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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

【参考人質疑】クリーンエネルギーの危機ではない/SDGs基本法が必要

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は、4月12日に開かれた参院資源エネルギー・持続可能社会調査会で、エネルギーや気候変動などSDGsをめぐる日本の情勢について、参考人に質問しました。
 東京大学未来ビジョン研究センターの高村ゆかり教授は、吉良氏の質問に対し「クリーンエネルギーの危機ではない」と述べ、再生可能エネルギーなど技術導入は格段に進んでいると強調。中長期的に輸入依存を変えていく重要性を指摘しました。
 吉良氏は、SDGsの政府の取組について、基本法も制定せず、目標も定かでないと指摘。SDGs達成に向けて政府の果たすべき役割について質問しました。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授は、「政府、そして政策の果たす役割は今非常に大きい」「基本法が必要」と述べました。

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 三人の参考人の皆様、今日は貴重な御意見、本当にありがとうございます。
 それでは、初めに高村参考人から伺いたいと思うんですけれども、ロシアによるウクライナ侵略による燃料価格の高騰などの状況について、政府は、オイルショック以来のエネルギー危機と危機感をあおっているわけですけれども、問題は、やはり我が国のエネルギー自給率が僅か一〇%にとどまっていて、輸入の化石燃料に依存してきたことにあると考えるわけです。むしろ、この機会にエネルギーの輸入依存を脱してエネルギー自給率を高め、思い切って再生可能エネルギーの供給を引き上げる絶好のチャンスとも捉えられるのではないかとも考えるわけです。
 また、あわせて、EUの方では昨年五月、再生エネルギーの目標を引き上げる、そういう柱とする計画を発表したということも聞いているわけですが、その背景にも、このウクライナ侵略を受けたロシアからの輸入、化石燃料への依存を解消する考えもあるのではないかと考えるわけですが、こうした国際動向を踏まえたエネルギーの内製化へ向けたポテンシャルについてのお考えをお聞かせいただければと思います。

東京大学未来ビジョン研究センター教授 高村ゆかり君

 ありがとうございます。吉良先生、どうもありがとうございます。
 資料の中でも付けさせていただきましたけれども、間違いなくこのウクライナへのロシアの侵攻というのはエネルギーの領域に大きな影響を与えております。エネルギーの危機と言っていいと思いますけれども、供給不安、エネルギー価格の高騰に表れているような状況がお示ししたものであります。
 しかし、これは、今日お話ししましたのは、クリーンエネルギーの危機ではないということです。むしろ、先ほど御紹介した再生可能エネルギーやモビリティーの電化も含めまして、そちらの技術導入は格段にむしろ進んでいるという点であります。
 先ほど、是非短期的に今やることと将来を見越して手を打っていただきたいということを申し上げました。まさにそれが本日申し上げたかった一つの大きなメッセージでありまして、このエネルギー、日本ですと、電力の需給逼迫が一つこの一、二年話題になっておりますけれども、当面どうするかということと同時に、やっぱり日本が輸入のエネルギーに、資源に依存をしているというこの構造を少しずつでも良くしていかないと、海外で何かあったときに、極めて重要な我々の生活と経済を支えるエネルギーについて十分に調達ができないということを懸念をいたします。
 したがって、このエネルギーの危機において、当面の短期的な対応と同時に、中長期的にこの日本のエネルギーシステムをどう強靱化をするのかという観点から是非御議論をいただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

吉良よし子

 ありがとうございます。
 クリーンエネルギーについては、危機という状況ではなく、むしろ導入進んでいるし、中長期的な視点でこの輸入依存というのをどう変えていくかというのは本当に大事な視点だなということを改めて実感いたしました。
 続けて、高村参考人にもう一点伺いたいんですけれども、これCO2の削減目標についてなんです。
 先ほどの最初のお話の中でも、各国目標を引き上げられていますというお話もありましたし、IPCCの第六次評価報告書でも決定的な十年だということもあったと思うんですけれども、一方で、日本のCO2削減目標というのは二〇一三年度比で四六%削減というもので、これ二〇一〇年比にすると四二%減となっていて、国連の全世界平均目標、二〇一〇年比の四五%に比べても低いと。さらに、お配りいただいた資料を見ても、各国、一九九〇年とか二〇〇五年などを起点にしているのに対して日本が二〇一三年という起点ということで、ちょっと遅れがあるのではないかなと考えるんですが、しかし、岸田首相は、今年一月の本会議で私の質問に対して、この我が国の目標は欧米との比較においても野心的なものであると答弁をされたわけで、いや、本当に野心的なものと言えるのかどうか、この点について参考人のお考えを伺いたいと思います。

参考人(高村ゆかり君)

