吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
 私は、会派を代表して、地方財政計画ほか二法案に関連して、総理並びに総務大臣に質問します。
 初めに、東日本大震災から丸五年が経過しました。改めて、犠牲となられた皆様に哀悼の意を表し、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 劣悪な住環境のプレハブ仮設住宅を含め、いまだに十七万人をはるかに超える被災者が避難生活を強いられています。仮設住宅だけでなく、ようやく入居できた復興住宅での震災関連死や孤独死は後を絶ちません。再建への希望を失わせ、被災者の生きがいを奪うことがあってはなりません。支援金を少なくとも五百万円に引き上げることを始め、被災者の置かれた実態に応じた支援に国の総力を挙げるべきではありませんか。総理大臣の答弁を求めます。
 東京電力福島原発事故により、福島の皆さんはふるさとを奪われ続けています。この重大事故の収束はおろか、原因究明も行われていない下で、原発の再稼働などあり得ません。おととい、関西電力高浜原発三、四号機の運転停止を命ずる仮処分決定が出ました。政府はこの画期的な判断こそ重く受け止めるべきです。
 また、政府は、居住制限区域、避難指示解除準備区域の避難指示を来年三月までに一律に解除し、様々な賠償を打ち切っていく方向を示しています。住民を分断する一方的な期限や線引きによる原発損害賠償の打切りをやめ、掛け声だけでない具体的な取組こそ必要なのではありませんか。
 日本共産党は、今後も被災された方々の生活となりわいの再建のため力を尽くす決意です。
 次に、地方税法改正案について総理に伺います。
 本改正案は、消費税一〇%を前提にしたものです。総理は、消費税八%への増税で家計消費が予想以上に落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実と認めておられます。それならば、国民の暮らしを破壊し、地域経済に打撃を与える消費税一〇%への増税は今すぐきっぱりやめるべきではありませんか。答弁を求めます。
 外形標準課税は、資本金一億円超の企業に一律に課税、適用されます。法人税制改正によって法人実効税率の引下げを行うこととされていますが、赤字の中堅企業からも負担を求めることでその穴を埋めようというのでしょうか。
 さらに、政府は、資本金一億円以下の中小零細企業も外形標準課税の対象にすることを検討するとしています。地域経済を応援するというのなら、対象拡大などやめるべきです。
 総理、住民福祉の増進という自治体の役割に関わって伺います。
 待機児童の解消は待ったなしです。この四月から保育所に入所できない多くの親たちが、先週末、保育園に落ちたのは私だと国会前に集まり、ネットの署名は約一週間で二万八千筆に達しました。この切実な声を総理はどう受け止めているのでしょうか。
 全国の市町村では、待機児童解消加速化プランに沿って二〇一七年度末までに四十五万人分の整備計画を持っていますが、それでも保育所は足りません。四月からの保育所入所を希望している全ての家庭の願いに政府は具体的にどのように応えるのですか。
 私も含め、多くの親の願いは、設備が整い、子供の成長を一緒に喜び合える保育士がいて、保育の質が保障されている保育所に預けたいということです。にもかかわらず、保育士の給与が全職種の平均と比べても大幅に低いことが保育士不足の要因となっているという認識はお持ちでしょうか。保育士の給与を専門職にふさわしい水準に抜本的に引き上げるという決断が必要ではありませんか。お答えください。
 また、全ての自治体で実施されている子供医療費助成制度がありますが、これは自治体独自の制度であるため、対象年齢や所得制限の有無、一部負担の有無など、制度内容に大きな格差があります。住んでいる地域によって子供の命と健康に差があってはなりません。国の制度として子供医療費の無料化を決断すべきではありませんか。母親の一人として強く求めます。
 ましてや、子供医療費助成を行っている市町村に対し、国保の国庫負担額の減額調整というペナルティーを掛けることは言語道断です。ペナルティーは今すぐにやめるべきではありませんか。
 さらに、地方自治体に必要な財源について総務大臣に伺います。
 国が果たすべきことは、地方が必要とする財政基盤の確保にしっかりと責任を持つことです。そのためには、地方交付税の二つの役割、財源保障機能と財政調整機能を拡充し、あわせて地方の自主財源である地方税を豊かに発展させることです。ところが、不交付団体分を除いた来年度の地方財源は僅か六百七億円の増額にすぎません。これで住民福祉の増進という地方自治体の最も重要な役割を果たせるとお考えですか。
 安倍内閣は、来年度からの三年間、地方の財源を二〇一五年度と実質的に同水準に抑える方針を定めています。安倍内閣が進める大企業減税や軍事費の大幅増のしわ寄せを地方に押し付けるものではありませんか。地方の財源不足は二十一年連続です。地方交付税法は、財源不足が続く場合、法定率の引上げなどで対応することを定めています。なぜこの規定に基づき法定率の抜本的な引上げをしないのですか。答弁を求めます。
 最後に、放送法に対する総理の認識について伺います。
 高市総務大臣は、一つの番組のみでも政治的公平性が遵守されていないと総務大臣が判断する場合には電波停止もあり得るとの答弁を繰り返しています。
