地方公務員削減 反省を 「今こそ増員」強調
要約
日本共産党の吉良よし子議員は4日の参院行政監視委員会で、「集中改革プラン」など国主導の地方公務員削減を反省し、いまこそ増員をはかるべきだと強調しました。
吉良氏は、2月の参考人質疑で「そろそろ減らしすぎたと言ってもいい」との意見が出されたことをあげ、「地方公務員の人数が足りていないとの認識はあるか」とただしました。金子恭之総務相は「2016年以降は横ばいか微増」と答弁しました。
吉良氏は「微増傾向と言うが、実際には足りていない」として、自治労連調査では新型コロナのもと過労死ライン超えの都道府県職員は19年比1・65倍だと指摘。05~10年の「集中改革プラン」で地方公務員は23万人削減され、「プラン」終了後も職員削減率を用いた交付税算定により国が職員削減を主導したと批判し、「これが現場を疲弊させ、コロナのもと自治体職員を過酷な状況に追い込んだことを反省すべきだ」と迫りました。
金子総務相は「各自治体で効率的な行政を行っていると考えている」などと繰り返しました。吉良氏は「住民福祉の機関として役割を発揮できるよう、正規職員の増員が必要だ」と強調しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
今日は、地方公務員の定員管理問題について伺いたいと思います。
このコロナ禍、保健所の業務逼迫を始め地方自治体の現場に人が足りないということが明らかになっています。
当委員会でも、二月に行った参考人質疑の中で、足りないといえば、資源、リソースですと。国も自治体も、人、物、金、時間、労力が足りません。まず人、いわゆる役所の職員はそろそろ減らし過ぎたと言ってもいいのではないでしょうかと、土山希美枝参考人、法政大学法学部教授からの御指摘もありました。
そこで、まず大臣に伺います。現状、地方公務員の人数が足りていないとの認識はありますか。
総務大臣(金子恭之君)
自治体におきましては、地方公務員の皆様に、様々な分野で広く住民生活に身近な行政サービスの提供に御尽力いただいております。
地方公務員の総職員数は、平成六年をピークとして平成二十八年まで一貫して減少してきましたが、その後は横ばいから微増傾向で推移をしております。各自治体では、ICTの活用や民間委託の推進などによる業務改革を進めるとともに、職務内容に応じ、様々な任用、勤務形態を組み合わせることなどにより、効率的な行政体制の実現に努めていただいております。
また、今般の新型コロナや大規模災害のような事態に対しては、全庁的な応援体制の確保や会計年度任用職員などの採用のほか、自治体間の応援により対処いただくこともあります。各団体においては、こうした様々な工夫も交えながら、その時々の行政課題に的確に対応できるよう、適正な定員確保に努めて、管理に努めていただいているものと認識をしております。
吉良よし子
微増傾向だというお話がありましたけれども、実際には足りていないわけですね。
その全庁からの応援体制とおっしゃいますけど、要するに、図書館などからも保健所に行かないと人が足りないという状況があるというわけです。そういうのがこのコロナ禍、より顕著になったわけで、自治労連、過労死ラインを超える働き方の実態調査、他の委員会でも御紹介されていますけれども、によれば、二〇二〇年度、新型コロナ対応で過労死ラインを超える百時間以上の時間外労働を行った都道府県職員の数は一万九百十人、二〇一九年度比で一・六五倍に増えています。指定都市職員の場合も七千四十五人、一九年度比で一・八三倍となっています。
京都市の場合は、第五波の二〇二一年八月に、一か月で二百九十八時間の時間外労働をした職員もいたと。これは、一日十五時間の労働を三十日連続で続けなければ達しない数字なわけです。休みももらえず働き続ける実態があったということなんです。
また、同じく地方公務員である学校教職員、教職員も多忙化がずっとこの間、問題視されているわけですけれども、私の事務所でネットで実施した教職員向けアンケートでも、このコロナ禍、より多忙になったと答えた先生方、回答者の七五%に上りました。元々人手不足のため、濃厚接触者などで一人休むとほとんど業務が回らなくなる、職員が足りない、こういう声が山ほど寄せられているわけです。
大臣、改めて、この状況でも今人が足りないと言えないというのでしょうか。もう一回、人が足りないという認識ないのかというところ、お答えください。
総務大臣(金子恭之君)
先ほど申し上げましたように、現場現場で本当に御努力をいただきながらやっていただいております。
