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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

文化の担い手支えよ コロナ禍 学生に給付金再支給を

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は15日の参院予算委員会で、長期化するコロナ危機の下、文化芸術に携わる人や学生の困窮が深刻さを増しているとして、直接支援の強化を求めました。

 吉良氏は、ライブハウスなどへの文化庁の支援策をめぐり、事業者が同庁に相談すると“まずは経済産業省へ”とたらい回しされ、結局何の支援も受けられなかった事例を挙げ、「支援の谷間に落ちた事業者がいるのは問題だ」と迫りました。

 萩生田光一文部科学相は「指摘のあった具体案(事例)や3次補正(追加の支援策)の使い方も含め、私の方で責任もって対応したい」と答えました。

 吉良氏は「ライブハウスやクラブ、ミニシアターを『文化の担い手』と位置付け、政府が責任をもって漏れなく支援すべきだ」と強調しました。

 さらに、文化庁の支援策はライブや公演などの実施が条件で、「手元資金のない若手アーティストなどは申請もできなかった」と指摘。追加支援も同じ仕組みで、当事者から「何か一芸をやって見せないとお金を渡さない政府の姿勢を変えてほしい」との声が上がっているとして、「文化芸術関係者の今の暮らしと活動を支える、使途を問わない給付で支援すべきだ」と主張しました。萩生田文科相は「その職業だけ給付することにはできない」と述べ、給付に冷たい姿勢を示しました。

 吉良氏は、学生の実態について、日本民主青年同盟などによる各地の食料支援で寄せられた「1日パン1個」「寝て空腹をごまかしている」などの声を紹介し、学生支援緊急給付金の再支給を要請。菅首相は、再支給には触れませんでした。

 吉良氏は、困窮の根底に、貧困な高等教育政策のもとで高騰する学費の問題があるとし、「予算を抜本的に増やして学費を半額にし、給付奨学金の拡大を」と求めました。

しんぶん赤旗2021年3月16日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 初めに、コロナ禍における文化芸術の支援について伺いたいと思います。
 今、ライブハウスの閉店が全国で相次いでいます。パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 これは、ライブハウスやクラブなどの民間の小規模文化施設をコロナ危機から守ろうと署名活動などに取り組んでいるセーブ・アワ・スペースの皆さんが昨年の夏に行ったアンケートの結果です。この半数以上が三か月とか半年もつか分からないと、この運営状況について回答されていると。このアンケートを取った時点からもう既に半年たっていて、再度の緊急事態宣言も続く今、多くのライブハウスやクラブが運営の危機に直面しているわけです。
 私、まず総理に伺いたいのは、この危機に瀕しているライブハウスが重要な文化の担い手であるという認識があるかどうかということなんです。昨年、私、感染拡大する中、真っ先にお話伺いに行ったライブハウスの店長さん、厳しいけれども、この町の音楽文化の灯を消さないように頑張っていきたいとおっしゃっていました。総理も、昨年三月二十六日にライブハウスの皆さんから直接要望も受けたと聞いています。このライブハウスやクラブ、音楽文化の担い手だと、コロナ危機により潰してはならない文化のとりでだという認識はありますか。

内閣総理大臣(菅義偉君)

