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吉良よし子

参議院議員

吉良よし子 国会質問

国会質問

2021年・第204通常国会

わいせつ教員の対応 被害児童に配慮必要 

要約

 日本共産党の吉良よし子議員は20日の参院文教科学委員会で、いわゆる「わいせつ教員」による学校での性暴力問題について、事実認定をする際の子どもに配慮した仕組みづくりや包括的な「性教育」の必要性を文科大臣に求めました。

 吉良氏は、学校での性暴力は被害そのものの事実認定が非常に困難であり、なかなか表に出てこないうえ、子どもが信頼をよせる教員による加害は子どもの一生を左右する深刻なダメージを与えると指摘。被害の事実認定をする際に、子どもに負担をかけたり、2次被害を起こさないよう求めました。瀧本寛初等中等教育局長は、「司法面接」の手法も参考に被害児童生徒に配慮した事実確認や支援、保護等の取り組みを進めたいと述べました。

 吉良氏は、学校での性暴力が過去の事案であっても、さかのぼって事実認定し、適切に対処することが必要ではないかと質問。瀧本局長は「時間がたってから被害の訴えがあったとしても可能な限り事実関係の確認を行う」と答弁しました。吉良氏が「性教育を教育課程に人権教育と一体に位置付けるべきではないか」と迫ると、萩生田光一文科相は「時代の変化を踏まえて、性教育のあり方を検討したい」と応じました。

しんぶん赤旗2021年5月27日付より抜粋

議事録

吉良よし子

 日本共産党の吉良よし子です。
 今日は、いわゆるわいせつ教員、学校での性暴力問題について伺いたいと思います。
 子供たちを性暴力から守るために、性暴力で懲戒免職になった教員について、学校などの子供に関わる職に就かせない、これは当然だと思います。ただ、その前提として、その事実認定があると。学校での性暴力被害の事実認定そのものが非常に困難である、その被害がなかなか表に出てこないこと自体が私は大きな課題だと思っております。
 特に、教職員が加害をする際、その教員であるという立場を利用して、これは指導だと、君のためなんだなどと言って巧妙に従わせたり、時には脅しもしながらコントロールしたりする事例が多く、そのために、子供たちもその場で拒むことができないだけでなく、相談、声を上げることすらしづらいと。さらに、保護者や同僚からも信頼されている教師であれば、なおさら子供たちは周囲に相談することもできず、その被害が発覚しづらくなると思うわけです。
 学校での性暴力というのはこのような特性があると思うんですけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 そのとおりだと思います。
 まず、児童生徒を守り育てる立場にある教師が児童生徒に対してわいせつな行為を行うなどということは断じてあってはならないことですが、御指摘のとおり、教師による児童生徒への性暴力被害の場合は、今お話があったように、そのときにはそれが何を意味する行為なのかが子供たちには分からなくて、大人になって初めてそういうことだったのかということで心を痛めるという場合もありますし、また、分かっているんですけれども、それを言えば、次にもしかしたらこの先生が異動になっていなくなってしまうかもしれないとか、そのことによって友達からの信頼を失うかもしれないという二次的なことを心配して、言うならば一人で抱え込むというような場合が子供たちの場合には非常に多くある、まさに特性がある被害だというふうに承知をしております。

吉良よし子

 おっしゃるとおり、子供たち自身が何をされているか分からないということ自体もありますし、やはり教師からの子供への性暴力ということでいえば、子供が信頼を寄せている教員による加害であり、子供の一生を左右する、深刻なダメージを与えるものであるわけです。
 さらに、この教師からの子供への性暴力というのは、つまり、その地位、関係性を利用した性暴力の典型だというものであり、圧倒的に教師が上の立場で権力を持つため、暴行とか脅迫なんということをしなくても性暴力が起こり得る状況にあるからこそ悪質だということを、私、重ねて申し上げておきたいと思うわけです。
 同時に、先ほど大臣がおっしゃったとおり、被害者が子供だからこそ、自分に起きたことを具体的な言葉にして周りの大人に伝えることというのが大人以上につらい、困難を伴うというのは明らかだと思うわけです。そのため、学校現場で子供に対する教師からの性暴力事案が発覚した場合、その事実確認というのは本当に丁寧に行う必要があると思います。
 この被害を受けた子供たちに配慮して事実確認を行える体制づくり、また、適切に子供たちを保護し救済できる仕組みづくり、私、早急に進めていく必要があるのではないかと思いますが、文科省ではいかがお考えでしょうか。

文部科学省初等中等教育局長(瀧本寛君)

