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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

コロナ感染 後遺症 子の人生左右 学校現場に周知を

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は17日の参院文教科学委員会で、新型コロナウイルスに感染した子どもの深刻な後遺症の実態を示し、学校現場への周知徹底を求めました。

 吉良事務所が2月に実施したコロナ後遺症のアンケートでは、1172件のうち101件が10代以下で、重度の倦怠(けんたい)感や思考力の低下などによる休学や進学断念などで「人生が変わってしまった」と訴える子どもたちの姿が浮き彫りになりました。

 吉良氏は「後遺症があることを周知してほしい」との保護者の声を紹介。後遺症で学校に行けなくなる場合があることを「現場に周知すべき」だと迫りました。

 また、臨床現場の知見で、コロナ感染直後から2カ月以内の回復期に無理をしないことが、後遺症の発症や重症化を防ぐために重要だと指摘。感染後に復学した児童・生徒の体育や部活動への参加を「慎重に配慮すべきだ」と主張しました。永岡桂子文部科学相は、周知徹底すると答弁しました。

 吉良氏は、後遺症で長期間学校を休む子どもとその保護者が、出席日数が少なくなることの受験への影響を心配していると指摘。「出席日数の多寡(たか)が、直接入試で不利にならないようにすべき」だと追及しました。永岡文科相は調査書の出席日数により不利益を被ることがないよう周知すると答弁しました。

しんぶん赤旗2023年3月18日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日、私は、子供のコロナ後遺症について伺いたいと思っています。
 このコロナの後遺症というのは、コロナそのものは軽症若しくは無症状であったとしても、その後に重力が十倍にも感じるような倦怠感であったり、若しくはブレーンフォグと言われるような思考力の低下がされる状態となり、仕事、学業、日常生活を送るのが困難な状態になると言われております。
 国立国際医療研究センターの調査では、コロナ感染者の四人に一人が一年半後もこうした後遺症が続いているということが明らかになっていて、これは子供も決して例外ではないと思うわけですが、まず、文科省に伺います。
 子供のコロナ後遺症患者の総数、又はそれによって休学等している児童生徒の数というのはつかんでいますか。

文部科学省初等中等教育局長(藤原章夫君)

 新型コロナウイルス感染症に罹患した一部の患者に様々な罹患後の症状、いわゆる後遺症が認められておりますが、その実態や病態についてはまだ明らかではなく、現在、厚生労働省において調査研究を行っているものと承知をしております。
 代表的な症状には、疲労感や倦怠感、関節痛、筋肉痛、せきや記憶障害、集中力の低下、頭痛、抑うつ、腹痛、睡眠障害など、多岐にわたる症状が報告をされていると承知をしております。
 新型コロナウイルス感染症のこうした後遺症といった話でございますけれども、まだ不明な点も多いため、文科省においてその症状を有している児童生徒に関する調査は行っておりませんで、現在、その総数及びその学校を休んでいる子供たちの数というものは把握はしておりません。

吉良よし子

 把握されていないということでした。
 私たち、吉良よし子事務所としまして、このコロナ後遺症にかかった方、又は御家族の方向けのウェブアンケートを実施いたしました、二月に。十日間の間に千百七十二人から回答が寄せられまして、うち百一件が十代以下、子供の後遺症です。小さい場合は二歳から、小学生、中学生、高校生、長い場合は二年以上この後遺症の症状が続いているという子もいて、本当に深刻な事態だと思っています。
 幾つか実態を紹介したいと思います。
 七月にコロナにかかる前は元気よく学校に通っていた子が、立っていることも座り続けることもできず倒れてしまうようになりました。小学生の事例です。
 二年以上、バスケをやる元気な男子中学生がほぼ寝たきりになり、楽しいはずの学校生活を奪われてしまいました。きついヘルメットで締め付けられているような頭痛、羽毛布団でもガーゼケットでも重たいと感じる倦怠感、体の痛みで何度も起きる苦痛、かわいそうで見ていられません。中学生です。
 行きたい大学があって毎日勉強を頑張っていたのに、今では三十分勉強をしただけで半日寝込む状態です。思いっ切り勉強したい、学校行きたい、人生が変わっちゃったと訴える子供の姿を見るのがつらいです。高校生です。
 ブレーンフォグで文章さえ読めず、長文も絵のようにしか考えられない、高校受験も困難という中学生や、将来の夢を諦め退学せざるを得なくなった高校生などの声も届いています。
 大臣、コロナ後遺症で人生が変わってしまったと訴える子供たちがいる、休学、退学、受験もできないなどの実態もあること、深刻な問題だと思いませんか。この子たちを置き去りにしないよう、文科省としてもしっかり向き合い、取り組むべき課題と思いますが、いかがでしょう。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 まだ、文部科学省ではコロナウイルス感染症の後遺症の人数把握というのはやってはおりません。しかしながら、やはりコロナウイルスの感染症の後遺症、今お話しいただいただけでも本当に多岐にわたるということが報告されていると承知はしております。
 このことについて、各学校現場が確認するとともに、こうした健康上の課題を有する児童生徒に対しまして医療機関への受診を勧めること、また、教育活動の実施に当たりまして適切な配慮を行うこと、児童生徒の間で差別、偏見等がないよう適切に指導することなどの対応を行うことがまずは重要かと考えております。

