18歳までの医療費無料化 国制度として決断せよ(動画5分45秒ごろ~)
要約
日本共産党の吉良よし子議員は20日の参院予算委員会で、子ども医療費助成が全国各地で進展していることを示し、自治体ごとの保護者の負担格差是正に向けて国の制度で18歳までの医療費を無料化するよう決断すべきだと迫りました。
厚生労働省は吉良氏の質問に対し、全国1741市区町村のうち、通院助成があるのは小学校卒業までで97・1%、中学卒業までで95・0%だと明らかにしました(グラフ)。
吉良氏は「無料化を求め続けた皆さんが勝ち取った成果だ」と強調。一方、通院助成で所得制限のある自治体は12・6%、一部自己負担があるのは34・8%に上ります。吉良氏は新日本婦人の会による調査で「病院と薬局あわせ1回の通院で1000円」(長野市)「ひと月に医療機関で1500円、薬局別で追加1500円」(京都市)などの実態が明らかになったことを紹介。早急な解消を求めました。
また、小学生以上の子どもの窓口負担を軽減した自治体に対し、国民健康保険の国庫負担金を減額調整するのは「自治体に対するペナルティー(罰)で、やめるべきだ」とただし、医療費を無料とする国の制度を求めました。
加藤勝信厚労相は「無償化は医療費を大幅に増やすとの研究もある」「医療費(予算)を増やせば子どもにプラスになるわけではない」と答弁しました。
吉良氏は、全国知事会も「緊急提言」で全国一律の医療費助成制度の創設を求めており、18歳までの医療費無料化に必要な予算は5000億円で、軍事費の10分の1でできると主張。「子育て支援を前に進めるために国の制度が必要だ」と強調しました。
議事録
前編(コロナ後遺症)よりつづく
吉良よし子
今日は次に、子供の医療費の窓口無料化について伺いたいと思います。
先ほどの後遺症アンケートでも、子供については医療費助成があって本当に助かったという声もある一方で、高校生などで三割負担で医療費かさんでいるなど、自治体によって負担の差があるということが浮き彫りになっているわけですが、ここで厚労省に確認します。
自治体での医療費助成、子供への医療費助成の実施状況、小学校、中学校、高校、各年齢ごとの実態、教えてください。
内閣官房こども家庭庁設立準備室次長兼厚生労働省子ども家庭局長(藤原朋子君)
お答え申し上げます。
令和三年四月一日時点における対象年齢別の実施状況につきましては、全国千七百四十一市区町村のうち、まず通院につきましては、小学校卒業まで、これ支援の終期が小学校六年生の年度末以降に設定をされているという意味でございますが、小学校卒業までで見ると千六百九十自治体、九七・一%、中学校卒業までが千六百五十四自治体、九五・〇%、高校卒業又はそれ以上までが八百二十二自治体、四七・二%でございます。また、入院につきましては、小学校卒業までが千七百三十八自治体、九九・八%、中学校卒業までが千七百十自治体、九八・二%、高校卒業又はそれ以上までが九百自治体、五一・七%というふうになってございます。
以上でございます。
吉良よし子
入院だけで見ればもう小学校でいえばほぼ一〇〇%ということで、資料も作りましたけど、この十年で本当にこの医療費助成、子供への、はすごく広がっているわけですね。ほぼ全ての自治体が実施していると言ってもいいと思うんですけれども、この子供の医療費無料化、求め続けた皆さんの勝ち取った成果であると同時に、やはり各自治体も、これ少子化対策、子育て支援の観点からこの医療費助成を実施しているんだと思うんですが、そういう重視の表れだと思いますが、少子化担当大臣、これどう思いますか。
少子化担当大臣(小倉將信君)
自治体による子供の医療費助成の背景はという御質問だったかと思いますが、各自治体において、住民のニーズを踏まえて、子供の福祉の向上といった目的、あるいは少子化対策といった目的など、様々な目的の下で実施をしていただいているものと認識しております。
吉良よし子
子供の福祉、子育て支援というところで実施しているんじゃないかと大臣からの答弁もありました。まさに、それだけ子育て世帯からの要望が強いからこそのこの制度の広がりなのは間違いないと思うんですが、一方で、この医療費助成の中身というのは自治体ごとに様々です。
厚労省、もう一度伺いたいんですが、この市区町村の通院の部分だけで結構ですが、窓口負担や所得制限のあるなし、その自治体の割合についてお答えください。
政府参考人(藤原朋子君)
お答え申し上げます。
子供の通院の医療費助成における一部自己負担及び所得制限の有無につきましては、同じく令和三年四月一日時点での調査ですが、全国千七百四十一市区町村のうち、自己負担なしが千百三十六自治体、六五・二%であるのに対しまして、自己負担ありは六百五自治体、三四・八%でございます。また、所得制限につきましては、所得制限なしが千五百二十一自治体、八七・四%でございまして、所得制限ありが二百二十自治体、一二・六%というふうになっております。
以上でございます。
吉良よし子
所得制限とか窓口負担とかないという自治体がほとんどではあるんですけれども、一定数負担がゼロでない自治体が取り残されている問題があるわけです。
この一部負担について、新日本婦人の会のアンケートに全国からの声が寄せられました。
例えば長野市では、病院と薬局それぞれ受診ごとに五百円掛かって、合わせて一回で千円掛かってしまうと。花粉の時期、子供三人受診すれば三千円と。皮膚科とか眼科にもかかったら六千円、七千円掛かるんだという声がありました。
