吉良よし子君
 日本共産党の吉良よし子です。
 前回に続き、派遣法改正案について質問をいたします。
 今日は、まず大臣に、派遣労働者に対する見方について伺っていきたいと思います。
 大臣はこの間、派遣労働者のキャリアアップ又はスキルアップという言葉を盛んに強調していますが、派遣労働者は労働能力が足りないから正社員になれず、派遣労働者にとどまっているというふうにお考えなのでしょうか。その点、まずお聞かせください。
国務大臣 塩崎恭久君
 そのようなことを申し上げているわけではなくて、ただ、正社員として働きたいという、不本意ながら派遣で働いていらっしゃる方々については、正社員になる道を開くと。そして、今の自分のライフステージに合った形で派遣で働くということが今のところは自分の選択だということであれば、やはりそこは待遇を改善をしていくと。
 それらのために、やはりいずれにしても、これは自らの力を付けてスキルアップをしていく、キャリアアップを図るためにスキルアップをしていくということが大事なのではないかという考え方で、今回特にそこのところは大事だということで、このキャリア形成支援制度というものを許可の際の必要条件として義務付けるということもやっているわけでございます。
吉良よし子君
 正社員への道を開くために自らの力を付けていただくことが必要なんだと、そういうお話だったわけですけれども、今回の法案で、専門業務、いわゆる二十六業務に携わる派遣労働者も三年の上限が課されることになってしまうわけです。この人たちは、いわゆる即戦力として派遣されていた人たちであり、派遣先でもほかの労働者よりもむしろ高い技能を持った人たちなわけです。もちろん、一般の派遣であっても、工場などで高い技能を持って働いている方もたくさんいるわけで、そういう人たちにも今更スキルアップしてキャリアアップせよというのか。そういうふうに、派遣労働を使用している派遣先じゃなくて労働者の問題とする姿勢というのが私はやはり問題ではないかと、納得できないと思うわけなんです。
 大臣は、また、この間、個人の三年ごとの期間制限について、三年ごとに立ち止まって考えてもらう機会とするとおっしゃっております。改めて聞きますが、派遣労働者に三年ごとに立ち止まって一体何を考えよとおっしゃるのでしょうか。派遣労働を続けるか、それとも正社員になるかということを改めて考えろということなんでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
 先ほど来お話し申し上げているように、派遣という働き方については、ワーク・ライフ・バランスの観点から積極的に選んでいる方と、必ずしもそうではなくてむしろ正社員を望んでいらっしゃるという方がおられるというわけで、特に今、派遣の場合には直接雇用ではないわけで、相対的に見て雇用の安定あるいはキャリア形成が図られにくいということがございます。
 こういうことで、今回の見直しでは、派遣労働の弊害を防止するために、派遣労働を臨時的、一時的な働き方と位置付けることを原則とするとの考え方の下に、有期雇用で派遣で働く方については、同じ職場への派遣は三年を上限とする個人単位の期間制限を設けて、派遣で働く方の派遣労働への固定化というものを防止をするということにしているわけであります。
 この個人単位の期間制限について今お尋ねがございましたが、キャリアの見詰め直しについては、今回の改正によって義務付けられました、先ほどもお話し申し上げた計画的教育訓練などのキャリアアップ措置あるいはキャリアコンサルティングなどを踏まえながら、どのようなキャリアを歩むことが自分のキャリアアップにつながるのか、あるいはキャリアアップのためにどのような能力が必要なのかということについて、節目節目で御自身のキャリアを見詰め直していただくことによって希望する働き方の実現につなげていただきたいというふうに考えているところでございます。
吉良よし子君
 見詰め直していただいて、希望するところにということでした。
 臨時、一時に限定することで固定化を防ぐんだというお話もあったわけですけれども、先ほど来あるとおり、派遣労働者の多くというのは、やはり正社員の仕事がなかったために派遣労働者になった、不本意ながら派遣労働者になっている人が多いわけです。だから、正社員になりたいという希望を持つ人も当然ながら多いわけですよ。立ち止まって見詰め直せと言われて、じゃ正社員になりたいと思ったとなった場合に、必ず全員正社員になれるという保証はどこにあるのでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
