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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

総務省接待、コロナ対策、貧困・DV問題など政府の姿勢ただす

要約

 国会が行政への監視・監督機能を果たすための政府の政策評価報告と質疑が11日の参院本会議で行われ、日本共産党の吉良よし子議員が、放送関連会社「東北新社」による総務省接待問題や新型コロナ対策、女性の貧困・DV(配偶者・恋人などからの暴力)問題などについて政府の姿勢をただしました。

 吉良氏は、総務省検証委員会の第1次報告を引用し、「接待で行政をゆがめたとの認識はあるか」と追及。武田良太総務相はその事実を認めませんでした。

 コロナ対策で吉良氏は、「失敗した時は失敗を認め、反省し、次の対策に生かすべきだ」と述べ、アベノマスクや「Go To」事業の反省をすべきだと強調。西村康稔経済再生担当相は「対策の効果分析などを行い、対策を進化させる」と述べるにとどめました。

 吉良氏は、コロナ危機のもと女性の貧困問題やDV被害が深刻だと指摘。特に性的DVでは予期せぬ妊娠にもつながるとして、「安心して産める社会をつくることと同時に安全安心に中絶ができる選択肢も必要だ」と経口妊娠中絶薬の低廉な価格での早期導入などを求めました。

 また、命を危険にさらす東京五輪・パラリンピックは中止するよう求めました。丸川珠代五輪担当相は開催強行に固執する答弁を繰り返しました。

しんぶん赤旗2021年6月13日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、政策評価等年次報告について質問します。
 初めに、東北新社をめぐる総務省の接待問題について伺います。
 総務省自らが設置した第三者による検証委員会が、六月四日、第一次の報告をまとめ、公表しました。
 同報告によれば、東北新社の衛星放送事業の認定を取り消さなかった対応について、行政をゆがめたとの指摘を免れず、会食等が正当化される余地は全くなく、国民の行政に対する信頼を著しく損なうものであったことは明らかと認定され、繰り返された会食等が、許認可行政という性質とも相まってなれ合い意識や村意識が醸成された可能性にまで言及されていますが、総務大臣は、これらの接待により行政がゆがめられたという認識はありますか。
 接待問題についての総務省の検証は十分とは言えません。
 東北新社の調査報告書によれば、総務省と会食を繰り返してきた目的について、木田前執行役員は、情報収集に意義があると考えていたとしています。その木田氏は、菅正剛氏の同席について、総務省での職務経験等があることを認識し、同席してもらえば会話が盛り上がり、懇親の意義が高まると考えたとされています。
 一方、総務省は、総務大臣秘書官を務めた経歴を持つ菅正剛氏が今回の接待問題でどういう役割を果たしたのか検証していません。森友、加計、桜を見る会など、身内ばかりを優遇する行政の私物化問題が国民の大きな批判を呼んでいることからしても、この検証が必要ではありませんか。総務大臣、お答えください。
 今、行政に求められている最大の課題は、新型コロナウイルス感染症への対応です。
 このコロナ危機の下、国民の命と暮らしが守れるのか政治、行政の役割が問われているにもかかわらず、安倍政権に続き菅政権もコロナを封じ込める戦略を持たないままであることは問題です。PCR検査を軽視し、医療の減収補填も行わず、休業要請に対する補償もない。感染者の数はなかなか減らず、繰り返される休業要請により暮らしと営業は追い詰められ、我慢も限界、とても商売にならないという悲鳴が深刻です。
 もちろん、未知のウイルスとの闘いですから、政治や行政が失敗することはあり得ることです。重要なのは、失敗したときにきちんと失敗だったと認め、反省し、謙虚に学んで次の対策に生かすことではないでしょうか。ところが、今の政府に反省はまるでありません。
 安倍政権、菅政権の下で、誰が見ても失敗だったということは幾つもあります。
