吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
 NHK子会社による不祥事が後を絶ちません。NHKビジネスクリエイト、NHK出版、そして今回起きたのがNHKアイテックにおける長期にわたる多額の着服の問題であります。視聴者である国民の信頼と理解の上に成り立っている公共放送NHKにおいて、このような不祥事は二度と起こしてはなりません。
 先月NHKは、NHKアイテック多額不正事案調査報告書を出していますが、今回の事案が起こった背景には一体何があるとしていますか。
NHK・今井純君
基本的には、今回のアイテックの事案には、アイテックの社内の管理体制に大きな問題があったためだというふうに考えております。
 アイテックでは業務の各プロセスで規程を設けておりまして、各種証憑等を管理者が確認をして承認をするということになっておりましたが、各種証憑類がそもそも提出もされない、あるいはそれらを認識しないまま管理職も承認行為を行うというような、言わばルールの形骸化があったというふうに考えております。また、システム上の承認権限が規程と異なっていたりといったシステムの不備もございました。さらに、現場実態に合わない全国一律の業務プロセスが設定されるなど、管理体制の多くの場面に深刻な問題があったというふうに考えております。
 加えまして、この不祥事が起きた背景としましては、アイテック全体のコンプライアンス意識が低く、ルールを逸脱した行為にこの社員が罪悪感を持たなかったり、あるいは管理職が部下の行為を確認しなかったりという企業風土の緩みもあったものと、そういうふうに認識しています。
吉良よし子君
私も報告書を拝見いたしました。そのようなことが書かれているわけですけれども、おっしゃったように、管理体制の問題であるとかいうことで、やはりこれはNHKグループの全体に関わる構造的な問題だと私は考えるわけです。
 報告書にありますけれども、親法人であるNHKもこの事案把握できなかったと。これはなぜなのかというところ、これも簡潔にお答えいただければと思います。
今井純君
御指摘のように、NHKは、放送法の規定に基づく内部統制関係議決及び関連団体運営基準によりまして、子会社を指導監督する責任を負っているわけでございます。
 今回の事案につきましては、子会社のコンプライアンス確保に対するNHK本体の指導監督のための体制に様々な不十分な点があったというふうに考えておりまして、深く反省しているところでございます。
吉良よし子君
報告書には、「コンプライアンス体制に対する指導監督が以前から不十分であった」というふうな記述もあるわけですけれども、実際、NHKにはNHKの内部監査室による監査という体制もあったわけですし、NHKアイテック自身にも監査役監査、監査法人による会計監査、自社の経理監査などの体制があったにもかかわらず、国税局によって指摘されるまで発見できなかったというわけです。
 実際、それだけじゃなくて、その間、NHKビジネスクリエイト、NHK出版の不祥事を受けて、籾井会長の下、NHK関連団体ガバナンス調査委員会というものが発足されていて、その調査を行っている間にこの問題も起きているというわけであります。そうした経緯を見ると、NHK自身の自浄能力、これが発揮できていなかったとしか言いようがないと思うわけです。
 会長、今後どのようにこの自浄能力発揮していくおつもりなのでしょうか。
NHK会長・籾井勝人君
本当にアイテックの問題を始めいろいろ不祥事が起こっていて、この件については私も本当に申し訳なく思っておりますし、今度こそ再発しないようにいろんな手を打っていきたいというふうに思っております。
 いろいろ、こういう手を打ちます、ああいう手を打ちますということはいいんですが、私としては具体的にいろんなことをやっていきたいと思っております。帳票のチェックであるとか、これも規程どおりやってくださいと、必要書類をアタッチして伝票を回すとか、そういうことによって架空の発注とかそういうことを防止することができると思っていますし、今回は常勤監査役というもの、いわゆる外部の本物のと言っちゃちょっと怒られますけれども、専門家の人を常勤監査役になっていただいて、この人を中心に、それぞれの会社のいわゆるコンプライアンス意識であるとか、そういうことを私はつくり上げていきたいというふうに思っております。
 当然、改革に当たりましてはNHKが適切に指導監督機能を発揮していきます。これも従来と違って、形式的ではなくて、実際に本当にハンズオンでグリップしていきたいというふうに思っております。
