「安倍・菅改憲」推進許されぬ 今こそ憲法を生かした政治へ転換を
要約
参院憲法審査会は19日、国民投票法改定案の趣旨説明と、各会派による意見表明・意見交換を行いました。日本共産党の山下芳生議員は、改定案は安倍晋三前首相の下で改憲議論を進める「呼び水」として提出されたもので、同案の成立でコロナ危機に乗じて破綻した「安倍改憲」を推進することは許されないと主張しました。
自民党は速やかに改定案を成立させ、緊急事態条項の創設などの改憲議論を進めるべきだとの意見を表明。日本共産党の吉良よし子議員は、コロナの緊急事態宣言と「憲法停止の状態をつくる緊急事態条項は全く別物だ」と強調し、「迷走する政府の失政を棚にあげ、コロナ感染拡大を国民、憲法のせいにするのは言語道断だ」と訴えました。
立憲民主党からは、CM規制など国民投票の土台の論点をクリアすることなく、改憲論議を進めるのは不可能だなどの意見が出されました。
議事録
吉良よし子
今回の国民投票法改正案は、安倍、菅改憲とセットになっています。
実際、菅首相は、五月三日の憲法記念日に、国民投票法改正案の成立は憲法改正への議論を進める最初の一歩と位置付けました。さらには、衆議院での憲法審査会においても自民党議員から、国民投票法案の採決は一つの通過点、憲法論議を更に粛々と活発に進めていくなどの発言が相次いでいることを見ても、国民投票法改正案の成立と改憲議論を進めることがセットになっていることは明らかです。改憲と地続きの国民投票法改正案を参議院で審議、採決することは許されません。
また、菅首相は、五月三日のビデオメッセージで、新型コロナウイルスの対応を受け、緊急事態への備えに対する関心が高まっているとし、憲法に緊急事態条項を盛り込む必要性についても言及しています。
しかし、コロナ禍における緊急事態宣言と、憲法に緊急事態条項を盛り込むことは全く違います。憲法に緊急事態条項を設けることは、内閣が緊急事態と定めれば、無制限に憲法のない状態をつくり出せるということです。コロナ禍における緊急事態宣言が新型コロナ特措法に基づくものであり、人権侵害の暴走を止める歯止めとして現行憲法が機能していることと比較すれば、憲法停止の状態をつくる緊急事態条項は全く別物であることは明らかです。何より、感染拡大が止まらないのは憲法のせいではありません。
緊急事態宣言について、政府は十四日朝になって当初の方針を覆し、急遽、北海道、岡山県、広島県に緊急事態宣言を適用。政府と専門家との意思疎通が十分にできていないことが明らかになりました。
ワクチン接種についても、接種予約システムは穴だらけ。期限ばかりを自治体に押し付ける政府の姿勢が各地で混乱を生み出しています。
休業要請については、十分な補償がない上、休業を要請する業種と休業を要請しない業種の違いについて、政府による科学的な根拠、説明は一切ありません。説明責任すら果たせずに右往左往し迷走する政府の失政を棚に上げ、コロナ感染拡大を国民そして憲法のせいにするなんて言語道断です。
新型コロナウイルスの対応というのなら、ワクチンを安定供給し、自治体の接種体制整備を国が全面的に支援すること、そして、大規模検査の実施と医療拡充、国民への生活保障が必要であり、今こそ憲法を生かした政治へと転換すべきであると申し上げ、発言といたします。