 例えば、アベノマスク。届いたときには既に市中にマスクが出回っていました。移動するだけでは感染は広がりませんといってGoToキャンペーンを強行した結果、感染が拡大しました。今、人流を抑えることが必要と言われていますが、であるならば、人流を拡大したGoToキャンペーン政策が間違っていたのはもはや明らかではありませんか。
 失敗を認め、反省をしなければ、国民は政府のやることが信用できなくなります。新型コロナ感染症対策を進めていく上で、これまでの取組の反省をすべきではありませんか。西村大臣、お答えください。
 コロナ危機の下、重大な社会的課題もあぶり出されています。
 深刻なのが女性の貧困問題です。女性の実質失業率は今年二月には百万人を超え、女性の自殺率は昨年度より一四・五%も増加しています。さらに、二〇二〇年度のドメスティック・バイオレンス、DV相談件数は過去最多の十九万三十件となっています。
 丸川大臣、コロナ禍でより一層深刻化している女性の貧困問題や女性への暴力をなくすため、抜本的な対策が緊急に求められていると思いますが、いかがですか。
 DVといったとき、問題なのは身体的な暴力だけではありません。経済的、精神的なDVや性的DVも深刻な被害を引き起こしています。性的DVは予期せぬ妊娠にもつながります。このコロナ禍、大人だけでなく十代の中高生を含む若年女性の妊娠相談も増えていることは見過ごせません。誰にも相談できず、必要な支援につながらない。出生後遺棄も起きています。
 こういう悲劇を防ぐためには、日本の女性が安心して産める社会をつくることと同時に、安心、安全な中絶ができる選択肢も必要です。日本では外科的中絶方法が主流ですが、これは女性の心身を深く傷つける方法です。今、世界では、妊娠九週未満で使用すると九八%以上の成功率で、身体への負担も少ない経口妊娠中絶薬がWHOの必須医薬品リストに掲載され、既に七十五か国以上で薬事承認されています。
 厚生労働大臣、中絶を望む全ての女性が経口妊娠中絶薬を入手できるようにすることが急務ではありませんか。性交渉後七十二時間以内の服用で高い効果が期待できる緊急避妊薬の処方箋なしの早期市販化と併せ、経口妊娠中絶薬を低廉な価格で早期導入してください。
 今こそ、女性が産む、産まないを決める、誰もが自分らしく生きていくための権利、リプロダクティブヘルス・アンド・ライツを保障する社会の実現を強く求めます。
 最後に申し上げたいのは、オリンピック・パラリンピックについてです。
 宇都宮健児弁護士の呼びかけで始まった、人々の命と暮らしを守るために東京五輪の開催中止を求めますという署名は四十二万筆を超えました。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も、六月二日の衆議院厚労委員会での宮本徹議員の質問に対し、今の状況でやるというのは普通はないと答弁しました。三日には、参議院で、オリンピックは普通のイベントとは違う規模、当然、人の流れというものが生まれてきます、オリンピックのバブルの中だけを議論してもほとんど意味がないとまで言っています。
 首相はワクチンという新しい武器を、対策を講じれば五輪開催が可能だと言いますが、ワクチンも決して万能ではありません。成人人口の七四・九%が一回目のワクチン接種を完了しているイギリスにおいても、変異株、デルタ株の流行により、一時期減少していた感染者数が増加傾向にあります。
 日本でも、昨日の東京都モニタリング会議で、人出の増加に加え、デルタ株の流行で感染再拡大の懸念が示されました。ワクチン接種が高齢者を中心に一定進んだとしても、このデルタ株が既に流行し始めているこの状況でオリンピック・パラリンピックを開催するとどのような影響があるか、科学的なリスク評価が必要ではありませんか。
 九日の党首討論で、日本共産党志位和夫委員長が、今命をリスクにさらしてまでオリンピックを開催しなければならない理由をただしたのに、菅首相は、その理由を一言も説明できませんでした。この質問に答えることもできないまま開催強行などあり得ません。東京五輪は今すぐ中止すべきではありませんか。以上、丸川大臣、お答えください。
 命より大切なものはありません。科学的な検証もなくオリンピック開催に突き進み、人の命を危険にさらすなんて言語道断です。オリンピック・パラリンピックは中止して、政府、行政のあらゆる力をコロナ対策に集中させるべきということを申し上げ、質問を終わります。(拍手)
  

