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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2022年・第208通常国会

コロナ後遺症 早急に対策改善を

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は25日の参院決算委員会で、新型コロナウイルス感染の後遺症が適切な治療や生活保障につながっていないとして、改善を求めました。

 オミクロン株の後遺症で、仕事や学業などの社会生活に深刻な影響を及ぼす事例が生じています。吉良氏は、コロナ後遺症で失業、休職している労働者が労災や疾病手当が使えないなどの実態があると強調。「国では『コロナ後遺症』を正式に認めていない」と労基署で追い返された事例を紹介し、是正を要求。後藤茂之厚労相は、「調査する」と述べるにとどまりました。

 一方で、厚生労働省が作成した新型コロナの「診療の手引き」では後遺症を「不明点が多い」などとして、診断基準を明確に記載していないと指摘。さらに、「手引き」の中身そのものも問題だと批判し、後遺症悪化の要因が、「不安」にあるかのような記述や重症化する「治療」を広げてしまう記載があるとして、世界の知見や臨床データに基づき「手引き」を見直すべきだとただしました。後藤厚労相は、専門家による検討中としたものの、「(改定の)具体的な目途は決まっていない」と述べました。

 吉良氏は、後遺症によって「適切な治療や生活保障につながらず、孤独に追いつめられる。そんな人がたくさん放置されている可能性がある」と指摘し、後遺症対策への早急な改善を求めました。

しんぶん赤旗2022年4月26日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、コロナ後遺症について伺います。
 現在、新規感染者、コロナの感染者は減る一方で、コロナ感染後の後遺症で苦しむ人が増えていると報道等があります。軽症や無症状患者、又は子供などであっても後遺症を発症することもあるわけで、オミクロン型の後遺症では従来よりも重い症状が出るとも言われています。仕事や学業など社会生活に深刻な影響を及ぼしていることが徐々に明らかになっている下、対策は本当に重要だと思います。
 ここで確認をいたします。
 コロナ感染症の後遺症患者は現時点で何人いるのか把握しているのか、また、そのうち労働者又は子供とかどの程度、そういう労働者、子供などがどの程度いるのかなど詳細についても把握しているのかどうかも含めて、現在のこの人数の把握状況についてお答えください。

厚生労働省健康局長(佐原康之君)

 お答えいたします。
 国内における罹患後症状の定義が現在定まっていないため、その人数の把握は困難でありますけれども、令和三年度の調査研究によりますと、診断の六か月後の時点で一〇%以上の方に認められた症状として、疲労感、倦怠感、息苦しさ、睡眠障害、思考力、集中力の低下が挙げられております。
 新型コロナ感染症の罹患後症状につきましてはまだ分からないことが多く、引き続き国内外の知見を踏まえて病態の把握を進めるとともに、適切な医療につなげられるよう実態の調査を続けてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 定義がないから把握が困難であるという御答弁でした。ただ、六か月後に一〇%に症状が見られるという調査結果もあると。
 現在の国内感染者は七百五十万人に迫っている事実を踏まえれば、単純計算すれば七十五万人が後遺症になっている可能性があるということです。で、問題は、この後遺症により仕事や学業、社会生活が困難になる方が実際に出てきているということです。
 この後遺症患者を精力的に診察をしている東京渋谷区のヒラハタクリニックの聞き取りでは、後遺症でクリニックを受診した労働者は二千二百十九人になり、うち休職した方は九百十八人、失業した方は百六十人に上るそうです。こうした休職、失業を含め後遺症が仕事に影響したと答えた方は、オミクロン株では、そのクリニックを受診した労働者のうち七割を超えたとも聞きました。
 この間、政府は、コロナ後遺症で失業又は休職している労働者は労災や傷病手当が使えると説明をしているわけですが、私、先ほど行政監視委員会で確認をいたしましたところ、フリーランスや自営業者などおよそ二千六百万人が加入する国民健康保険の場合、コロナ後遺症の傷病手当を支給している自治体はゼロとのことでした。労災についても、まずは職場でコロナに罹患したことが証明されなければ対象外なわけで、全てのコロナ後遺症患者が救われる、仕事が困難になった後遺症患者が救われる設計にはなっていないのではないかと思いますが、厚労大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 健康保険制度におきましては、業務外の疾病又は負傷による療養のための労務に服することができない期間の所得保障を行う観点から、傷病手当金を法定給付としております。このため、業務外の事由で新型コロナに感染し後遺症を抱える者についても、要件を満たせば保険者から傷病手当金が支給され得ます。
 一方で、国民健康保険制度は様々な就業形態の方が加入しておりますけれども、自営業者等については療養に際しての収入減少が多様であるため、制度的に任意給付とされております。
 今般、新型コロナの感染拡大を踏まえまして、国民健康保険の被用者に傷病手当金を支給した市町村等に対し国が特例的に財政支援をしておりますが、これは十分の十の全額国費の支援です。これは、新型コロナの国内での更なる感染拡大防止の観点として労働者が休みやすい環境を整備することが重要であることや、被用者であっても、感染した者や発熱等の症状があり感染が疑われる者のみを対象といたしております。
 したがって、新型コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症については、感染性は消失しているため、今回の特例の措置の対象とすることは困難ということになります。

