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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

男女別定員制なくせ 都立高入試の性差別ただす

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は4月27日の参院文教科学委員会で、都立高校入試で女子よりも男子の募集定員を多く設定する男女別定員制について性差別だとただしました。

 吉良氏は、2021年度入試では、女子の募集が男子よりも約1000人も少なく、男女の合格ラインが異なるため、女子は男子の最下位合格者と同点をとっても不合格になると指摘。「男子の受け皿のために、女子が調整弁として扱われていることは、あってはならない差別だ」と強調しました。

 文科省の瀧本寛初等中等教育局長は、男女別定員制の実施について「東京以外にはない」と答弁。吉良氏は、合格ラインが異なる男女別定員制は「不合理だ」という声や、入試のあり方を検討する東京都の検討委員会でも30年来、問題が指摘され続け、「男女別定員制の廃止」も求められていると紹介。性別を理由にした差別である男女別定員制はなくすべきだと迫りました。

 萩生田光一文科相は、男女別定員制を差別と認めなかったものの、「合理的な理由なく、性別で取り扱いの差異を設けることは望ましくない。是正にむけ努力したい」と答弁しました。

しんぶん赤旗2021年5月4日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、高校入試におけるジェンダー平等、性差別について伺いたいと思います。
 文科省は、二〇一五年、性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてと通知を出しております。その後、ジェンダーレスの制服導入など、各学校の取組も広がっていると承知しておりますが、じゃ、入試はどうなのかということで最初に確認したいと思います。
 公立高校の入学試験において願書等の性別欄をなくした自治体の数というのは今どのくらいになっていますか。

文部科学省初等中等教育局長(瀧本寛君)

 この三月までに試験を終えました令和三年度の公立高校入試の願書では、幾つかの都道府県を除きまして、多くの都道府県で性別欄のない願書が使用されたものと承知しております。
 高校入試に関しましては、願書の様式を含めまして、実施者である都道府県教育委員会等が適切に判断し決定することとされておりまして、文部科学省としては各自治体の判断を尊重させていただきたいと思います。
 以上です。

吉良よし子

 幾つか除いてですけど、実施している数、お願いします。

政府参考人(瀧本寛君)

 実は、正式な調査をしたものとしてはデータは存在していません。私どもが把握した幾つかと申し上げた根拠は、各都道府県の公立高校入試の要項を私ども入手しておりまして、それを全部開いて見ていって、やや疑義があるところは幾つかだけ電話で確認したということで、正式な調査ではございませんが、その中で分かっているものとしては、この三月までに行われた公立高校入試で入学願書に性別欄を設けている都道府県は六都県でございました。

吉良よし子

 六都県以外、つまり四十一道府県では性別欄がなくなっているということなわけで、ほとんどの自治体の公立高校の入試で性別欄なくす、ジェンダー平等が進んでいるというのは私、重要なことだと思うんです。
 実際、通知でもあるように、性別や性自認、性的指向にかかわらず、全ての子供たちがひとしく教育を受ける権利があるとすると、やはりこの進学の入口となる入試においてもジェンダー平等目指すべきだと思いますし、逆に言えば、性別、性自認、性的指向を理由にした差別は入試において絶対あってはならないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 それが望ましい姿だと思います。

吉良よし子

 望ましいと。もう一言二言言っていただきたかったんですけれども。
 ただ、こうしたジェンダー平等が一定進んでいる努力があると、一方で、見過ごせない事例があるわけです。この間報道もあったわけですけれども、都立高校の入試なんです。
 都立高校の入試では男女別定員制が設けられていると。しかも、長年、男子よりも女子の定員が少なく設定されてしまっていると。二〇二一年度の都立高校の募集人数を調べてみますと、女子の定員は男子よりも九百八十九人、約千人も少ない募集になっております。それの結果どうなるかというと、合格ライン、合格に必要な点数が男女で異なってしまって、女子の方が高くなる傾向にあると。模試を行う会社の試算によれば、その点数差というのは三十五から四十点にもなると。女子の場合が四十点も高く点数取らないと合格できないという大変な点差になっているわけですけど、もうちょっと詳しく言うと、男子の最下位合格者と同点を取ったとしても、女子だという理由でその子は落ちるという結果になるということで、これは性差による、性別による差別に当たるのではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょう。