 お答えを申し上げます。
 いわゆる非違行為や疑わしい行為があった場合には、各教育委員会において教員や児童生徒等から聞き取りなども行って事案の調査を行い、その結果を踏まえて厳正に懲戒処分を行うなど対処いただいているところでございますが、その際、委員御指摘のとおり、被害を受けた児童生徒には十分に配慮して対応する必要があると考えております。
 こうした観点から、文部科学省においては、子供たちを性暴力の加害者にも被害者にもあるいは傍観者にもしないための命の安全教育の推進のほか、各教育委員会に対しまして、教員や児童生徒を対象としたアンケートの実施など実態把握に努めること、あるいは被害児童生徒の相談体制整備やスクールカウンセラーなど専門家等による適切な支援を行うこと、さらには、調査等に当たりまして、事案に応じては弁護士や医師等の外部の専門家の協力を得ること、また、処分事案の公表に関しては、当然ながら、被害児童生徒のプライバシー保護に十二分に配慮するよう求めているところでございます。
 文部科学省としては、引き続き、教員による児童生徒へのあってはならない性暴力被害、この防止のための取組を推進するとともに、被害児童生徒に配慮した事実確認、あるいは支援、保護等の取組について、関係府省や教育委員会等と十分に相談をしながら進めてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 全体的に答えていただいたんですけど、私、今確認したいのは、事実確認のプロセスについてなんです。何か被害があったと子供が訴え出たときに事実を認定するといったときに、ただでさえ口にするのが困難なことを、例えば様々な大人が介入して、専門家とかおっしゃいましたけど、担任の教師であったり、若しくは外部の人であったり教育委員会であったりと、もう何度も何度も説明させるような事態があったら、それは本当、大変な精神的な苦痛を伴うことだと思うんです。もう大人であってもそれは苦痛だと思うわけで、やはり、子供であるがゆえに、その事実確認の過程、本当に丁寧にやらなきゃいけない。
 ワンストップ支援なんて大人の場合はあるわけですけれども、そういった体制をちゃんと整備しなきゃいけないんじゃないかという御質問なんですけれども、いかがでしょう。

政府参考人(瀧本寛君)

 お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、子供の側に最大限配慮した対応が望まれるところでございますが、実は既に、子供が被害者である、あるいは目撃者等の参考人である場合の刑事事件の調査又は捜査の段階において取られている仕組みとして、いわゆる司法面接の制度がございます。
 その際には、その事案がどういうところまで手続が進んでいるかによりますけれども、検察、警察、児童相談所の三機関の担当者が子供への聴取方法などについて十分に協議を行った上で、そのうちの代表者一人が子供の供述特性を踏まえた上で、踏まえた方法で面接、聴取等を行う仕組みが既に平成二十七年度から取り入れられているところでございます。
 この制度は、子供の負担軽減若しくは子供の供述の信頼性を確保するという観点から、こうした関係機関の連携の強化の中で平成二十七年度から既に導入されている制度でございます。したがいまして、こうした司法面接の手法を活用することも被害児童生徒に対して聞き取り等を行う際に有効な方法だと考えておりまして、法務省等の関係省庁からも情報をいただきながら、各教育委員会の人事管理担当者に対して事案の調査に当たっての工夫なども伝えてまいりたいと考えております。

吉良よし子

 司法面接という手法について御紹介あったわけですけど、これ要するに学校現場でやられていることではないわけですよね。だから、これをちゃんと各学校現場で丁寧にできるように是非やっていただきたいと重ねて申し上げておきます。
 さらに、子供が被害を受けた場合、本当にそれが性被害だと気付くまで時間が掛かるということは本当に少なくないと思うわけです。私、この二年の間、性暴力のない社会を目指すフラワーデモに参加してきました。その中で出されているのが、子供の頃に何らかの性被害に遭った当事者の多くの方が長年その被害が被害だと認識できなかったとお話しされていたことなんです。
 札幌市で中学時代の教員からの性被害について裁判で闘っている石田郁子さんも、二十年、三十年たって、大人になってから自分の受けた行為が性暴力だったと気付いたと話されていたと。自分自身を守るためにそういうつらい体験を無自覚のうちに記憶から消してしまって、時間がたってから被害がよみがえるといったケースもあるわけです。
 こうした特性踏まえれば、学校での性暴力の事実認定する場合は、現在の児童生徒の被害を調査するのはもちろんのこと、被害者からの訴えがあれば、それがたとえ過去の事案であっても遡ってその事実を認定し、適切に対処することも必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