総務大臣(武田良太君)

 吉良議員からの御質問にお答えをいたします。
 東北新社との会食の問題及び菅正剛氏の役割の検証について御質問をいただきました。
 情報通信行政検証委員会の報告書では、総務省が外資規制への抵触を認識しながら東北新社の認定を取り消さなかった可能性が高く、そうであれば行政をゆがめたとの指摘を免れないと指摘されておりますが、会食によって行政がゆがんだとはされていないものと承知をいたしております。
 また、二月二十四日の総務省の調査結果報告書において、菅正剛氏の存在が会食に影響を及ぼした事実は確認できなかったとしており、五月二十四日の東北新社の報告書においても、何らかの働きかけをする意図で会食に同席したとは認められないとされているところであります。(拍手)

経済産業大臣(西村康稔君)

 新型コロナ感染症対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナ感染症に対しては、感染をゼロにすることはできず、感染の波は何度も起こる中で、感染状況を踏まえ、専門家の意見をお聞きしながら、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を講じながら感染拡大防止を図ってまいりました。国民の皆様の御協力もあり、現在、全国の新規陽性者数は減少傾向にあります。
 御指摘のあった事項について申し上げれば、まず、PCR検査については、地方衛生研究所や民間検査機関、大学、医療機関等を合わせて、昨年春の数千件程度であったものが、現在では一日最大約二十万件強の検査能力を確保しており、今後も、感染拡大に備えて更に約三十六万件まで拡充していくこととしております。
 医療については、これまで医療機関支援として四・六兆円の予算を計上し、その中で、昨年末から、それまでの病床確保料に加え、一床当たり最大千九百五十万円の強力な支援を実施してまいりました。こうした支援策は、看護師など医療従事者の処遇改善、負担軽減に活用でき、結果として医療機関の経営改善にもつながっており、実際に医療従事者の皆様から非常に役立っているという話を伺っております。
 感染症により厳しい影響を受ける事業者の皆様に対しては、時短要請や休業要請に応じていただいた飲食店や大規模施設等への規模に応じた協力金、パート、アルバイトの方を含め雇用者一人当たり月額上限三十三万円、助成率最大一〇〇%の雇用調整助成金などを講じてきており、引き続き、事業規模に配慮しつつ重点的、効果的な支援策をできる限り迅速に実行し、事業と雇用をしっかりと守ってまいります。
 また、新型コロナ対策においては、昨年春、夏の感染拡大の経験、そして先般の年末年始の感染拡大の経験を踏まえながら、スーパーコンピューター「富岳」や人工知能を用いて、マスクの効果や人流と感染者数の関係などについても分析を行い、感染対策を進化させてまいりました。
 引き続き、現下の感染状況を抑え込んでいくことに全力を尽くすとともに、これまで行ってきた対策の効果の分析などを行い、科学的知見を踏まえ、対策を進化させてまいります。(拍手)

男女共同参画女性活躍担当/東京オリンピック・パラリンピック担当大臣(丸川珠代君)

 コロナ禍での女性の貧困問題や、女性への暴力をなくすための抜本的な対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナの感染拡大は、特に女性の生活や雇用に大きな影響を与えております。本日閣議決定した令和三年版男女共同参画白書においても、配偶者暴力を始めとする女性に対する暴力の相談件数の増加や深刻化、一人親世帯の厳しい状況、女性の貧困等について大きく取り上げております。
 こうした中で、コロナ対策の中心に女性を位置付け、早急に対応を進めていくことが重要と考えており、関係省庁と連携して各種支援体制の強化などを進めてまいります。
 女性に対するあらゆる暴力の根絶のための取組については、DV被害に遭われている方が一人でも多く相談、支援につながることができるよう、相談窓口の周知徹底やDV相談プラスの運用など、被害者支援の充実に取り組んでまいります。
 次に、東京オリンピック・パラリンピック開催の影響に関してお尋ねがございました。
 議員御指摘の総理の御発言については、東京大会の感染対策として、来日する大会関係者の人数を絞り込み、選手や大会関係者にワクチン接種を行い、大会関係者の行動を管理して一般の国民との接触を防止するの三点に取り組むことに関連しての内容であったと承知をしております。
 その中でも、ワクチンについては、より多くの方々にワクチンを接種した上で大会に参加いただくことは安全、安心な大会の開催に大きく寄与するものであると考えており、日本選手団だけではなく、ボランティアも含めた大会関係者にも接種していただくため、現在、組織委員会や東京都等と調整を進めているところでございます。
 政府としては、引き続き、安全、安心を最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組、さらには様々な専門家の科学的な評価や知見も踏まえて、東京都や組織委員会、IOCなどと緊密に連携を図りながら、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。
 また、九日の党首討論の中では、あっ、大変恐縮です、東京オリンピック・パラリンピックを開催する理由に関してのお尋ねについてでございます。
 九日の党首討論の中では、総理より、五十七年前でも鮮明に記憶している東京大会における御自身の実体験を紹介しつつ、様々な選手の活躍や振る舞い、パラリンピックの発祥や共生社会の実現に触れ、そのようなすばらしい大会を子供や若者たちに見せたい、希望や勇気を与えたいと述べるとともに、復興オリンピック・パラリンピックの意義、新型コロナウイルスという大きな困難を世界が団結して乗り越えた東京大会を日本から世界に発信したいと、明確に開催の理由を答弁されたと承知しております。
 いずれにせよ、大会開催の最終的な決定は主催者であるIOC、IPC、東京都、組織委員会が行うものと理解をしておりますが、政府としては、安全、安心な環境を確保することを最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、引き続き関係者と緊密に連携して準備を進めてまいります。(拍手)
 

厚生労働大臣(田村憲久君)

 吉良よし子議員にお答えいたします。
 緊急避妊薬の早期市販化及び経口妊娠中絶薬の低価格での早期導入についてお尋ねがありました。
 緊急避妊薬については、予期せぬ妊娠の可能性が生じた際、早期に妊娠を防ぐという意味で重要な医薬品と認識しています。市販化については、六月七日の評価検討会議において改めて検討を開始したところであり、様々な観点から御議論をいただいた上で判断してまいります。
 いわゆる経口中絶薬のうち、ミフェプリストン及びミソプロストールでありますけれども、現在、企業において治験中であり、今後、企業から薬事申請されれば、有効性や安全性について適切に審査を行ってまいります。薬事承認された経口中絶薬については、中医協において了承されれば治療上中絶が必要な場合に保険適用となり、その薬価については適切なものとなるよう検討してまいります。(拍手)