吉良よし子君
具体的に再発防止を進めていくということで、適切に指導監督ということもおっしゃられました。適切に指導監督していくということは私大事だと思うわけですけれども、やはりこの自浄能力発揮するためには、その問題の根本原因というのが何かというのを検証して、究明するということは欠かせないと思うわけです。
 この間、NHKの関連団体ガバナンス調査委員会の委員長をされていた小林英明弁護士は、関連会社・団体に共通する問題があるとおっしゃっていて、公共性の強い団体が営利企業を傘下に置く特殊な形態が内部統制の弱さを招き、不祥事の原因となったという可能性を指摘しています。調査委員会の報告書の要旨においても、NHKから受託する事業と営利目的の自主事業が関連団体に混在しているその構造に問題があるというふうなことも言っております。
 これらを見ると、やはり今回の不正事案の根底には、視聴者・国民からの受信料によって営まれている非営利のNHKが子会社に営利活動を行わせる一方で、その活動をNHKが監督をしているという、その形そのものに矛盾があるということがあるのではないかと思うわけですけれども、その点、会長、いかがお考えでしょうか。
籾井勝人君
委員御指摘の点については、私もある意味同意できるんですね。やはり本当に我々は非営利会社でございますし、関連企業は営利会社でございますから、そこでのいわゆるコーディネーションというのをどうやっていくかというのは、ある意味では問題があると思います。
 我々、今、グループ全体をゼロから見直すということで、組織も含めまして、それから、それぞれの会社のいわゆる機能も含めまして見直しておりますので、今委員がおっしゃった点も参考にさせていただきながら実行に移してまいりたいというふうに思っております。
吉良よし子君
先ほどグループ全体をゼロから見直すというお話もありました。
 ただ、私、まずゼロにするというところから始めるというところでいいのかという、その対応策先にありきでは解決につながらないのじゃないかなと思うわけです。やはり先ほど来申し上げているとおり、非営利のNHKが営利である子会社との関係性、その監督もしている、一方で営利活動を進めているというその関係性の検証というのを、しっかりどのように精査していくかということは本当に欠かせないことだと思うわけです。
 会長は、このアイテックの事案について話し合われた二月二十三日の経営委員会で、NHKは利益を追求する会社ではありません、そういう意味で、何が経営なのか、何が収入で、何が支出で、何がコストだという認識が不足している面もあると思います、したがって、そういうことも習得してもらうと同時に、NHKの若い人、中堅の人たちに関連団体に行ってもらって、会社というのはどんなものかということを実地で学んできてもらう、その上でNHKに戻ってきて、次に関連団体の幹部として出るときには経営的センスも備わっているようにする等々の発言をされているわけですけど、私、こういう形を取っていて、先ほどのような監督指導体制の機能の発揮、強化が本当にできるのかというところが甚だ疑問なわけなんです。
 アイテックにおいて今回の不祥事が長年見逃された背景というのは、先ほどありましたとおり、コンプライアンス意識が低いとか、管理職が部下の行為を確認しなかったりなどということが紹介されたわけですけれども、報告書によりますと、不正発注がないかチェックをすべき取締役らから、見ていたのは赤字かどうかであったとか、赤字になっていなかったから大丈夫だと思っていたなどの発言があったということが記載されているわけです。
 結局、こうした営利目的の子会社における売上優先、現場任せといった企業風土こそが不祥事を見逃した背景にあるわけなんですよね。全ての関連団体がそういう企業風土だとは言いませんけれども、営利が目的である以上、関連団体が売上優先となっていくことは否めないと思うわけです。そういうところに将来の幹部の候補などが学んでいって、そして戻ってきてまた監督する立場になるというふうなことになってしまうと、逆に子会社の人たちとのなれ合いみたいなものが醸成される、そういう土台になってしまうんじゃないのかと、そういうことも懸念されると思うわけですね。
 だから、やっぱりまずやるべきは、本当にそういった子会社の在り方とNHK本体との関係性をどのように今後やっていくべきなのかという徹底した検証こそが必要なのではないかと思うわけですけれども、その点、いかがでしょうか。