吉良よし子

 学校等で適切な配慮を進めていきたいという御答弁ありました。
 是非、真剣に取り組んでいただきたいんですけれども、何よりこのアンケートで寄せられているのは、この後遺症があるということを周知してほしいと、その理解を広げてほしいという声なんです。
 学校では、後遺症の理解が進んでいないので、精神的な問題と思われているようですという声や、塾や学校では、悪い癖が付いた、体力が付けばいい、精神疾患ではないかなどと理解してもらえないという声があったり、不登校じゃないのに不登校枠に入れられてしまっていて、通いたくても通えない思いが理解されていませんと、そういう声があるわけです。
 改めて大臣、子供でも、若しくは軽症であってもコロナ後遺症になる場合があること、決して心の問題ではなく、コロナ後遺症により学校に行けなくなるということがあるということを学校現場に周知すべきと思いますが、いかがですか。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 いや、もう吉良先生、そのとおりでございます。新型コロナの感染症の罹患症状として様々な症状があるということは、これ各学校に十分に認識をしていただけますように、やはり都道府県教育委員会等の担当者が集まる会議、そこで様々な機会を通じて周知を徹底してまいります。

吉良よし子

 周知徹底いただくということを本当によろしくお願いしたいと思うんです。
 厚労省の罹患後症状マネジメント、診療手引にも小児へのアプローチという項目がありまして、そこでは、もちろん、小児、子供でも後遺症が発症する場合があるということと、安易に心因性という言葉で片付けないようにということも書いてあるわけで、是非、そういう状態で不登校になってしまうような、学校に通えなくなってしまうような子供たちを傷つけないような対応というのを徹底していただきたいと思うんです。
 そして、併せて徹底していただきたいのは、コロナに罹患した後の回復期の対応なんです。臨床現場の知見では、コロナに感染した直後から二か月以内の回復期の間にできれば無理をしないことが後遺症の発症や重症化を防ぐために重要だと言われています。
 実際届いたアンケートでも、コロナ罹患直後に部活動などで無理をしたために寝たきりになってしまった、いわゆるクラッシュと呼ばれるような状態になってしまったなどの声が届いているわけですが、また後遺症、厚労省の罹患後症状マネジメントでも、罹患後症状としての疲労感、倦怠感に対しての運動負荷は症状を悪化させる場合があると書かれてあって、日本臨床スポーツ医学会の罹患後の復帰指針でも、診断確定後二週間は軽症また無症状であっても運動制限が望ましいと、こうした記述があるわけで、やはりこのコロナに罹患した後、復学した児童生徒の体育や部活の参加についてはかなり慎重に配慮すべきだということを徹底すべきと思いますが、いかがでしょう。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 委員おっしゃいますように、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、これについては、その原因もメカニズムも国内外で研究調査がこれ続けられている状態でございますので、これ、はっきりしたことは言えないわけでございますが、しかしながら、生徒児童の運動が罹患後症状に与える影響について、一概には言えませんけれども、体育の授業ですとか部活動、運動部活動ですね、については、倦怠感等の体調不良を訴える子供に対してはやはり参加を見合わせるなど、適切に対応することが本当に重要なのかなと思います。
 体育の授業におけます児童生徒の体調不良への配慮につきましては、これまでももう既に教育委員会等に促しておりますけれども、今後とも学校現場の実態に応じて適切に対応してまいりたいと思います。

