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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2022年・第208通常国会

部活質問に反響 文科相「顧問強要だめ」

要約

 教師の多忙化の要因となっている部活動顧問のあり方についてただした日本共産党の吉良よし子議員の国会質問(4月21日、参院文教科学委員会)が大きな反響を呼んでいます。質問を短くまとめた動画は30日現在、6万3千回以上再生され、現場の教師から「勇気づけられた」「教師の悩みを代弁してくれた」など多くの感想が寄せられています。

 部活動顧問について文科省は「必ずしも教師が担う必要のない業務」としています。しかし実際には、家庭の事情を伝えても断れず、断ったことで管理職からパワハラに遭うといった事態が横行しています。

 吉良氏は国会で、教師からの聞き取りをもとに「必ずしも担う必要のない部活動の顧問をむりやり押し付けるようなことはやめるべきだし、ましてや顧問を断ったことを理由にしたパワハラはあってはならない」と主張。末松信介文科相は「顧問の決定にあたってパワハラをすることはあってはならないし、絶対に許せないこと」と述べました。

 吉良氏は、2018年のスポーツ庁や文化庁のガイドラインで1週間の部活動の上限が660分とされたのに、新型コロナウイルスの影響で部活動が縮小した21年でも基準以内に収まった都道府県が男子で2割、女子で3割にとどまっていると指摘。特に大会やコンクール前に部活動の時間が長くなる傾向があることを示し、勝利至上主義に偏った部活動のあり方とともに、大会やコンクールの縮小・廃止を検討すべきだと訴えました。

 末松氏は、大会やコンクールが練習の過熱化を招き、勝利至上主義による行き過ぎた指導の一因となっていることを認め「ご意見も踏まえてしっかりと対応していきたい」と表明しました。

 吉良氏に対する末松氏の答弁に、現場の教師からは「通達にして教育委員会や学校に伝えてほしい」「通達を1秒でも早く全国の学校に」など、部活動の押し付け是正を求める声が上がっています。

しんぶん赤旗2022年5月1日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 本日は、教員の多忙化の原因ともなっている学校での部活動について聞きたいと思います。
 二〇一六年度の教員の勤務実態調査によれば、中学校において、土日の勤務時間のうち部活動、クラブ活動の時間がやっぱり長くなっていると。この部活動が先生の多忙化、長時間労働の一因となっているのはもはや明らかだと思うわけです。
 そうした背景も踏まえながら、二〇一八年三月に運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン、また同年十二月には文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインが策定されて、その中で、適切な休養日等の設定として、学期中は週当たり二日以上の休養日を設けることとされ、さらに、一日の活動時間も、長くても平日で二時間程度、週末含む学校の休業日は三時間程度とされているわけです。
 じゃ、実態はどうなのかと。資料を御覧ください。
 これ、全国体力・運動能力、運動習慣等調査ですが、ここで中学生たちが一週間の間に部活動で活動した実際の時間を調査、集計しているわけですが、ガイドラインにのっとれば、休日を含めた一週間で活動できる上限の時間というのは六百六十分、つまり十一時間ということなんですが、そのガイドラインで示した活動時間以内の時間で活動ができている都道府県、政令市というのはこの調査で幾つになっているのか。直近の調査である二〇一九年度と二〇二一年度、それぞれお答えください。

スポーツ庁次長(串田俊巳君)

 お答えいたします。
 運動部活動におきます休養日及び活動時間につきましては、御指摘ありましたとおり、文科省の平成三十年に策定いたしました運動部活動のガイドラインにおきまして、週当たり二日以上の休養日、それから一日の活動時間は、長くとも平均、あっ、平日二時間程度、休業日で三時間程度としております。こうなりますと、一週間当たりが十一時間以内というのが計算になりまして、部活動時間の基準となるというものでございます。
 先生御指摘のとおり、文科省が実施している調査によりますと、この基準以内の活動時間となっておりますのは、二〇一九年度の調査におきましては、男子が都道府県では三県、政令市一市、女子が都道府県二県、政令市一市、二〇二一年度につきましては、男子が都道府県では十一県、政令市では七市、女子が都道府県では十三県、政令市では九市という状況になってございます。

吉良よし子

 これ、中学生に聞いた調査なので男女別ということになっているわけですけれども、大体、令和元年、二〇一九年と、二〇二一年、令和三年度比べると、コロナの影響もあるのか多少の改善は見られるわけですけれども、ただやっぱりまだ大半の都道府県、政令市でこの十一時間を超える時間の部活動がコロナの下でも行われているというのが現状、実態なわけですね。
 私、このガイドライン、文科省のガイドラインに沿って各都道府県や市町村、学校において方針が定められていると、それを調べてみましたけれども、見てみたら、多くの場合、大会前等校長が必要と認めた場合は、保護者の了承の上、部活動を行うことができると。要するに、大会前は例外として休養日設けなくていいよと、長時間の練習を行ってもいいよということにしている方針定めているところが大半なんですね。
 じゃ、実際どうなるかというと、例えば、コロナ禍で大会開催ができないんじゃないかという状況でも、ぎりぎりまで大会の中止を決めない下で、大会前の期間だからということで練習時間が延ばされてしまったとか、中には、大会中止になっても、市内の同じ部活の先生方で相談して、わざわざ試合とか大会を新たに設定するなどしてその長時間の練習時間を確保するということで、例外が例外とならず、常に長時間の部活動が行える状況になってしまっているという例もあると聞いているわけです。
 もちろん、大会前に一定の練習時間が必要ということも理解はするわけですけれども、ただ、こうして大会ばっかりどんどん新しいものも含めてあってしまっては、子供たち、先生方が必要な休養を確実に取れなくなってしまうと。このガイドラインの趣旨に沿って適切な休養等を取れるように、やはりこうした大会、コンクールの在り方を見直す、できるだけ回数減らすなど、縮小、廃止、検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

