吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
 十一月十七日に財政制度等審議会が、平成二十九年度予算の編成等に関する建議を発表しました。この建議は、国立大学法人運営費交付金について、法人化以降、一千四百七十億円減額との批判があるとした上で、マクロ的に見れば、附属病院の赤字補填、退職手当の減などが大宗を占めており、国立大学の教育研究活動に係る費用を圧迫しているとの批判は当たらないなどと、大学の厳しい現状とは懸け離れた認識を示しているわけです。
 先ほど大臣も、運営費交付金、確保が必要だというお話があったわけですけれども、実際には運営費交付金は実質一千億円以上減らされてきていると、これは事実のはずなわけです。
 ここで文科省に伺いますが、この国立大学法人運営費交付金が削減されてきたことによってどのような問題、影響が生じているとお考えか、お答えください。
文部科学省・常盤豊君
お答え申し上げます。
 国立大学法人運営費交付金につきましては、過去十二年間で千四百七十億円減額されてきたところでございます。運営費交付金の減少等によりまして常勤教職員の人件費が圧迫をされまして、特に若手教員の安定的なポストが減少するなど、国立大学の教育研究基盤への影響ということが生じているというふうに考えております。また、若手教員の安定的なポストの減少ということの中で、博士号取得後のキャリアパスの不安定さ、不透明さ等もございまして、博士課程入学者が減少しているというふうなこともございます。
 国立大学法人運営費交付金の減少による影響については以上でございます。
吉良よし子君
まさにこの運営費交付金が減少することによって、その人件費が圧迫されているということが本当に問題だと私は思うわけです。常勤職員の人件費が圧迫されることにより、教職員の雇用の不安定化も懸念されているとの指摘もあったかと思うわけです。
 実際、この間、こうした基幹経費が減少する中で、例えば北海道大学では、二〇二一年度までに教授二百五人分に相当する人件費削減計画案というものが浮上していると。また、東北大学では、全職員一万人のうち三千二百人を超える非常勤職員を順次雇い止めするという計画が問題になりました。なお、この東北大については、教職員組合の奮闘もあって、大学側が原点に立ち返って見直し、年内には新たな方針を示したいという表明もしたというわけですけれども、やっぱりそういう方針転換をさせるためにも運営費交付金の確保に向けては是非努力をしていただきたいと思うわけなんです。
 ただ、一方で、文科省は今年度から、国立大学運営費交付金に対して機能強化の方向性に応じた重点支援をするとして係数を設定して配分していると。このことは、私、見過ごせないと思うわけです。
 これについて国立大学協会は、八月二十四日に発表しました国立大学関係予算の充実についての要望の中で、「平成二十八年度からは機能強化の方向性に応じた重点配分が導入されたことにより、各国立大学は三つの重点支援枠及び人件費率によって〇・八%から一・六%の係数が設定され、この係数によって捻出された財源が、重点支援の評価に応じて機能強化経費として各大学へ再配分されました。結果として、国立大学の教育・研究を実施する上で最も必要な基幹経費は減少することになり、このままでは、教育・研究の基盤維持にも困難が生じ、我が国の基礎研究の水準が、諸外国に著しく立ち遅れることになります。」との危惧を表明しているわけです。
 是非とも、この運営費交付金確保だけではなく、基盤経費が減ってしまいかねないような配分をやめる、教育研究を支える常勤職員を雇用し続けられるように、この機能強化係数を掛けて基幹的経費を減らすようなことはやめるべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
文部科学大臣・松野博一君
平成二十八年度からの第三期中期目標期間の国立大学法人運営費交付金の配分においては、委員からレジュメをいただきましたが、三つの重点支援の枠組みを創設し、各大学から拠出された財源を活用して、各大学の強み、特色を踏まえた機能強化に積極的に取り組む大学に重点的に支援を行う運営費交付金の再配分の仕組みを導入をしています。
 文部科学省としては、この再配分の仕組みによる重点支援を通じて、各大学がマネジメント改革や学内資源再配分による機能強化の取組を進めることで個性を明確にし、社会の変化に対応した教育研究組織づくりなど、国立大学の機能強化を着実に進めてまいりたいと考えています。
 また、三つの重点支援の枠組みによる経費のうち、過去からの優れた実績のある機能強化の取組については、評価に基づいて基幹経費に組み込むことができるよう検討を進めております。
吉良よし子君
マネジメント強化の見直しなどのための係数だと、機能強化の係数だとおっしゃるわけですけれども、結果としては、やはりそうした基盤維持に困難が生じるんじゃないのかと、そういうのが国大協の指摘なわけなんですね。そういう意味では、そういう指摘が行われるような係数配分というのはやはり見直すべきだと思うわけです。
 今年ノーベル医学・生理学賞を受賞された大隅良典東京工業大学栄誉教授は、十月十二日の自民党の部会の中でも、日本の研究環境は劣化している、このままいくとノーベル賞受賞者が十年後二十年後には出なくなると訴えたと言われています。国立大学の運営費交付金などが減らされて、また政府の助成対象として産業や医療への応用研究が重視されている現状についてとても危惧しているということを指摘して、技術のためではなく、知的好奇心で研究を進められる大事な芽を大学に残してほしいと、基礎研究の充実、これを訴えられたわけなんですね。この大隅氏の警鐘を重く受け止めるならば、交付金の確保をすることはもちろん、やっぱりこの機能強化係数というものも見直すべきだということを重ねて私指摘したいと思うわけです。
 また、大学をめぐってはまだ問題がありまして、この基礎研究の危機や教職員の雇用の不安定化とともに、やはり高過ぎる学費、貧困な奨学金制度によって、学生や院生、ひいては中高校生が高等教育を受ける権利が脅かされると言ってもいい深刻な事態があるということも私指摘をしたいと思うわけです。
