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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2022年・第208通常国会

【教特法改定案】教員研修の管理・統制強化を追及。長時間過密労働の解消、教職員を抜本的に増やすことこそ急務

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は20日の参院本会議で、教員免許更新制をなくす代わりに「研修の記録」や「指導助言」を義務づける教育公務員特例法改定案などについて、教員研修の管理・統制を強化し教員の主体的な学びを阻害するものだと追及しました。

 吉良氏は教員免許更新制について、教職の身分を人質に30時間の講習を押し付けて教員の負担を増やし、未更新による教員不足の原因ともなっていると指摘。「発展的解消」でなく「きっぱり廃止すべきだ」と主張しました。

 さらに、研修の記録や指導助言を義務づけることで「現在の研修の管理・統制を強化するものではないか」と追及。「指導助言」が人事評価を行う面談と同時に行われることにふれ、パワハラの温床となるのではと指摘しました。中央教育審議会のまとめで「管理職等の期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合」は「職務命令に基づき研修を受講させることが必要」と明記されており、職務命令に違反した場合は「厳正な措置を講じることもあり得る」と衆院で答弁があったことを示し、「懲戒処分を行うということか」とただしました。

 末松信介文部科学相は「懲戒処分を行うこともありうる」と答弁しました。

 吉良氏は「教師の自主的・自律的な学び、研修する機会を保障するには、長時間過密労働を解消し、教職員を抜本的に増やすことこそ急務だ」と迫りました。

しんぶん赤旗2022年4月21日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案について文部科学大臣に質問します。
 本法案により、政府は、教員免許更新制を発展的に解消するとしています。しかし、なぜ廃止ではなく、発展的に解消するのでしょうか。
 そもそも、教員免許更新制は、教育職員の身分を人質に取り、十年ごとに義務付けられた三十時間以上の講習を受けなければ免許を失効させるという制度でした。これは、教職における身分保障について、あくまでも保護されるべきとするユネスコの教員の地位に関する勧告に明確に反するものです。
 中央教育審議会の審議まとめでも、免許状を更新しなければ職務上の地位の喪失を招きかねないという状況の下で、教師の主体的な姿勢が発揮されてきたと評価することには慎重にならざるを得ないなどとし、教員免許更新制が教師の学びの阻害要因になると考えざるを得ないとまで言っています。
 さらには、教師が多忙な中で、経済的、物理的な負担が生じている、臨時的任用教員等の人材確保に影響を与えているとの中教審の指摘にあるとおり、更新講習に係る時間と費用に対する教員の負担感、うっかり失効が生じる制度上の不備、未更新からくる教員不足といった事態が生じる下で、全国の教育現場から教員免許更新制の廃止を求める声が高まっていました。国会でも、日本共産党始め野党各党が早期の制度廃止を求めてきたものです。
 もはや、教員免許更新制の制度的な破綻は明白でありませんか。とすれば、発展的解消などではなく、きっぱり廃止すべきではありませんか。お答えください。
 本法案では、教員免許更新制をなくす代わりに、新たな教師の学びの姿を実現するためとして、任命権者である都道府県教育委員会による研修の記録の作成と、管理職による指導、助言を行うとしています。中教審では、これらの方策の実施により、これまで教員免許更新制が制度的に担保してきたものを総じて代替することができると言います。
 では、これまで教員免許更新制が担保してきたものとは何なのでしょう。中教審では、教師に学びの契機と機会を提供し、教師が最新の知識、技能を修得できるようにすることとありますが、そもそも、教職員の学びの機会である研修制度は、教員免許更新制ではなく、教育公務員特例法に位置付けられているのではないですか。
 教育公務員特例法は、二〇一六年に改正され、国による教員の資質向上に関する指針を参酌して、都道府県教育委員会等が教員育成指標と教員研修計画を策定することが義務付けられました。