吉良よし子

 このやり取り、先ほど行政監視委員会でもやったんですけど、感染性がなくなっているから後遺症患者には、国保加入者には給付手当支給しなくてもいいんですというのが私どうしても理解できないんですよね、同じコロナなのに。
 それだけじゃなくて、労災であっても、私申し上げているのは、業務によって感染した場合じゃないとそもそも労災を支給されないとされているわけだから、穴になっているところがあるんじゃないかということを私申し上げているんです。
 しかも、この労災について私、今日伺いますけど、ここでは、この要件を満たす場合、職場で罹患したことが明らかであっても、この労災、後遺症による労災申請に行ったら労基署で追い返されたという事例を聞きました。その方は、会社でクラスターが発生してコロナに罹患して、その後、後遺症で働けなくなって、労災になるのではと労基署に相談しに行ったところ、国はコロナ後遺症というものを正式には認めていないので労災は下りませんと言われて申請を諦めたと。
 これ、誤った対応ではありませんか。今すぐ是正すべきと思いますが、厚労大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 業務により新型コロナに感染し、これによる罹患後症状、いわゆる後遺症があって、療養等が必要と認められる場合は労災保険給付の対象になります。

吉良よし子

 だから、業務によって罹患したことが明らかで後遺症だった場合、労災申請したら対象になるんですよね。なのに、その条件を満たしている方が労災申請に労基署に行ったら追い返されたという事例があると申し上げているんです。
 これ、一件だけじゃなくて、コロナ病棟のある病院で働いていた看護師さんも、職場で感染して、その後、後遺症になって、労災申請したらやっぱり受け付けてもらえない。
 これ、是正しなきゃいけないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 ちょっとどういう事案があるのか、私、今この時点でつまびらかにしていないので、そういう事案があるのかどうか調べさせていただきたいとは思いますけれども、先ほど申し上げたように、労災保険給付の対象に、業務により新型コロナに感染し、これによる罹患後症状、いわゆる後遺症があって、療養が必要と認められる場合は労災保険給付の対象となるというのが解釈でございますので、それに従って運営をしていただくことは必要だと思っております。