 そもそも放送法は、戦争遂行に協力し、多くの国民を戦争に導いてしまったという痛苦の反省に立ち、戦後、憲法二十一条に基づき、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」という原則を定めています。
 この原則を守るべきは、政府などの公権力にほかなりません。政府が、政治的な立場から放送に介入することを防ぎ、真実を曲げるよう圧力を掛けるのを防ぎ、放送内容への規制や干渉を排除することを保障し、放送による表現の自由を確保しようというのが放送法です。この原則の下で、放送法第四条一項の各号は、放送事業者が自律的に守るべき倫理規定として定められたものです。時の政府が放送に介入する根拠には絶対になりません。
 憲法二十一条と放送法の原則に対する総理の認識を伺います。
 今、著名なジャーナリストや在京キー局の社長、会長ら放送事業者、憲法やメディア論の専門家から、政権による放送介入に対する強い懸念や批判の声が起きています。
 私が議員になって以来、安倍政権は秘密保護法、戦争法など違憲の立法を行ってきました。それに続く表現の自由と放送の自由を踏みにじる言動は断じて容認できません。
 高市大臣の発言並びに政府統一見解の撤回を強く求め、質問を終わります。
内閣総理大臣・安倍晋三君
吉良議員にお答えをいたします。
 東日本大震災からの復興についてのお尋ねがありました。
 本日、東日本大震災から丸五年を迎えました。まず冒頭、改めて、大震災によってお亡くなりになられた全ての方々に心から哀悼の意を表したいと思います。
 安倍内閣では、東日本大震災からの復興を最重要課題と位置付けて取り組んでまいりました。三年前、計画すらなかった高台移転について、ほぼ全ての事業が着工し、この春には全体の四分の三の地区で造成が完了するなど、住宅再建は着実に進んでいます。
 他方、いまだに多くの方々が仮設住宅を始め不自由な生活を送られています。また、原発事故のため、住み慣れた土地に戻れない方々も多数いらっしゃいます。仮設住宅での生活の長期化する中で、閉じこもりがちになる方や災害公営住宅に移っても孤立してしまう方もおられます。
 こうした方々が一日も早く安心した生活を送ることができるように、被災者の心に寄り添い、心のケアやコミュニティーの再生など、地域ごとのニーズに応じたきめ細かな支援に内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。
 なお、被災者生活再建支援金の引上げについては、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して慎重に検討すべきものと考えています。
 原発再稼働についてお尋ねがありました。
 原子力発電所の再稼働については、安全神話の信奉が招いた東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことであります。高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発でない限り、再稼働することはありません。今後とも、この方針に変更はありません。
 その上で、高浜原発三、四号機については、今回の仮処分決定を受けて、関西電力は更に安全性に関する説明を尽くすべきであり、政府としてもそのように指導してまいります。
 福島の復興や東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、最優先の課題として引き続き政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 原発損害賠償の打切りについてお尋ねがありました。
 避難指示の解除は、放射線量の低下、日常生活に必要なインフラや生活関連サービスの復旧を確認し、復興が一定程度進んだ段階で、自治体や住民の方々との様々な場における対話を積み重ねた上でなければ実施することはありません。
 避難指示は、ふるさとに戻りたいと希望する方々に対しても一律かつ強制的に避難を強いる措置です。長期化すれば、避難生活による心身の健康への懸念を始め、様々な弊害が生じるおそれがあります。
 損害賠償は、東京電力福島第一原発の事故と相当因果関係がある損害に対して支払われるものであり、避難指示解除によって一律に打ち切られるものではありません。
 政府としては、東京電力に対し、引き続き、被害者の個別の状況を丁寧に把握した上で、迅速、公平かつ適切に損害賠償を行うよう指導をしてまいります。
 消費税率の引上げについてお尋ねがありました。
 一昨年の消費税率八%への引上げが消費に大きな影響を与えたのは事実であります。だからこそ、我々は、一〇%への引上げを一年半延期しました。
 この間、我々はしっかりと三本の矢の政策を進めてきました。その結果、全ての都道府県で有効求人倍率が上昇し、また税収も増え、中小企業の業況DIも改善し、倒産件数は約三割減少するなど、地方や中小企業にも明るい動きが広がっています。
 来年四月の消費税率一〇%への引上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会から国の信認を確保するため、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施します。経済の好循環を力強く回していくことにより、そのための経済状況をつくり出してまいります。
 法人事業税の外形標準課税についてお尋ねがありました。
