【参考人質疑】戦争解決へ「日本が平和発信を」
要約
参院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会は8日、「ロシアのウクライナ侵略による新たな局面と資源エネルギー情勢」をテーマに参考人質疑を行いました。
日本共産党の吉良よし子議員は、共産党はロシアによるウクライナ侵略はもちろん、旧ソ連によるチェコスロバキア、アフガニスタンへの武力侵略も毅然(きぜん)と批判し、即時撤退と民族自決の尊重に基づく平和的解決を求めてきたと紹介。「戦争を解決するために、日本政府が果たすべき役割とは何か」と質問しました。
廣瀬陽子慶大教授は「日本共産党が非常にすばらしい立場で、ソ連・ロシアの暴挙に対応してきたことを改めて認識した。日本がG7(主要7カ国)議長国として平和的メッセージを発信することが大事だ」と答えました。
吉良氏は、敵基地攻撃能力の保有など岸田政権が強行しようとしている戦争国家づくりのもとで、原子力施設が攻撃される危険性について質問。白石隆熊本県立大学理事長と大場紀章ポスト石油戦略研究所代表は「最悪の事態に備え、(原子力施設を)堅牢(けんろう)にしておくしかない」などと述べ、危険性は否定しませんでした。
議事録
吉良よし子
日本共産党の吉良よし子です。
今日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見聞かせていただいて、どうもありがとうございます。
それでは、初めに廣瀬参考人に、この今の戦争を止めるために日本が果たすべき役割について伺いたいと思うんですが。
ロシアによるウクライナ侵略が始まってからもうすぐで一年がたとうとしているわけですが、このロシアの侵略行為というのは、世界の平和と進歩への逆流となる大国主義、覇権主義によるものであり、絶対に許すことはできないと思うわけです。そもそもロシアは旧ソ連の時代から、スターリンを始めとした歴代指導部による他民族への侵略、抑圧、繰り返した歴史があるわけです。私たち日本共産党は、創立から百年の間、こうしたロシアやソ連も含むいかなる大国の覇権主義も許さない立場に立ってきました。今回のロシアの暴挙に対してはもちろん、旧ソ連によるチェコスロバキア、アフガニスタンに対する武力侵略に対しても毅然と批判をして、即時撤退と民族自決の尊重に基づく解決を求めてきたところです。
そして、あらゆる紛争を平和的手段で解決することを目指すべきだというのが我が党の主張なわけですが、昨年十月の国連総会でも、ウクライナの主権と領土の保全の尊重を大前提に、緊張緩和や政治的対話、交渉、調停及びその他の平和的手段による平和的解決を支持することを各国政府などに求めるその国連決議に過去最高の百四十三か国が賛同しました。
やはり、今この戦争を止めるためには、こうした国連憲章の立場に世界各国が団結して、その決議に基づいた平和的な解決に向けて努力することが重要じゃないかと思うわけですが、参考人はこの平和的解決のために日本が果たすべき役割というのをどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
慶應義塾大学総合政策学部教授 廣瀬陽子君
御質問ありがとうございます。
非常にすばらしい立場で共産党さんもこれまでソ連、ロシアの暴挙に対していろいろな対応をされてきたということを改めて認識いたしましたけれども、やはり今回のことにつきましては、ロシアはロシアの論理でというところがありまして、今民族自決ということをおっしゃいましたけれども、まさにロシアが今回ついているのはそこなんですね。
ウクライナ東部二州の住民の、つまりロシア語話者の人たちがウクライナのネオナチに、まあネオナチではないんですけれども、にじゅうりんされているというところから戦争が始まっていて、そういう意味では非常に厄介な価値の分断ということがございまして、やはりその価値の問題が今御質問になった点の非常に大きな部分を占めているように思います。
というのは、国連のいろんな決議で、全ての決議において、ロシアに対してかなりの多くの国がロシアの非常に蛮行に対してノーを突き付けたというのは明らかなことなわけなんですけれども、ロシアに関わるその国連決議、四回見ていきますと、その三回目が、その価値に関わるところがありまして、つまり、ロシアを人権委員会から外すかどうかという決議についてはかなりの国が反対をしているんですね。となりますと、ロシアのその力による現状変更には反対だけれども、価値観をめぐるところについては触れたくないという国がいかに多いかということがそこからも見て取れるわけです。