文部科学大臣(末松信介君)

 中学校等の生徒向けの大会につきましては、日頃の練習の成果を発揮する貴重な機会でございますので、特に全国大会については、高いレベルの生徒が切磋琢磨して、優れた才能を有する者の早期発掘や競技力向上にはかなり寄与はいたしてまいりました。しかし一方で、発育の発展途上にある生徒にとりまして、練習の過熱化を招いて、勝利至上主義による行き過ぎた指導の一因となることもこれは大きな課題でございます、指摘されてきました。
 御指摘の大会の縮小等につきましては、文部科学省では、平成三十年度に、平成三十年ですね、部活動のガイドラインを策定しまして、生徒や顧問の過度な負担とならないよう、日本中学校体育連盟は、大会の規模若しくは日程等の在り方などに関する見直しを速やかに行うこと、都道府県中学校体育連盟及び学校の設置者は、大会等の統廃合等を主催者に要請することなどを求めております。加えて、運動部活動の改革を推進するため、昨年十月に有識者会議を設置をいたしまして、大会等の在り方も含めて議論をいただいているところです。
 今後は、五月を目途に取りまとめていただく提言を踏まえて、生徒にとってふさわしい大会等の実現に向けて、先生の御意見も踏まえてしっかりと対応していきたいと思います。

吉良よし子

 検討ということなんですけれどもね、いや、本当に大臣おっしゃったとおり、大会ばかりで競争をあおるような勝利至上主義に偏重してしまうような部活の在り方というのは、本当に子供にとっても負担になっていると。要するに、スポーツや文化に単純に楽しんで親しんでという部活じゃなくって、もう厳しくつらい部活となって、それで嫌になったなんという声も聞くわけです。
 実際、大会自体の先生方への負担というのもかなり重くて、単純に引率するだけではなくって、公式戦は参加者の名簿の起案など事務作業も多く大変です、もう年に一度ぐらいでいいという声もありますし、若しくは、関連する大会への役員としての動員が多いと。だから、審判の方の人数不足もあって、引率しない大会の役員として行かなきゃいけない場合もあって、もう週末が全部潰れてしまうなどの声もあるわけで、やっぱり本当に、見直しということを言われましたけど、大会の数を減らしていく、特に地域の大会を減らしていくためにも全国大会の数自体もやっぱりちゃんと見直していくということ必要だと思いますが、もう一度、大臣、方向性お願いします。

○政府参考人(串田俊巳君)

 お答え申し上げます。
 大会の在り方の見直しなどにつきましては、先ほど御答弁申し上げました今年五月にまとめようとしております検討会議の中におきましても、大会の在り方そのものを考えるべしといったような資料を出して議論しております。その中で、大会の数の上限の話とか、あるいはどんな大会を持つのがふさわしいのかといったような議論もなされておりますので、そういった提言が取りまとめられるというふうに考えております。
 お答え申し上げます。
 大会の在り方の見直しなどにつきましては、先ほど御答弁申し上げました今年五月にまとめようとしております検討会議の中におきましても、大会の在り方そのものを考えるべしといったような資料を出して議論しております。その中で、大会の数の上限の話とか、あるいはどんな大会を持つのがふさわしいのかといったような議論もなされておりますので、そういった提言が取りまとめられるというふうに考えております。

吉良よし子

 数についても議論されるということですので、是非、一定、縮小というか、多過ぎるものではなく、精選していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 やはり、こうした日々の練習、大会含め、この部活動の今の在り方というのが特に教員にとって多大な負担になっているわけですが、この部活動というのはそもそも教員の業務としてどういう位置付けなのかと。必ずしも教員が担う必要のない業務だと思うんですが、それで間違いないかどうか、端的にお答えください。

政府参考人(串田俊巳君)

 お答え申し上げます。
 部活動の位置付けでございますけれども、まず、学習指導要領上におきましては、中学校の学習指導要領の総則におきまして、生徒の自主的、自発的な参加により行われるものとされておりますし、意義としては、学習意欲の向上、責任感、連帯感の涵養等、有意義な活動であったというふうに考えております。
 一方で、部活動が教員の献身的な勤務によって支えられているということも事実でございまして、休日を含めた部活動指導、それから競技経験がないのに指導しなきゃいけないといったような状況もあって、教師にとって大きな業務負担になっているということも事実でございます。
 部活動の設置、運営は法令上の義務ではないということでございまして、平成三十一年の中央教育審議会の答申におきましては、部活動指導は必ずしも教師が担う必要のない業務とされているところでございます。

