loading...

吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

接種会場の公演中止 文科相「国としてサポートを考えたい」

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は8日の参院文教科学委員会で、国や自治体などが実施するワクチン接種会場の施設利用に伴い、延期や中止を余儀なくされた文化公演などへの国の支援と補償を求めました。萩生田光一文科相は、支援に穴があれば「国としてサポートを考えたい」と答弁しました。

 吉良氏は、接種会場の設置で、予定していた公演などの中止・延期をせざるを得なくなったのに、損害補償が示されず困惑する関係者の声を紹介。「ワクチン接種は国の事業であり、自治体任せにせず、何らかの補償をすべきだ」と求めました。

 萩生田氏は、補償は会場設置者の自治体などが行うとしながら、「穴があくとすれば国としてサポートすることを考えていきたい」と応じました。

 吉良氏は、緊急事態宣言に伴う映画館など文化施設への休業要請に科学的説明がされなかったことを指摘し、「今後は必ず科学的合理的な説明を」と要求。萩生田氏は「法律の趣旨の通り合理的説明をしなければならない」と述べました。

 吉良氏はまた、「文化芸術復興創造基金」への募金が1年で810万円しか集まらず支援が開始できない現状を指摘し、「国庫から資金を投入し、使える基金に」と迫りました。

しんぶん赤旗2021年6月22日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、まず文化芸術の支援について伺いたいと思います。
 四月二十五日に三度目となる緊急事態宣言が出され、当初は政府、短期集中での取組だと言っていたわけですけれども、結局二回延長され、六月二十日まで延長されている状況なわけですが、今年に入ってもうほぼ半年、ほとんどの期間、緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置が出されているという状況が続いているわけです。
 出口が全く見えない状況、状態が続く中で、文化芸術に携わる多くの団体、個人がいよいよ事業継続が困難になるほどの危機的状況に陥っている、事業者の心労はピークに達し、物心共に限界を迎えているという声がウイ・ニード・カルチャーの皆さんから各政党に届けられております、お配りした資料ですけれども。この文化芸術分野への公的支援に関する緊急要望書の中には、緊急事態宣言下における科学的根拠のない休業要請、時短営業や客席減への要請、働きかけを回避することとの要望もあるわけです。
 この科学的根拠のない休業要請への回避、当たり前の切実な要求だと思うわけですけれども。
 じゃ、この間の経過見ればどうなのかと。当初、五月十一日までとされた緊急事態宣言が延長されることが決まった際、東京都では、演劇や寄席などの休業要請は解除された一方で、映画館や美術館、博物館の休業要請のみが延長されるという事態になりました。じゃ、なぜ映画館と美術館、博物館なのか、説明なかったと思うんですね。国立の美術館、博物館については、もうこの延長時に東京都と文化庁との間でやり取りがあったということも承知しておりますし、映画館については、映画館関係者、また映画ファンにより、映画館の休業要請に抗議します、若しくはノーモア映画館休業という声が広範に広がると。そういう結果、六月一日からは映画館や美術館、博物館も休業要請解除することが決められたというわけですけど、じゃ、この解除する際にも、なぜ解除できることになったのかという説明もなかったと思うわけです。
 改めて大臣に伺いたいんですけど、こうしたこの間の映画館などの文化施設などの休業要請、時短要請、また解除について、科学的、合理的な説明されてきたと思われるのかと。この休業要請について、大臣は科学的な根拠を持って御説明できるかどうか、御答弁お願いします。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 我々文科省、文化庁は、今までも、専門家の皆さんとの様々な知見を集めたり、スーパーコンピューター「富岳」での飛沫の動向なども科学的にも分析して、したがって美術館だとか博物館などは開館して大丈夫だと、ただし、一定程度の人数制限はするべきだし、必ず一方通行で、お互いが交差しないようにしようねということをいろんな知恵を絞って、緊急事態宣言下であってもそういった文化施設を開けるという前提で、映画館もですけど、やってまいりました。特に、演劇などは、もちろんその窮状に呼応して支援をしなきゃいけないという気持ちもある一方、いろんな現場を見ながら、クラスターも発生していませんから、これは演者の皆さんとの一定の距離を取れば飛沫も飛ばないという判断も科学的にしたつもりでございます。
 スクリーンから飛沫は飛ばないわけですから、もっと映画館は安全だというもので、当然これも開ける前提でお話ししたんですけれど、法律上は二十四条の九項で地方自治体の判断で上乗せができるということでした。私、衆議院でもお答えしましたけど、なぜ映画館が駄目なんだということを説明しろと言われても、私は科学的に説明できませんというお答えをしたとおりでございまして、残念ながら、私としては、なぜ映画館が閉めなきゃならなかったのか、いまだによく分かりません。

