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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

東京五輪 子ども動員1日2万人 撤回迫る

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は31日の参院決算委員会で、東京五輪・パラリンピックの観戦に子どもを動員する大会組織委員会の計画をめぐり、競技によっては参加予定者が1日平均2万人超に上ると述べ、新型コロナウイルス感染拡大や熱中症の危険があるとして撤回を迫りました。

 吉良氏は、組織委が主導する「学校連携観戦」は全国で最大128万人を動員する計画で、東京都だけで90万人が対象になっていると指摘。「これだけの子どもをコロナ禍に移動させ、会場に集中させるのか。仮に無観客開催となった場合、連携観戦はやめるのか」とただしました。

 スポーツ庁の藤江陽子次長は「観客数や感染症対策に関する検討を踏まえ、組織委で検討される」と述べるだけでした。

 吉良氏は、「しんぶん赤旗」日曜版の入手した資料をもとに試算すると「国立競技場でのパラ陸上競技の観戦予定者は1日平均127校、2万1798人だ」と告発。会場の最寄り駅が「密」になる可能性や、子どもへの感染力が強い変異株の広がり、熱中症などの危険を指摘し、「観戦でクラスターが起きたら誰が責任をとるのか」と批判しました。

 中止を求めるインターネット署名が2・7万人分余集まっていると述べ、「子どもの命と健康を守る立場で、連携観戦は直ちにやめるよう求めるべきだ」と主張。五輪そのものの中止も求めました。

 萩生田光一文部科学相は「私が『やめろ』と言う性質のものではない」と背を向けました。

しんぶん赤旗2021年6月1日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 初めに、国際オリンピック委員会、IOCの幹部の一連の発言について伺います。
 IOCのコーツ調整委員長は、緊急事態宣言の下でも五輪を開催するかと問われ、もちろんイエスだと答え、バッハ会長は、オリンピックの夢を実現するために誰もが幾らかの犠牲を払わないといけないと述べ、そして最古参の委員パウンド氏は、アルマゲドンでもない限りやる、菅首相が中止を求めても大会は開催されるとまで発言をしました。どこまで上から目線の発言か。
 日本では、オリンピック中止を求める署名は四十万五千筆を超えています。世論調査でも多数が、中止又は延期すべきだと、この夏は開催できないと声を上げているのに、オリンピックが開催できさえすれば日本国民の命がどうなろうと知ったことではないと言わんばかりのひどい発言、主権侵害にもつながる発言を許しておくのかと。
 オリパラ担当大臣に伺いたい。IOC幹部のこの一連の発言について、日本政府として抗議をしたのでしょうか。

国務大臣(丸川珠代君)

 まず、そもそもでございますが、委員御指摘のIOCバッハ会長の発言について、組織委員会からIOCに事実関係を確認しましたところ、バッハ会長は、全てのオリンピックコミュニティーは犠牲を受け入れなければならないという趣旨の発言をしました。原文を取り寄せて確認しましたところ、バッハ会長の発言は、エブリワン・イン・ジ・オリンピック・コミュニティー・ハス・トゥー・メーク・サクリファイシスとおっしゃっていまして、まさに日本国民に対して発言されたものではないということは明確です。
 次に、IOCコーツ委員長の発言については、先日のIOC調整委員会の終了後の記者会見において、記者とのやり取りの中で、緊急事態宣言下においても東京大会のテストイベントが実施をされていて、アスリートの安全、安心も、日本国民の安全、安心も確保ができたという点で成功しているという趣旨の発言の中で述べられたものと承知をしております。ですので、国民の健康や命よりも東京大会が大事というような趣旨では発言されていないという理解をしております。
 いずれにしても、政府としては新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力を尽くし、そして、引き続き私も、五者協議の際も医療への負荷をしっかりよく受け止めてくれということを再三、まさに三度申し上げたんです。加えて、人流対策も必要ですということも同様に訴えてまいりました。
 これからも国民の安心、安全を守るという観点からしっかりと調整を進めていきたいと考えております。