やはり世界全体がその平和的に解決というところになりますと、その価値の問題からしてある程度我々のその価値とか法の支配とか、そういうものを共有できる段階というのが来ないと世界での平和というのはなかなか望めないと。それがない限りやはりいろんな分断というのが続いていってしまうのではないかと思うわけですが、そういう中でも日本ができることというのは、今年、今、日本はG7の議長国でありますし、日本がその発信できるメッセージ、今年は非常に多い年になると思います。
そういう際に、やはり日本がこれまで、日本も歴史的に間違いを犯したこともありました。そういう日本が今はこうやって平和を訴えているんだというところからして、やっぱり世界に訴えていくということが大事ですし、ウクライナの戦争については日本は武器の供与もできないですし、やれることは限られていますけれども、ウクライナを強くサポートする、サポートするに当たってG7を中心とした価値を共有する国々との連帯を強くしてそれを世界に見せていく。そしてウクライナについては、現状を支えることと、あと、戦後復興の問題でやはり日本は一番大きなプレゼンスを示せると思いますので、その辺を含めた形で世界に訴えていくということが大事なのではないかと思います。
吉良よし子
ありがとうございます。大変参考になりました。
次に、白石参考人、大場参考人、廣瀬参考人、三人の皆様それぞれ、全てにお聞きしたいと思うんですが。
先日、二月六日の衆議院の予算委員会で、我が党の穀田議員の質問に、防衛大臣が、日本が集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行い相手国から報復攻撃を受けた場合、日本に大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できないということを答弁、認めました。そういう大規模な、日本に大規模被害が起きるような攻撃を起こさない、そのための外交努力っていうのはそういう意味でも本当に大事だと思うわけですが、もし万が一、防衛大臣も認めたような大規模な被害が日本で起きてしまったと、もし他国から攻撃を受けるような事態に陥った場合、どういう被害が想定できるかというところでいえば、例えばロシアが昨年の侵略開始直後、稼働中のサポリージャ原子力発電所を攻撃した、このことは本当に衝撃だったと思うわけです。
万が一、日本が他国から攻撃を受けるような事態になった場合、このウクライナのように原子力施設が攻撃される可能性否定できないのではないかと思いますが、この原子力施設に対する武力攻撃の可能性や危険性について、参考人の皆様どのようにお考えか、お聞かせいただければ幸いです。
会長(宮沢洋一君)
時間も限られておりますので、ごく簡潔にそれぞれお答えいただけますか。
白石参考人。
公立大学法人熊本県立大学理事長 白石隆君
大規模な攻撃で原子力発電所が対象になる、ターゲットになる可能性っていうのはもちろん否定できません。ですから、最悪の事態を考えてできる限り堅牢にしておくということがやはり国としての責任だろうと考えます。
合同会社ポスト石油戦略研究所代表 大場紀章君
原子力に限らず、どこも大規模な攻撃を受ける可能性があるというふうに思いまして、特に心理的な影響は大きいかもしれませんけれども、そうですね、白石参考人と同じですね、守る方法を重視する以外に方法はないというふうに考えます。
参考人(廣瀬陽子君)
ちょっと別の見地から発言させていただきたいんですけれども、何も戦争が起きなくても原発は常に危機にあります。
例えばですけれども、サイバー攻撃が原発に仕掛けられた場合に、非常に未曽有の災害がそこから起きる可能性というのはありますし、誰がやったのかも分からないままに原発が突然止まるという可能性というのも常に日本は考えて、サイバーの面などでも非常に注意して準備をしておくということが大事だと思います。
吉良よし子
大変ありがとうございました。
やはり原発というのは様々な危険性が伴う施設だなということを感じました。どうもありがとうございました。
以上です。終わります。