吉良よし子

 大臣、いまだに分からないということでいうと、やはり説明ができていなかったということだと思うんです。
 都内の美術館関係者からは、美術館は都の協力金の対象外だと、補償がない中でもこの休業要請に従って休業を、休館を続けてきたと、要請内容が科学的に正当な内容だったのか、その科学的根拠を事後であっても公表し、今後につなげてほしいと、そういう声が出されているわけですね。
 やはり、休業要請をすることというのはあり得ることだとは思うんです。だからこそ、その場合に科学的、合理的な説明を、もう大前提だと思うわけで、今後、仮にそうした施設に対して休業要請や時短要請する際には必ず科学的、合理的な説明することは不可欠だと思いますが、改めて、大臣、いかがでしょう。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 それは法律の趣旨にも書いてあるとおりで、もし上乗せで、上乗せじゃないにしても、我々が法律上、その施設を閉めるということであれば、その合理的な説明を国民の皆さんにしなきゃならないと思っていますので、同じような思いで都道府県にも対応していただきたいと思っています。
 ただ、あのときは、何といいますか、とにかく人流を抑えたいと、魅力ある施設は全部止めたいというのが文化庁に来た東京都からの要請だったので、合理的とは思いませんでしたけれども、しかし、同じ、例えば上野で、東京都美術館は閉めて国立美術館は開けるという、こういった整合性のない対応も国民、都民に誤解を与えるだろうということで、ある意味では東京都の思いに寄り添って対応を共にしたというのが正直なところです。

吉良よし子

 上野の対応ということをおっしゃいましたけど、全体で見れば、上野だけはそれで整合性取れていたかもしれないけど、全体を見れば、なぜ映画館はよくてほかの施設がいいのかとか、そういう整合性は全く取れていなかったとも思えるわけでして、大臣、科学的な、合理的な説明は前提だという答弁ありましたから、それは徹底していただきたいと思いますし、あわせて、やはり休業要請出して、それにちゃんと応じるようにするには経済的な補償がなければ応じられないということで、こうした経済的な補償は不可欠だということも改めて申し上げておきたいと思います。
 その上で、文化芸術の分野では、昨年度、三次補正を使ってのアーツ・フォー・ザ・フューチャー事業というのが始まっているわけですけれども、今回、この三度目の緊急事態宣言も受けて、さんざん要請もしてまいりましたキャンセル料支援というのが盛り込まれた、内容が拡充されたと承知しているわけですけど、その内容について簡潔に御紹介ください。

文化庁次長(矢野和彦君)

 お答えを申し上げます。
 今御指摘がございましたとおり、アート・フォー・ザ・フューチャー事業におきましては、緊急事態宣言の影響により、公演等の中止に伴う費用についても支援の対象としております。
 具体的に申し上げますと、本年一月八日以降の緊急事態措置期間において緊急事態措置区域等とされた都道府県で予定されていたものの、イベント開催制限等により開催を中止、延期した公演等につきまして、その準備のために発生した経費等を対象としております。
 以上です。