吉良よし子

 いろいろおっしゃいましたけど、抗議一つされていないと。そもそもパウンド氏に至っては、首相がたとえ中止を求めても大会開催されると、もう主権侵害につながる発言をしているわけですよ。それに対して抗議一つしないというのが、いや、主催国として余りに無責任だと言わざるを得ないと。
 今この瞬間にも感染拡大で多くの方が苦しんでいて、亡くなる方もいて、医療従事者は必死で闘っていて、休業を余儀なくされている事業者はいよいよ限界で、経営の危機に追い詰められている。それなのに、どんな犠牲が出てもオリンピックだけは開催する、そういうIOCの姿勢に対して抗議もしない、一緒になって開催へ突き進む、医療を引っぺがしてオリンピックに協力しろと要請まで掛ける、そういう政府の姿勢は私は許されないと思うんです。
 オリンピックで重大なのは、この大規模なイベントの開催により一般市民への感染が急速に広がるのではないかということです。とりわけ今日私が確認したいのは、子供たちについてなんです。子供たち、オリンピック・パラリンピック競技を観戦させる学校連携観戦について計画がされていると。この学校連携観戦とは、どの都道府県を対象に何人の子供たちの観戦を予定しているのか、お答えください。

スポーツ庁次長(藤江陽子君)

 お答え申し上げます。
 御指摘の学校連携観戦につきましては、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の令和元年度に組織委員会によって募集が行われたものでございます。対象地域といたしましては、東京都など競技会場が所在する自治体や東日本大震災被災三県等と聞いております。また、令和二年一月時点でのチケット数は、オリンピック、パラリンピックを合わせて約百二十八万枚であったと聞いておるところでございます。
 現在、観客の上限や感染症対策に係る検討が行われているところでございまして、この結果を踏まえて本件の取扱いについても組織委員会において検討がなされるものと承知しております。

吉良よし子

 全国で百二十八万人の子供たちが動員される計画であると。これ、コロナ前の計画だという御説明だったんですけれども、東京都に関して言えば、コロナ感染拡大した後、昨年の十二月の時点で、もう前の日程から一日だけずらしただけの日程が学校関係者に届いていると。東京都都議会でこの問題、斉藤まりこ都議会議員が追及したところ、東京だけで私立を含めれば九十万人もの子供たちが動員される計画だということが明らかになっているんです。これだけの数の子供たちをこのコロナ禍移動させて競技会場に集中させるのかと、コロナ前の計画がいまだに生きている、実際に都の学校に通知も出されていて下見もされているわけですけれども、それが生きているということに私は驚きを禁じ得ないわけです。
 確認をしたいんですけれども、仮に、仮にこれが無観客開催、オリンピックが無観客開催となった場合、この学校連携観戦、もちろんやめるということでよろしいですか。

政府参考人(藤江陽子君)

 繰り返しになりますが、安全、安心な大会実施という観点から観客数をどうするか、それから、その際の感染症対策をどうするかについての検討が組織委員会において行われておりまして、この結果を踏まえ、学校連携観戦の取扱いについても検討がなされるものであると承知しておりまして、御質問の仮に大会が無観客になった場合の取扱いということも含めまして組織委員会において検討がなされているものと考えております。