先ほど申し上げましたように、平成六年をピークとして二十八年まで一貫して減少してまいりましたが、その後は横ばいから微増傾向で推移をしておりますし、各自治体でそれぞれ応援体制の確保をしたり、会計年度の任用職員などの採用をしたりして、自治体間の応援も進めているところでございます。
そういう意味では、しっかりとこの体制の中で頑張っていただきたいと思います。
吉良よし子
現場で努力されているというわけですけれども、その努力の結果、一か月で二百九十八時間の時間外労働という実態が起きているわけで、やっぱりそれは足りないということの証左だということは、是非御認識いただきたいと思うんです。
しかも、大臣、今、一貫してこの間減少してきましたと、まあどこか自然現象かのように御答弁されたわけですけど、なぜここまで自治体の職員が減らされてきたのか。二月の参考人質疑では、高橋勝浩稲城市長が、職員の人数が激減したのは、単に財源だけの問題ではなくて、やはり総務省を中心とした国からの定員管理、厳しい御指導、正規職員の頭数で実人数を減らしていけという厳しい減数指導があったからと述べられています。土山参考人も、定員管理も含めて、国の号令も含めて減らしてきた結果だと述べるなど、要するにこの削減というのは国の号令によるものだったと、そういう指摘があったわけです。
そこで確認しますけれども、平成十七年、二〇〇五年から五年間、国は自治体に対して公務員削減を含む集中管理プランの公表、実行を要請してきましたが、このときに政府が示した目標の数値、そしてその結果としての地方公務員の削減率、実数として何人削減されたのか、お答えください。
総務省自治行政局公務員部長(山越伸子君)
お答えいたします。
平成十七年から五年間、行革推進法などに基づきまして、各地方公共団体に対し、集中改革プランによる取組を要請したところでございます。当時の骨太方針二〇〇六におきまして、地方公務員については五年間で国家公務員の定員純減率である五・七%と同程度の定員削減を行うこととされたことを踏まえまして各地方公共団体において目標を定めていただいたわけでございますが、その目標が全体平均で六・四%の削減であったところでございます。これに対しまして、最終的な地方公務員の削減の実績は約二十三万人、七・五%の削減となったところでございます。
吉良よし子
要するに、国が五・七%、もう実数で削減しろということを言った。その結果、目標以上の七・五%、二十三万人、実際に地方公務員が減らされているというわけです。じゃ、この集中改革プランが終わった後はどうか。職員数削減率を用いた交付税算定があったのではないかと。
ここでまた確認したいんですが、地域の元気づくり推進費、また地域の元気創造事業費の算定について、それぞれ職員数削減率による加算、算定額、どの程度の規模だったのか、また、これら職員削減率に基づく交付税算定というのはいつからいつまで行われていたのか、お答えください。
総務省自治財政局長(前田一浩君)
お答え申し上げます。
職員数削減率を用いた普通交付税の算定でございますが、平成二十五年度から令和元年度までの七年間実施してきました。平成二十五年度は、地域の元気づくり推進費におきまして、職員数削減率を用いて一千億円程度算定しているところでございます。平成二十六年度から令和元年度までは、地域の元気創造事業費のうち行革努力分におきまして、職員数削減率を含む六つの指標によりまして、平成二十六年から平成二十八年度までの各年度は三千億円程度、平成二十九年度は二千六百七十億円程度、平成三十年度は二千三百四十億円程度、令和元年度は二千億円程度を算定してきたところでございます。
なお、令和二年度以降におきましては、児童虐待防止対策の強化を進めていることや技術職員の充実を図ることなどを踏まえまして、職員数削減率等を指標に用いた算定は廃止しているところでございます。
吉良よし子
要するに、集中改革プランの後も交付税算定で職員削減を国が主導していたと。
資料、お配りした資料を御覧いただければと思うんですけれども、先ほど来御説明あったとおり、ずっとこの職員数が減り続けていると。特に、集中改革プランの時期にぐっと減っているのは見たら分かるんですが、その後も緩やかに職員数減り続けて、それが維持されている。が、その職員数がはっきりと増加に転じたのは、先ほどおっしゃった交付税算定のなくなった翌年、令和二年度になってからなんですね。
