映画・演劇業界の性暴力・ハラスメント根絶へ 政府の対策要求
要約
日本共産党の吉良よし子議員は16日の参院決算委員会で、告発が相次ぐ映画・演劇業界での性暴力・ハラスメントの根絶へ、政治の課題として取り組むよう追及しました。
吉良氏は、映画、演劇などの業界全体で性暴力・ハラスメントがまん延している実態が明らかになったと指摘。映画業界では監督と俳優など力関係=地位・関係性を背景にした性暴力が起きているとして、地位関係を利用した性暴力を含め、同意のない性行為を犯罪として明示する刑法改正を急ぐべきだと迫りました。
また、ハラスメント防止対策関連法はハラスメント防止方針の明確化や相談体制の整備を義務づけているものの、映画・演劇業界の従事者に多いフリーランスは対象外で、努力規定があるのみです。
吉良氏は、日本芸能従事者協会のアンケートでハラスメント被害に「あった」「見た」という人が約7割いる一方、相談したことが「ない」が約96%に上ると指摘。芸能従事者向けの第三者の相談窓口の設置を求めました。
後藤茂之厚生労働相は「手だてを考える必要がある」と述べるだけでした。
さらに吉良氏は、業界の統一したハラスメント防止のガイドラインが必要だと要求。韓国では映画制作にあたりハラスメント講習が行われ、国が費用負担していると紹介し「映画等の制作時にハラスメント講習の実施の推奨を」と求めました。
後藤厚労相は「対応を進めるのは望ましい」としか述べませんでした。吉良氏は「他国でも講習の費用補助や相談機関の設置は国として進めており、やろうと思えばできる」として、フリーランスをハラスメント防止対策関連法の対象にして対策を進めるよう要求しました。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
今年三月以降、芸能界、特に映画、演劇業界などで性暴力やハラスメントの告発が相次いで、大きな問題となっています。声を上げた性暴力等の被害者、今なお同様の加害行為に苦しんでいる当事者を救済すること、同時に、こうした業界や現場での性暴力やハラスメントをなくすことは政治の課題だと思うわけですが、厚労大臣、法務大臣、それぞれ一言ずつこの点についてお答えください。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
芸能の業界も含めまして、職場におけるハラスメントの防止対策は重要な課題であると認識しています。
厚生労働省では、男女雇用機会均等法等の法律におきまして、事業主に対しましてハラスメント防止のために雇用管理上講ずべき措置を定めるなど、これまで職場におけるハラスメントの防止に取り組んできたところでございます。
引き続き、職場におけるハラスメントの防止にしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
法務大臣(古川禎久君)
性犯罪、性暴力は、被害者の尊厳を著しく傷つけ、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続けるものであって、決して許されるものではありません。
私としては、このような認識を共有した上で、性犯罪、性暴力の根絶に向けた施策の在り方を検討し、官民を挙げて取り組んでいくことが重要であると考えております。
吉良よし子
重要な課題であり、許されないものであり、政策の検討も必要だという御答弁があったわけです。
これらの業界にかかわらず、性加害を受けた当事者がその被害を被害として認識し声を上げること自体が大変なことで、時間も掛かるし勇気も要ることなわけです。長い間被害で、そのもので苦しんだ上、さらに実名で告発するとなると、それによるバッシング又は二次加害受けることも多いわけです。
今回についても、大手映画会社の幹部という方が、なぜ法廷ではなく週刊誌に訴えるのかが分かりません、売名行為ではなどと語ったという報道を目にしました。これがまさに二次加害であり、許されないものだと思うわけですが、そもそも、なぜ法廷に訴えないのか、証拠をそろえて訴えればなどと言いますが、そうやって証拠をそろえるのが困難なのが性暴力被害であり、また、現行刑法では同意のない性行為そのものが犯罪行為だと明確に禁止されていないわけです。その下で、暴行又は脅迫があったとか抗拒不能の状態だったなどの犯罪要件が全て確認されなければ犯罪行為だとみなされないという判決も相次いでいて、加害者が罰されにくい実態にあるわけです。
そして、これらの課題は、被害当事者団体や日本学術会議、刑法改正市民プロジェクトなど様々な団体から指摘され、法改正が求められているところですが、法務大臣に伺います。
この刑法百七十六条、百七十七条に規定されている暴行又は脅迫や抗拒不能要件、これをなくして同意要件を新設するなど、同意のない性行為が犯罪であると刑法に明確に示すべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