 そこはもちろん私持っていますし、官邸にもライブハウスの方を呼んでお話を伺ったことがあります。

吉良よし子

 文化の担い手だという認識はあるというお話でした。
 ライブハウスというのは若手の登竜門となっています。草の根で音楽文化を支えているわけです。ライブハウスだけではなくて、クラブ、またミニシアターなども同じで、町の音楽やダンス、映画など、文化の担い手として誇りを持って営業を続けていらっしゃるわけです。
 しかし、このコロナ禍、大変な深刻な影響を受ける。ただ、感染防止のために様々な努力も続けている。そこに支援が行き渡っていないという問題があるんです。
 ライブハウスの皆さんが文化の担い手だということで支援を求めて文化庁に相談をしたら、まずは経産省の支援を受けろと言われてしまったと。もちろん、経産省の持続化給付金や持続化補助金などの対象になって救われた店もあるわけですけれども、一方で、私が話を聞いたライブハウスの方は、昨年四月に開業したところなので持続化給付金の対象外だと。文化庁に支援求めたら、ライブハウスは持続化補助金を申請して、そこで対象外と言われたら文化庁へと言われたと。それで、十月に持続化補助金を申請した。ところが、二月、採択発表の際に、この方、理由も知らされずに持続化補助金落ちてしまったと。でも、二月はもう既に文化庁の支援事業も申請期間終わっていて、結局何の支援も受けられなかったというんですね。
 こうした省庁の縦割りの弊害について、昨年、萩生田文科大臣は、各省庁間できちんと調整をして、応援体制、努めていきたいと答弁されていたわけですが、結局こうして経産省と文化庁の支援の谷間に落ちてしまっている事業者がいる。これ問題だと思うんですが、文科大臣、いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 民間の調査によると、コロナ禍においてライブハウスなどを含むライブ市場の総公演数や総動員数、売上げは前年と比べ激減しており、大変厳しい状況にあると認識しております。
 文化庁においては、ライブハウスなど小規模文化施設も活用可能な支援として、第三次補正予算において、文化芸術関係団体が感染対策を十分に実施した上で行う積極的な公演等への総額約二百五十億円の支援、文化施設における感染防止対策や配信等に関する整備等への約五十億円の支援を行うこととしております。また、今御指摘のあった経産省においても、J―LODliveの補助金での公演の支援など対策が講じられております。こうした事業を速やかに、かつ確実に活用いただけるよう、今後、文化庁としても情報提供や速やかな執行に努めてまいりたいと思います。
 今先生が御指摘になった具体的な例、ちょっと私存じ上げていないんですけれど、まずは経産省に言ってくれと文化庁が言ったと。もしそうだとすれば、それは非常にけしからぬ対応だと思います。しかしながら、制度については公にしておりましたので、問合せをしていただければよかったのではないかなというふうに思いますけれど。

吉良よし子

 いや、そうじゃない、問合せしたんです。最初に文化庁に言っているんです。なのに、まずは経産省と。これ、お一方じゃないですからね。ライブハウスやクラブハウス、ミニシアターの皆さん、みんなそうなんです。文化庁にまず言っても、まずは経産省の支援を受けてみてくれと、それで駄目だったら受けるよと、さんざん言われて、それでちゃんと経産省に言ったのに、そこでも落とされて、で、文化庁の支援終わっているんです。先ほど三次補正とおっしゃっていますけど、これ、三次補正の支援というのは一月以降の対策についての支援なんですね。だから、この方たち、もう十月の時点で感染対策などやっているわけです。そこに対しての支援全くないということになっているんですよ。
 この支援を受けられなかったライブハウスの方、この一年ずっと、ライブハウス、文化庁の支援の対象にと動いてきた方なんです。結局、経産省からも文化庁からも支援されなかった。文化庁の支援の対象にしてもらえるように動いてきたけど、これまでのその活動が否定された気持ちになりましたとおっしゃいました。
 これ、文化庁が責任を持つべきじゃないんですか。総理、省庁の縦割りで支援が行き渡らないというのはあってはならない。文化の担い手として頑張っているライブハウスやクラブ、ミニシアターなど、ちゃんと政府の責任で支援すべきじゃありませんか。

内閣総理大臣(菅義偉君)

 ライブハウスへの支援については、コンサートなどの自粛に伴うキャンセル費用の支援やライブを行う場合の謝礼への支援、感染症対策の強化などの支援を行っています。あわせて、活動を継続するために、無利子無担保融資による資金繰り支援や雇用調整助成金による人件費の支援を行っております。
 そういう中で、今委員から御指摘ありましたように、省庁の縦割りでできないということでありましたけど、それぞれの所管大臣がそこは責任持ってこれ対応すると思います。

吉良よし子

 責任持って対応されていないと言っているんですけれど、文化庁、責任持つべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 先生が御指摘になったのは、要するに、一口に今ライブハウスとおっしゃっていますけれど、例えば貸しホールとしてライブスタジオをやっている場合ですとか、あるいは飲食を伴う、そしてそこにショーが付くようなライブハウスで、形態が様々だったものですから、例えば小規模事業者の持続化補助金の対象になり得る業者もあれば全くならない業者もあるということで、経産省に相談をしてくださいというアドバイスをしたことはあったそうです。それは事実だということです。
 ただ、いずれにしても、その形態はいろいろあってもライブハウスがなくなることを全然望んでいませんので、ここはしっかり支援をしたいと思います。今御指摘のあった具体的な案も含めて、三次補正の使い方も含めて、私どもできちんと責任持って対応したいと思います。