吉良よし子

 検討って、いまだにそれすらはっきり言えない、分からないというのがおかしいと思うんです。無観客だったら行かないのが当然なんじゃないですか。
 しんぶん赤旗日曜版が東京都から入手した資料に基づいて試算したところ、国立競技場で行われるパラ陸上競技の観戦予定者、一日で平均百二十七校、二万一千七百九十八人の子供たちが一堂に集結するという計算です。この人数が、例えば、公共交通機関で移動しろと言われていますから、公共交通機関、電車使って同時刻に国立競技場を目指すとなると、最寄り駅のホーム、構内に人があふれて場合によっては身動きができないだけの密となるのは避けられないと駅関係者などは言っています。
 子供への感染力の強い変異株も広がっている中、オリンピック観戦でクラスターがもし発生したら、一体誰が責任を取るのでしょうか。そうじゃなくても、感染対策として着用しているマスクによる熱中症の危険もあるわけです。東京都医師会会長も、国内の感染が落ち着かない限り、この計画、見直しが必要だと言っています。
 子供たちの東京五輪観戦計画の中止を求める署名、一週間で二万七千筆が集まっている。文科大臣、文科省こそ子供たちの命と健康を守る立場に立って、もうこの学校連携観戦は直ちにやめる、この判断すべきじゃないでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 先ほどスポーツ庁の次長も説明しましたが、この学校連携観戦の取扱いについては、現在、国内における新型コロナウイルスの感染状況も踏まえ、観客上限に係る検討や観客の感染症対策に係る検討が行われているところであり、この結果を踏まえ、組織委員会にて検討がなされるものと認識しております。
 これは私がやれとか私がやめろという性質のものじゃないと思うので、適切に判断をされると思います。

吉良よし子

 いや、大臣が決めることじゃないとおっしゃいますが、先ほど言ったように、もしこれで子供たちの中に感染が広がったらどうするのか、誰が責任を取るのか、学校に全部丸投げなのかということを聞いているんです。そういう意味では、子供たちの命と健康を守る立場に立てるのは文科省だと。
 やっぱり直ちに中止求めなきゃいけないんじゃないのかと。こういう子供たちの命や健康を守る立場にすら立てないような状況で、安全、安心のオリンピックなんてもう到底無理です。オリンピック・パラリンピック、もう今すぐ中止の決断するように強く求める次第です。
 そして、次に、奨学金の返済についても今日は伺いたいと思っております。
 どんな経済状況であっても厳しい回収を行っている機構に対して、民間の金融業者よりもひどい取立てじゃないかということがこの間ずっと指摘されている奨学金返済問題なんですけれども、今日伺いたいのは、保証人に対する請求、分別の利益についてです。
 分別の利益とは民法上の規定で、借金の保証人が複数人いる場合は、一人一人の保証人の返済額は残っている返済総額を保証人の頭数で割った分でいいという仕組みで、奨学金の場合は、人的保証を選んだ場合、連帯保証人と保証人一人ずつ立てることになっているので、本人も連帯保証人も返せないとなった場合の保証人の返済というのは請求額の半額、二分の一でいいという仕組みになっているわけです。
 しかし、この分別の利益というのがもうほとんど適用されていない。全額、保証人請求にした場合、払わされている実態があって、各地で過払い金として返還を求める訴訟も相次いでいるんです。
 まず、現状を確認したいんですけれども、日本学生支援機構、二〇一〇年から二〇二〇年の間、保証人に対して返還請求をした実績というのはどの程度か、請求した保証人の数、お答えいただきたい。また、そのうち分別の利益が適用されているのは何人なのか、併せてお答えください。

文部科学省高等教育局長(伯井美徳君)

 お答えいたします。
 日本学生支援機構からの報告によりますと、決算前のため暫定値となりますが、二〇一〇年から二〇二〇年までの間、千九百六十九人の保証人に対して返還請求を行い、そのうち分別の利益を主張し適用した保証人は百三十三人であると聞いております。

吉良よし子

 この分別の利益が適用されているのは全体の一割に満たない数にとどまっているということなんですね。これだけでも問題だと思うんですが、もう一点確認したい。
 この保証人が、ただ言われたとおりに全額を返還しました、返済しましたと。ただ、その後に分別の利益があるということを知って、分別の利益を主張した場合、その半額、分別の利益分の返金をした事例というのは今までにあるのでしょうか。

政府参考人(伯井美徳君)