法務大臣(古川禎久君)
性犯罪に対処するための刑事法の整備については、法務大臣から合計十項目の諮問事項について法制審議会に諮問し、現在、刑事法(性犯罪関係)部会におきまして調査審議が進められております。
お尋ねの点につきましては、強制性交等罪の暴行、脅迫要件及び心神喪失、抗拒フヨウ要件を改正することという項目において御議論が行われているところでございます。
性犯罪への適切な対処は喫緊の課題であって、国民の関心も高いことから、法制審議会における充実した議論を期待しているところです。
吉良よし子
議論をされているところであり、喫緊の課題だという御答弁ありました。本当にそのとおりなんですが、もう一点聞きたいと思います。
今回のこの映画業界等の性暴力、ハラスメントで特徴的なのは、人事権を持った監督やプロデューサー又は演出家などがそのキャスティング等をちらつかせて性行為を強要する、迫るという事例なわけです。監督などその権限を持っている人々とその映画に出演している又は出演したいと思っている俳優との間では、もう絶対的な力関係の差があって、その差は圧倒的だし、その権力関係というのは圧倒的なわけですけれども、だから断りたくても断れない状況に追い込まれているという事例が明らかなんですけれども、こうした力関係、地位、関係性を背景にした性暴力も犯罪であるということを刑法に明示すべきではないかと思いますが、法務大臣、いかがでしょう。
法務大臣(古川禎久君)
お尋ねの件につきましては、法制審議会の刑事法(性犯罪関係)部会におきまして、相手方の脆弱性や地位、関係性の利用を要件とする罪を新設することという項目において御議論が行われているところでございます。
先ほど申し上げましたとおり、性犯罪への適切な対処は喫緊の課題であります。国民の関心も高いことから、法制審議会における充実した議論を期待しているところでございます。
吉良よし子
これも議論されているということでしたが、ある監督に演技指導として性行為を強要されたという女性の俳優の方は、監督の指示は絶対、やれと言われたことができないのは役者として悔しいという気持ちもあり、判断が付かないままその性行為が起こってしまったという心境を語っている、そういう記事も読みました。この地位、関係性を利用した性暴力も含めた同意のない性行為をこれを犯罪として明示する刑法改正、本当に急ぐべきであるということを重ねて訴えておきたいと思うわけです。
今回の告発で明らかになったのは、映画、演劇などの業界全体で性暴力やハラスメントが蔓延しているという実態です。それこそ、こうした告発をしている女優の皆さんも始め様々な皆さんが、この業界によくあることだと、そういう言葉を発されていると。この業界によくあることだから諦めてしまっていたと、そういう言葉もあるわけです。
実際、今、映画監督有志の会や映像業界における性加害・性暴力をなくす会とか、又はシナリオライターとか原作者の有志も含めて、こうした問題はこれは業界の問題であるとし、だからこの業界の改善、環境改善を進めることが必要であるという声明や提言を次々出しているわけです。
お配りした資料も御覧いただきたいんですが、一般社団法人日本芸能従事者協会が今年三月に行ったフリーランス芸能従事者の労災と安全衛生に関するアンケートによれば、仕事中にハラスメントを受けたことがある、若しくは見聞きしたことがあると答えた芸能従事者の方は七二%に上っているという実態も明らかなわけです。
このハラスメントに関しては、先ほど厚労大臣から御紹介あったとおり、二〇一九年、ハラスメント防止対策法というのが改正されました。企業などに措置義務が、その防止措置義務が課されています。
一方、この映画、演劇などの業界で働く方のほとんどが企業で働く会社員ではありません。企業に雇用されないフリーランスとして働いているわけですが、このハラスメント防止対策関連法でフリーランスは保護対象になっているのでしょうか。お願いします。
厚生労働省雇用環境・均等局雇用環境総合整備室長(岸本武史君)
お答えいたします。
男女雇用機会均等法等は、事業主に対し、雇用する労働者に対するハラスメントの防止について雇用管理上の措置義務を課しておりますことから、フリーランスなど雇用関係にない方は対象には含まれておりません。
一方、ハラスメントに関する指針におきましては、フリーランスなどに対しても雇用する労働者と同様の注意を払うとともに、労働者と同様に対応することが望ましいというふうにしているところでございます。
吉良よし子
フリーランスは保護対象ではない。けれども、この間、国会の質疑などでフリーランスや就活生なども保護対象に含めるべきという議論があった下で、指針において対策を示しているということでした。