吉良よし子

 ライブハウスなくなることはあってはならないと御答弁ありました。責任持ってちゃんと支援をしていただきたいと思うわけです。
 文化庁の支援策についても伺いたいと思います。
 セーブ・アワ・スペースのみならず、ウイ・ニード・カルチャーなどと声を上げて、文化関係者の皆さんの努力によって、この間、文化庁で約五百億円の予算が付けられて、文化芸術活動の継続支援事業というのがありました。これは、二月末までに、今年の二月末までにライブや公演などの事業を行うことを条件に、その費用の一部を助成するというものでした。
 昨年十二月の締切りまでの間に、申請件数は延べ九万六千三百四件、これまでに交付決定した累計件数は七万九千七百七十一件と伺っていますが、こうして、様々問題はあるものの、多くの文化芸術に携わる人たちの支援につながっていることは大事だと思うんです。ただ、中には、申請しても交付を受けることができなかった、若しくはもう諦めてしまった方がいると聞いています。
 確認したいと思います。文化芸術活動の継続支援事業に申請した人のうち不交付になった件数、そして取下げが行われた件数、両方併せてお答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 文科省としては、文化芸術活動の継続支援事業を実施し、これまで四回にわたり公募を行い、活動をされている実演家や技術スタッフの方々や文化芸術団体に対し、その活動継続や技能向上に向けた積極的な取組への支援を行ってまいりました。
 文化芸術活動の継続支援事業にはこれまで延べ九万六千三百件の件数の申請があって、そのうち、審査に必要な情報について数回の御連絡をさせていただいたところ御回答が得られなかったものなど、不交付決定となった件数は約一万二千件、申請要件に適用しないことなどを御理解され取り下げられた件数は約四千六百件となっております。

吉良よし子

 不交付が一万二千件、そして取下げが四千六百件なんですけれども、二万件近くが支援が届いていないわけですけど、これ取り下げたのは、制度の対象にならないからではなくて、諦めたからなんですよ。一番の問題は、交付までに時間が掛かり過ぎるからなんです。
 私のところにも、いつまでたっても連絡がなくて、交付されるかどうか分からないので、もう事業をすること自体も諦めようとか、取り下げようとか、そんな相談が次々寄せられました。相談される方には、もうしばらく待ってくれと言い続けて励まし続けてきたんですけれども、企画していた本番の日にもう間に合わないからと、だからもう持ち出すわけにもいかないしと諦めてしまった方も出てきてしまった。本当に私も悔しい思いなんです。
 今、三月になって、まだ交付決定できていない審査中の案件というのはあるんでしょうか。件数をお答えください。

国務大臣(萩生田光一君)

 現在十七件が審査中となっております。

吉良よし子

 十七件。これ、おかしな話なんです。先週の、一週間前の三月五日時点では八千件、不交付、まだ審査案件があったんです。それが一週間でゼロに近くなった、十七件になった。どういうことですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 文化庁においては、これまで、毎週金曜日の十四時頃に実施事務局から交付決定の情報をメールで受けて、十七時頃にホームページを更新しています。実施事務局で、これまでは十四時の時点で各個人等への通知基準が、通知準備が整った状態であったため十四時以降の報告を受けていましたが、今回は件数が多く、その後に不交付決定の通知準備が整ったため各個人等に通知することとしましたが、文化庁への報告が遅れたことが原因と承知しております。

吉良よし子

 いや、そうじゃないです。八千件あったのが一週間で十七件になった。七千件近く一気に、何、交付決定したということですか。どうなったんですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 先週段階まであった八千件については、継続的に交付の準備をしていたのが整ったということでございます。

吉良よし子

 八千件全部、十七件以外は全部交付されたと、それでよろしいですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 全て交付に決定したんじゃなくて、八千件のうち約六千件が交付決定をしていて、二千件は……(発言する者あり)逆。二千件が交付決定しておりまして、六千件が対象外ということになると思います。

吉良よし子

 要するに、六千件、この一週間で一気に切り捨てたということですよね。これ、余りにひどい話だと思うんですよ。連絡待ちながら一生懸命慣れない申請作業をしていた文化芸術関係者の皆さんが心を折れながらも頑張っていたのに、六千件一気に不交付決定。
 もうそもそもね、この二月末までに何かやれと、そういうやり方が問題なんですよ。この期間内に新しい公演行うのがどれだけ大変か。持ち出す資金のない若手のアーティストの皆さんは、もうすごい高いハードルで、それでも頑張って申請してみたけど、交付決定がなかなか来ないから諦めると、そういう悪循環になっているんですよ。申請すること自体できなかったという話も聞いています。
 先ほど三次補正御説明されましたけれども、そのアーツ・フォー・フューチャーという新しい事業もつくられた。けれども、これも先ほどの継続支援事業と同じ立て付けで、新たな公演など、とにかく資金を持ち出して何かをしないと助成の対象にならないんです。これじゃ現場は救われないんですよ。
 先日、私、そのセーブ・アワ・スペースなどが企画したオンラインの番組に出ましたけれども、そこでも出演者からは、もう政府の支援策がひどいと、何か一芸をやってみせないとお金を渡さない、こういう政府の姿勢を変えてほしいんだと、次々と声が出されました。
 総理、こういう何かやってみせろという支援じゃなくて、やっぱり使途を問わない、今の暮らしを、文化芸術関係者の皆さんの活動を支える給付支援制度こそつくるべきではありませんか。いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 まず、充実支援事業について、積極的な活動というのは、例えば感染リスクも勘案した演出の工夫を行うこと、若手を多く活用すること、観客の集客に努めるなど、積極的な活動として例示することを考えています。
 コロナ禍における公演等の実施に当たっては、文化芸術団体において様々な工夫をされているものと考えており、そのような活動を積極的に捉えてまいりたいというふうに思っております。

