教員不足 調査続けよ。削減やめ定数増やして
要約
日本共産党の吉良よし子議員は11日の参院行政監視小委員会で、小中学校などの深刻な教員不足の実態を把握する継続的な調査の実施とともに、教員定数を増やすよう求めました。
国は昨年4月、教員不足に関する全国調査を実施。全国で計2588人の不足などの調査結果が出ています。
吉良氏は、国の調査で教員不足の実態の一端が明らかになったのは大きな前進で、都道府県が採用計画を立てる上でも重要だと指摘し、「今回限りの調査とせず、今後も毎年行うべきだ」と強調。池田佳隆文部科学副大臣は「今後の対応は適切に判断したい」と答えました。
また吉良氏は、国の調査は年度当初のもので教員不足が深刻化する2~3学期の実態を把握できないとして、年度を通じ継続的な推移を把握すべきだと追及。池田副大臣は「年度後半の不足の深刻化は聞いている」と答えました。
吉良氏が「教員不足の深刻化が問題となり、少人数学級を進めようとするなか、少子化を理由にしたこれ以上の教員の基礎定数の削減は進めるべきでない」と主張しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
昨年四月のこの小委員会でも教員不足と教員確保に関する国の責任について質問いたしました。その際、教師不足に関して厳しい状況が生じていることも踏まえ、全国的な実態を把握するために、今年度、任命権者である全ての教育委員会に対して調査を実施するとの答弁がありまして、実際にその調査が実施されたと承知しております。
既にその結果については報道等もされているところではありますが、この調査結果のうち、始業日時点の小中学校また高校、特別支援学校それぞれでの教員不足の人数、そしてあわせて、小学校の学級担任について教師不足が生じた学校数とその人数、示していただけますか。
文部科学省大臣官房審議官(出倉功一君)
お答えいたします。
臨時的任用教員等の確保ができず、学校へ配置する予定の教師の数に欠員が生じる教師不足が課題となっており、このため年度当初における全国的な実態を把握するため、昨年度、令和三年度に初の全国調査を実施いたしました。
この結果でございますが、令和三年度始業日に、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の合計で二千五百八十八人、それぞれ申しますと、小学校で千二百十八人、中学校で八百六十八人、高等学校で二百十七人、特別支援学校で二百五十五人ということになってございます、の教師不足が生じていると、こういう実態でございます。
それからもう一つ、小学校において学級担任を担当すべき教師が不足している場合に、学級担任がいないという状況を避けるため、本来担任ではない職務の教師が学級担任を代替していると、こういう学校は令和三年度始業日時点におきまして全国で三百五十六校ありまして、延べで四百六十二人が学級担任を代替してございます。この中には一時的欠員、こういう方も計上されておりますけれども、中には小学校の学級担任を管理職が代替している例も見られるところでありまして、懸念すべき状況として危機感を持って私たちも受け止めております。
吉良よし子
昨年度の始業日時点で合計二千五百五十八人の教員不足があって、三百五十六校の小学校で四百六十二人、つまりそれだけの数のクラスが担任がいないまま学校が始まったと、今四月ですけれども、そういった事態が今起きているということだと思うわけです。
この担任のいないクラスで、先ほど御説明あったように、管理職、副校長や校長が入って対応というところもあったというのは聞いていますし、また、少人数指導のために入っていた教員が代替に入ったところがあって、そういうところはそれで少人数指導ができなくなったよなんという声も聞いていますし、また、代わりの先生が来るまでもう二週間自習するしかなかったなんという話も聞いているわけで、こうした教員不足で教育に穴が空いている深刻な実態について、この間私も取り上げてきたわけですけど、ようやく文科省が初めて調査をしてその実態が明らかになってきたということは大事なことだと思うわけです。
また同時に、この教員不足の調査は、今後都道府県が採用計画を立てる上でも重要だと思うわけですが、やはりそういう意味では、今回一回限りの調査とせず、今後も継続して毎年調査などしていくべきかと思いますが、副大臣、いかがでしょう。
文部科学副大臣(池田佳隆君)
吉良委員にお答えをしたいと思います。
この今話題になりました教師不足に関する実態調査、この本調査は本年一月に中央教育審議会に報告したばかりでありまして、今後このような同様の調査を行うかどうかということにつきましては、現時点では未定ということではあります。
今回の調査のフォローアップの手法も含めて今後の調査の在り方については、新型コロナウイルス感染症の拡大、またそれに伴う教育現場の負担などの考慮をしながら、今後適切に判断していきたいと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、深刻な教師不足、吉良先生御指摘のとおり、深刻な教師不足の状況の中で、各教育委員会では教師のなり手確保のために、採用選考試験の受験年齢制限の緩和や、教職や民間企業経験者に対する特別選考の実施、またいわゆる教師養成塾やインターンシップ事業などの様々な取組を行っていると承知しているところでございます。