この法律では、企業などがハラスメントを防止するために方針を明確化すること及びその周知啓発、講習などを含めた周知啓発や相談に応じて適切に対応するための体制整備などを講じなければならないと、これは義務だと定められているわけですが、フリーランスの場合はどうなんでしょう、これは義務だということになるんでしょうか。
政府参考人(岸本武史君)
お答えいたします。
ハラスメント防止対策に関しましては、男女雇用機会均等法などにおきまして、事業主によるハラスメント防止の社内方針の明確化と周知啓発、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備、職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応が事業主が雇用管理上講ずべき措置として定められているところでございます。
その上で、指針におきましては、職場においてハラスメントを行ってはならない旨の明確化を行う際に対象者としてフリーランスを含めることですとか、フリーランスからハラスメントに類する相談があった場合は雇用労働者と同様に対応することが望ましいというふうにしているところでございます。
吉良よし子
義務なのかと聞いております。
政府参考人(岸本武史君)
お答えいたします。
フリーランスのハラスメントに関しましては、法律の仕組みが雇用労働者に対する雇用管理上の措置を義務付けるという仕組みになっておりますことから、指針として望ましいとはしておりますが、雇用労働者に対するものと同様な義務という位置付けではございません。
吉良よし子
だから、義務ではない、労働者と同じ位置付けではないわけです。望ましいとはされているけど義務ではないという状態で放置されているわけですね。ただ、やっぱりこの業界でのハラスメントを防ぐためには、先ほどの方針を作ることとか、窓口、相談窓口をつくることとか、あとは講習をすることなどの措置というのはやっぱり必須だし、必要だと思うわけです。
この間、そうした告発を受けて業界の改善を目指そうとして立ち上がった映画監督有志の会の皆さんも、映画製作者連盟向けに出した労働環境保全・ハラスメント防止に関する提言書でもこのこと、ハラスメント防止ガイドラインの作成、リスペクトトレーニングの実施、第三者機関による相談窓口の設置などを求めているわけです。これ、一つ一つその必要性について確認していきたいと思うんですが、まず相談窓口です。
これ、本当に告発しようと思ってもする先がないというのが今の実態で、資料を御覧いただければと思うんですが、先ほどの芸能従事者向けのアンケートでは、ハラスメント被害に遭った方は七割に上る一方で、相談窓口へ相談したことがないと回答した人が九五・九%に上る、九六%、約、に上っているわけです。
この間、政府はフリーランスの保護としてフリーランス・トラブル一一〇番つくったと聞いています。この利用状況について、ハラスメントに関する相談はどのくらいの割合あったのか、また芸能従事者がどのくらい利用しているのか、その利用率、それぞれお答えください。
政府参考人(岸本武史君)
お答えいたします。
フリーランスとして働く方が安心して働ける環境を整備するため、厚生労働省では関係省庁と連携いたしまして、令和二年十一月より、フリーランスと発注事業者とのトラブルについてワンストップで相談できる窓口といたしましてフリーランス・トラブル一一〇番というものを設置をしておりまして、令和四年三月までに約五千四百件の相談を受けているところでございます。
相談内容でございますが、報酬の支払に関する相談が約三割、契約内容に関する相談が約二割でございまして、この二つを合わせて約半数となっております。一方、ハラスメントに関する相談は約五%でございます。
また、相談全体に対する業種別の割合でございますが、舞台、演劇関係という形で取っておりますが、これは約三・五%となっているところでございます。
吉良よし子
この相談、フリーランス・トラブル一一〇番というのは、フリーランスと発注事業者とのトラブルに対する相談が主になってしまっているので、そもそもハラスメントに関する相談が五%にとどまっているし、舞台、演劇関係の方は三・五%。本当にこれは少ない、ほとんど利用されていないというのが実態だと思うわけです。これは周知の問題もあるでしょう。もうそもそもこの芸能従事者の相談を受け付けてもらえると思われていないし、ハラスメントに関する相談も受けてもらえると思われていないという問題もあるとは思うわけです。
一方、こうした映画業界等でのハラスメント対策をもう国として進めている国がありまして、韓国などではこの間、国と財団が出資をして第三者機関による映画業界のハラスメント等の相談窓口、映画性平等センターという機関つくっている。そこでハラスメントなどの相談を受けるとともに実態調査などもしているということなんですけれども、やっぱりこれだけ問題が大きくなっているわけですから、日本でもこういう芸能従事者向けとちゃんと分かるような形でハラスメントに特化した相談窓口、第三者機関でつくるべきではないでしょうか。厚労大臣、いかがでしょう。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
