吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
 では、早速ですが、今回の法案により非識別加工情報の対象となる個人情報は全行政機関等にどのくらいあるのか、また、この全てが非識別加工情報として民間事業者等に利活用されるというふうに考えていいのかという点、参考人、お願いいたします。
総務省・上村進君
お答えいたします。
 まず、この個人情報の数でございますけれども、我々ファイル単位でこれを数えておりまして、この御提案を申し上げている法案の要件でございますが、第二条九項に三つ要件がございます。
 まず、個人情報ファイル簿が公表されているという必要がございます。この公表されている個人情報ファイル簿といいますのは合計で七万九千件ございます。内訳は、国の行政機関が六万五千、独立行政法人等が一万五千、約八万でございます。これは平成二十七年三月現在でございます。この公表されている個人情報ファイル簿のうち、さらに、先ほどの二条九項でもう二つ条件がございまして、情報公開請求があれば部分開示をされるもの、それからもう一つは行政運営に支障を生じないもの、この要件がございます。これを満たすかどうかといいますことは、この法案の成立がいただけますれば、施行までの間にそれぞれ所管する行政機関及び独立行政法人が検討することになります。
 したがいまして、現段階で提案対象のファイルの数は申し上げるのは困難ではございますが、御指摘のとおり、全てが提案の対象となるということではございません。
吉良よし子君
約八万件もの情報が今回の対象となると。ただ、その一方、具体的に利活用される情報はどうなるかは、これから請求があるかどうかというところも含めて決まっていくという話であり、現時点では分からないというお話だったかと思うわけです。
 一方、今回の法案というのは、先ほど来ありますとおり、産業界からの要望などを受けて立案したとされているわけですが、では、民間事業者等から、行政機関等が保有する個人情報、どの個人情報を利活用したいとニーズが上がっているのか、これから掘り起こすというようなお話も先ほど来あったわけですけど、現時点で上がっているニーズはどのようなものがあるのか、具体的にお答えください。
上村進君
お答えいたします。
 ただいまの答弁とも関係するわけでございますけれども、まず、各行政機関がどの個人情報ファイルを提案の対象とするか、募集の対象とするかというのは分からないわけでございますので、現時点で民間企業の方が、ではこれをというふうに申し上げていただくというのは非常に難しいんだろうと思っております。
 それで、るる御答弁申し上げていることの繰り返しになって恐縮でございますが、他方で、一般的な期待というのは非常に高いものがございます。つい最近の四月十九日の経済団体連合会からの提言でもそういう御期待をいただいていると。それから、もうここで繰り返しませんが、参考人質疑で、具体的なファイルの名前も挙げて、こういう提案はあり得るのではないかというふうな御意見も承ったものでございますので、そうした提案がこれから生まれてくるものというふうに考えております。
吉良よし子君
先週の参考人質疑の中では、確かに医療分野における個人情報については医学研究や医療の現場にとって利活用が必要な分野であるということも言われ、その一方で、やはりセンシティブな内容が含まれているから慎重な取扱いもすべきだし個別法も必要なのではという議論もあったということは私も認識しております。
 では、その医療情報以外のニーズは現時点であるのかといえば、先ほど期待は高いという声はあったけれども、具体的には今まだ出ていないという状況だと思うわけです。一体どんな個人情報が利活用され、新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するというのか、これが本当に具体的にイメージしづらい、疑問な状態にあると思うわけです。
 大臣に改めて伺いますが、今回の法案で言う新たな産業の創出というのはどういうものだとお考えなんでしょうか。
総務大臣・高市早苗君
まさに、新たな産業の創出でございますから、行管局長や私が発案できるようなレベルのものであったらそれは新たな産業とは言えないんではないかと思います。