つまり、長年にわたり各自治体で職員数が減らされてきたのは、自然現象でもなければ地方の自発的な取組でもなくて、集中改革プラン、そして交付税算定など、国の号令によるものじゃないかと。こういう国主導の公務員削減の方針が現場を疲弊させて、この間、自治体職員の皆さんを過酷な長時間労働などの状況に追い込んだんじゃないかと。
大臣、やっぱりこのことを、減らし続けてきたこのことを反省するべきではありませんか。いかがでしょうか。
総務大臣(金子恭之君)
お答え申し上げます。
平成十七年からの五年間、簡素で効率的な行政の実現を図る観点から、各自治体に対し、集中改革プランによる取組を要請してまいりました。プラン終了後もしばらくは職員数の減少は続いておりましたが、その間においても、警察や消防防災関係職員等は増員されるなど、めり張りある人員配置が行われております。各自治体においては、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に取り組んでいただいたものと承知をしております。
吉良よし子
いや、全く反省されていないというのは問題だと思うんですよ。めり張りって言いますけれども、本当に必要な、例えば保健所の職員なんていうのは明らかじゃないですか。減らし続けてこられたから、今コロナで対応が大変になっているんじゃないんですか。
参考人質疑でも、稲継裕昭早稲田大学政経学術院教授も、二百七十四万人まで減らしたのは、自治体によっては減らし過ぎたところも多いんだと、しかも、こうした定員管理を国の方でやっているというところは諸外国と比べると非常に珍しいと言及されて、そのこと自体も場合によっては今後見直す必要がある、こういうふうに述べられているわけですよ。
こうして職員削減が行政の機能不全を引き起こしている、これは反省するべきじゃないんですか。大臣、いかがですか。
総務大臣(金子恭之君)
先ほど来申し上げているとおりでございます。それぞれの自治体で適正に、効率的な、簡素で効率的な行政をやっていただくために御判断をいただいているものと思います。
吉良よし子
いや、適正じゃないから、二百九十四時間、残業だって行わなければ回らない。寝ずに対応している保健所の職員が、携帯握り締めて、家に帰ってまで陽性になった方々の対応をしなくてはならない。そういう事態が全国各地で起きているわけじゃないですか。やっぱりこういうところに対する国の反省は絶対に必要だし、反省がないというところは信じられないものです。
先ほどの参考人質疑の際、高橋稲城市長も、仕事は減っていないんだと、必要な人員はあるんだと、だから人件費を減らしても、アウトソーシングということで委託をして、結局、物件費は上がっていくんだと。だから、効率化という観点から見ても、市の、自治体の掛かる費用は全然減っていない、そういう指摘もあったわけです。
ですから、こうした国主導で自治体職員を減らして住民福祉サービスを切り捨てる、こういうものを合理化とか効率化だとか言うのはやめていただきたいと思うんです。国本来の仕事は、地方自治体が住民福祉の機関として役割を発揮できるようにすることであり、やはり今こそ、もう地方職員が足りないということがコロナの下でこれだけ明らかになった今こそ、定員削減じゃなくて正規職員を増員する、その方向にかじを切るべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょう。
総務大臣(金子恭之君)
お答え申し上げます。
今般のコロナ対応のみならず、自治体を取り巻く状況は常に変化をしております。今後も課題の複雑多様化が見込まれております。そうした中で、自治体の定員については、引き続き、各自治体において行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、適正な定員管理に努めていただくことが重要だと考えております。
一般行政部門の職員数は、防災や子育て支援などへの対応のため、平成二十六年を境に七年連続で増加しており、令和四年度地方財政計画においては、このような自治体の一般職員の職員数が増加している実態などを勘案した上で、職員数全体で五千百六十人の増としております。
総務省としては、今後とも、自治体が直面する行政課題に的確に対応しつつ、自治体の実態などを十分に踏まえ、必要な対応を行ってまいります。
吉良よし子
やはり国の号令で地方公務員減らしてきたんだと、このことへの反省をしっかりした上で、何か今増えているからいいんだみたいなことおっしゃいますけど、そうじゃなくて、国の責任で地方公務員を増やすべきだと、このことを申し上げまして、質問を終わります。