政府参考人(瀧本寛君)

 高校入試の方法等は実施者である都道府県教育委員会等の判断で決定し、各校長がその学校及び学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力、適性等を入試により合否を判定することとされております。
 文部科学省としては、各実施者において入試が適切に実施されることが必要と考えておりまして、性別等の属性に応じた取扱いの差異の設定などを行う場合には、募集要項等にその旨を記載するとともに、実施者がその合理的な理由を説明できることが必要であると考えております。都立高校入試の件につきましては、実施者である東京都教育委員会において適切に説明すべきものと考えます。
 以上です。

吉良よし子

 事前に示していればいいし、合理的な説明があればいいと、そういう話だったんですけど、いや、そうなのかと。
 おっしゃるとおり、そもそも入試は公平公正であるべきだと。先ほど合理的な説明という話ありましたけど、各高校の校長などが男女別定員制が必要だとして様々意見を言っていると。例えば、報道によると、東京私立中学高等学校協会会長はこのように言っています。男女別定員制をやめると都立高校に進学する女子が増えるでしょう。しかし、私立には女子に比べると男子の受皿は少なく、行き場がなくなる男子が出るおそれがありますと。若しくは、東京都立高等学校入学者選抜検討委員会、保護者や有識者による検討会が高等学校長へのアンケートを取った場合には、男子が入学できる余地を残しておくためにも男女別定員制は意味があるのではないかと考えると。さんざん、私立にしても公立にしても、男子の行き場が心配されているわけです。けど、男子の行き場確保するために、じゃ、それで女子の行き場がなくなっていいんですかという話なんです。
 男子の受皿のために女子を調整弁として扱う、これやっぱり差別的取扱いと言わざるを得ないと思うんですが、大臣、この言い分、いかがですか。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 ちょっと分かりづらいですね。ただ、実態として、東京都の場合はもうずっと中学三年生が男子の方が人数が多いという、言うならば実数がございますので、そこはバランスを東京都の都立高校が考えての手段なんだろうというふうに思いますので、その合理的な説明があればいいですよ、じゃ、合理的かどうかとぎりぎり詰められたときに、私がどう思うかと言われて合理的じゃないと言えばこれは大変なことになりますので、東京都としては合理的な判断をした上での今の入試制度になっているんだと、そう理解をしております。

吉良よし子

 とはいえ、大臣冒頭おっしゃったとおり、分かりにくい、納得がしづらい言い分だと思うんです。
 実数に合わせてとかバランスと言いますけれども、とはいえですよ、私立についてももう女子校ではなく共学化も進んでいるし、私学の関係者に話を聞いたところ、やっぱり私学が女子の受皿になっているという感覚は実態としてはないんだと。いや、問題はむしろ学力中程度の女子生徒への影響が心配で、経済的な理由により本当は都立に行きたかったのに都立に行けない、行けなかったと、それで経済的なしわ寄せ、負担が掛けられてと、もうそれで進学自体どうしようという、そういうことになりかねないということを心配しているという声を聞いているわけです。
 ここで数字確認したいんですけれども、現在、東京都以外の自治体の公立高校の入試において男女別の定員制を設けている自治体というのは幾つあるのでしょうか。

政府参考人(瀧本寛君)