吉良よし子

 この緊急事態宣言が出された地域、期間に限ってキャンセルをした場合には、その掛かった経費、固定費も含まれると聞いておりますが、についてはキャンセル料支援が新たに盛り込まれたと。これ、この委員会でもさんざん要請してきた中身であり、これ盛り込まれたということは本当に重要なことだと思います。現場の皆さんの要求でもあったと思っております。
 ただ、現状では、このアーツ・フォー・ザ・フューチャーの事業では対象とならないキャンセルというのも実際にはたくさん出てきているので、その点について申し上げたいと思うんですけれども、一つがワクチン接種をめぐる問題なんです。
 現在、国、市町村、都道府県が実施するワクチン接種が進んでいて、様々な会場を使ってやっているわけですけど、その会場が文化公演を行う会場、予定をしている会場だったと。ワクチン接種が行われることによって、予約済みだったホール等の会場が使えなくなって、その予定していた公演、コンサート等を中止若しくは延期せざるを得なくなったという事例が出てきているわけです。
 その損害に対して、それが、損害があるにもかかわらず、補償や補填の方針というのが示されていない下で、文化関係者、大変困惑しているという話も聞いていますし、また、接種会場にまだなっていないけれども、なるかもしれないという予測の下で、稽古場として使用されている市町村の公共施設の貸出しというのが突如停止されるというような事例も、予約済みの場所であってもキャンセルしなければならないということもあると聞いているわけで、ワクチン接種進めていくことはもちろん大事なことですけれども、そうした接種会場となったことによって、本来やろうと思っていた公演ができなくなった、稽古ができなくなった、それによって損失を被ったという場合には、やっぱりちゃんときちんと何らかの補償、補填すべきと思いますが、大臣、いかがでしょう。

政府参考人(矢野和彦君)

 お答え申し上げます。
 アート・フォー・ザ・フューチャー事業におけますキャンセル料支援につきましては、先ほどお答え申しましたとおり、緊急事態宣言に伴う要請等に伴う支援ということでございまして、今御質問のございました文化施設等がワクチン接種会場となるかどうか、こういった点に関しましては、ワクチンの実施主体と施設の設置者等の間の協議によるものでございまして、そのために生じる補償等の問題につきましても両者の間で適切に話し合われるべきものというふうに考えております。

吉良よし子

 アーツ・フォー・ザ・フューチャーが緊急事態宣言下の対応だということですけれども、とはいえ、ワクチン接種も国の事業なわけで、それによって文化団体が影響を受けて大変な損失被る、場合によっては、なったら大変なわけですから、是非、自治体任せにせずに、やっぱり文化を守るということで、文科省、文化庁が先頭に立って補償をちゃんとやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか、一言。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 ワクチン接種そのものは国民の皆さんにとっても大切な事業だと思います。
 したがって、その会場設定の、設営の中で、各自治体がたまたま文化施設を会場に選んで、そこであらかじめ予定していた公演ができなくなった、これはアート・フォー・ザ・フューチャーで使えないのかというのが先生の御提案だと思うんですけど、こういうことをちょっと想定していなかったものですから、今回のカテゴリーの中には入ってこないんですが、当然のことながら、会場として決定するまでの間に会場の設置者と利用者の間での話合いというのがあって、それは応分の不利益を被った団体に対しての補償というのは当然どこの自治体でも行っていることだというふうに思いますので、そこにもし穴が空くとすれば、国としてしっかりサポートするようなことを今後考えていきたいと思います。

吉良よし子

 自治体任せにせずに、穴があれば国としてサポートということでしたので、是非徹底していただきたいと思うわけです。
 もう一つ、穴というところでいくと、学校公演があるわけです。
 日本児童・青少年演劇劇団協同組合、児演協が行った全国の特別支援学校、小学校を対象にした二〇一九年から二〇二一年度の舞台芸術鑑賞教室の実施状況の調査があるんですが、二〇一九年度は全国一万九千四百九十校のうち一万二千三百四十六校、全体の六四%の学校でこの学校公演というのが実施されておりました、児童劇団による。しかし、二〇二〇年度、昨年はそれが四千百二十二校に激減と。二〇二一年度、今年は少し戻ってきても、それでも六千六百七十一校と。コロナ前に比べると半減しているわけですけれども、さらに、今、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が続く中で、実施予定であってもキャンセルになるという事態が生まれかねないと思うわけです。
 この学校公演というのは、国の事業でやっているものもある一方で、多くの場合、保護者負担で公演料を賄ってPTAが呼んで公演やるというようなものもあるわけです。となると、中止となった場合には公演料を集められないので、学校側がキャンセル料を払えないと。だから、学校公演を中心に活動している児童劇団などの場合、キャンセルが出ただけで公演収入の大半失うことになるわけですけど、こうした児童劇団に対して、学校公演のキャンセルについての補償も検討すべきではないでしょうか。いかがですか。

