいこと、あとは必要な財源をどのように確保するか、あるいは、国保制度内の被用者のみに給付するとすれば、その他の被保険者からも保険料を徴収することに理解が得られるのかとか、もう様々な課題が多くて、慎重な検討が必要かと考えてはおります。
 しかしながら、いずれにいたしましても、医療保険制度において被用者が被用者にふさわしい各種のセーフティーネットを享受するためには、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、こういうものも着実に進めていくということも重要なのかというふうにも思っています。
 これ通じて、労働者の保障の充実ということについて、しっかりと図ってまいりたいというふうに思っております。

吉良よし子

 労働者の保障の充実ということでしたけど、フリーランス、個人事業主はその労働者という枠から外されてしまっているわけですよね。そのために、こうして保護すべきときに保護されないという状況が生まれているのは、本当に不公平としか言いようがない事態だと思うわけです。
 それこそ、コロナにかかった場合には、長い場合は一か月とかそれ以上療養するしかなくなるというわけで、本当にそれ生活するだけでも大変だと思いますし、濃厚接触者になっても、一週間二週間という長期にわたって収入が途絶えるような事態になるというのはもう本当に明らかなわけで、それはもう全国どこに住んでいても同じ状況なわけで、自治体、住んでいる自治体によって待遇が違うということはやはりあってはならないと、国の責任で個人事業主も保護すると、その対象に、傷病手当の対象に位置付けて、コロナのためには、少なくともコロナにかかった場合は国がちゃんと支援するということを強く求めて質問を終わりますが、最後にもう一度、大臣、一言、このフリーランスの保護ということで一言お願いします。前向きに。

厚生労働副大臣(三原じゅん子君)

 今委員がおっしゃったことは大変重要なことだと思っておりますので、しっかりと図ってまいりたいと思っております。

吉良よし子

 終わります。