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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2023年・第211通常国会

【2021年度決算など反対討論】 国民の命と暮らしを切り捨て大軍拡を進める政府を批判

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は14日の参院本会議で、2021年度決算などについての反対討論に立ち、国民の命と暮らしを切り捨て大軍拡を進める政府を批判しました。

 吉良氏は、長引くコロナ禍のもと、政府が消費税率引き下げに背を向け、医療機関への赤字補填(ほてん)や中小零細事業主に対する社会保険料減免、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付をかたくなに拒否していると指摘。コロナ後遺症に苦しむ切実な声にも応えず、健康保険証を廃止しマイナンバーカードとの一体化を進め、「医療を受ける権利を脅かしている」と批判しました。

 吉良氏は、菅前政権が強行した東京オリンピック・パラリンピックの大会経費は膨張し続け、大会と一体に始まった神宮外苑の再開発は、イチョウ並木などの木々を多数伐採し都民のスポーツする場を奪うもので、多くの反対の声があり「負のレガシーそのものだ」と指摘しました。

 また、岸田政権が成立をねらう、5年間で43兆円の大軍拡を進める軍拡財源法案は、医療や年金のための積立金や特別会計を不当に流用するものだと批判。「会計年度ごとに予算を作成し、国会で議論する財政民主主義を破壊するもので、断じて認めるわけにはいかない」と主張しました。

 吉良氏は、今国会では反対する国民の声を聞かず悪法を次々と強行しているとして「およそ民主主義とは相いれない」と厳しく批判し、「すべての人の命と人権と尊厳が守られる政治、社会を目指して頑張りぬく」と表明しました。