 ありがとうございます。
 今、吉良先生御指摘になった、私、スライドの十二に、二〇三〇年の各国の、特に引き上げた目標と前の目標を比べる表を入れております。御覧いただくと分かりますように、一つは基準年が異なっておりますので、この目標の評価というのはそれを加味しないといけないと思います。そして、それぞれの国のエネルギーをめぐる状況というのも異なっておりますので、私は、単純に横並びで比較はできないというふうには思っております。
 ただ、私、むしろ、日本を始め、この目標を、今日、本日申し上げましたけれども、いかに本当に削減に結び付けていくかという施策が試されているところだと思っております。その先に、恐らくこれよりも高い削減の目標ということを考える、そういう契機も出てくるというふうに思っています。
 先ほど洋上風力等で申し上げ、投資、お金のフローのところで申し上げましたように、少し背伸びをした目標が必要。しかも、それが、それこそが変化をつくり出す、お金の流れをつくり出すと思っておりますけれども、私は、今の目標の水準と併せて、この数字をどうやって日本において実現するかというところ、これは是非御議論いただきたいと思っている点でもございます。
 以上です。

吉良よし子

 ありがとうございます。
 背伸びをした目標でお金の流れをつくってくることが重要であると同時に、いかにそれを施策と結び付けていくかということ、本当に大事なんだなと思いました。参考になります。ありがとうございます。
 続いて、蟹江参考人にも伺いたいと思うんです。
 お示しいただいた二〇二二年の国連事務総長のSDGs報告書の中で、やはりコロナ以前に比べて極度の貧困状態になった、そういう方が増えたと、こういうことなどの指摘がありましたが、日本においても、やはりこのコロナ危機において、非正規の労働者が仕事を奪われたり、また一人親世帯の貧困が深刻化したり、特に女性がより過酷な状況に置かれたと。
 これ、やはり貧困の問題であり、ジェンダーの問題であり、SDGsの課題そのものだと思うわけですけれども、これについて、参考人の事前のいただいた資料の中で、もしSDGsが達成できていたら、コロナの影響ももっと軽くて済んだはずですと、SDGsが達成できれば、再びパンデミックや大災害が起きてもより効果的に対処できると述べておられたのを印象的に読みました。
 やはり、そういう意味でもこのSDGsの達成、取組強めるというのは本当に重要だと思いますし、私たち日本共産党も、このSDGs基本法の制定、これは政策にも掲げているところなんですが、ただ、振り返って政府の取組状況見てみますと、御指摘もありましたとおり、まだ基本法もないと、目標というのも定かでないというところでいくと、やはりこの政府の、まだ遅れているというか積極的と言えないような姿勢というのが、日本でSDGsの取組がなかなか広がっていかない、達成につながらない要因にもなっているのではないかとも考えるわけですが、このSDGs達成に向けて政府の果たすべき役割について、改めて参考人のお考え、伺いたいと思います。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 蟹江憲史君

 ありがとうございます。
 政府、そして政策の果たす役割というのは今非常に大きいというふうに思います。最初に、一番最初のところでSカーブというのをお示ししましたけれども、萌芽的な取組がいろいろ起こっている、それはいろいろと認められます。地域見ても、企業を見ても、いろいろなところで小さな取組、そしてそれが広がればもっと良くなるんだろうという取組はたくさんあります。ただ、それが広がっていない。広がるためには、広げようとしている人のまず背中を押す必要があります。そのためには基本法が必要だというのがあの提言で言われていることで、そのために背中を押す必要があると。その役割を一番強く発揮できるのは政策であるということです。
 今までもいろいろな、気候変動の文脈もそうですし、貧困もそうですけれども、話が出てきました。それから、パンデミックの対策の話も今御指摘されましたけれども、SDGsの中には感染症に対処していくということがあります。それから、ワクチンをしっかりと普及させていくと、これはほかの感染症も含めてですけれども、あります。我々、それをやっていくのに、結構今回のコロナ禍に関しては時間が掛かりました。
 ただ、今、ビル・ゲイツさん始め、こういったことがまだ起こる可能性が高いということを言っていらっしゃる方もいますので、今年出す予定の報告書でも、今後、こういったことが起こらなければいいですけれども、起こる可能性が高い。気候変動に関しても、一・五度目標を達成するとしても、今一度上がっているので、あと〇・五度気温が上昇するというのは容認しているということですね。そういった世界に対応していくためには、やはり政策の力によって推進していくということが欠かせないということだというふうに思っております。

吉良よし子

 ありがとうございます。
 萌芽の取組もあるわけだから、それを後押しするのが政策の力だということ、よく分かりましたし、そしてやはりこのパンデミックの対応含め、様々な世界中にある課題を解決していくためにも、このSDGsの取組というのを本当に進めていく必要があるということ、よく分かりました。大変参考になりました。どうもありがとうございます。
 これで終わります。