今もお答えをしていたわけでありますけれども、ハラスメント防止に関する各指針においては、職場でハラスメントを行ってはならない旨を明確化する際にフリーランスを対象に含めることや、フリーランスからハラスメントに類する相談があった場合は労働者と同様に対応することが望ましいということにいたしております。これは、委員からも御指摘があった望ましいという形での取扱いでございます。
それで、フリーランス・トラブル一一〇番では、こうした指針の内容も踏まえて、常駐する弁護士が相談の内容に応じまして法律上取り得る対応等のアドバイスを行うとともに、和解あっせん手続や少額訴訟といった裁判手続等の案内も行っておりまして、ハラスメントも含めて複数のトラブルを抱えるフリーランスに対してワンストップで専門的かつ柔軟な対応を行っている窓口でございます。
厚生労働省としては、関係省庁、それぞれの業界にはそれぞれ所管の役所があるわけですが、関係省庁と連携をして、フリーランス・トラブル一一〇番をしっかり周知するとともに、引き続き、フリーランストラブル、ハラスメントの問題も含めて丁寧な相談対応に努めていきたいというふうに考えております。
吉良よし子
結局やっぱりフリーランス・トラブル一一〇番でねというお話だと思うし、何だったら企業の相談窓口も使っていいよというお話だと思うんですけれども、企業が参画していないような制作現場というのは山ほどあるわけですし、やはり実際にこういった問題が起きたときにどこに相談していいか分からないというのは本当に皆さんの声だと思うし、映像業界における性加害・性暴力をなくす会の皆さんは、やっぱりこの第三者機関が設置が必要だし、業界における性加害、性暴力を可視化する実態調査も求めているわけで、この業界に特化した専門の第三者の機関設置してほしいというのが皆さんの要望なんですよ。
やっぱりこれ、ハラスメントをなくすために必要だと思いませんか、大臣。いかがですか。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
現在、文化庁においても、私聞いているところによれば、芸能界における契約の在り方そのもの、そうしたことも検討をするということで、本当は今起きていることはそうした全体の枠組みの中で恐らく考えていかなきゃいけないことなんだろうというふうに思います。
いずれにしても、あってはならないことをどういう形できちんと社会が目を光らせていけるのか、そのことの問題意識は共有をいたしております。
吉良よし子
契約の在り方の検討を文化庁でやっているということでしたが、やっぱりそうじゃなくて、今申し上げているのはやっぱりハラスメントの第三者の相談機関の設置ということなので、どういうことが必要なのか検討と言いましたが、まずそれが必要だというのが現場から出ているわけですから、やっぱりそれは必要だということはお認めになりますよね。一言お願いします。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
やっぱり大きな力の行使をできる人たちが、そういう力を背景にやっぱり同意の得られないいろんな問題を起こすとか、あるいはハラスメントを起こしていくということは、これはあってはならないことだという認識は共有をしています。
ですから、そういう意味で、そういうことに対応していくための手だてをやっぱり考えていく必要があるという問題についても共有はいたします。
吉良よし子
相談窓口と言わないんですけれども、もう一つ聞きます。
やっぱり統一した、窓口つくるだけじゃなくて、やっぱり事前に、そういう被害を起こさないためにも統一したハラスメント防止するルールも必要です。
このルールに関わって紹介したいのが、インティマシーコーディネーターという職業、存在です。現在日本には二人しかいらっしゃらないんですが、そのうちのお一人、西山ももこさんにお話を伺うことができました。
このインティマシーコーディネーターというのは、アメリカなどの制作現場で既に活用されているんですが、日本でももちろん活用されているんですが、性的な接触のあるシーン、ヌードになるシーンにおいて、監督がやりたいこと、撮りたい絵などについて、最大限それが実現できるように、その意図をよく聞いてそれを俳優に伝えるとともに、俳優がそういうものをやりたくないと思ったときには萎縮せずにノーと、嫌だと、これは嫌だ、ここまではいいということを言えるようにその俳優と監督の間に入ってコーディネートをする仕事だと伺いました。