 このデータ、ICTの活用ということで、新しい付加価値を創造するとともに、産業構造や社会生活に従来にはなかったようなイノベーションをもたらして社会的な課題の解決にもつながっていく、そういう姿を期待しています。新たな産業の創出ですから、これまでにはなかったような新しい産業が生み出されるということで、この法律案によりまして非識別加工情報の利活用の仕組みを、当然、安全性、安心、安全ということは大前提ですけれども、利活用の仕組みを整備するということで民間の方々の創意工夫が最大限に生かされて、まさに私が今具体的にこういうサービスが、こういう産業がと言えないようなレベルの新しいものが生み出されてくる、これを期待いたしております。
吉良よし子君
要するに、今現時点では思い描けないような新たな従来になかったものをつくっていく。衆議院の方でも思いもよらなかったイノベーションが起きてくることを期待しているという御答弁もあったかと思いますが、もちろんそうした思いもよらなかったイノベーションが起きて日本経済や国民生活にいい効果を生んでくれることというのは確かにあると思うわけです。ただ、今ある具体的なニーズに基づいて議論されるのではなくて、将来もしかしたら起こるかもしれないからという期待だけで、行政機関が保有している大量の個人情報について、言わば、先ほども創意工夫をしてもらうんだ、民間事業者にという話ありましたけれども、民間事業者に利活用を求めていくような枠組みづくりを今急ぐ必要が本当にあるのかというところが疑問なんですが、利活用を優先するような枠組みづくり、今必要だと思われるのでしょうか。大臣、いかがでしょう。
高市早苗君
利活用をすることによって全くこれまで想像も付かなかったような新たなサービスが展開され、またそれが公益にも資するような姿をつくっていける、こういうことが可能な環境を今整備しておくことが必要だという認識でございます。それを阻害してしまう要因が残っていてはいけないのであって、もちろん国民の皆様の安心、個人、自分の大切なパーソナルデータですから、それに対する安心というものを確保するために匿名化をするわけでございます。そういった安心を確保できるということが大前提で、しかしながらそこから新たなイノベーションが生まれ、そしてまた社会的な課題が解決される、そのための環境を整備するというスタンスでございます。
吉良よし子君
環境整備ということですけれども、やはり行政機関等が収集して保有する個人情報というのは、先ほど来ありますように、大量に組織的に情報提供者の選択の余地なく集められるような類いのものだと思うわけです。だからこそ、その扱いというのは慎重過ぎるほど慎重でなければならないと考えます。だからこそ、将来起きるかもしれない新産業の創出のためにと自ら率先して利活用に走るということはやめるべきなのではないかと。やっぱり、求められているのは、厳格な個人情報保護の下での社会的な要請に応えた利活用だというわけです。
 やはり、その厳格な個人情報保護、先ほども安心の確保はするということをおっしゃっていたわけですけれども、ここで、第三者機関、個人情報保護委員会のことについて伺いたいと思うわけです。
 先ほど来もありますとおり、参考人質疑でも、個人情報保護委員会、第三者機関の権限について様々議論されているわけですけれども、それについて不十分という意見も出されました。
 本法案において個人情報保護委員会の管理下に入るのは行政機関等が作成、提供する非識別加工情報だけとなっておりますが、それはなぜなのか、お答えください。
上村進君
お答えいたします。
 今回の法改正でございますけれども、御提案している内容が、非識別加工情報を民間に御提供を申し上げる、これでパーソナルデータの利活用を進める枠組みをつくっていくということでございますので、この部分に関しましてどういう監督体制が最も適切なのかということを考えたわけでございます。
 その検討におきまして、この運用というのは、いろいろな面で官民通じて利用される、あるいは有機的に結び付くという面がございますので、これは官と民、別々ではなくて同じ機関が行うことが合理的であろうという結論に至りましたので、今回の御提案を申し上げている改正案のうち、この非識別加工情報の取扱いに係る監視、監督は個人情報保護委員会が一元的に監視、監督を行うというのが適当であろうと考えて御提案に至っているものでございます。
 他方で、その他の部分につきましては、現行法の取扱いの基本的な構造、これを変更するということにはなっていないものでございますから、そういう意味では現行の監督体制をこれを維持する、変更することはしていないと、こういうことでございます。
吉良よし子君
ただ、昨年の個人情報保護法改正において、その民間部門が扱う個人情報については個人情報保護委員会が一元的に監督することとされた一方で、今回、この行政機関等が収集し保有している個人情報についてはそれぞれの省庁あるいは独立行政法人等が監督していて、それがまた非識別加工情報となれば今回個人情報保護委員会の監督下に置かれるというふうなことになっていくわけで、そういうのはいびつな権限配分ではないかというふうな指摘もあるわけですよ。