吉良よし子

 調査していただけるということですので、是非調査して是正していただきたいと思うんです。
 何しろ、後遺症の特徴的な症状というのに倦怠感があるわけですよね。もう鉛のように体が重くなるというわけです。しかも、ブレーンフォグと言われる思考力や集中力低下するような症状もあって、それこそ書類、申請書類を書くのだって困難だし、それを持っていくのだって相当の負担がある。それでも、収入が断たれては生活ができないからって何とか労基署に行ったら追い返されたと。その絶望はいかばかりかと思うわけですよ。もう直ちに是正していただきたいということ、重ねて申し上げたいと思います。
 この労基署では、国が後遺症を正式に認めていないということも言われたというのも私、問題だと思うんですよ。先ほど、人数把握の際に定義はまだないと厚労省おっしゃいましたけど、コロナが発生してから二年以上たって、明らかに後遺症があることをもう世界的にも認められているにもかかわらずそういう定義がないなんて言っているから、労基署の現場で正式に認められていないものだなんという対応が起きてしまっているんじゃないかと。そういう意味でも厚労省の責任は私、重いと思うんです。
 昨年十二月、厚労省は、診療の手引き、罹患後症状のマネジメントというのを作成しました。だけど、これを読んでも、このコロナ後遺症、罹患後症状については不明な点が多いとか、各症状とCOVID―19との関係を結論付けることは難しいなどとして、その診断基準も明確に書かれていない状況なんです。
 労災申請するにはやっぱり診断書は絶対に必要ですし、そもそも診断できなければ適切な治療にもつながらないと思うわけです。せめてこのコロナ後遺症、明確な診断基準というのを作って提示する、手引きに記載するなど周知すべきと思いますが、厚労大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 新型コロナウイルスの罹患後症状、いわゆる後遺症は、疲労感、倦怠感、息苦しさ、睡眠障害、思考力、集中力の低下など様々な症状が報告されておりますけれども、いまだ明らかになっていないことも多いことは事実で、実態や病態を明らかにするために実態把握や原因究明に関する調査研究を実施をいたしております。
 新型コロナの罹患後症状や後遺症の定義は国際的にも現時点では定まっていませんが、WHOにおいてもポストCOVID―19コンディションと称しておりまして、これは後遺症という、セクエラでという表現は用いていない状況であります。
 厚生労働省では、新型コロナの罹患後症状に悩む方が適切に医療につながるように、専門家に依頼して、診療の手引き、今御指摘いただいた罹患後症状のマネジメントを作成しておりまして、この手引きにおいてWHOの定義を紹介し、その日本語訳としてCOVID―19後の症状、罹患後症状を用いているところでございます。
 診断基準を含めた疾病の概念については学術的議論に基づき定まってくるものであると承知しておりまして、引き続き国内外の科学的知見の集積に努めてまいりたいと思っております。

吉良よし子

 先ほど後遺症という言葉は世界では使われていないとおっしゃいましたけれども、アメリカCDCなどではもう後遺症という言葉使っているんですね。そういうところあるわけです。
 WHOの定義と言いましたけど、新型コロナウイルスに罹患した人に見られ、少なくとも二か月以上持続し、他の疾患による症状として説明が付かないものだという定義があるわけです。他の疾患として説明付かない症状がある場合はこれは、コロナに罹患してですけれどもね、それはコロナ後遺症の疑いがあるんだと、そういう診断基準として、それを診断基準として明確に載せるぐらいやったっていいと思うんです。
 しかも、この手引き、それだけじゃなくてもう様々問題点があるわけです。例えば四ページには、症状は三か月ほどで回復をしますが、不安が募ると更に持続、悪化するなど、後遺症の悪化の要因が不安であるかのような記述がありますが、また、痛みの症状に関して、基本的には症状が悪くなる病態ではないことを説明するなど、大したことがないかのような記述もあるわけですが、実際には症状が悪化する患者さんはいるし、中には生涯痛みに悩まされ続ける繊維筋痛症と診断される方もいるといいます。
 また、手引きではリハビリが推奨されているんですが、後遺症として一定数その傾向にあるという筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群、ME、CFSの傾向がある場合、安易な運動療法、リハビリ等をやってしまうと、簡単にそれで寝たきりになってしまうというんです。WHOの患者向けリーフレットでも、こうした傾向がある場合、運動や活動を避けるべき、明確に書かれているんですが、手引きの方には注意喚起がなされているとしているのみで、リハビリを避けるべき状況があるということが明確に書かれていないと。これは本当に問題だし、実際にそれで悪化してしまった患者さんもいると思うんです、無理にリハビリして。
 世界でのこの知見、臨床の現場のデータに基づいて、すぐにこの手引き見直すべきだと思いますが、厚労大臣、いかがでしょう。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 診断基準を含めた疾病の概念とか疾病の状況については、これはもうひとえに学術的議論に基づき定まってくるものでありますので、引き続き、科学的知見の集積に努めるとともに、適切な対応を取っていくべきだと思います。

吉良よし子

 適切な対応じゃなくて、このマネジメント、手引き、改訂するべきではありませんか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 ですから、学術的議論に基づき定まってくるものであると考えておりますので、国内外の科学的知見をしっかりと集積、整理して対応してまいります。

吉良よし子

 いや、事前のレクでは改訂作業中だというお話ありましたけど、作業もされてないということなんですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 内容がそういうことで科学的知見に基づいて修正すべきものであれば早くに改訂をしたいというふうに思います。