 例えば、東京都の場合、一年目から三年目の基礎形成期、四年目以降の伸長期、主任教諭となる九年目以降の充実期、指導教諭や主幹教諭となる十一年目以降、そして、教育管理職候補者、副校長、校長という勤務年数や役割に応じたそれぞれの段階ごとに求められる能力や役割として、学習指導力、生活指導・進路指導力、外部との連携・折衝力、学校運営・組織貢献力などに分類して示した詳細な指標を策定しています。そして、初任者研修などの法定研修に加えて、この策定した指標に合わせた各段階で受けるべき研修の内容を教員研修計画に細かく示しています。さらに、東京都では、既に研修の受講履歴も記録され、教育委員会や管理職などから盛んに都教委の研修を受けなさいなどと指導されるそうです。
 こうした既に膨大な研修が行われており、さらに、現場でそれらを受講したことの記録や受講を奨励する指導が既に行われていてもなお、教員の研修機会の確保や知識、技能の修得が不十分だというのでしょうか。
 むしろ、本法案は、三十時間の講習を強制してきた教員免許更新制の代わりに研修の記録や指導、助言を義務付けることで現在の研修の管理統制を強化するものではありませんか。それは、教師の主体的な学びの姿勢を阻害するものではないですか。お答えください。
 本法案により規定される指導、助言は、管理職による対話と奨励として、人事評価の面談、期首面談や期末面談において行うことが想定されています。衆議院では、指導、助言は人事評価制度とは別物だと答弁されていますが、人事評価の面談と同じタイミングでの指導、助言は、本当に人事評価と明確に区別される、区別できるというのでしょうか。
 人事評価の面談の場で研修受講の有無などを確認されることは、教育委員会、管理職の意に沿う研修を受けなければならないという義務感、そんたくにつながり、パワハラの温床となる可能性もあります。衆議院では、指導、助言は対話の中で行われることが基本なのでパワハラにつながらない、パワハラにならない形で取り組んでいくとの答弁がありましたが、パワハラにならない形とは何ですか。指導、助言の場でパワハラを防ぐ根拠となる条文はありますか。お答えください。
 問題はパワハラだけではありません。中教審審議まとめにおいて、必ずしも主体性を有しない教員に対する対応として、管理職等の期待する水準の研修を受けているとは到底認められない場合は、職務命令に基づき研修を受講させることが必要と明記されています。衆議院では、この研修を命じる職務命令に違反した場合には厳正な措置を講じることもあり得るとの答弁もありました。それはつまり、懲戒処分を行うということですか。お答えください。
 教員の研修について今問われているのは、膨大な研修を押し付けることではなく、個々の教師が自主的、自律的に学び、研修できるゆとりと時間をどうやって保障するかということです。
 全日本教職員組合青年部の調査によれば、勤務時間内で授業準備をする時間はどのくらいですかとの問いに、一日三十分以内又はないと答えた教師が小学校で六一%、中学校で六九%に上ります。
 自由記述にも、元気だった若手教職員が病気による休暇、療休に入った、あしたは我が身、もう体がもたない、何度も辞めようと思いながらやっている、朝七時から十九時まで働くのは当たり前、十九時に帰れればまだよい方、楽しい授業がしたいのに、勤務時間内には報告書、テストの丸付け、校務分掌、やってもやっても次の仕事、やることが山積みで、一番大切な授業準備ができないなど、多くの若手教職員の悲鳴があふれています。文科省の調査でも、教師の一日当たりの学内勤務時間のうち、公務としての研修時間は小学校で十三分、中学校で六分しか取れていないことが分かっています。
 休憩時間もない、授業準備もままならず、学校現場を片時も離れることができない状況で、いつ、どうやって膨大な研修を受講できるのでしょう。その条件があるのか、お答えください。
 教師の自主的、自律的な学び、研修する機会を保障するためには、教職員の長時間過密労働を解消すること、教員一人当たりの持ちこま数を減らし、足りない教職員を抜本的に増やすことこそ急務なのではないですか。
 教職員は、子供たち一人一人の学びと人格形成を支える教育の専門家です。全ての教職員が、教育の専門家としての広い教養、深い専門的な知識や技能を自主的、自律的に学べる時間と環境を保障することこそ必要であると申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   

文部科学大臣(末松信介君)

