憲法九条を生かした外交こそ必要
要約
参院憲法審査会は23日、憲法に対する考え方について各会派から意見表明と自由討議を行いました。
日本共産党の山下芳生議員は、ロシアによるウクライナ侵略への対応で重要なのは「国際世論だ」と強調。国連総会でロシア非難決議に棄権、退席した47カ国に「侵略を非難し軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかける外交が重要だ」と述べました。(中略)
吉良よし子議員はロシアに抗議し撤退を求めた上で、「日本の侵略戦争への反省が込められているのが憲法9条だ」と指摘。改憲議論のための憲法審査会は「これ以上動かすべきではない」と主張しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
初めに、ロシアによるウクライナ侵略に断固抗議をいたします。
国連憲章違反の武力行使はもとより、原発、そして産科や小児科も含む病院などへの無差別な攻撃は国際人道法違反です。そして、核兵器の使用まで示唆する威嚇行為も含め、プーチン政権による蛮行はいかなる理由があったとしても絶対に許されるものではありません。即座に侵略をやめ、ウクライナから撤退することを求めます。
今回のロシアに限らず、自衛などの名目で自国を正当化し、始められた戦争は少なくありません。
阪田雅裕元内閣法制局長官は、今回のロシアの所業は、満蒙は生命線であるとして国際世論に背を向け、無謀な戦争に突き進んだ日本の過去を思い起こさせますと語っています。そのかつての日本の侵略戦争への反省が込められているのが憲法九条です。どのような政権になっても、日本が他国へ軍事侵攻できないようにする歯止めです。
今、ロシアによる侵略行為を前にして、憲法九条で日本が守れるかという声が出てきていますが、攻め込まれたらどうするかという議論は、軍事的な緊張を高める議論です。この機に乗じて九条を変える動きは、力には力、軍事には軍事、核には核という力の論理にひた走ることにほかならず、それはプーチン大統領と同じ思想であり、戦争を止めることはできません。だから、国連憲章でも、力の論理、武力による紛争解決を否定し、禁止しているのです。
この国連憲章とともに、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という日本国憲法前文、そして、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」という憲法九条こそ、今世界中に広がる戦争反対の世論に響き合うものです。ここに二度にわたる世界大戦を経験した人類の目指すべき理想が込められているのです。
だから、今この理想を捨てるべきではありません。むしろ、この憲法九条を生かした外交こそが必要であり、政治の優先課題として改憲が世論に求められていない中、憲法九条を含めた改憲を議論するための憲法審査会はこれ以上動かすべきでないということを申し上げ、発言といたします。