京都市の場合は、一月一医療機関で千五百円負担するという仕組みで、薬局が別ならまた更に千五百円ということで、もう連続で通院している途中に月が変わってしまうとちくしょうという気分になりますというのも、声もあります。
また、償還払いとなっている鹿児島市では、手元にお金がないと病院に行けませんと。支払ってしまってからその後の生活の買物ができなくなった、きつそうな我が子に我慢をさせながら精算待ったと。窓口負担があることで子供を病院に連れていけない実態も届けられました。
またさらに、所得制限についても、先ほどのコロナ後遺症アンケートにも、所得制限で医療費三割負担で、後遺症であちこち病院にかかっているので治療費、投薬費用が高いんだと。子供は国の宝じゃないのかと。今月はお金なくて病院受診を諦めたと、そういう悲鳴もありました。
この自治体によるばらつき、少子化対策進めるためにも一刻も早く解消すべきと思いませんか。少子化担当大臣、いかがでしょう。
少子化担当大臣(小倉將信君)
子供の医療費につきましては、これまで、全国の自治体での取組状況も踏まえ、平成三十年度以降、未就学児までを対象とする医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置の対象外とされたところと承知をしております。
現在、私の下でこども政策に関する国と地方の協議の場の準備会合等を開催し、自治体からの御意見も伺っていますが、その際、自治体からは、基礎自治体の中で地域間格差が出てくることがないように留意してほしいといった意見もいただいているところであります。他方で、更なる措置については様々な課題があろうかと思います。
いずれにいたしましても、三月末を目途とした今たたき台の検討中でございますので、自治体の意見も踏まえながら、子ども・子育て施策として充実する内容の議論を進めてまいりたいと考えています。
吉良よし子
いろいろ取り組むという話だったんですけれども、先ほどお話もありました、今、国は、この自治体間のばらつきを解消するどころか、小学生以上の子供の窓口医療費負担を軽減した自治体に対しては国民健康保険の国庫負担金の減額調整していると。これ、各自治体の子育て支援策に対するペナルティーそのものだと思いませんか。大臣、いかがですか。
少子化担当大臣(小倉將信君)
子供の医療費助成の詳細につきましては厚労省の所掌となりますが、それを御理解をいただいた上でお答えをさせていただきますと、国民健康保険の減額調整措置については、市町村が行う医療費助成により窓口負担が軽減される場合に、国保財政に与える影響や限られた財源の公平な配分等の観点から、負担軽減に伴い増加した医療費分の公費負担を減額調整しているものと、このように理解をしております。
吉良よし子
公平な配分と言いますけれども、ほとんどの自治体で様々な子供の医療費助成やられているわけですから、それでやっぱりこういうペナルティーを科すというのは私はおかしいと思うんです。
このペナルティーやめるべきという主張の下で、先ほどありましたとおり、二〇一八年度から未就学児に関してはこのペナルティー、減額調整なくなったわけですが、その理由はなぜなのか、政府参考人、お答えください。
厚生労働省保険局長(伊原和人君)
お答えいたします。
御質問いただきました未就学児までを対象とする医療費助成につきましては、平成三十年度に、社会保障審議会医療保険部会において検討を行った結果、医療保険制度の窓口負担が未就学児までは二割とされていること、また、未就学児までは全ての市町村において何らかの助成が実施されていると、こういう実態があることを踏まえまして、減額調整対象の、措置の対象外としたところでございます。
吉良よし子
要するに、未就学児についてはもう全ての自治体で何らかの助成があったからこのペナルティーをなくしたんだということで、先ほども紹介したとおり、中学卒業まででも、通院だけ見ても九五%、入院だと九八%助成していると。さらに、もうその調査のときより月日たっていますから、今後、また広がっているわけで、やっぱりもうこのペナルティー、減額調整措置やめるべきじゃないかと思いますが、厚労大臣、いかがですか。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
国民健康保険の減額調整措置を実施している理由は先ほど小倉大臣から説明させていただきました。
その上で、更なる見直しについては、助成内容等による地域差がある中で限られた財源を公平に配分する観点、また自治体が医療費を無償化した場合に生じる影響など、課題が多いものと考えております。
吉良よし子
二月二十八日、全国知事会次世代育成支援対策プロジェクトチームの緊急提言では、この減額調整措置を直ちに全廃することが求められているわけです。この声にやっぱり応えなければならないのではないですか。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
そうした声があること、それは私どもの方にもお話を頂戴をしておりますが、ただ、今申し上げた課題もあるということでございますので、その辺も含めて、今、小倉大臣の下で子供政策全般について議論をさせていただいているところでございます。
吉良よし子