 さらに、参考人質疑で清水参考人は、個人情報保護委員会が個人情報全般について監督できない理由はないんだとして、情報を、どこからを識別でき、どこからは識別できないかという判断は微妙な問題もあるし、また、それぞれの行政機関等が自分の所管ではないという考え方をしてもらっても困るということから、やはり全般的に第三者機関で監督をすべきではないかという指摘があったわけです。
 やはり非識別情報のみならず、行政機関の扱う個人情報全般を個人情報保護委員会の監督下に置くべきではないかと私考えるのですが、大臣、いかがでしょうか。
高市早苗君
現行の法制では、行政機関が保有する個人情報につきましては、権力的、義務的に収集されるものが多いということなど、民間事業者が保有する個人情報とは性質が異なるということなどから民間部門とは別の法制となっていて、行政制度一般に関する基本的事項を所管する総務大臣が政府全体としての法運用の統一性、法適合性確保の観点から監督を行っています。
 なお、個人情報保護法等改正法附則第十二条第六項におきまして「個人情報の保護に関する法制の在り方について検討する」という旨の規定がございますので、これは個人情報の取扱いに関する監督体制にも関わり得るものであります。ですから、同項に基づきまして、今後、改正法の施行状況などを踏まえて検討をしてまいりたいと思っております。
吉良よし子君
民間とは性質が異なるとはいえ、元々は行政機関が保有していた個人情報を非識別加工したというところで個人情報保護委員会にということなわけですから、そういう意味では、もうそういう情報を加工するかどうかじゃなくて、やはりそれをどこまで加工したらいいのかとか、そういうことも含めて第三者機関の中できちんと適切に検討できるように、やはり全般的に対象にすべきだと私は思いますし、大臣、検討するということであれば、是非きちっとそこのところも含めて、権限の拡大、検討していただきたいと思うわけですよ。
 やはり第三者機関が重要という意味合いでは、清水参考人だけではなく、ほかのお二人の参考人からも、政府からの独立、専門性の向上、体制の強化が必要との意見も出されておりました。そうした意味で、こうした個人情報保護委員会の権限そして体制の強化というのは、私、欠かせないと思うんです。
 これは先ほど来も確認されていることでありますが、個人情報保護委員会にもう一度確認をいたします。
 不十分とはいえ、非識別加工情報が個人情報保護委員会の監督下に置かれることで新たな業務の追加となる。その中で体制が強化されるのかという点と、また、今後もさらにそうした体制の強化や権限の拡大等々、やはり第三者委員会の扱うものというのは大きくなっていくべきと考えるわけですが、その点、いかがでしょうか。
個人情報保護委員会・其田真理君
お答え申し上げます。
 個人情報保護委員会は、マイナンバーに関する監視、監督を行うとともに、改正個人情報保護法の全面施行のための政令等の作成、また全面施行後は事業者の監督を一元的に行うことになりますことから、委員から御指摘いただきましたように、事務局の体制整備は極めて重要な課題と認識をしております。
 現状までの事務局の体制について申し上げますと、平成二十六年度末定員が三十二名でございましたが、二十七年度末は五十二名、今年度は七十八名と拡充してきておりまして、現在は、ITの専門家、弁護士、相談員など外部から採用した非常勤職員等を含めますと約九十名の体制になっております。七月以降は約百名の体制を予定しております。
 また、今後の体制につきましても、引き続き、関係機関と御相談しながら、委員会として必要な体制の整備に努めてまいりたいと思います。
 また、権限の強化につきましては、委員会といたしましては、与えられた権限を中立的かつ公正に執行する独立した機関として、法律で与えられた任務を達成できるよう全力で取り組んでまいりたいと思います。
吉良よし子君
体制の強化重要だというお話もあって、その方向でということですので、是非権限も含めて拡大していっていただきたいと思うわけですし、改めて、大臣もおっしゃったように、総務省の検討会の中間的整理においても、将来的には第三者機関への一元化はあるとの意見があることや、国際的整合性の問題などを踏まえて更なる改善点があれば見直しが行われる可能性があり得るとされているわけですから、先ほど来申し上げていますとおり、非識別情報のみならず、行政機関の扱う個人情報全般を個人情報保護委員会の監督下に置くことを是非検討していただきたいということを重ねて申し上げた上で、もう幾つか続けて伺いたいんですが、やはり今回の改正で不十分な点というのはまだまだあると思うわけです。