吉良よし子

 違うんです。感染対策なども工夫して様々やっていらっしゃるんですけど、今言っているのは、公演すること自体が大変だ、そういう話なんです。モチベーションの問題もあるし、何より手元に資金がない、もう貯金崩して生活されているというんですよ。やっぱり今を支える給付が必要じゃないか、現場の声なんです。
 使途を問わない給付制度つくってほしい、菅総理、いかがですか。

国務大臣(萩生田光一君)

 先生の熱いお気持ちは分かりますし、我々もその文化を守っていこうという思いはあるんですけれど、その職業だけは給付をするということにやっぱりできないと思います。その一定のルールの中で、国民の皆さんの税金ですから、その特別な文化活動で、我々が会社に勤めている人たちとは違う働き方があるということが分かって、例えばフリーターの人たちへの支援策は昨年講じることができました。
 もちろん文化には様々な形態があること分かっておりますけど、使い勝手のいい給付で、現金渡してくれと言われても、それはなかなか、その人を特定して、なぜその人なのかということを証明するのがすごく難しいと思うからこそ、先ほど申し上げたような一定の条件の中で活動している人に給付をしていきたいと、こう思っているところです。

吉良よし子

 それでは文化の灯は消えてしまうんです。質の高いパフォーマンスを支えるためには、日々の暮らし、生活を支えることがどうしたって不可欠なんです。
 音楽現場、もう限界です、先ほど言ったネットの番組、裏方で支える照明オペレーターの方なども出演されていました。その中で、そのイベント自粛要請によって彼らはもう大きな影響を受けている。キャンセル百件以上になったという方もいる。うち、キャンセル料の支払あったのは一件だけ。それから一年、自分は働ける状態なのに仕事がない現状がずっと続いていて、貯金崩していて、鬱々とした気持ちは拭えないと。日々現場に出ていたからこそ磨かれていたであろう感覚が急激に鈍り、この一年で自身が大きく老け込んだのを感じます。国や政府に対しては、今まで真面目に税金を納めてきたのに、こちらが困ったときには随分冷たいなという実感です。私はライブやコンサートなどの仕事が好きですが、何が最善か、まだ結論を出せず迷っています。こうして現場から、音楽文化の現場から人が消えていこうとしていると。それを防ぐための給付だということを申し上げたい。
 本当に、音楽現場だけじゃないというなら、みんなに給付すればいいだけなんです。生活困窮者にちゃんと給付をしていただきたいと思います。
 続いて、コロナ禍で苦しんでいる学生の支援についても伺います。
 学生も困窮しています。パネル御覧ください。これは全国大学生協、生活協同連合会の調査で分かったことですが、学生のアルバイト収入が九年ぶりに減少しています。勤務先からアルバイトシフトを減らされるなど、アルバイトの就労率、これ就労率ですけれども、一年でがくんとこれだけ落ちてしまっているというのが現状です。
 昨年末、文科大臣は、困窮した学生への更なる支援について問われた際、今後の状況を注視しながら、必要とあれば柔軟に対応すると答弁されました。ただ、今後の状況というのもかなり深刻なんです。緊急事態宣言が延長されている今、アルバイトのシフト減というのは続いています。学生の困窮状態、深刻化しています。
 その実態が分かるのが各地で行われている食料支援の状況です。筑波大学では、一月二十二日、食料支援を行ったら長蛇の列で、三千人分に渡したけれどもまだ足りなくて、後日渡したという話が報道ありました。日本民主青年同盟、民青同盟も、昨年春頃から学生への食料支援活動を行っています。この間、全国四十五都道府県、八百回以上実施され、延べ三万八千人利用していて、用意した食材、開始後十五分でなくなるなど、一月以降、各地で利用する学生増えています。
 その場で書いてもらう学生生活の実態アンケートには、時短要請の影響でシフトの時間が半分以下になってしまった、収入も半分以下になってしまったなど、緊急事態宣言の影響が次々と語られるとともに、一日百円でおなかいっぱいにしている、一日一食、耐えられないときは寝て空腹をごまかしているなどの声が寄せられている。食費を削って耐え忍んでいる。心が痛む思いです。中には、一日パン一個、給付奨学金受けているが、授業料や教科書代、独り暮らしに掛かる家賃や光熱費など、大学通学に伴う費用は大きく、親の経済的な負担を減らすために退学を検討していますとの声もありました。
 総理に伺いたいと思います。
 食費を削って何とかしのいでいる学生たちが、この年度末、退学、休学選択しなくていいように、改めて学生向けの給付金支給すべきと思いますが、いかがですか。