吉良よし子

 科学的知見を集積して改訂と、遅過ぎるんですよ。
 筋痛性脳脊髄炎の会の皆さん、ME/CFSの会の皆さんは、もうこの手引きが発表された直後の十二月二十一日、手引きは十二月一日ですからね、その直後の十二月二十一日に会見をして、COVID―19を契機にME、CFSを発症する可能性が明記されていないこと、また、明らかな異常所見がないからといって精神的な問題とすべきでないこと、罹患後症状が続く人の中には回復しない人がいることが明記されていないこと、運動によって悪化する患者がいることが詳しく説明されていないことなどを問題点として、手引きの改訂、早くから求めているんです。
 それから既に四か月、まだ改訂されていない。今もこうやって私が伺っても改訂するとお答えにならない。どうなんですか、やっぱりすぐにでもこの問題点見直して改訂するべきじゃないですか。もう一度、厚労大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 科学的知見に基づきまして、具体的なめどは決まっておりませんけれども、取りまとめができれば速やかにお示ししたいと思います。

吉良よし子

 取りまとめができれば速やかにというのは本当に、やっているということなんでしょうけれども、でも遅いんです。本当に急いでほしいです。
 何しろ、こうやってこの厚労省の手引きの中でも、やっぱり不安によるものだとか気のせいみたいな、不明なことが多いみたいなことが書かれている下で、やっぱりコロナ後遺症なんて気のせいだみたいな、いまだにかかりつけ医に相談しても診療すら拒否される事例もあるということを私聞いているわけです。それこそ、コロナ罹患後に倦怠感と筋力の低下、気分の落ち込み、不眠などの症状があって多くの病院を数多く受診したけれども、どの病院でも、検査で大きな異常はないんだと、医者から、気の持ちようだ、鼻で笑われるような扱いを受けた方がその後自死した、そういう話も聞きました。これ、ヒラハタクリニックの平畑院長のお話なんですけれども、それも一人じゃないんです、三人少なくともいらっしゃったっていうんです。
 コロナ後遺症になって、治療にもつながらなくって、仕事もできずに収入が断たれて、労災などでも救済されないまま、今も誰にも理解されずに追い詰められている人がたくさん放置されている可能性がある問題なんです。
 だから、数々の指摘を受けてもなお、場合によっては重症化させるようなリハビリをどんどん推奨してしまうような手引きをいまだに何の注釈もなく放置している政府の責任は私重いと思うんですけれども、いかがですか、大臣。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 現在、専門家に御検討いただいておりまして、その結果を踏まえて更新を行ってまいりたいというふうに思います。具体的なめど等は決まっておりませんけれども、取りまとまり次第、速やかにお示ししたいと思います。

吉良よし子

 同時に、このコロナ後遺症、深刻な実態はあるんですけれども、臨床現場では、例えば上咽頭擦過療法などをやれば、適切な治療をやれば寝たきりなどの症状の改善に有効だという知見なども出てきていると、そういう情報も出てきているわけです。当然悪化する場合もありますが、ちゃんとした治療につながれば改善する可能性もある疾患だということも明らかなわけですから、そういうことも含めて、ちゃんと最新の知見を早くにこういう手引きなんかに反映させて周知徹底して、コロナ後遺症で悩む患者が一日も早く適切な正しい治療につながるよう、そしてその生活も保障されるよう早急に今の後遺症対策の改善図るべきだと思いますが、最後に厚労大臣、いかがですか。

厚生労働大臣(後藤茂之君)

 現在、専門家に御検討をいただいており、その結果を踏まえて更新等も行ってまいりたいというふうに思います。取りまとまり次第、速やかにお示ししたいと考えております。
 科学的知見ややっぱり専門家の御検討によって書くものでありますから、その結果を踏まえて更新を行ってまいりたいというふうに思います。具体的なめどは決まっていませんが、取りまとまり次第、速やかにお示ししたいと、これ以上はなかなか申し上げにくいということです。

吉良よし子

 手引きの更新はされるということでしたが、やはり問題は、最初に申し上げた労災やその国保の傷病手当なども行き届いていないという問題もありますから、そういうことも含めて、コロナ後遺症患者もう見捨てないように強く求めて、質問を終わります。