 まず、個人情報保護法においては、匿名加工情報の提供を受けた匿名加工情報取扱事業者の義務について定めています。第三十九条の安全管理措置等においては、匿名加工情報の安全管理のために必要かつ適切な措置、取扱いに関する苦情の処理その他適正な取扱いを確保するための必要な措置について自ら講じ、かつ内容の公表をするよう努めなければならないとしており、今回の改正ではそれがそのまま非識別加工情報の提供を受けた民間事業者に適用されることとなっております。
 ただ、これが努めなければならないという努力義務規定であるという点について、総務省の検討会では今後の検討課題とされているわけですが、行政機関等が保有する個人情報の特質性に照らしてみれば、やはり努力義務規定のままでよいのか、それは問題なのではないかと思われるのですが、総務省、いかがでしょうか。
上村進君
お答えいたします。
 まず、前提といたしまして、これまでの御答弁の繰り返しにはなりますけれども、民間事業者の方に提供申し上げるこういう情報といいますのは、一つは、繰り返しになりますが、まず対象となる個人情報ファイル簿が公表されているもの、そういう意味では、国の安全ですとか公共の治安ですとか、そういったものは対象にならないと。それから、加えまして、情報公開請求があったならば開示がされるものである、逆に言うと全部開示にならないような、不開示になってしまうようなものは提供されないと。そうしたことをスクリーニングしていく中で、国民の権利利益の侵害に当たるような情報というのは基本的にはその中で絞り込まれていきまして、基本的には出ていかないというふうな仕組みになっております。
 その上で、これもるる述べておるところでございますけれども、いろいろな欠格要件、それから提案目的、それから事業者の側の安全管理措置、これを審査させていただくということになってございます。この点につきましては民間の方を規律します個人情報保護法にはない点でございまして、こちらの方で、こちらの方といいますのは、個人情報保護法で努力義務となっている安全管理措置、それにつきましては、私どもの方の提案の審査、それから契約締結の過程でそこはどうなっているかというのを見させていただくということは可能な仕組みになってございます。その上で、契約条項でございますので、契約違反の不適切な使われ方をしているふうなことがあれば、これも先ほど御答弁いたしましたけれども、直ちに契約解除ですとか、そういうふうに、すぐ契約解除になるかどうかはあれでございますけれども、いろいろな適切な措置を講じまして利用停止をするというふうなことも可能なところでございます。
 このように、まず情報自体の性格、それからいろいろな規律、制度的な担保措置、幾重にも定めることによりまして適正な取扱いのための万全な措置を講じているということでございます。
吉良よし子君
努力義務であっても様々な段階で様々な審査もされるから大丈夫だと、なおかつ非識別加工なんだから大丈夫だと、そういうお話ですけど、ただし、先ほどもあったように、識別行為の禁止というのが本法案に書かれていること自体、再識別化のリスクがあるということを認識されていることだと思うわけです。
 それに、やはり悪質な民間事業者というものが必ずいるわけでして、それが最初から悪意を持って、識別行為を行いますとか、安全管理措置なんかしませんなんということを最初から言うわけがないわけでして、様々な審査も擦り抜けて提供を受けたところで識別行為を行って個人情報の流出が行われてしまう、そういう危険性もないとは言い切れないわけですよね。だから、そういう段階で手を打っていてはやはり遅いわけで、努力義務規定で民間事業者任せにしておくということは私はやっぱり問題だと思うわけです。
 先ほどその欠格事由のことがお話しされましたが、今回のこの改正案の四十四条の六において非識別加工情報の提案を行う事業者についての欠格事由というのが定められているわけですが、これまでにその欠格事由に該当した事業者というのはいるのでしょうか。
上村進君
今回御提案をしております法案の御指摘の四十四条の六というのは、この法案に関して新たに導入するということでございますので、そういう意味ではこれに該当する民間事業者というのはまだいないということであります。
吉良よし子君
