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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

【原子力規制委員長に質問】原発運転期間延長「規制と推進の分離の原則に反する」

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は22日、参院資源エネルギー・持続可能社会調査会で、原発運転期間を延長する原子炉等規制法改定案を原子力規制委員会が政府方針にしたがって了承したのは「規制と推進の分離の原則に反する」と批判しました。

 同改定案は、原子力発電所の運転期間を現行の原則40年、最長60年から、60年を超えることを可能にする新制度を盛り込んだもの。規制委員会が13日に委員1人の反対を押しきって了承しました。吉良氏は「政府の方針ありきでないか」と質問。山中伸介規制委員長は「法改正の方針を念頭」にしたものだと答弁し、今国会への法案提出を前提とした議論だったと認めました。

 また吉良氏は、制度変更を議論する前に、原子力規制庁担当者と原発推進側の経産省資源エネルギー庁の担当者が7度にわたって面談したことについても「規制と推進の分離にかかわる重大問題だ」と指摘し、資料の公開を求めました。

 吉良氏は「運転期間は利用政策なのか」と質問。山中氏は2020年の見解で「運転期間は利用政策と整理した」と答弁。吉良氏は12年の規制法改定で「運転期間は規制政策という観点から原則40年と決めた」と指摘。20年の見解は、事業者から運転停止期間を運転期間から除外してほしいと要望されたことを受けての対応で、すでに取り込まれているとして、「福島第1原発事故の反省がなくなってしまっている」と批判しました。

しんぶん赤旗2023年2月24日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 東京電力福島第一原発事故からもうすぐで十二年がたとうとしています。あの原発事故、最大の教訓は何かといえば、やはり、今日委員会で規制委員長もおっしゃられた推進と規制を分離するということだと私は思います。今、岸田政権が原発回帰への大転換を進めていますが、こういう今こそ政府から独立した機関として生まれた原子力規制委員会がその役割が果たせるかどうかが問われていると思うわけです。
 ところが、二月十三日、先ほど来指摘があるとおり、規制委員会は、原発の運転期間を六十年超えても運転できるようにすると、可能にするという政府の方針を受けて、新しい規制制度を賛成多数で決定して、原子炉等規制法の改正案も了承したということです。これに反対した石渡明委員は、この改変は科学的、技術的な新知見に基づくものではない、安全側への改変ではない、審査を厳格にすればするほどより高経年化した原子炉が動くということを表明されました。また、先週の参考人質疑で、大島堅一参考人も、利用側の方がまずあって、その下で原子力規制があるという在り方に転換するものではないかとの指摘もありました。そのとおりだと思うわけです。
 しかも、その重大な方針転換を決める方法、やり方にも問題があったんじゃないかと言わざるを得ないと私は思うんです。先ほど鬼木委員からもありましたけど、規制委員会で制度変更に賛成した杉山智之委員であっても、締切りを守らなければいけないようにせかされて議論してきたと、我々は独立した機関であって、じっくり議論すべきだったとおっしゃっているわけです。山中委員長自身も、記者会見の中で、法案のデッドラインがあるので仕方がなかったというふうに述べられているわけで、これはつまり、やはり法案を今国会に提出するという政府の都合を優先した、結論ありき、日程ありきの決定だったんじゃないかと、議論だったんじゃないかと思うんですけれども、いや、もし日程ありきじゃないとすればもっと徹底的に議論することだってあったと思うんですが、その日程ありきだったのではないかという点、規制委員長、いかがでしょう。

原子力規制委員会委員長(山中伸介君)

 原子力規制委員会では、高経年化した発電用原子炉の新たな安全規制について、四か月の期間を掛けて九回にわたり五人の委員で議論を行ってまいりました。安全規制に関する法案を国会に提出するという、そういう方針の下で、この検討を十月五日から継続的に行ってきたわけでございます。
 本年二月八日の原子力規制委員会では、新たな制度を取りまとめるに当たって一部の委員から反対の意見が出ました。議論を深めるために、その場での採決はいたしませんでした。その上で、二月十三日の原子力規制委員会で、再度新たな制度について、加えまして条文についての議論を行いましたが、新たな安全規制の科学的、技術的な論点ではなく、運転期間の定めについて原子力規制委員会が意見を述べるべき事柄ではないとした令和二年の見解について根本的な考えの相違があることが分かりました。そのため、私としては、合議制の下、多数決により今回の新制度案を決定することといたしたものでございます。
 また、御指摘のように、一部の委員から技術的な詳細についてもっと議論をしたかったという意見もございましたけれども、これまでの高経年化技術評価を土台とするということはこれまで議論をしておりますので、その上で、こうした技術的な詳細については、法律ではなくて規制やガイド等に、規則やガイド等に委ねられているのが一般であると認識しております。
 そのため、二月十五日の原子力規制委員会において新たな検討チームを立ち上げまして、委員の皆さんが参加の下、公開の場で引き続き丁寧に議論を続けていきたいと考えております。