 吉良議員にお答え申し上げます。
 まず、教員免許更新制の廃止についてお尋ねがございました。
 教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大、大学による教師の資質、能力の向上に対する関与の拡大など、一定の成果を上げてきました。一方で、これまでの免許更新制の下での十年に一度の講習は、常に最新の知識、技能を学び続けることと整合的でないことや、座学を中心とした講習では現場に即した学びの実施が困難であるといった課題がございました。
 このため、教員免許更新制の下で大学等が形成した良質な教育コンテンツを継承しつつ、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムによって、これからの時代に必要な教師の学びを実現させることとし、現行の教員免許更新制を発展的に解消する本法案を提出したものでございます。
 次に、教職員の学びの機会と知識、技能の修得の必要性についてお尋ねがありました。
 平成二十八年の教育公務員特例法の改正により、全ての都道府県教育委員会において、教師の資質向上に関する指標に基づく教員研修計画が策定され、教師の資質、能力の向上のための体系的、計画的な研修が充実してきたと考えております。
 その一方、変化の激しい時代におけるこれからの教師の学びの姿として、教師一人一人の置かれた状況に照らして、適切な現状把握と具体的な目標設定を行った上で、個別最適で協働的な学びが行われることが必要であると考えております。
 このため、過去に教師が何を学んできたかという情報を客観的に記録することを義務付け、これを基に校長等管理職が教師の資質向上に関し指導、助言等を行うという役割を明確にすることを趣旨とした教育公務員特例法の改正を行うものでございます。
 次に、本法案と教師の学びの姿勢との関係についてお尋ねがありました。
 本法案では、校長等の管理職が、教師自身の過去の研修等の記録を活用しつつ、今後能力を伸ばす必要がある分野など、研修について、一人一人の教師から相談を受けたり、情報提供や指導、助言を行うことを想定しています。
 これにより、教師が自らの学びを振り返りつつ、適切な現状把握と目標設定の下で自ら必要な学びを行う、主体的で個別最適な学びが実現されるものと考えております。したがって、本法案は教師の管理統制を強化するものではありません。
 次に、資質向上に関する指導、助言と人事評価の関係についてお尋ねがありました。
 今回の法改正により教育委員会が行う研修等に関する記録は、校長等管理職による各教師の資質の向上に関する指導、助言等の際に活用されるものであり、人事評価制度とはその趣旨と目的が異なるものでございます。
 なお、今回の改正に基づく指導、助言等を人事評価の期首、期末の面談の場を活用して行うことを想定しているのは、この指導、助言等を過度な負担とせず、学校現場で効率的かつ合理的に行われることを意図するものであり、人事評価と異なる趣旨であることに変わりはございません。
 次に、指導、助言の場におけるパワハラ防止についてお尋ねがありました。
 今回の法改正は、あくまで、教師と管理職等が対話を繰り返す中で、教師が自らの研修ニーズと、自分の強みや弱み、今後伸ばすべき力や学校で果たすべき役割などを踏まえながら、必要な学びを主体的に行っていくことが基本だと考えております。
 御懸念のパワハラを防ぐ根拠条文については、労働施策総合推進法により、その防止措置が事業主に対して義務付けられております。今後も、様々な機会を捉えて、同法に基づく指針を踏まえた適切な対応について、各教育委員会に対して指導をいたしてまいります。
 次に、研修を命ずる職務命令と懲戒処分についてお尋ねがございました。
 校長等の管理職が研修の受講についての指導、助言を繰り返し行ったにもかかわらず、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合などやむを得ない場合には、職務命令として研修を受講させる必要もあると考えております。万が一、職務命令に従わないような事例が生じた場合は、法律に定める要件に当たり得ることから、事案に応じて任命権者の判断により懲戒処分を行うこともあり得るものと考えております。
 次に、研修時間の確保についてお尋ねがありました。
 これからの教師の学びの姿としては、教師一人一人の状況が異なることなどから、学ぶ内容や量もそれぞれ応じたものになることが予想され、想定されます。また、教師の負担を軽減するとともに、必要な研修を適切なときに受けることを可能とするために、文部科学省ではこれまでも学校における働き方改革を推進してきました。
 今後、研修の厳選、重点化やオンラインの研修コンテンツの活用などによりまして、効果的、効率的な実施、研修環境の整備に取り組んでまいります。
 次に、学校における働き方改革と教職員定数の改善についてお尋ねがございました。
 新たな研修の仕組みが円滑に運用されるためには、教師の負担軽減や必要な研修を適時に受けることを可能とするための環境整備が重要でございます。
 文部科学省では、令和元年に給特法を改正し、教師の勤務時間の上限等を定める指針を策定するなど、学校の働き方改革を推進しております。時間外勤務は、平成三十年度以降、一定度改善傾向にあり、改革の成果が着実に出つつありますが、依然として長時間勤務の教職員が多く、引き続き取組を加速させていく必要があると認識をしております。
 また、令和四年度予算では、小学校高学年における教科担任制の推進等のための教職員定数の改善により、持ち授業時数を軽減するとともに、小学校三十五人学級の計画的な整備等のための定数改善や、教員業務支援員を始めとする支援スタッフの充実なども図っております。
 引き続き、研修時間の確保を含め、教師が教師でなければできないことに全力投球できる環境整備を進めてまいります。
 以上でございます。(拍手)