 日本学生支援機構によりますと、保証人が全額を返還された後に分別の利益を主張された場合に返還した事例はないというふうに聞いております。

吉良よし子

 ないということなんですね。これ、とんでもない話で、そもそも分別の利益が適用されている人が全体の一割に満たないというのは、機構側が請求をする際に、そういう権利があるということを保証人に一切知らせないまま、全額一括での返還を有無を言わさず迫っているからなんです。
 例えば、めいの奨学金の保証人となった七十代の男性、二〇一八年十月に機構から全額一括での返済を迫られ、総額が九百二十二万円。御本人は、七十代であるにもかかわらず、週三回の夜勤を続けないと生活できないような経済状態だったけれども、めいも、その連帯保証人だっためいの父親も自己破産していると聞いて、もうこれはしようがないからと、老後の蓄えをはたいて九百二十二万全額を振り込んだというんです。郵便局で振り込もうとしたときに、余りの高額に職員が驚いて、本当にいいんですかと声を掛けてきたと。ただ、それでも、機構側からの書類には、もう最終通知で、連絡がないときには裁判所に支払督促申立てを行いますなどとあったため、もうとにかくその場で払うしかなかったと。その後になって、改めて報道で保証人は半額でいいと知って機構に問合せをしたけれども、先ほどあったように一円も返してもらえなかった。有無を言わさず、分別の利益の説明もなくて全額の一括返還を求めておきながら、後で主張しても返されない。本当にひどい対応だと思うんです。
 先日、ついに、この対応について許されないんだという地裁判決が出されました。五月十三日の札幌地裁の判決です。
 この判決では、こうした後からの申出でも返還すべきだとされて、保証人の負担分を超えた部分については日本学生支援機構の不当利得であると明確に述べているわけですが、文科大臣、この判決踏まえて、もう既に支払済みのものについても分別の利益に相当する部分については保証人たちに直ちに返還すべきではありませんか。いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 本件につきましては、日本学生支援機構で対応すべき、検討すべき事項だと考えます。このため、文科省としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにしましても、日本学生支援機構が、今回の札幌地裁での判決を踏まえつつ、法人として関係者への説明も含め適切に対応すべきことであると考えます。

吉良よし子

 機構に丸投げという、文科省の事業でもあるわけですから、奨学金、ちゃんと責任持ってコメントしていただきたいと思うんですけれども。
 この機構の保証人への請求というのは、本当に悪質と言われても仕方がない事態だと思うんです。先ほどの一括請求のみならず、例えば、返還が困難だと相談があってもなお機構側は、保証人に対して、いや、分別の利益があるから返済額は半額まででいいということについて説明すらしていないわけです。
 この札幌地裁の原告の場合は、高校教員で、定時制高校で担任を受け持った教え子の保証人になったところ、退職後に機構側から督促状が届いて、教え子のところ行ったら、もう電気も止められ、食べるものにも困る状況でと。連帯保証人の父親が既に死亡していたので、もう自分が払うんだと腹をくくったというんです。けれども、実際には楽ではない年金生活だったので、機構と何度も連絡を取って、ようやくのこと分割での支払というのを認めてもらったと。その何度も相談している間、機構側からは分別の利益については何一つ説明がなかったというんですね。
 法的知識のない保証人に、公的機関である日本学生支援機構側がこの分別の利益の説明をしないなんて余りにひどいと。返還のてびきやホームページ等にこれ掲載しているんだということは、さんざん機構などが説明していらっしゃるんですけど、いや、もう高齢の保証人も多い中、ホームページに載せていますからと言っても、それで説明が十分とは到底言えないと。やっぱり、この保証人に請求をするそのときに、若しくは保証人から返還が困難ですと相談があったそのときに、分別の利益があるんだということを機構側からちゃんと説明すべきだと思いませんか、大臣。いかがですか。

○国務大臣(萩生田光一君)