先ほど大臣もおっしゃいましたけど、やっぱりこの性暴力、ハラスメントの問題ではその同意の有無というのが問題になるわけで、やっぱりそこの同意を曖昧にさせない、また、監督と俳優という立場の違う関係性の中でできるだけ対等に話し合える環境をつくる、コーディネートするというのがその仕事であり、やはり本人が嫌な撮影を俳優に強要しないとか現場でのハラスメントを防ぐためにも、こうした仕事というのは、インティマシーコーディネーターの活用は有効だと私思うんですが。
例えばそのガイドラインといったときに、こうしたインティマシーコーディネーターを性的な接触のある場面では導入することとか、若しくは、今アメリカの俳優組合などもガイドライン作っていて、それ見ていると、キャスティングの際、オーディションの際などにヌードを要求してはならない、服を脱がせてはならないとか、若しくはヌードシーンがある場合は事前にちゃんと通知をしなければならないとか、そういうことを明文化しているガイドラインを作っているそうなんですが、そういった内容のガイドライン作ることもあり得ると思うんですよ。
そうじゃなくても、業界内では安全衛生などのルールも現場によって異なっていて、芸能業界で統一したルール、客観的な基準がないことがやっぱり問題を深刻化させているわけで、本当にこの統一した基準、ガイドライン、ハラスメントを防止するためのガイドライン、やっぱり現場に必要だと思いますが、必要だと思いますか、大臣。厚労大臣、いかがですか。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
気持ちの問題と、ちょっと大臣としての権限の問題やら仕事の範囲の問題が少し必ずしも一致していないということで、私自身もどういうふうに対応していいのかというのがちょっと厳しいわけですけれど、厚生労働省が所管するハラスメント防止に関する各指針においては、事業主と労働者の間の労働契約関係を前提に、雇用されている労働者に対するハラスメントの防止やハラスメントの発生時の対応について定めた上で、フリーランスなど労働契約関係にない相談に対しても同様の対応をすることが望ましい旨を定めております。
専ら労働契約関係にない両当事者の間のハラスメントについて御指摘のようなガイドラインを定めることは労働法にはなじまない面がありますけれども、しかしそれは、そうしたものがあることの意味は重要だというふうに思います。
厚労省として、事業主が雇用管理上講ずべき措置について周知啓発を努めているところでありまして、ポータルサイトあかるい職場応援団とか、事業主向けのセミナー等も通じて対応している場合、ておりますけれども、芸能界における契約の在り方の話を先ほどちょっと申し上げましたけれども、そうした業界そのものの特殊性に応じたあるいは具体性に応じたガイドライン、あるいは契約の在り方、いわゆる仕事のルールの在り方、そうしたことも考えていく必要があるのかもしれないと思います。
吉良よし子
作るのが困難な業界の問題もあるみたいなことをおっしゃっているわけですけれども、でも、ガイドラインということでいえば、コロナの感染防止対策ガイドラインなんというのは業界と国が協力して作った経験もあるわけですから、やってできないことじゃないと思うんです。
現場の共通認識ということでは、先ほど大臣もちらりと講習とおっしゃいましたけど、ハラスメント講習、有効です。韓国でも、任意ではあるけれども、映画を制作するに当たり四時間のハラスメント講習を行われると。それについて国がその費用を補助するという仕組みがあって、現場にそれが広がっていると。ハラスメント対策にも有効だという声が聞こえてきます。フランスでも同様のプロデューサー向けのハラスメントワークショップしていると聞くわけですが、やはりこういった演劇、舞台、テレビ、映画制作時にハラスメント講習の実施、推奨すべきではありませんか。大臣、一言お願いします。
厚生労働大臣(後藤茂之君)
フリーランスなどの労働契約関係にない相談に対しても、しっかりとハラスメント防止に関する対応を進めていくことは非常に望ましいことでもありますし、厚生労働省としてはこうしたことを社会に広く周知していくと、後押しをすることは考えていきたいと思います。
吉良よし子
望ましいし、推奨するというお話ありました。ただ、やっぱり問題は、やっぱり保護、フリーランスがこのハラスメント防止対策法の保護対象に明確に明記されていない、措置義務が義務になっていないということだと思うわけです。
先ほど来申し上げたとおり、もう各国ではフリーランスの映画や舞台の現場でもそういった措置義務できるような体制整えて、やろうと思えばできるということは証明されているわけですから、是非とも法の中にちゃんとフリーランスを入れて対策を国として進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。