政府参考人(瀧本寛君)

 お答え申し上げます。
 教員による児童生徒への性暴力被害等につきまして被害者から訴えがあった場合、時間がたってから訴えがあった場合、たとえそれが長い時間を経過してからだったとしても、可能な限り事実関係の確認を行うことが望ましいと考えております。
 一方で、地方公務員法による、済みません、またですね、また、地方公務員法による懲戒処分については、法律上の時効はなく、職員の身分を継続して保有する限り、在職中の過去の義務違反に対して懲戒処分を行うことも可能でございますので、そうした事実が確認された場合にはその内容に応じて厳正に対処することが必要だと考えております。
 また一方で、一般的には時間の経過とともにその事実関係の確認が難しくなるという面もございますので、まずは、教員による性暴力被害を見過ごすことのないよう、目の前の児童生徒あるいは教職員を対象としたアンケートを実施するなど、その事案をできるだけ速やかに確認をし、その実態把握を踏まえて適切な対処をしていくことが、併せて進めていくことが重要であると考えております。

吉良よし子

 可能な限り遡っても対応するという御答弁だったと思います。本当に是非、過去の事案だからといって置き去りにするのではなくて、ちゃんと適切に被害が発覚した時点で遡ってでも調査、事実認定していただきたいと思うわけです。
 そうじゃなくても、多くの当事者の皆さん、PTSDを患うなど、精神的、身体的に長年にわたり苦しんでいるという話が報道等でされています。
 例えば、当時小学校四年生だった妹さんが教師から盗撮されたという方によると、その当該教師は逮捕されたけれども、妹はいまだに怖くて家族の前でも着替えができないことがあるというと。三十年以上も前、みんながいる教室で教師の膝の上に座らされて机の陰で下着の中に手を入れられるという被害を受けた方、三十年たった今もなお、現在も過食と嘔吐が続く、そういう報道もありました。
 子供に対する性暴力が残酷なのは、被害当時子供だった被害者が、当時は分からなくても成長とともにその行為の意味が分かるように、更に一層傷が深くなるということなわけです。だからこそ、先ほどおっしゃられたように、被害を未然に防ぐと、嫌なことをされたら嫌だって言っていいんだと、プライベートゾーンは触らない、触らせないんだという、そういう性教育というのを本当に年齢に合わせて早い段階から行って被害を防いでいくということは大事です。
 先ほど御紹介ありましたけど、文科省、命の安全教育を掲げて、命を大切にするための教材、指導の手引書の中で、プライベートゾーンを触らない、相手との距離を取ることの重要性などを示す性暴力被害を予防する取組進めていらっしゃると。これ大事な取組だと思うんですが、一方で、いまだに学習指導要領には性教育という言葉がないわけです。
 改めて、大臣、この性教育を教育課程にちゃんと位置付けると、人権教育と一体に位置付けるべきだと思いますが、いかがでしょう。

文部科学大臣(萩生田光一君)

 児童生徒が学校における性に関する指導を通じて性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるようにすることは非常に重要だと考えております。
 このため、学校における性に関する指導は、学習指導要領に基づいて、保健体育あるいは特別活動を始め学校教育活動全体を通じて指導されており、その指導に当たっては、児童生徒の発達の段階を踏まえるとともに、集団で一律に指導するのではなく、個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導することとしております。また、地域の実情や児童生徒の発達段階に応じて人権教育も行われております。
 文科省においては、今後とも、国で作成した指導資料や命の安全教育に係る教材等の活用も含め、学校における指導の充実が図られるように努めてまいります。
 というのが今までの答弁なんですけど、ここで議員の皆さんも御努力いただいて、例えばわいせつ教員の議員立法などが成立をするような方向になれば、じゃ、それ具体的にどういうことなのかということを子供たちも理解していなければ犯罪要件が分からないわけでありまして、そういった意味で、かなり時代が変わってきましたので、この国会でも度々性教育の必要性については先生方からも御指摘いただいております。
 また、ICT教育が始まりましたので、簡単にそういったその情報に接することができる環境が子供たちにも増えてきているのも事実でありますので、この時代の変化をしっかり踏まえて、その在り方について文科省でしっかり検討してみたいと思っています。

吉良よし子

 是非しっかり検討していただきたいですし、やはり包括的な性教育だと、単純に被害を防ぐだけじゃなくて、相手を尊重すること、性的なことにもきちんと同意を得てお互いに幸福を得られるような関係性を築いていくことこそが重要なんだよということを学ぶ人権教育としての性教育を進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。