吉良よし子

 一年以上寝たきりになっている高校生の保護者の方からは、当初は倦怠感もひどくなく学校へ行っていましたと、このとき無理せずに安静にする必要があるとの情報があればここまで寝たきりにならずに済みましたと、このクラッシュの恐ろしさを伝えてほしいと声が届いているわけです。
 やはり、コロナ罹患後、この倦怠感がある場合は無理は禁物だということ、もう是非徹底をしていただきたいと思います。もう一度お願いします。徹底してください。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 しっかりと、しっかりと対応していただけるように、各教育委員会等促してまいります。

吉良よし子

 是非、重要な対応ですので、よろしくお願いいたします。
 次に、このコロナ後遺症になった場合の学校の対応についても幾つか確認していきたいと思うんですが、この後遺症となった、なって、寝たきり等になって、長期にわたり学校を休まなければならなくなる場合が多くあります。そうした場合、学校長の判断で欠席ではなく出席停止扱いにできると思うんですが、この出席停止扱いには上限というのはあるのでしょうか。いかがですか。

政府参考人(藤原章夫君)

 学校保健安全法第十九条におきましては、校長は、感染症にかかっている児童生徒、それから感染症にかかっている疑いがある又はそのおそれのある児童生徒に対して出席を停止させることができることとされており、その期間については同法施行規則において基準を定めているところでございます。
 学校保健安全法施行規則第十九条におきまして、新型コロナウイルス感染症に係る出席停止期間の基準として、感染症にかかっている児童生徒については治癒するまで、感染症にかかっている疑いがある又はそのおそれがある児童生徒については感染のおそれがないと認めるまでとしており、期間について特段上限は設けておりません。
 また、新型コロナウイルス感染症の罹患に限らず、一般的に、非常変災等、児童生徒又は保護者の責任に帰すことのできない事由で欠席した場合などで校長が出席しなくてもよいと認めた日につきましては、指導要録上、出席停止、忌引等の日数の欄に記入をし欠席とはしないことも可能としておりますが、その日数について特段上限は設けておりません。

吉良よし子

 いろいろおっしゃいましたけど、つまり、コロナ後遺症だということで長期欠席になった場合に、それを出席停止扱いにもできるし、それの上限はないということですね。イエスかノーかでお答えください。

政府参考人(藤原章夫君)

 出席停止の場合と、先ほど申し上げました指導要録上、出席停止、忌引等の日数の方に分類するというもの、これはちょっと分けて考える必要があると思うのでございますけれども、出席停止というのは、先ほども申し上げましたように、学校における感染症の蔓延を防止するために講じる措置ということでございますので、既にその感染が終わって後遺症という段階になりますと、一般には他者への感染のおそれがないことから、この出席停止というものの対象にはならないというふうに考えております。
 一方で、先ほど申し上げましたように、校長の判断により出席しなくてもよいと認めた日と、こういうふうに分類をするということはあり得るというふうに考えております。

吉良よし子

 要するに、単純な欠席扱いではない扱いにはできるということだと思うわけです。さらには、それには上限はないということなわけですが、教育委員会によっては上限があるよというふうな対応をされた場合もあると聞くので、是非その辺は徹底していただきたいと思うわけです。
 問題は、やはりこの出席日数が少なくなると、高校などでは単位が足りなくなって留年になってしまったりということもあるわけです。さらに、その単位不足を理由にして自主退学や通信制への転校を実質強要されるような場合もあると聞いていて、アンケートには、高校卒業目前なのに通信制への転校を実質強要されたという声もありました。
 本人が望んでいないのに、そうした退学とか転校を強要することはあってはならないと思いますが、大臣、いかがですか。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 やはり、健康上の理由により長期欠席をしている児童生徒に対しては、そのことのみで学校教育法の施行規則に定めます退学処分の要件に該当するものではないと考えます。そのような児童生徒に対しましては、学業がこれ継続できるように、各学校において適切に支援をしていただきたいと考えております。
 文部科学省におきましては、新型コロナによりまして長期間登校できない児童生徒に対して、学習に著しい遅れが生じることのないように、ICT等も活用しながら教師による学習指導と学習状況の継続的な把握や支援を行うことが重要でありまして、各学校において適切に対応いただくように周知はしているところでございます。
 この考え方は罹患後症状により長期間登校できない児童生徒も当てはまるものでありまして、今後も、こうした考え方を様々な機会を通じまして周知をしてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 出席日数の多寡をもってのみで退学とか転校とかを勧めるというのはないし、学びの継続が大事だという御答弁でした。もう是非、本人の希望を無視した対応がなされないよう、学ぶ権利、保障できるような対応をお願いしたいと思います。
 そして、何よりも子供たち、そして保護者の皆さんが心配されているのが、この出席日数が少なくなることでの受験への影響です。コロナ後遺症による出席日数の多寡というのは、直接入試で不利にならないようにすべきと思いますが、この点も大臣、いかがですか。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 新型コロナに感染したことに伴う入学者選抜への影響について、これは、高校の入試に関しましては、令和四年六月、調査書に出席等に係る日数の記入欄を設ける場合には、当該欄への記載内容によって特定の志願者が不利益を被ることがないように各教育委員会等に配慮を依頼をしております。また、大学入試の調査書につきましても、出席停止、忌引などの日数等を記載をしない取扱いをしております。
 新型コロナの罹患後症状によりまして生徒がやむを得ず学校を欠席することがあった場合には、同様に、入学者選抜において不利益を被らないよう配慮をいただきたいと考えておりまして、その旨を承知してまいります。ごめんなさい、周知してまいります。