 今回新たに義務付ける、例えば先ほどお話し申し上げたキャリア形成支援制度を義務化をして、なおかつ許可の条件にするということで基準に立てるわけでありますけれども、そういうようなことをやる、あるいは雇用安定措置といったもので直接雇用への道をつくるとか、そういうような様々な今回措置を入れ込んで、これ派遣先には正社員の募集情報の提供というのも義務付けるわけでありますし、そういったことを様々やっているわけであります。
 ただ、最終的には採用するのは経営判断でございますから、その経営判断の際に、どうやってより有利な形で正社員として正社員になりたい方が道が開かれるかということを考えたときに、今申し上げたような様々な規制を掛けながら、働く人たちの力を付けるということを実現をしていくための規制を掛けるということを今回やらせていただいているわけでございまして、一〇〇%保証するのはどこにあるのかということでございますが、その可能性を格段に高めていこうというのが私どもの趣旨でございます。
吉良よし子君
 結局、義務付けといろいろおっしゃっていますけど、義務付けられているのは基本的には派遣元の方なわけですよ。派遣先については情報を提供するだけでいいわけです。あとは、おっしゃったように経営判断ということなんですね。だから、幾ら派遣元が要請したとしても、派遣先が受け入れなければ正社員への道は開かれないと。
 そういう意味では、私、こういうときに立ち止まって考えるべきなのは、派遣労働者ではなくてやはり派遣先ではないのかと思うわけです。派遣労働者三年利用した後、その業務が臨時的、一時的な業務なのか、それで終われるのか、それともそれ以上に必要な恒常的な継続的な業務になるのか、それを判断した上で、恒常的な業務であれば正社員として直接雇用する、その決断をするべきなんじゃないでしょうか。それが常用代替防止ということだと思うんですけれども、派遣先にこそ立ち止まって考えさせる、そういうことが必要なのではないですか。大臣、いかがでしょう。
政府参考人 坂口卓君
 その点につきましては、今回期間制限を業務単位から改めるということで、新たな常用代替防止の考え方で事業所単位の期間制限を設けるということでございます。それで、事業所単位の期間制限についても上限は三年ということにしておりまして、その三年ということの節目で更に延長するかどうかということについては現場の労使でよく話し合っていただくという意味では、派遣先におかれましても現場の過半組合等々いろいろ意見聴取をし、あるいは異議があった場合については対応方針の説明をするという中で、しっかりそこは自らの企業で派遣を受け入れるかどうかということを事業所の中でどういう対応するかということをよく考えていただきながら派遣の利用ということを考えていただくという仕組みにしているというところでございます。
吉良よし子君
 労使で話し合ってということでしたけれども、先ほど来あるとおり、労使で話し合って、じゃ、組合などから反対の意見があったとしても、経営判断で、いや、でも受け入れますと言ったらそれで終わりということですよね。そのまま延長できるということであって、全然それは歯止めにはなっていないわけですよ。
 派遣先に立ち止まって考えさせる、ちゃんと本当に必要な業務で労働力が必要なんだったら、直接雇用する、そういうような規制というものは全くなくなっている。やっぱりこういうところにでも、前回指摘した、派遣の利用も臨時的、一時的という原則というのを提案理由から削除したとの共通する考えが、派遣先を救済しようという考えが私、見て取れると思うわけです。
 前回、私は、派遣元で無期の雇用契約がされていれば派遣期間の制限の対象から外すことが常用代替防止という原則の空洞化につながるのではないかという問題を指摘させていただきました。それに対して大臣は、無期雇用の派遣で働く方について、有期雇用の派遣で働く方と比べて雇用の安定やキャリア形成の観点から問題が少ないから例外としたと述べられました。
 改めて伺いますが、ということは、派遣先が無期雇用派遣を使う場合には、常用代替防止の原則はその無期雇用の派遣労働者に対しては適用されないということでよろしいでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