これからだから、まだいないということでしたけれども、ということは、つまり、過去に個人情報の流出や漏えいに関わった、若しくは関わったとされる報道があったような事業者であったとしても、本法案がスタートする時点では利活用の提案というものができてしまう、それを妨げることはできないということなわけであり、これでは欠格事由があるから不適切な事業者は提案者として排除できるという説明は成り立たないのではないかと思うわけです。
 この間、いわゆる名簿屋と言われるような事業者による個人情報の売り買いによる個人情報流出などが社会問題となっている中で、今までであったら統計情報とか学術研究のためといった具体的な国民のために還元するというニーズに限定して利活用させてきた行政機関等の個人情報が、民間も含め更に広く利活用させようというのが今回の法案なわけであり、まず、これで悪用が防げるのかという点は本当に疑問なわけです。
 もう一点伺いますけれども、本法律案では、非識別加工情報を提供された民間事業者が再識別行為を行うなどしてその情報の漏えい、流出など重大な契約違反事例が起きるなどとした場合には、先ほどもあったように、契約解除ができるとしているわけですけれども、その契約解除以外に行政機関等がそうした漏えいを防ぐためにどのような権限を行使できるのか、口頭注意とかそういったものがあると思うんですが、その点はいかがでしょうか。
上村進君
これは、基本的には民間事業者の監督は個人情報保護法における個人情報保護委員会でございますので、例えばそれを察知した行政機関が個人情報保護委員会に通知をし、適切な監督権限の発動を求めると、こういうことはできると思います、これは間接的にはなりますが。それから、一般論でございますが、当然、民法上の損害賠償請求というのも可能でございます。
 さらに、実際の民間事業者と行政機関の関係は契約関係でございますので、これは契約の中身によってくるわけでございますが、当然、提供した情報の適正な取扱いに関し必要な条件を付すということは考えられるわけでございまして、その条件の遵守状況をフォローするいろいろな措置というのは当然考えられると思っております。委員が今おっしゃったようなやり方も一つはあるとは思います。
 いずれにいたしましても、その辺のことも含めまして、御成立をいただけましたならば施行までの間に十分その辺も含め検討してまいりたいと思っております。
吉良よし子君
結論としては、口頭注意とか文書による注意とか様々行政が行えることはあるはずなんだけれども、現時点ではそうした権限ということは付されていない、これから検討することだと、あとはもう契約時点でのやり取りだというお話なわけですけれども、やはりそれでいいのかということなんですね。
 例えば医療分野のように利活用の必要な個人情報を悪用を防ぎながら適切に利活用するためには、その悪用リスクを未然に防ぐ何重もの構えが必要なわけですよ。何か起きたら契約解除するしかないという立て付けであれば、その利活用を優先する余り、何か不正を見過ごすとか黙っておいてしまうとか、そういう不正を暴くことをちゅうちょしてしまう可能性だってあり得ると思うわけですね。
 やはりそういう意味合いでは、契約解除に至る前に様々な権限が行使できるようにしておかなければ、本当の意味での保護ということはできないと思うわけです。何か、保護と利用のバランスとか調和とかおっしゃりながら、現時点ではそうした契約解除以外の制度の詳細というのが詰めて議論されていない、これからだというところでやはり今回の制度改正の不十分さというのが現れているのではないかと私思うわけであります。
 そして、最後にもう一点伺いたいのですが、やはり参考人質疑、今日の質疑でも言われておりましたとおり、行政機関の個人情報という意味合いでは市町村にその個人情報が一番多く集まっているとの指摘がなされております。例に出されている医療分野の個人情報に限ってみても、介護や保健など情報の多くが市町村に集まっているというのはもう明らかだと思うわけですが、その市町村が保有する個人情報の保護の在り方について参考人からは、附則第四条一項において公布後二年以内に措置を講じるようにというふうなことが書いてあるけれども、それはトップダウン方式になっているんじゃないか、そうじゃなくてボトムアップ的に考えていくべきではないかという指摘がありましたが、総務省、この点いかがお考えでしょうか。
上村進君
今御指摘の附則四条のお話でございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、この法律の、個人情報保護法自体もそうだと思いますし、行政機関個人情報保護法もそうでございますが、個別の保有主体と相対でそれぞれ手続をしなくてはいけないと、その煩雑さが利用の妨げになるというようなことがあっては特定の分野についてはいけないわけでございまして、このために設けていくというような趣旨であると理解しております。