吉良よし子

 必ずしも教師が担う必要のない業務とされているということなわけです。実際、見ていると、指針等を見てみると、各教員の抱える事情等も踏まえつつ調整していくものだということもあるわけですが、ただ、現場の声を聞くと、子供が小さいので無理だと伝えても、結局、正顧問にされてしまったという声も聞くわけですし、若しくは、介護や育児のない若い未婚の先生に対しては、もう有無を言わさず押し付けられてしまうという事例もあると聞いていますし、また、勇気を出して、もう私は顧問やりませんと断ったら、それによってパワハラに遭っているなどという、そういう声も聞きました。
 やっぱり、この必ずしも教員が担う必要のない部活動をやはり嫌だという教師に無理やり押し付けるようなことというのは、部活動の顧問無理やり押し付けるようなことはやめるべきであるし、ましてや、その顧問を断ったことを理由にしたパワハラなんというのはあってはならないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

文部科学大臣(末松信介君)

 先生御指摘のように、部活動の顧問の決定に当たりましてパワハラをするようなことはあってはならぬし、もう絶対許せないことでございます。
 文部科学省、平成三十年策定しました部活動のガイドラインでは、校長は、運動部の顧問の決定に当たっては、校務全体の効率的、効果的な実施に鑑み、教師の他の校務分掌や、部活動指導員の配置状況を勘案した上で行うなど、適切な校務分掌となるよう留意するとされております。
 こうした部活動指導の分担を決めるに当たっては、一般的には校長から各教員に対して事前に説明を行います。そして、各教員の抱える事情等も踏まえつつ調整が行われているものと考えておりますが、先生御指摘の事案があったとしたら本当に大変遺憾なことでございます。
 文科省としては、各学校の校長においてこうした配慮をしつつ、学校全体として適切な指導や運営及び管理に係る体制の構築が図られるよう、様々な機会を捉えて徹底、周知徹底してまいります。

吉良よし子

 そうした部活顧問を断ったことを理由にしたようなパワハラ等は、若しくは押し付けはあってはならないという御答弁でしたので、是非それ徹底していただきたいと思います。
 一方、そうした教員が部活動を顧問担わない代わりにということで部活動指導員の配置なども始まっているわけですが、今年度、全国で一万一千二百五十人の配置で、中学校単位で見れば一校に一人の配置にすぎないわけです。若しくは、休日の部活動の手当というのもちょっとは引き上げられたわけですけれども、それ一日三千円が三千六百円に引き上げられただけということで、まだまだ安いし、全国、学校、部活動、学校に一つあるわけじゃなくて複数あるわけで、そういう意味では、こうした部活動指導員、負担軽減に活用するという意味ではまだ少ないと思いますし、手当も少ないし、そうした教員の負担軽減とともに、こういう部活動の予算そのものはもうちょっと引き上げていく必要が負担軽減のためにもあるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

文部科学大臣(末松信介君)

 教師に代わりまして指導や大会への生徒の引率を行う部活動指導員の予算につきましては、ここ数年着実に増額されておりますが、令和四年度予算においては対前年度比で一億円増となる一万一千二百五十人の部活動指導員の配置に必要な予算十三億円を計上してございます。
 また、これから、この部活活動指導の手当の在り方につきましては、この部活動の地域移行への状況、この状況を踏まえながら、しっかりと検討いたしてまいりたいと思ってございます。

吉良よし子

 予算増やしていると、そして地域移行も進めるという話もありましたけれども、この地域移行を進めるというんですけど、これにだって予算がなければ受皿は整備することできないわけですよ。下手したら保護者負担や子供たちの負担が増える可能性もあるわけで、やはりそういうことはあってはならないと思うわけです。
 子供たちにとって部活というのは、やっぱり廉価で気軽にスポーツや文化に触れる機会、貴重な機会であり、友情を育んだり、人間関係学ぶとか、その年代の自治活動としても本当に積極的な意義があるものだと私自身も思っているわけです。しかし、現状の大会や試合が乱立する、まあ勝利至上主義に偏ってしまうとか、必要な予算が足りないまま現場の教員に多大な負担と責任を強いるみたいなやり方では本当に現場の大きな負担になるし、子供たちにとっても負の影響というものが起きてしまうと。
 やはりこれ、今の現場、現状の部活のやり方、先生方に負担を強いるような今のやり方は改めて抜本的に見直していくべきと思いますが、最後、大臣、いかがでしょう。

文部科学大臣(末松信介君)

 現場で地域からの応援で部活の顧問おられますけれども、学校内で指導してくださいという方と、引率まで認めてもらえる先生、二手あるんですよね。やっぱりそれは手当の問題等もあると思います。そういう面では、いろんな点を見ながら、よく、今先生の御意見いただきましたので、これはもう全体に当てはまる話でございますから、検討いたしてまいります。

吉良よし子

 是非お願いいたします。終わります。