吉良よし子

 要するに、やはりもう法改正ありきの方針の下で、そういう方針があるという下で議論を進められていたということもおっしゃっていたわけですし、二月十五日に検討チームを立ち上げてと、今後そこでも議論していくということをおっしゃっていますけれども、でも、そこで幾ら議論しても、結論変わらないわけですよ。
 今回の制度変更を決定したこと、そして法改正、改正法案について了承したという規制委員会の結論は変わらないわけで、もし本当に徹底的に議論するのであれば、見解の異論を始めですね、その根本的な、その運転期間というのは規制政策なのか利用政策なのかというところから徹底的に議論することだってあったと思うし、その議論が終わるまでは法案提出はできないんだと政府に言うことだってできたと思うわけですよ。それをしないでもう採決に踏み切ったということが、もう結論ありきだし、やっぱり政府の都合を優先したやり方であり、各社説でも、規制委員会の存在意義が揺らぐ、独立性疑うなどと言われるような、規制委員会の独立性、規制と分離の原則を投げ捨てた対応だとしか思えない状況だと私は言いたいと思うわけです。
 しかも、問題は、この規制委員会の採決、多数決の方法だけではなくて、この制度変更を規制委員会で議論する前、七月二十八日から合計七回にわたって、原子力規制庁の担当者と、そして推進側の経済産業省資源エネルギー庁の担当者と非公開の事前協議を繰り返したと、これが昨年末明らかになったわけですが、これも規制と推進の分離に関わる重大問題だと指摘したいと思うわけです。
 配付した資料ですが、年末に規制庁が公表したこの面談に関わる経緯なわけですけど、これによると、この面談、最初に持ちかけたのは経産省資源エネルギー庁の方だということですが、資源エネルギー庁、最初にこの面談を規制庁に持ちかけた理由、これ簡潔に述べてください。

資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官(南亮君)

 お答え申し上げます。
 まず、昨年七月二十七日に開催されました第一回GX実行会議におきまして、岸田総理から、原子力発電所の再稼働とその先の展開策など具体的な方策について政治の決断が求められる項目を明確に示してもらいたいとの御指示がございました。
 これを受けまして、経済産業省では、原子力規制委員会が令和二年七月に決定した運転期間の定めは利用の在り方に関する政策判断との見解も踏まえ、総理指示を踏まえた項目案の一つとして、原発の運転期間に係る制度の在り方についての検討を開始しました。こうした利用政策の観点からの検討状況について関係省庁への事務連絡の一環として情報提供等を行うため、打合せを提案したものでございます。
 なお、原子力安全規制の内容は原子力規制委員会において検討するものでございまして、その在り方について経済産業省から具体的な意見の申入れ等を行った事実は全くございません。
 以上でございます。

吉良よし子

 つまり、この面談自体、GX実行会議の総理指示から出発しているということで、まさにこれを官邸主導、結論ありきと言うんじゃないのかと。そういう下で法改正が進められてきたと。
 規制庁にも伺いたいと思うんですね。
 この原発推進政策を決める経産省側、資源エネルギー庁側から、規制庁の所管する原子炉等規制法の改正に関わる、それも、にも関わる内容についての面談を持ちかけられたとき、なぜ断らなかったのかと。しかも、面談録すら取らなかった。年末に問題指摘されるまで公表もしていなかった。これはなぜなのか、お答えください。

原子力規制委員会原子力規制庁原子力規制部長(大島俊之君)