籾井勝人君
今委員がおっしゃった点もあると思います。ただ、アイテックの場合は、これは土建会社でございます。我々NHKとはもう本当、根本的に仕事が違うんです。そういう意味におきまして、いろんな役員も出ていますが、そこの、アイテックの仕事そのものを熟知するまでには至っていなかったというのは、これは本当に事実でございます。そういう意味におきまして、私は、やはり若いうちに行って、その会社のことも分かり、なおかつ経営一般についても理解をし、そしてまたNHKに戻ってきてそういう経営のことを中でみんなに指導しという、こういうことを繰り返していけば多分いい文化ができ上がってくるというふうに思っております。
 御指摘の点について、いや、そんなことはないよと言う気は毛頭ありませんけれども、それでも、やっぱりアイテックの場合はちょっと業種が違い過ぎました。
 それから、あとの利益団体、非利益団体ということについても、今の御意見、いろいろ参考にしながらやってまいりたいと思っています。
 ゼロからって、もうだあっとやるわけじゃないですよ。ちゃんとはっきり、利益会社じゃないようにするということも一つの手法ですから、そういうことも考えながらやっていきたいと思います。
吉良よし子君
検討もするということですけれども、やはりこの間、私、総務委員会の場で、二〇〇四年に今回と同様にNHKにおいて不祥事が相次いだことを契機に設立されたデジタル時代のNHK懇談会が二〇〇六年に公表した報告書を引いて、その内容というのをこの場で何度も御紹介をしてまいりました。そこでは、「金銭的不明朗さを疑われる行為が起きないよう、組織・制度や職能を明確にするとともに、常に点検を怠らない努力が必要である。」ということが書かれているわけです。
 先ほど、結局、現場に行って経営を学んでくるんだというお話もありましたけれども、経営を学ぶのであれば、別に子会社に行かなくてもほかで学ぶこともできると思うわけですし、じゃ、そういった子会社の業務を知るということであれば、別に現場に行って学ぶという体制じゃなくて、きちんと監督するという立場の上で知るということはできるわけですし、そういうところへ行って何かを学んでくるという人間関係をつくってしまうところにやはりなれ合いというものが出てきてしまうと私は考えるわけですね。
 そういう意味では、先ほどのデジタル懇にあるように、その組織・制度や職能を明確にするということをまず第一に持ってくるべきじゃないかと思うわけです。もうこの報告書ができてから十年たつわけですよ。今も不祥事が相次いでいるという現状を見ると、やはりこの教訓というのが本当に生かされているのかなと、そこが私、本当に疑問なわけです。
 改めて言いますけれども、まず、現場に行って学ぶとかそういうことを先にやるとか、若しくはゼロベースで検討するということではなくて、まず、こうした関係性、NHK本体が営利の関連団体・企業を監督するという矛盾の徹底的な検証を行うこと、その検証に基づいたガバナンスの強化というのを進めるべきと思いますが、その点、もう一度お願いします。
籾井勝人君
おっしゃるとおり、いろんな委員会であるとかそれから対策であるとかいうものは、過去にも随分と出されてまいりました。私が今やろうとしていることは、そういうことを無視するとかそういうことじゃなくて、もう一度具体的にやろうということなんです。もはや言葉ではなくて実行でやろうということをやっております。
 それで、今委員がおっしゃったことを、いや、そうじゃないとか、ああじゃないじゃなくて、おっしゃっていることはよく理解できます。そういうことも考えながら、私としては実行していきたいというふうに思っております。実行あるのみです。
吉良よし子君
実行あるのみということでありましたけれども、先ほどのデジタル懇でも、「常に点検を怠らない努力」ということも書かれているわけですね。だから、実行ありきといってどんどん先に進めていくということも一方ではあるのかもしれませんが、やはりきちんとその視聴者である国民に対する説明責任というのは必要だと思うわけです。なぜそれを進めていく必要があるのか、どういう検証がされてきたのか……
吉良よし子君
そこの点をきちんと、プロセスを踏まえないで先に先にということではなくて、きちんと検証していただきたい、そういうことで公共放送であるNHKの自浄能力というのを発揮していただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。