政府参考人(矢野和彦君)

 お答え申し上げます。
 アート・フォー・ザ・フューチャー事業は不特定多数の方々に公開する公演活動等を支援対象といたしておりまして、特定の学校の児童生徒を対象に行われる公演等は今補助の対象とはなっていないわけでございます。
 学校が独自に行う文化芸術団体による公演に関する費用負担につきましては、学校やその設置者でございます地方自治体等において適切に検討して対応すべきものでございますが、一方で、子供たちが質の高い文化芸術に触れる機会を確保していくためには、文化芸術団体による公演等の取組は非常に重要であると考えております。
 このため、文化庁におきましても、例年も予算は確保しているわけでございますが、それに加え、補正予算事業、令和二年度でありますと二十三億余り確保いたしておりますが、コロナウイルス感染症の拡大への不安等の理由で文化芸術団体による学校公演を中止した学校等を支援するため、子供のための文化芸術鑑賞・体験支援事業を実施しているところでございまして、文化庁といたしましては、引き続き、子供たちが質の高い文化芸術に触れる機会を確保するため、今後も継続的な支援に努めていきたいというふうに考えております。

吉良よし子

 国で事業をやっていることは承知しているわけですけど、そういう民民で契約している場合もあるわけで、そのキャンセル料が全く支払われないということになると、もう児童劇団が存続できないと。児童劇団を失うということは、今後の子供たちが演劇等に触れる機会が失われるということで、それは文化の裾野が失われることも意味するわけで、非常に重要だという答弁もあったわけで、もう丁寧に対応していただきたいというのを重ねて申し上げたいと思うんです。
 そして、やっぱりこのコロナの下で文化芸術の灯を消さないというためには、やっぱり本当に支援が必要なんですけれども、文化芸術復興創造基金、これ幾ら集まったのか、一言でお願いします。

政府参考人(矢野和彦君)

 現在、令和三年六月七日時点で約八百十万円の寄附を受け入れているところでございます。

吉良よし子

 もう一年前、五月二十五日に始まって、ようやく、それで一年掛けて八百十万円と。助成活動ができる条件というのは一千万円と。それをいまだに超えていないというのは本当にちょっと遅過ぎると思いますし、支援ができないと思うんです。
 やっぱり、ちゃんと助成をするためには国の資金を、公金を投入すべきと思いますが、大臣、最後に、いかがでしょうか。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 ちょっとこの数字はお恥ずかしい数字の限りでございまして、皆さん問題意識は持っていただいているんでしょうけど、それぞれの人たちもまたコロナ禍で苦しんでいる状況の中で、なかなかその寄附ということにならないんだと思います。
 機会あるごとにお話ししていますけど、例えば日本学芸院の会員の皆さんなどに自分の作品をチャリティーで出していただいて、こういったものを高額でオークションに掛けて資金に入れようとか、あるいは文化庁の新長官の下でチャリティーコンサートなどを企画を今しておりまして、とにかく稼いで、しっかりそこにお金を積んでいくということを文化庁を中心にやっていきたいと思います。今はなかなかコロナ禍で動き切れないところがありますけれども、フェーズを変えて、そういう方法で資金集めをしていこうと思っているところでございます。

吉良よし子

 国庫からやっぱりちゃんと基金に投入して、使える基金にしていただきたいんです。これ、超党派での要求でもあるわけですので、稼ぐ文化という前に、やはり国庫から支出して稼げるように、稼げない人たちをちゃんと支えられるようにしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。