吉良よし子

 入試で不利にならないということでした。
 届いたアンケート、百一件の十代以下の子供たちの声のうちでも、二二%がもう既に進学断念したという回答も来ているわけなんです。普通の高校生活に戻れるよう努力してきましたと、後遺症の受験生に手を差し伸べていただきたいと、そういう声も届いているわけで、先ほどの出席日数の多寡というのが入試に影響しない、不利にならないという答弁というのはそういう子供たちにとって希望になると思いますし、是非ともこのことを周知していただいて、コロナ後遺症だからといって人生諦めなくていいんだよというメッセージ発していただきたいということを重ねて訴えておきたいと思います。
 そして、やはり、こういうふうなコロナ後遺症で子供たちを苦しめないためには、できる限り子供たちが後遺症にならない、そのためにも、コロナそのものに感染させない、コロナ感染症蔓延させないということが本当に重要になってくると思うんです。アンケートでも、感染対策本当にしてくださいという声、かなり多く届いております。
 ここで、文科省に伺います。学校におけるHEPAフィルター付きの空気清浄機の普及率、設置状況というのは現状どうなっていますか。

政府参考人(藤原章夫君)

 文部科学省において実施した公立の義務教育諸学校や高等学校等を対象とした換気対策設備の設置状況に係るアンケート調査の結果によりますと、令和五年一月時点で、HEPAフィルター付き空気清浄機が学校に一台以上設置されている学校の割合は四三・八%となっておるところでございます。

吉良よし子

 一月の調査で四割程度と、四三%ということですから、一台以上ということで、全ての教室に設置されているということではまだないということだと思います。また、その空気清浄機等の設置のための補助含めた補正予算、今回二百億円付いているわけですが、その交付決定額というのは三月十四日時点で八十五億円だと伺いました。全ての教室に空気清浄機設置している状況とは程遠い状況だと思うわけです。
 改めて、大臣、やはり感染対策という意味では、換気始め学校での感染症対策万全にするために、せめてこの空気清浄機は学校全ての教室に設置できるように国として徹底していくべきと思いますが、いかがでしょう。

文部科学大臣(永岡桂子君)

 学校における適切な環境衛生を維持するほか、新型コロナの感染症拡大を防止するためにも、効果的な換気というものが大変重要でございます。他方、窓開けなどによります常時換気が困難な場合にはHEPAフィルター付き空気清浄機やサーキュレーターなどの活用が有効でございまして、文部科学省では、令和四年度の第二次補正予算におきまして、その導入を支援する経費を計上しているところでございます。
 引き続きまして、教育委員会や学校等に対しまして本事業の活用を促すことを通じて、空気清浄機等の設置推進についてこれは進めていきたいと思っております。

吉良よし子

 もう是非、全教室に付けられるようにということを推進していただきたいと思うんです。
 この間、マスクについては個人の判断とされて、学校現場でも四月からマスクなしが基本となるような学校もあるわけです。ですが、だからといって、コロナウイルスが消えたわけでもなければ、子供が感染しなくなったわけでもないし、後遺症という状況も見れば、ただの風邪とは私は到底言えないと思うわけです。そういう意味では、マスクを外すことだけを強調するのでなく、もちろん外したい子が外すのは大事ですけど、マスクを外しても大丈夫だ、安心だとみんなが思える環境を整えることこそが重要であり、この空気清浄機の設置も含め、さらには、少人数学級を小学校だけじゃなく中学校や高校などでも実施していくなど、感染症に強い学校を実現するために力を尽くしていただきたいと、このこと強く申し上げまして、質問を終わります。