 この前、記者会見で私なりの私見は申し上げたつもりでいるんです。
 それで、今は訴訟中になってしまいましたので、ちょっと私自身のコメントは控えさせていただきたいんですが、今本当は、そのホームページに書いてありますと説明をしようと思ったら、そんなことはと先生おっしゃったので、確かに、高齢者の方たちに、こういったホームページに書いてありますよということだけで分別の利益について理解をしろというのは難しい話だと私も思います。
 したがって、請求する際に分別の利益があることを説明するかどうかは、本件に関しては訴訟中でありますからコメントは差し控えた上で、一般論として、奨学金事業は学生のためのものでありますから、分かりやすい制度であるべきと考えます。特に、今回の例のように、まあ恩師が進学をきっと勧めていただいたんでしょう。その中で、連帯保証人は見付かったけれども保証人が見付からないという状況の中で、ならば自分がというようなやり取りがきっとあったんじゃないかと私も推測しますよ。
 そうしますと、そういった方にやっぱりしっかり制度を理解していただいた上でその法的な責任を果たしていただくというのが望ましい姿じゃないかなと思いますので、様々な御意見を踏まえて、これを機会に、私としてはより良い制度にしていきたいという思いはございます。

吉良よし子

 分かりやすい制度であるべきだし、ちゃんとその法的な権利について理解をしてもらうべきだという大臣の答弁でした。いや、そうであれば、やっぱりこの請求するそのときに説明するということを徹底しないといけないわけです。
 ちなみに、この分別の利益については、保証人が申し出るべきだということをさんざん機構側はずっと言って、主張しているわけなんですけれども、それに対して、札幌地裁の判決では、こうした分別の利益の効果発生に保証人の何らかの行為は要求していないんだと、もうそういう主張を全部否定をしているわけですから、こうした主張はもう許されないんだと、当たり前の、請求時に説明するという当たり前のことをやらなきゃいけないと。
 先ほどの高校教員の方は、教育事業に関わる機構が、保証人が法律を知らないことに乗じて法律上は支払う義務がない金額まで支払わせていたことは許されませんと、教育事業に関わる機構なのですから、きちんと制度の説明をして、法律上支払う義務がある範囲を超えて支払うかどうか、私たち保証人が自発的に支払うかどうか判断する機会を与えるのが筋じゃないでしょうかと訴えている。当然だと思うわけです。
 ちなみに、この機構がこのようなかたくなな態度を取るのは、やっぱり回収ありきなんです。返還中の保証人に分別の利益について機構が伝えない理由について、機構の遠藤勝裕前理事長は、それを伝えてしまえば事実上半額を回収できなくなるんだということを話していて、とにかく全額回収することありきだから、当たり前の分別の利益の権利の説明すらしないということを言っている。こういうことをやっていることが本当に私は悪質だとしか言いようがないと思うんです。公的機関である日本学生支援機構が分別の利益を伝えず、法知識がない保証人を利用して、もうとにかく全額回収ありきで進める、このやり方は改めるべき、全額回収のそのやり方を改めるべきじゃないかということを、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(萩生田光一君)

 先ほども申し上げたように、本件については訴訟中であります。
 一般論としては、やっぱり丁寧に利用者に理解してもらえる制度の説明というのは必要だと思いますので、そこは精度を上げていきたいと思っています。

吉良よし子

 やっぱり、この機構の姿勢を改めなきゃいけないんですよ。民間の貸金業者よりもひどい取立てだと思うんです。とにかく、回収率九割以上だとか何だとかと言っていますけど、海外を見てみれば、この奨学金の事業というのは全額回収ありきの事業にはなっていないんです。そもそも、普通のローンだったら返す能力があるかどうかの厳正な審査をやってからローンをするわけですけれども、奨学金について言えば、元々資金のない学生に対して奨学金を貸すという事業なんだから返ってこないこともあり得るんだと、それを踏まえた制度設計になっているのが海外の貸与型の奨学金事業なんです。なのに、日本はとにかく全額回収でやるんだというそういう姿勢をやっているから、こうやって保証人に対してまで、分別の利益を超えてまで返還を求める、余りにひどい対応になっている、これを変えさせなきゃいけないんだと。
 多くの人は、教育に関わる国の公的機関だからまさか必要な説明もしないで取り立てるあこぎなことはしないだろうと信用して、たとえ返還が難しい経済状態であっても無理をして全額返してしまっているわけで、直ちにこうした保証人への分別の利益を全面的に認めて、分別の利益の分は全額返還すべきであるということを申し上げまして、質問を終わります。