 今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。また、我が国においては、一部の企業に税負担が偏っているとの指摘もあることから、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。
 この法人税改革の一環として、大法人向けの法人事業税の所得割の税率引下げと外形標準課税の拡大を行うこととしておりますが、いわゆる中堅企業が負担増となる場合には、軽減措置を講ずることにより十分配慮しております。また、外形標準課税の適用対象法人の在り方については、地域経済、企業経営への影響も踏まえながら、引き続き慎重に検討してまいります。
 待機児童の解消についてお尋ねがありました。
 厚生労働大臣に届けられた署名を受け取って拝見しました。子供が生まれたのに保健所に預けられない、仕事を続けられない……(発言する者あり)子供が生まれたのに保育所に、子供が生まれたのに保育所に預けられない、仕事を続けられないという大変な御苦労、切実な思いが伝わってまいります。安心して子供を産んでいただくために、仕事と子育てが両立できるよう、働くお母さんたちの気持ちを受け止め、待機児童ゼロを必ず実現させる決意です。
 待機児童の数は地域によって差があることから、特に待機児童が集中している地域と連携し、対応策を検討することとしています。
 保育士不足の要因としては、御指摘のとおり、給与も含め待遇の問題があると認識しています。この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇の改善策を示し、不足している人材を確保してまいります。
 子供の医療費についてのお尋ねがありました。
 国においては、就学前の子供の医療費の自己負担を三割から二割に軽減しているところですが、子供の医療費の無料化については、財源の問題もあり、慎重な検討が必要と考えています。国保の減額調整措置については、地方団体から見直しの要望もあり、現行制度の趣旨を考慮しながら、その扱いを検討する必要があると認識しています。
 いずれにせよ、こうした点も含め、子供の医療の在り方については、厚生労働省の検討会で幅広い観点から検討していると承知しております。
 憲法二十一条と放送法の原則についてお尋ねがありました。
 憲法二十一条における言論の自由を始め、表現の自由は、日本国憲法で保障された基本的人権の一つであるとともに、民主主義を担保するものであり、それを尊重すべきことは言うまでもありません。放送番組は放送事業者が自らの責任において編集するものであり、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくことが原則と考えています。放送法第四条については、これまで総務大臣が答弁してきたとおり、法規範性を有すると理解しています。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。
総務大臣・高市早苗君
吉良よし子議員にお答えをいたします。
 まず、平成二十八年度の地方財政対策についてお尋ねがございました。
 地方団体が地方創生等の重要課題に取り組みつつ安定的に財政運営を行っていくためには、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが必要でございます。
 今回の地方財政対策におきましては、地方の一般財源総額について前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保し、交付団体ベースにおきましても前年度を〇・一兆円上回り、過去最高となる六十・二兆円を確保しました。あわせて、地方交付税について、前年度とほぼ同程度となる十六・七兆円を確保しつつ、臨時財政対策債の発行額を〇・七兆円減と大幅に抑制し、地方の一般財源の質を改善し、地方財政の健全化を進めました。今回の地方財政対策については、地方六団体からも評価をいただいており、地方団体が必要な行政サービスを提供しつつ安定的な財政運営を行えるよう、必要な一般財源総額をしっかり確保できたものと考えております。
 次に、地方の一般財源総額の確保と法定率の引上げについてお尋ねがございました。
 地方の一般財源総額については、骨太方針二〇一五で示された方針を踏まえ、地方財政計画の歳出において、国の制度等の見直しや国の一般歳出の計上の動向などを適切に反映させ、所要額を確保することとしており、地方に負担を押し付けるとの御指摘は当たりません。
 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引上げにより地方交付税を安定的に確保することが望ましい方向と考えています。しかしながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることから、平成二十八年度地方財政対策においては、法定率の引上げによらず国と地方が折半して補填することを基本に、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとしました。その上で、地方交付税についてはほぼ前年度同額を確保しました。
 今後とも、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について粘り強く主張をし、政府部内で十分に議論をしてまいります。