 お答え申し上げます。
 規制庁と資源エネルギー庁の昨年七月からの面談につきましては、先ほど資源エネルギー庁からも答弁がございましたけれども、昨年七月二十七日にGX実行会議が開催され、翌二十八日に資源エネルギー庁から、GX実行会議での総理指示を踏まえ、原子力発電所の運転期間の見直しに関して、経済産業省として原子炉等規制法を含む束ね法案の検討を開始した旨が原子力規制庁に伝達されたものでございます。
 経済産業省での運転期間の見直しに関する検討は、原子炉等規制法を含む法改正となる可能性があることから、事務方としては、その方向性や検討の進め方などの情報伝達を受け、原子力規制に関する準備作業が必要であると考え、昨年七月末以降、資源エネルギー庁から報告される内容を聞きおいたり、規制委員会の所掌に関することを先方の作成資料の案から除くためのやり取りをしていたというものでございます。
 したがいまして、我々といたしましては、安全規制の内容について調整するというものではなかったものですので、面談など、面談録などを残さなかったというものでございます。

吉良よし子

 あくまでも情報伝達であったから問題ないと思っていたと、そういうお話なわけですけど、幾ら情報伝達のみといっても、やはり規制庁は規制側であって、経産省資源エネルギー庁というのは利用政策を進める推進側なのですよ。やはり、そういう規制側と推進側が面談するということ自体やっぱり異常だし、やっぱりそういう面談をするのであれば面談録を作るのが当然で、それすら作らなかったこと自体が大問題だと、私反省していただきたいと思うんですよ。だから、以降は規制庁と資源エネルギー庁が面談する際には面談録作りましょうねと、そう変えましたと先ほど規制委員長もおっしゃられたわけですけれども、やはりそこが大問題だということは認識していただきたいと思います。
 そして、この面談に関わって作られた規制庁の資料、二月三日に公開されました。これも私見ましたね。けれども、これ、中身見てみたら大半黒塗りになっているわけです。これ、公開した資料の黒塗りの部分、なぜ黒塗りなのか。問題ない面談だったというなら全て公表すべきじゃないですか。

政府参考人(大島俊之君)

 お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、情報公開法第五条第五号におきます、国の機関の内部又は相互間における検討等に関する情報で、公にすることにより、率直な意見の交換が、交換が不当に損なわれたりするおそれ、また不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合等については不開示情報に該当するとされているところでございます。
 今回公表しております事務方において作成した文書のうち不開示情報に該当する部分につきましては、相当未成熟な内容で、それがあたかも規制委員会の考えであるかのように誤解されると国民の間に混乱を生じさせるおそれがあると判断をしたところでございます。
 また、今回事務方が作成した文章は、職員が幹部の了承を得るための目的ではなく、議題を提供して幅広くアイデアを出し合ういわゆるブレーンストーミングのために作成をしたというものでございます。このような資料まで開示をすることで職員間の忌憚のない意見交換を萎縮させる効果が生じてしまうということも留意する必要があると考え、今回黒塗りにさせていただいたところでございます。

吉良よし子

 この情報公開法第五条第五項の不開示情報に当たるからということなんですが、事前のレクでは、要するに、その情報公開法第五条第五項に当たるというのは、つまり法案の検討事項に当たるからと。法案になる前の事前の情報が様々、検討段階の情報があるから、その検討段階の情報が様々国民に公開されたら国民に混乱を生じさせるからその法案検討段階の情報は公開できないんだと。そういう理由だったんですね。つまりは、法案の中身というのがこの面談の中で議論がされていた、俎上に上がっていたということになるんじゃないかと私は思うんですけれども。
 実際、一方、この規制庁は少なくともこうして資料は公表しているんですが、この資料の中に経産省側が作った資料というのは一切ないんですね。それなぜなんでしょうか。経産省は面談の経緯、資料、記録、なぜ公開しないんですか。お答えください。

政府参考人(南亮君)

 お答え申し上げます。
 先生御指摘の事務方の面談については、運転期間の在り方に関する利用政策の観点からの検討状況を、日常的な事務連絡などを通じて原子力規制庁を含む関係省庁への情報提供を行ってきたものであります。こうした関係行政機関との日常的なやり取りを一つ一つ公開するルールというのはございません。
 また、面談において、原子力規制委員会が検討する原子力安全規制の在り方について経済産業省から具体的な意見の申入れ等を行った事実はございません。
 このため、現時点で、経済産業省として経緯や資料を公開する必要性はないと考えているところでございます。