内閣総理大臣(菅義偉君)

 新型コロナの影響を受けた学生については、昨年の最大二十万円の学生支援緊急給付金に加え、所得の低い世帯の学生を無償化の対象に、また新型コロナにより家計が急変した学生を追加し、授業料の減免を行う大学への補助等を行っております。
 こうした幅広い取組によって、学生が進学を諦めることがないようしっかり支えていきたいと思います。

吉良よし子

 進学を諦めることのないよう支えると言いますが、やはり給付必要なんですよ。
 そして、やっぱり私、これだけこのコロナ禍で学生が困窮に陥っているのは、単にコロナのせいだけじゃないということを強調したいと思うんです。
 何しろ、この間、先ほど来も論戦でもありましたけれども、日本の学費、世界の中でも高くて、もう毎年毎年値上がりが続いているんです。一方で、奨学金というのは大半が借金となる貸与型で、二人に一人がそれを借りないと進学できないと。で、借金が嫌でアルバイトをする学生も増えていた中でのコロナ禍で困窮しているという状況なんですね。だから、やっぱりここにちゃんと予算を付けなきゃいけないと思うんです、学生の分野に。
 なのに、今年度の予算見たら、学生への予算減っているんですよ。前政権の目玉政策でもあった給付奨学金、修学支援制度の予算は、今年度は四千八百三億円。昨年と比べて七十八億円も減ってしまっていると。これで本当に学生支援できるんですか。
 やっぱり、そうじゃなくて、今こそ、困窮する学生が広がっている今こそ、政府の高等教育予算、抜本的に増やして学費半額に、給付奨学金、抜本的に拡充していくべきではありませんか。総理、いかがでしょう。

国務大臣(萩生田光一君)

 まず、給付型が昨年度より減っているのは自然増でございまして、十八歳人口が少子化の影響で減っていて、比率は同じでございます。
 学びの継続のための学生支援緊急給付金につきましては、これまで学校が推薦すべきと判断した全ての学生約四十二万人に支給を行いました。また、昨年秋以降に経済的に困窮した者など約一万人を対象に現在追加の支給を行っているところでございます。
 このほか、学生の学びの支援緊急パッケージを昨年十二月に改訂し、無利子奨学金の充実や休学する学生への対応等の追加の支援策を盛り込んだところです。また、学生支援機構の寄附金を活用し、コロナ禍において経済的に困難を抱える学生に対するきめ細かな支援につきましても実施をすることとしております。まずはこれらの支援を着実に実施したいと考えております。
 引き続き、新型コロナウイルス感染症の状況や学生の修学状況等はしっかり注視をしてまいりたいと思います。

吉良よし子

 私は、今学費を値下げするべきだということを申し上げているわけなんです。
 総理、いかがですか。全ての学生がコロナ禍で様々な影響を受けているんです。今こそ学費値下げに踏み出すべきじゃありませんか。

国務大臣(萩生田光一君)

 大学の授業料については、先生も御案内のとおり、各大学の判断により個別に設定されるものであり、御指摘の各大学の授業料そのものを引き下げることについては、必要な財源の確保などの観点も含め、総合的な検討が必要であると考えています。
 文科省としては、意欲と能力のある学生が、家庭の経済状況にかかわらず、希望する質の高い教育を受けられるようにすることが重要と考えており、昨年四月から開始した高等教育の修学支援制度などを通じて、今後とも教育費の負担の軽減に努めてまいりたいと思います。

吉良よし子

 学費、大学任せにしていちゃ駄目なんです。なぜ、大学任せにしていたら下がらないのか、上がっているのか。政府が運営費交付金などの予算を削っているからでしょう。そこで学生が困っているんですよ。食料支援利用した学生たちのほとんど、アンケートで学費下げてほしいと書いています。
 是非この声に応えていただくよう強く求めて、質問を終わります。