 先ほどの運営費交付金の減少の中でも、博士号取得後のキャリアパスの不安定さ、不透明さなどから博士離れが進んでいるというような状況も報告されたわけなんですけれども、先週末、金曜日に、国会前で学生たちが奨学金の問題について、学生ローンじゃないんだと、本物の奨学金を求めたいという緊急アクションを行いました。私もここに参加したわけなんですけれども、約二百人が詰めかけて、給付制の奨学金の創設、これを訴えるとともに、教育は権利だ、学費を下げろと、こういうコールもしていたわけなんです。
 これから、文科省、給付型奨学金の創設に向けて検討を進めていく、その方向性が一定示されるということは私も伺っているわけなんですけれども、それと併せて、やっぱりこの高過ぎる学費、これを引き下げるということも政府として是非とも進み出していただきたいと思うわけです。そのためにも、やはり必要なのはこの基盤的経費を増やしていくことだと私は思うんです。
 私たち日本共産党は、この授業料の標準額等を引き下げるということを目的にして、国立大学の運営費交付金は毎年百六十億円程度ずつ増やすのであれば、毎年二万六千円程度、十年後には二十六万円学費が値下げできるということを提案しております。また、私立大学については、私学助成の中に学費値下げ緊急助成枠をつくり、また私学助成を毎年九百億円程度引き上げていけば、十年後には授業料半減化するということができるという提案もしているわけです。
 私は、こうしたような提案にあるように、日本の学術研究の中心である大学などの基盤的経費を増額していく、見通しを持った計画というのを文科省が持って、学生たちにその未来への展望を示していくということが今必要なんじゃないかと考えますが、この基盤的経費を増額していく方向性について、大臣の考えはいかがでしょうか。
松野博一君
国立大学法人運営費交付金は、国立大学が継続的、安定的に教育研究活動を行うための基盤的な経費であります。第三期中期目標期間の初年度である平成二十八年度予算においては対前年度同額を確保しましたが、これまで過去十二年間減額をされてきたところです。
 文部科学省としては、国立大学が我が国の人材育成、学術研究の中核として継続的、安定的に教育研究活動を実施できるよう、運営費交付金等の基盤的経費の確保に努めてまいりたいと考えております。
吉良よし子君
確保するというのはやはり大事なことだと思うんですけど、確保だけにとどまらず、やはり今後の見通しを見て、本当に今の学生の状況というのは、もう五割を超えて奨学金をローンしなくては大学に進学できない、卒業後には数百万の借金を背負って卒業しなければならないと、そういうのが実態なわけですよ。やはり、そういう学生たちを支援するというのは、決してその学生たちのためだけではなくて日本の未来にとっても必要なことなわけですから、奨学金だけじゃなくて、やっぱり学費そのものを下げる、そのためにも運営費交付金や基盤的経費を広げると、そういう決意を持って挑んでいただきたいと思うわけです。
 何よりも、日本政府は高等教育の漸進的無償教育導入を求めた国際人権規約の十三条二項(c)の留保を二〇一二年に撤回したわけなんですから、そうした立場に立って基盤的経費の増額というのを検討すべきだということを重ねて訴えて、最後にもう一問、今度は義務教育における通級指導の必要性についても伺っておきたいと思うわけです。
 これについては、先ほど来も必要性というのは訴えられているわけですけれども、昨年、国立特別支援教育総合研究所が行った発達障害のある児童生徒の指導等に関する全国実態調査が行われまして、その調査結果を私、見ました。すると、全体の七六・五%が通級指導教室は発達障害のある児童生徒の指導の場として有効に活用されていると思うと答えているのです。その理由として、通常の学級において通級による指導の効果が現れているからだと皆さん答えているわけです。また、今後の指導等でも、必要とする児童生徒数に見合う通級指導教室の新設及び増設がそのトップに挙げられ、指導等全般の課題の中でも、上から二番目に発達障害への指導、支援に関する教職員の理解が必要ということが言われているわけです。
 まさに、この通級指導教室が足りない、その担当教員の確保や配置が必要というこの現場の声を受けたものが今回の基礎定数化という概算要求につながったと思うわけです。待ったなしの課題であるこの通級指導の基礎定数化への実現に向けた大臣の御決意、伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
松野博一君
発達障害などにより、通常の学級に在籍しながら障害の状態に応じた特別の指導を受ける児童生徒は十年間で二・三倍に増加、日本語指導が必要な児童生徒は十年間で一・六倍に増加するなど、学校を取り巻く課題が複雑困難化をしております。きめ細やかに対応することが重要だと考えております。
 このため、文部科学省としては、平成二十九年度概算要求において、「次世代の学校」指導体制実現構想を策定し、発達障害等の児童生徒への通級による指導や外国人児童生徒等への日本語指導に関わる教員の基礎定数化など定数改善を要求をしており、このことにより、安定的、計画的な採用が行われるとともに、子供たちにきめ細やかな指導が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。
吉良よし子君
この通級指導については、是非とも、今まで設置者任せにされてきたところが、基礎定数化の要求というのが出されたわけですから、これをきっかけに国が責任持って整備を行うことを強く求めたいですし、やはり、きめ細やかな対応が必要というお話もありましたが、本当に、学生にしても義務教育にしても、子供たちの未来のためにしっかりと教育予算付けていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問とさせていただきます。