課題があると言いながらこうやってなかなか前に進まない。国がこんな姿勢では安心して子育てできないと思うんです。
ペナルティーだけではありませんよ。全国知事会の緊急提言では、全国一律の医療費助成制度の創設を早期に実現すること求めていますし、一月には、神奈川県の知事、市長会会長、町村長会会長が連名で、国の責任において窓口での医療費負担なく医療が受けられる全国一律の子供の医療費助成制度の創設求めています。
この声に応えるべきではありませんか。厚労大臣、いかがですか。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
子供の医療費については、国として医療保険制度において就学前の子供の医療費の自己負担を三割から二割に軽減をしており、これに加えて、現在、自治体独自の助成制度で自己負担の更なる軽減が図られているところであります。
子供医療費助成制度、全て国の制度として実施することは、自己負担の軽減による受診行動の変化も考えられ、厳しい医療保険財政を勘案するとなかなか課題が多いと承知をしております。
特に、子供医療費の無償化、無償化ですけれども、これについては、医療費を大幅に増やす、あるいは比較的健康な子供の外来診療を増やす、価格の低い医療の増加が懸念される等の実証研究も出されているところでございますので、そうしたことも踏まえて議論していく必要があろうかと思います。
吉良よし子
医療費を大幅に増やす必要があるとありましたけれども、子供の医療費無償化、無料化に幾ら一体掛かるのか、厚労省に伺います。年齢階級別の患者負担額、ゼロ歳から十九歳までの合計額、答えてください。
政府参考人(伊原和人君)
お答えいたします。
医療保険制度におけるゼロ歳から十九歳までの患者負担額の総額ですけれども、令和二年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大による受診控えの影響もありまして五千二十四億円となっております。
吉良よし子
資料もお配りしました。五千二十四億円あれば十九歳まで、つまりは医療費無償にできるということなんです。今、軍事費五兆円、予算計上されていますが、その十分の一で高校生までの医療費無料にできるということですね。
岸田首相は安心して子供を産み育てられる社会をつくると施政方針演説で述べられているわけで、異次元の少子化対策というならば、この医療費、子供の医療費無料を実現すべきと思いますが、少子化担当大臣、いかがですか。
少子化担当大臣(小倉將信君)
子供の医療費助成につきましては、厚労省から、先ほど加藤大臣から答弁がありましたとおり、様々な課題がございまして、それを踏まえて検討していく必要があろうかと思います。
いずれにいたしましても、今、三月末の取りまとめに向かいまして検討をしている最中でございますので、予断を持って個別の施策の是非を述べる段階にはないと考えております。
引き続きまして、こども政策、少子化対策担当大臣といたしまして、実際に子供の医療費助成をしてくださっております自治体始めとする関係者の意見に耳を傾けながら、また厚生労働省とも連携をしながら、しっかり議論を進めていきたいと思っております。
吉良よし子
様々な課題だと言ってなかなかやると言わないわけですけれども、財源でいえばさっき五千億円とありましたけど、未就学児分だけでいえば千七百七十七億円あればできるわけですよね。
そういうのを国の制度で私はやるべきだと思いますし、新婦人のアンケートでは、子供が先天性の病気がある、東京の病院に通院しているが、わざわざ東京では支払をして、地元の自治体に帰って償還の手続をしなければならなくて本当に大変だ、全国どこで受診しても無料になるような統一した仕組みをつくってほしいと、そういう声が出ているわけです。
やはり、この声にちゃんと応えるべきではありませんか。厚労大臣、少子化担当大臣、それぞれどうぞお願いします。
厚生労働大臣(加藤勝信君)
手続とかそういった面ではいろいろ考えなきゃいけない点があるんだろうというふうに思いますが、ただ、今委員御指摘の子供医療費の無償化は、先ほど申し上げた実証研究における様々な課題も指摘をされております。単に増やせばそれで子供にプラスになるとは必ずしも言えないという中身でございますので、そういったところをしっかりと踏まえながら対応をしていく必要があるんだろうと思います。
少子化担当大臣(小倉將信君)
今、加藤大臣から答弁を申し上げたとおりだと思います。
様々な親子の事情、御家庭の事情、あると思います。できる限り地域差がないように取り組まなければいけないというふうに思います一方で、子供医療費全体につきましては様々な課題を踏まえてしっかり検討していく必要があるだろうと考えております。
吉良よし子
いや、子供のためにならないなんてことありませんよ。やっぱり子供の医療費無料化にすれば多くの子供たちが助かるし、受診が増えるなんという話もありましたけれども、九割以上の自治体で中学生まではやっているわけだから、大幅に増えるなんてことはありませんよ。
やっぱり子供小さいほど病気になるわけだから、だから各自治体で子育て支援として助成を拡充しているわけであり、これを国の制度にしたならば自治体の負担軽減になるわけです。やっぱり更なる子育て支援拡充させるためにも、この子供の医療費無料化、国の制度として実現していただきたいということを心から申し上げまして、私の質問を終わります。