吉良よし子君
私は、日本共産党を代表して、二〇一六年度第二次補正予算案に反対の討論を行います。
 初めに、熊本地震からの復旧復興に懸命に取り組む住民を、今月八日、更に阿蘇山の爆発的噴火が襲いました。被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
 また、この八月から九月にかけて各地を襲った台風による被害も甚大です。
 こうした被災からの一日も早い生活となりわいの再建、復旧に向けて、補正予算による予算措置は当然です。その上で、被災自治体の独自支援策を応援すること、被災者生活再建支援金を最大三百万円から五百万円に引き上げ、対象も一部損壊以上に拡大することを求めます。
 一連の台風は、日本の食料基地と言える北海道と東日本大震災からの復興途上の地域に大きな被害をもたらしました。大震災時と同等の農林水産業や中小企業への支援が必要です。この間、かつてない災害が続いており、総合的な防災対策は待ったなしの課題です。
 今、日本経済は、おととし四月の消費税増税による個人消費の落ち込みと底打ちがずっと長引いています。日本商工会議所の三村会頭も、将来不安がある限りなかなか消費には回らない、賃金の引上げが好ましいということには何の異論もないと述べているほどです。
 個人消費が落ち込む中、政治が本来果たすべき役割は、賃上げや社会保障の充実など国民の懐を直接助ける予算を組むことです。ところが、政権発足以降最大規模となる経済対策を打ち出した本補正予算案は、国民の暮らしの立て直しには役立たないばかりか、財政再建を困難にするなど問題があり、反対です。
 以下、具体的に理由を述べます。
 まず、問題なのは、働き方改革とうたう中身です。この大部分は、低所得者向け臨時福祉給付金三千六百八十五億円です。年六千円を消費税増税までの二年半分一括支給するものですが、たった一回、一万五千円もらっても、消費税が一〇%になれば一人当たり二万七千円の負担増になるのです。予算額の大きさに比べ極めて効果は薄く、そもそもなぜこの予算が働き方改革の枠なのか意味が分かりません。消費税増税は、延期ではなく、きっぱりやめるべきです。
 では、政府の働き方改革の狙いは何でしょう。働き方改革実現会議のメンバーのほとんどが経団連会長などの企業経営者で占められていることが論戦で明らかになりました。しかも、経営者側の働き方改革の期待は、裁量労働制の拡大、残業代ゼロ制度など、ブラック企業合法化とも言える政策であり、働く人が切実に求める賃上げと残業規制ははるか後景へと追いやられています。経営者側に偏ったメンバーでは働く人の立場と視点に立った議論ができないのは明らかであり、いち早く是正すべきです。
 既に長時間労働で労働者をむしばんでいる裁量労働制の実態を調べ上げ、調査結果を国民に公表し、みなし労働時間を超えた場合の厳格な指導と残業時間の規制に本格的に取り組むことを求めます。
 総理は、参院選中は社会保障の充実に力を尽くすと言っていました。ところが、選挙後は、経済・財政アクション・プログラムに基づいて、国民に対して、介護の給付外し、医療費の国民負担増、生活保護の減額などの押し付けにまっしぐらではありませんか。
 介護人材については、来年度から月一万円増を目指すとしながらも、介護報酬の引下げはそのままです。介護離職ゼロを言いながら、病院からも施設からも介護を受けるべき方々を追い出して、生活援助や福祉用具の自己負担を介護に関わる家族に押し付ける介護保険改悪は絶対にやめるべきです。
 今年三月の本会議で、私は、保育士の給与を専門職にふさわしい水準に抜本的に引き上げるよう決断を迫りました。総理は、具体的で実効性のある待遇の改善策を示すと答弁しましたが、本予算案では保育士の処遇改善は見送られ、概算要求において僅か二%の賃上げが事項要求とされています。これが具体的で実効性のある待遇改善策なのでしょうか。到底容認できません。
 次に、本予算案は、JR東海のリニア中央新幹線の開業前倒しや大型のクルーズ船が寄港できる港湾整備、首都圏の道路建設など、新規の大型開発事業に対して相変わらずの大盤振る舞いとなっている点で問題です。しかも、その財源は、建設国債を二兆七千五百億円も新規に増発するだけにとどまらず、財政投融資で一兆五千億円もの財投債をリニア新幹線建設のために発行するなど、国の借金を莫大に増やすものです。将来の財政と金融を再建困難な状況へと追い込みかねません。
 また、軍事費は、P1哨戒機やF15戦闘機を始め、その多くは次年度以降の歳出化経費の前倒しです。経済対策に名を借りた軍事費の先取りであり、到底許せません。こうして、安保法制が施行された下で、日米一体で軍事体制を強化し、東アジアの緊張を高めることは重大です。内戦状態にある南スーダンで活動する自衛隊に駆け付け警護など新たな任務とそのための武器使用を認めることは、憲法九条に明らかに違反するもので、直ちにやめるべきです。
 もう一点、農林水産省が先週公表した輸入米のSBS価格偽装問題です。この調査は、いつから、なぜ調整金が生まれるのか、そして輸入米が国産の業務米の流通に与えた影響など、肝腎な点が不明です。国の責任で行う国家管理貿易の信頼が根底から崩されている今、国会が中心になって解明する必要があります。関係者の参考人質疑と必要な資料の提出を強く求めます。
 概要版の和訳で提出されたTPPの協定書と説明書には十八か所もの誤りが発覚しました。そもそも、総理がTPP交渉過程で日本語の正文を求めなかったことが問題です。国の形を変える様々な条文と譲許表があるにもかかわらず、肝腎の交渉過程を秘密にして、交渉結果だけを国会審議に押し付けるやり方は強権政治そのものです。TPP批准は絶対にやめるべきです。
 同時に、食の安全に直接関わる豊洲市場移転問題は、予算委員会を通じて国の責任が明らかになりました。国は、中央卸売市場整備計画の対象から豊洲への移転計画を外すことを決断するべきです。
 今、安倍政権ぐるみと言うべき白紙領収書の問題は、国民の大きな怒りを呼んでいます。さらに、総理は、参院選で語らなかった多くの問題を強権的に進めています。憲法についても、代表質問などで自民党の改憲案を議論のベースにすると言い、各党に議論を促しています。しかし、自民党の改憲案は、現行憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重を根底から覆し、立憲主義を破壊するものです。これをベースにした改憲案作りなど断じて許されません。
 日本共産党は、この七十年以上、憲法を守り生かすために努力してきた国民とともに現行憲法の前文を含む全条項を守り抜く決意を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)