いずれにいたしましても、文科省といたしましては、現在中教審で行われております教師の養成、採用、研修等に関する包括的議論を踏まえつつ、質の高い教師の確保に向けて更なる方策の検討、進めてまいる所存でございます。
吉良よし子
この調査について、今後やるかどうかは未定だという御答弁でありましたが、私はやっぱり継続的に調査が必要だと思うわけです。
また、今回の調査についても、やはり現場の実感と比べるとまだちょっと少ないんじゃないかという声も聞いているわけです。
例えば、東京都などはこの調査では教員不足数ゼロ人とされているわけですけれども、実際には、いや、新学期に担任がいないという声、保護者などからも私聞いていたりするものですし、また、途中で産休、育休代替いないという声も聞いているわけです。
こうした乖離の実態が、乖離が起きてしまう原因としては、やはり年度初めの四月と五月だけが今回は調査対象になっているということが挙げられると思うんです。
例えば、千葉県では毎月のようにこの教員不足の実態調査をしているわけですが、それ、私調べてみますと、五月時点で県内の小中高、特別支援学校の教員不足数、合わせて百三十四人だったのが、九月一日時点では二百八十一件となり、翌年の三月一日、年度末時点には三百四十八人と、どんどん教員不足の数が年度末になるにつれて増えているという実態もあるわけで、やはり年度当初に限らずに、二学期の初めとか三学期の初め、末など、継続的にその年度の中でも不足数どのように推移しているのか把握することも大事かと思いますが、いかがでしょうか、副大臣。
文部科学副大臣(池田佳隆君)
吉良委員御指摘のとおり、年度後半の教師不足の状況について、これは文部科学省として特段の調査は行っていないものの、今回の調査の際などに個別に教育委員会より聞き取ったところでは、自治体により事情は異なるものの、年度後半の方が深刻化する傾向にある、そういった声も聞いているところでございます。こうした現状も含めた教師不足の改善は、まさに喫緊の課題と認識をしております。
いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、中教審での包括的な議論を踏まえて、教職の魅力を向上させ、質の高い教師を確保できるようにしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。
吉良よし子
年度後半の方が深刻化していると、そういう声も聞いていらっしゃるということでしたので、やはりそれも踏まえた実態調査、是非やっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
そして、やはりこの教師不足解消というのは、一義的には、先ほど来おっしゃっているように、都道府県等が教員採用を計画的に中長期的見通し持って行うということも大事だと思うんですが、一方で、やはり教職員定数を予算で措置しているのは国なわけです、文科省なわけです。
資料を見ていただきたいんですけれども、この間、国は少子化を理由にして教職員定数減らし続けてきたという歴史があるわけです。しかし、これだけ教員不足が問題になっていて、しかも、教員の多忙化、長時間労働も深刻化している、もうコロナの下で更に深刻化している現状を見ても、また、国として少人数学級進めようという、そういうことから見ても、少子化だからといってこのまま、この表を見てみると、グラフ見てみると、もうこのまま令和八年までどんどん減らしていくみたいな形になっているわけですけど、そんなふうに基礎定数どんどん減らしていいとは私は思えないと思うんですね。
やはり自治体が見通し持って採用計画立てられるようにするためにも、この教職員定数、充実させていくべきだし、少なくともこれ以上減らすべきじゃないと思いますが、副大臣、いかがでしょう。
文部科学副大臣(池田佳隆君)
吉良議員の御指摘のとおりだと思います。
教職員の基礎定数、これは教職員の安定的、計画的な採用、配置に重要な役割を果たしておりまして、発達障害の児童生徒に対する通級による指導、そしてまた日本語指導等のための教職員定数の基礎定数化、並びに小学校における三十五人学級の計画的整備、これを今精力的に進めているところでございます。
また、様々な教育課題に対応するために加配定数の充実を図ることももちろん重要と考えておりまして、令和四年度予算では、小学校高学年における教科担任制の推進などの加配定数の改善、こういったことを行っているところでございます。
今後とも、持続可能な学校の指導体制の強化充実図るために、引き続き教職員定数の改善に取り組んでまいる所存です。
吉良よし子
教職員定数の改善に取り組んでいくということですが、ただ実態を見ると、一定基礎定数化進んでいるけれども、少人数での自然減の部分の方が基礎定数化の人数よりも多いので、差引きすると現場の教員の数がマイナスになるという、そういう予算になっているわけですから……
小委員長(北村経夫君)
時間ですので、おまとめください。
吉良よし子
やはりそうやってどんどん減らしていって、それが現場の深刻な教員不足につながっているということは是非認識していただいて、これ以上の基礎定数減だとかやらないように、むしろ充実させるように強く求めて、質問を終わります。