 繰り返しになりますけれども、地方公共団体につきましては、これは条例等でしっかりと定められているものでございまして、まず、私どもは、今回の改正案、これを御成立をいただけましたら、この趣旨を丁寧に情報提供していくということから始まるわけでございますけれども、今のボトムアップということにつきましても、本法案の附則四条、これから内閣官房を中心に検討されていくわけでございますけれども、地方公共団体というものもその一体的な利用の主体の一つになってございます。その検討の過程においては地方公共団体の意見も適切に踏まえていく必要があると思いますし、そのようなことになるものであろうと考えております。
吉良よし子君
地方公共団体等の意見も踏まえながらと言いつつも、やはり条例で決めてほしいんだというふうなことが附則第四条の中で書かれているわけであると。もう国で決まった法律だからそれぞれの市町村でもやってくださいということでは、やはりトップダウン方式と言われても仕方がないと思うわけです。
 センシティブな個人情報も含めその多くを住民から収集し、管理し、保有しているのが市町村だからこそ、そうした参考人質疑の際には、医療や介護など市町村が保有している個人情報を利活用しながら地域で暮らし続けられる体制をつくっていこうということの大切さも議論されたということは私も認識しているわけです。そういう議論がなされたというのは、具体的な医療情報に特化して、一人一人の住民の福祉の増進につなげていくためにどう利活用するのか、じゃ、必要な保護の在り方は何かという問題提起があってこその議論だったと思うわけですよ。
 しかし、今日の質疑を振り返ってみると、やっぱり具体的なニーズがあるわけでもない、その中で取りあえず法制度だというふうな、それを市町村にもということになっていくと、やはりそれは在り方が逆なのではないかなと思うわけです。とりわけ、先ほど来あるとおり、人的にも財政的にも非識別加工情報の作成、提供、手が回らないところもあるという中で、市町村の保有する個人情報、適切に保護されると、大臣、お考えでしょうか。
高市早苗君
適切に保護をしていただくように必要な情報の提供、また助言も行ってまいります。
吉良よし子君
保護と助言、提言と言われましたけれども、やはりニーズのない下で利活用優先の制度づくりというものはやめるべきだし、それをトップダウン的に市町村に押し付けていくというようなやり方もおかしいのではないか。
 そういうことを申し上げまして、私の質疑を終わります。
吉良よし子君
私は、日本共産党を代表して、行政機関等個人情報保護法など個人情報の利活用を進める関係法律の整備法案についての反対の討論を行います。
 本法案は、産業界からの要望に沿って、従来になかった新しい産業、思いもよらなかったイノベーションが起きてくることなどを期待して、行政機関等が保有する個人情報を利活用させようとするものです。行政機関が保有する個人情報は、行政事務の執行のため収集、管理されているものです。だからこそ、厳格な個人情報の保護の下で社会的な要請に応えた利活用が求められているのです。しかし、本法案は、個人情報の保護は不十分なままで、行政機関の側から個人情報の利活用を民間事業者に求めていくものであり、やめるべきです。
 また、本法案は、民間企業等からの提案に沿って行政機関等が個人情報に非識別加工を施し提供します。どんなに高度な加工が施されたとしても、本人が想定していない民間企業等に個人情報が提供、利用されるという問題が残ります。そもそも、識別行為の禁止が本法案で明記されること自体、再識別化のリスクがあることを意味しています。
 そして、もし民間事業者に提供した非識別加工情報や個人情報がリスクにさらされた場合、情報を提供した行政機関等が行使できる権限などについて曖昧な点が残されています。
 さらに、総務省は不適格事業者を提案者から排除できると言いますが、いわゆる名簿屋のような事業者も本法案のスタート時には個人情報の利活用を提案できるという懸念が残ります。
 個人情報の非識別加工についても外部の民間事業者に委託することもできるとされ、不適切な個人情報の漏えいや流出につながりかねないことから、本法案に反対します。
 また、本法案は、個人情報を多く保有している市町村にも、国がその一体的な利用を促進していくことを明記しており、看過することはできません。
 以上を述べて、討論とします。