 お答え申し上げます。
 公立高校入試において男女別定員制を設けている都道府県は、私どもとしては、東京都を除き把握はしてございません。
 それから、済みません、少しだけ補足をさせていただきたいのですが、先ほど幾つかの声を御紹介いただきましたけれども、東京都も男子の行き場を確保するためにということでやっていることではないと私どもは承知しております。
 そういうことを言った方がいたということでございますし、それから、今し方、私学が女子の受皿という感覚はないという私立学校関係者がいらっしゃるということですが、事実としては私立の女子校の数は多いということはございますが、それは事実として、東京都さんの場合は、先ほど大臣からも少し触れましたが、都内の公立中学校三年生の男女比率に男の子の方が多いという差があって、この比率を基に算出をして募集定員を決めているというのが基本的な考え方であって、男子の行き場を確保するというよりは、東京都としては、その男女が互いの違いを認めつつ個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を生徒に理解させ、その具現化を図るために男女比が大きく偏らない学習環境が大切であると考えて男女別のその募集定員を決めているということでございます。ただし、近年においてはその男女別のその定員に少し弾力化を設ける男女別定員緩和実施校というのを設けて、定員の一部でありますけれども、そうした取扱いを緩和をしている学校がかなり増えてきているというふうに承知をしております。
 ありがとうございます。

吉良よし子

 いろいろおっしゃったわけですけど、数を確認したんで、要するに、東京都以外の自治体で公立高校の入試で男女別定員制というのを設けているところはないということなんですよ。東京都だけなんです。しかも、女子の方だけ人数少なくしているというのはやっぱりおかしいと言わざるを得ないんですよ。
 報道によれば、例えば大阪府立の高校の普通科も、かつて定員の九割まで男女別に合否を決めていたと。だから、最近、やっぱりこれを変えたんです。なぜかというと、先ほど私が示したような、男女の合格ラインが異なるのを避けるため、不合理を改める必要があったという理由からなんです。もうそういうふうに各地改めてきているわけです。
 それで、しかも、都立高校だって様々おっしゃっていますけれども、例えば一九八〇年度以降導入されたコース別や専門学科の募集を見れば、それは男女別定員での採用じゃないんですね、男女同数なんです。でも、都立の普通科に限ってこの男女別が残されているというのはやっぱりおかしいと。先ほど申し上げた東京都立高等学校入学者選抜検討委員会、ここからももうさんざん、一九九〇年頃からずっとこれを改めろと、男女別ではなくて男女合同での募集が妥当だと、二〇一四年にはこの男女別定員制廃止すべきという、そういう指摘まで出されている。
 三十年以上繰り返しこの問題が指摘され続けている男女別定員制、もう東京都だけ。もうこれは、やっぱりこういうやり方はやめましょうよと文科省としても言うべきときに来ていると思いませんか、大臣、いかがでしょう。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 高校入試において、合理的な理由なく性別等の属性により取扱いの差異を設けることは不適切であると考えます。
 文科省としては、各実施者において入試が適切に実施されることが必要と考えており、性別等の属性に応じた取扱いの差異の設定などを行う場合は、募集要項等にその旨を記載するとともに、実施者がその合理的な理由を説明できることが必要であると考えております。
 先生の御指摘、理解できる部分もございますので、是非これ、東京都議会でしっかり皆さんで議論していただきたいなと思います。

吉良よし子

 合理的な理由なく性別による差異を設けるのは望ましくないという御答弁でした。
 先ほど報道ではと申し上げましたけど、NHKで特集が組まれまして、その中で、当事者である女子中学生などからも声が上がっているんですね。同じ人間だから、性別関係なく学力レベルで見てほしいと思う、男女じゃなく実力で平等に選んでほしい、これは当然の声だと思うんですね。特に、入試においては公平公正が求められるわけです。
 改めて、大臣、最後にもう一言、入試における差別はあってはならないんだと、公平公正な入試に努めるんだと、その決意を述べていただきたいと思います。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 繰り返しになりますけれども、入試において、合理的な理由なく性別等の属性により取扱いの差異を設けることは不適切だというふうに思っております。是正に向けて努力したいと思います。

吉良よし子

 性別によって進路を断たれるようなことがないように、高校入試も含めて、差別、一掃していただくよう文科省に強く求めて、質問を終わります。