しんぶん赤旗6月15日付けより抜粋

議事録

吉良よし子君 

 日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、二〇二一年度決算と国有財産増減及び現在額総計算書の是認に反対、国有財産無償貸付状況総計算書の是認、内閣に対する警告決議に賛成の討論を行います。
 二〇二一年度決算に反対する第一の理由は、菅、岸田政権が、長引くコロナの下、苦しむ国民の命と暮らしを切り捨てる冷たい決算となっているからです。
 国民多数が求める消費税率引下げを求める声に背を向け、減収に苦しむ医療機関への赤字補填や中小零細事業主に対する社会保険料減免、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付もかたくなに拒否。多くのフリーランスや非正規労働者が求めた報酬や賃金の引上げ、最低賃金の抜本的な引上げも行わないまま。国保料減免の拡充も行わず、マクロ経済スライドの発動で年金の支給額も削減。国民の消費は冷え込んで景気は悪化。格差と貧困が広がっています。
 何より、新型コロナの感染が拡大し始めてから三年、五類への引下げも行われましたが、コロナは決して終わっていません。現在も感染者が増えています。小児科は予約でいっぱい、体調不良も増加、検査したときの陽性率も上がっていると医療現場からの声もあります。
 コロナは風邪などという声もありますが、コロナが風邪やインフルエンザと決定的に違うのが後遺症の存在です。国立国際医療研究センターの調査によると、たとえコロナ自体が軽症や無症状であったとしても、感染から一年半後も四人に一人が後遺症の症状に苦しんでいることが分かっています。それを踏まえれば、現時点で数百万人が後遺症で苦しんでいる可能性もあるということです。吉良よし子事務所が実施した後遺症アンケートには、十日間で千百七十二人の後遺症対策を求める切実な声が届きました。
 しかし、政府は、後遺症の患者の総数すら把握していない、するつもりもないことが決算の審議の中でも明らかになりました。また、後遺症患者に対する医療体制、支援体制もまだまだ不十分です。万一後遺症になっても人生を諦めなくてもいい対策を強く求めます。
 そして、コロナ後遺症をこれ以上増やさないためには、感染対策を強化すること、医療体制の強化が必要です。
 ところが、政府は、健康保険証を廃止してマイナンバーカードとの一体化を進め、国民皆保険を壊し、医療を受ける権利を脅かしています。医療情報、年金情報、公金受取口座など、別人の情報がひも付けられる事態が相次ぎ、医療機関では資格確認のトラブルが後を絶たず、障害者が排除される問題もあります。
 新聞各紙も制度の見直しを主張。読売は七日付けで、見直しは今からでも遅くないと題し、保険証の廃止方針を一旦凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だと指摘、法律が成立したからといって制度の見直しは不可能だと考えるのは早計だと主張しています。これらの声に向き合って、一旦マイナカードの運用は止めるべきです。
 決算に反対する第二の理由は、国民の世論を無視し、東京オリパラが開催されたことです。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長がパンデミックのところでやるのは普通ではないと発信する中、菅政権が東京オリパラの開催を強行した結果、感染リスクが拡大したことは重大です。
 また、膨張し続けた大会経費は、会計検査院によれば、関連経費も含めて約三兆円、最終的な国の総支出額はいまだ不明のままです。加えて、大会運営に関わる入札談合が発覚し、組織委理事が東京地検特捜部に逮捕、起訴されるなど、底なしの汚職事件に発展しています。
 さらには、樹齢百年の美しいイチョウ並木やケヤキ、ヒマラヤスギなどの木々が茂る都心のオアシス、神宮外苑の再開発もオリンピックと一体に始まりました。神宮外苑は、全国各地からのお金や樹木の寄附などによってつくられた文化遺産です。都民がスポーツに親しめる拠点でもありました。その歴史あるイチョウ並木を始めとした木々を多数伐採し、神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替え、百九十メートル級のビル二棟を含む四棟のビル、ホテルを建設する大開発に反対の声が沸き上がっています。
 坂本龍一さんは、亡くなる一か月前、都知事らに手紙を出し、目の前の経済的利益のために、先人が百年を掛けて守り育ててきた貴重な神宮の木々を犠牲にするべきではありません、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしかすぎませんと、再開発見直しを求めていました。再開発差止め訴訟の原告団長で実業家のロッシェル・カップさんは、外苑の再開発は東京五輪のあしき副産物、むしろ、そのためにオリンピックを誘致したのではないかとおっしゃっています。
 計画は当初から住民に周知されず、事業者の情報開示も説明も不十分で、ビル風の影響や都民のスポーツの場が奪われるなど、多くの問題が積み残されています。これこそまさに東京オリパラの負のレガシーそのものであり、放置できません。
 加えて、大深度地下トンネル工事で陥没事故を起こした東京外郭環状道路を含む大型開発事業、菅政権肝煎りのデジタルトランスフォーメーション、大企業優遇のカーボンニュートラル税制、原発再稼働と高速炉開発に多額の費用を掛けたことも容認できません。
 反対する第三の理由は、巨額の軍事費の計上です。
 菅、岸田政権の下、二一年度防衛省所管一般会計補正後決算額は六兆三百三十二億円に上り、同年度補正後の後年度負担額は五兆六千二百五十八億円、二一年度末FMS、有償軍事援助執行額は二千五百二十九億円へと拡大しています。
 菅、岸田政権は、イージス・アショア、スタンドオフミサイル、F35A、B等の高額の米国製武器を爆買いし、米軍辺野古基地建設や在日米軍の駐留経費も措置しています。また、補正予算でP1哨戒機、潜水艦等を前倒し取得する歳出化経費の計上も繰り返しています。安倍政権から始まる、補正予算を使った兵器購入の前倒し、分割払を計上することは何ら緊急性はなく、まして経済対策でもありません。巨額な軍事費は財政を圧迫し、国民に必要な施策ができなくなる危険性を増大させており、看過できません。
 さらに、岸田政権は、軍拡財源確保法案、敵基地攻撃能力の保有を始めとした五年間で四十三兆円もの大軍拡を進める憲法違反の法案を強行しようとしています。これは、医療や年金のための積立金や特別会計を防衛力強化資金などに繰り入れる仕掛けをつくる不当な流用そのものです。憲法八十六条と財政法十一条に規定する予算の単年度主義、つまり、会計年度ごとに予算を作成し、国会で議論するという財政民主主義をも破壊するものであり、断じて認めるわけにはいきません。
 今国会では、既に、福島第一原発の事故への反省を踏みにじる原発推進等五法案、保険証を廃止して問題だらけのマイナカードを強要するマイナンバー法案、そして、外国人の人権を踏みにじる入管法の改悪案が次々と強行されました。これらの法案に反対する国民の声も聞かないまま、野党の指摘する様々な問題に政府は答えることもなく、賛成会派もまともな討論も行わず、悪法を次々と強行する異常な国会運営は、およそ民主主義とは相入れません。ましてや、入管法改悪案の審議の中で、在留資格を失った外国人が全て犯罪者予備軍であるかのような悪質な議論が繰り返され、それに多数の賛同の拍手が沸き上がる国会、人権や命を軽視する国会の在り方が今厳しく国民に問われています。
 日本共産党は、全ての人の命と人権と尊厳が守られる政治、社会を目指して頑張り抜く決意を申し上げ、討論といたします。(拍手)