改憲ではなく、生存権など憲法にもとづく権利保障こそ必要
要約
参院憲法審査会は28日、憲法に対する考え方について各会派による意見表明と自由討議を行いました。
吉良よし子議員は、3度の緊急事態宣言で苦境にある国民の声を紹介し、「必要なのは改憲ではなく、憲法25条など憲法の理念を実現する政治だ」と求めました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
私は、三度目の緊急事態宣言が出され、国民の命と生活が危機に瀕している今、改憲原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではないということを強調したいと思います。
とりわけ緊急事態宣言慣れなどと言われる中、憲法に緊急事態条項を盛り込むことや、より強制力を持った法令を求める声が飛び交っていますが、とんでもありません。むしろ、今感染者の増加に歯止めが掛からないのは、慣れや気の緩みのせいではありません。慣れたんじゃなくて、もう政府の信用が尽きたんだ、匿名のブログでこんな投稿がありました。政府の言うことに付き合っても、事態は何も改善されない一年だったというのです。
最初の感染拡大から一年以上たった今なおPCR検査すら徹底できていません。病床の確保が困難で、自宅待機で急変する方も後を絶たないのに、消費税を財源に、百九十五億円も掛けて、一万床もの病床と、医師千六百人、看護師五千八百人を削る法案を押し通そうとしています。憲法二十五条でうたわれている健康で文化的な最低限度の生活を保障しようとしない政府・与党の無策と悪政に対する失望が国民に蔓延し、政府への信頼が失墜しているのは間違いありません。
さらに、今回の緊急事態宣言では、まともな補償もなく、前回より厳しい要請に怒りや疑問の声が相次いでいます。
一日二十万円の協力金で休業要請を出された百貨店からは、一日の売上高は数億円規模、全く話にならないという声が出され、無観客開催を要請された遊園地からは、真意を測りかねるとの声が出されています。午後八時以降の時短要請だけではなく、ネオン消灯や酒類提供の禁止まで求められた飲食店関係者からも、これまでの努力は何だったのか、酒の出せない居酒屋に客は来ない、飲食店ばかり悪者にしてきて状況が何か改善したのか、中途半端な対応でコロナの抑え込みに失敗しても、誰も謝らないし責任も取らない、私たちがいつまでも黙って従うと思ったら大間違いだなどの声が上がっています。
政府が感染を抑えられない一方で、影響の長期化により多くの人が困難に直面し、不安を抱え、働く権利や営業の自由、学ぶ権利、生存権や財産権、個人の尊厳、そして幸福追求権が脅かされていることこそが問題です。検査の戦略的拡充、医療機関への支援と病床確保、自粛とセットの十分な補償、いずれも必要なのは改憲ではありません。憲法二十五条を始めとした憲法の理念を実現する政治こそが必要です。
憲法に基づいた権利保障のために全力を挙げることこそ必要だと主張し、発言といたします。