吉良よし子

 公開されないと、予定もないとおっしゃるわけですけど、つまり、もう説明する気もないということが私、問題だと思うんですよ。
 先ほど来、規制に関しては私どもは意見はしておりませんと資源エネルギー庁おっしゃいますけれども、本当にそうだったのかどうだったのか、資料もない下で判断できないじゃないですか。やはり問題なかったというんだったら、資料を全部つまびらかにするべきですよ。
 会長、是非この調査会に、この七回にわたる面談に関わった規制庁そして資源エネルギー庁の作成した資料等の提出、黒塗り部分を、黒塗りを外したものを提出していただくよう求めます。

会長(宮沢洋一君)

 後刻理事会で協議いたします。

吉良よし子

 規制委員長に伺いたいと思うんです。
 やはりこれ、面談の記録を見ていても、その出てきた資料の中でも、先ほどの御説明でもありましたけど、来年の常会に、まあ昨年時点ですけど、来年の常会にそのエネ関連の束ね法を出すんだと、電事法と炉規法、炉規制法を束ね法で出すんだと、そういうことまで書いているわけですよね。
 もう法案、その原子炉等規制法と電気事業法を一緒に出すんだということを書いているんですけど、そもそも、この原発の運転期間を定めた原子炉等規制法というのは原子力規制委員会の所掌でしょう。つまりは、運転期間というのは経産省の所管ではないですし、あくまでも現時点では規制政策の範囲だと思うんですけど、やはり、それを乗り越えて運転期間について経産省の側が提案するというのは、やっぱり分離の原則を踏み越えた話だと思いますし、おかしいと思うんですけど、委員長、この運転期間というのはあくまでも現時点では規制政策ではないんですか。

政府特別補佐人(山中伸介君)

 お答えいたします。
 運転期間の考え方につきましては、既に、三年前の令和二年七月二十九日の原子力規制委員会において、今回、高経年化した原子力発電所の安全規制に関する制度についての案について反対された委員も賛成された上で全員一致で決定をしたものでございます。そのとき決定された内容といいますのは、運転期間については原子力の利用政策側が判断すべき事柄であって、原子力規制委員会が意見を申し述べるべき事柄ではないということでございます。
 その上で、原子力規制委員会の役割は、科学的、技術的な観点から基準を定めて、個々の施設がその基準に適合しているか否かを審査をし、検査を通じた監視を実施することに尽きると考えております。
 運転期間の延長認可制度について言いますと、運転開始後六十年を超えた発電用原子炉については、規制委員会がたとえ基準に適合していることを確認したとしても、現行法上、発電用原子炉の運転は認められません。すなわち、この仕組みは発電用原子炉をどの程度の期間にわたって運転するかを認めるというもので、まさに利用政策の判断にほかならず、規制委員会で判断するものではないということでございます。
 原子力規制委員会としては、運転期間に関する……(発言する者あり)

会長(宮沢洋一君)

 どうぞ続けてください。

政府特別補佐人(山中伸介君)

 はい。
 原子力規制委員会としては、運転期間に関する利用政策上の判断がどうあれ、高経年化した発電用原子炉の安全規制を厳格に行っていくことができるよう、新たな制度案を検討してまいりました。今回の制度案の内容については、経済産業省が主導して検討したという事実はございません。
 いずれにしても、規制委員会としては、引き続き、専門的知見に基づき中立公正な独立した立場で高経年化した発電用原子炉の安全規制を厳格に行ってまいります。

吉良よし子

 聞いていないことに答えないでいただきたいんです。私が聞いたのは、運転期間というのは規制政策じゃないのかということについてお聞きしました。それについて委員長は、その令和二年の見解で運転期間というのは利用政策だと整理をしたんだと御答弁になった。それで結構だったのに、それ以上のことは答えていただかなくて結構だったわけです。
 確認しますけど、そもそも、三年前にそう整理したって言いますけれども、そもそも二〇一二年の原子炉等規制法の改正で運転期間について四十年と定めたのは、運転期間は規制政策という認識があったからというのは当時の議事録を見れば明らかなんです。なのに、令和二年にそうした見解を出したのはなぜか。これは、発電事業者側から運転停止期間を運転期間から除外してほしいと要望が再三出された、それを受けての対応だったと。それはこの見解にも書かれておりますよ。
 それこそが私、規制委員会最大の過ちであり、まさに推進に取り込まれた対応だったんじゃないかと。だから、今、規制委員会の中でも改めてその見解についての異論が出ているわけでしょう。そこに福島第一原発の事故の反省がなくなってしまっていると、忘れられてしまっていると、このこと強く指摘しまして、質問を終わります。