 これは、派遣で安定的に働くことを希望する方、この方々については、より安定した無期雇用で働いていただくことが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございますが、一方で、今回の改正案は、正社員を無期雇用派遣労働者に置き換えようとするいわゆる常用代替というものではなくて、無期雇用派遣労働者も対象に、派遣会社に対して長期的な観点からのキャリアアップ措置を義務付け、そして派遣先に対しても、正社員募集に関する情報提供を義務付けるほか、キャリアアップ助成金を拡充するなど、正社員を希望する方には正社員の道を開くということにしているわけでございます。
吉良よし子君
 正社員を派遣労働者に代替させることを考えていないというお話だったんですけれども、違うんですね。もちろんそんなことあってはならないわけですけれども、私が言っているその常用代替の防止というのは、派遣先で本当に必要な業務だったら直接雇用するべきでしょうと、なのにその歯止めが全くなくなっていると。本来、常用雇用労働者になるべき仕事を派遣労働で置き換えられるということになっているじゃないかということを申し上げているわけです。
 さらに、大臣は先日の答弁で、正社員を無期雇用派遣に移行しようとするものではもちろんないが、正社員を希望する方には正社員への道を開いて、派遣を引き続き希望する方には有期から無期への移行を含めた待遇の改善を図ろうとするものだとおっしゃいました。つまり、期間制限の掛からない無期雇用の派遣労働者というのはどんどん増やしていってもいいと、そういうことかと思うんですが、一体どれくらい増えるとお考えなのでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
 今回の改正案では、無期雇用の派遣で働く方は有期雇用の方に比べますと雇用の安定とかキャリア形成の観点からやはりこれは相対的に問題が少ないということから、労働市場全体としてより安定的な雇用を増やすという観点からすると、労政審の建議にもございますように、それを踏まえて、この原則の例外として期間制限の対象というふうにしているところでございます。このため、派遣元、派遣先、この双方にとって派遣で働く方の無期雇用化のインセンティブが高まることとなろうかと思いますけれども、派遣元と派遣で働く方が無期、有期のいずれの労働契約を結ぶかについては当事者間で決定することでございますので、その結果を事前的に予測するということはなかなか難しいと考えているところでございます。
 ただ、いわゆる二十六業務に係る派遣を行っている派遣会社から、これは先ほども申し上げましたけれども、上位五業務、大体これでこの二十六業務の方々の七七%、約八割弱を占めているわけでありますけれども、この代表的な会社でヒアリングを行ったところによりますと、今回の改正を契機として、有期雇用派遣で働いている方について無期雇用化による対応を検討しているところがほとんどであったというふうに調査では出てきているわけでございます。
 いずれにしても、正社員を希望する派遣で働く方については正社員への道が開かれるようにする、それと、派遣を積極的に選択している方はその待遇の改善を図って、雇用安定措置や無期化を通じて雇用の安定を図ることが重要であるというふうに考えているところでございます。
吉良よし子君
 答弁はできるだけ簡潔にお願いしたいと思いますが。
 結局、どれぐらい増えるか分からないけれどもインセンティブは高まるというお話だったわけですよ。一方では、例外だ、例外的に常用代替防止の原則が適用されないようになっているんだと言いながら、その無期雇用の派遣が増えていくことも別にあり得るということは言うわけです。現在は、無期雇用の派遣労働者というのは二割なわけです。それがこれからもし増えていく、三割、四割、五割超えても、まだそれが例外と言えるのか。結局、この期間制限のない無期雇用の派遣労働者が増えれば、もう常用代替防止という原則が有名無実化しちゃうんじゃないですかと。
 派遣元で幾ら安定しているといったって派遣労働者には変わらないわけですよ。そういう意味では、間接雇用が問題であると大臣もおっしゃっているわけなんです、その例外であるはずの無期雇用の派遣労働者が増える。一体どのくらいまで増えれば例外だと言い切れるのかと思っていらっしゃるのでしょうか。
政府参考人 坂口卓君
 その点につきましては、今も大臣から御答弁申し上げましたように、全体として派遣で働く方の無期雇用化のインセンティブは高まるものの、じゃ、どれだけの方がどういう形で労働契約を結ぶかということについては、なかなかこれは予測が困難ですので、そこはお答えしかねるわけでありますけれども、先ほども大臣から御答弁しましたように、安定的な派遣で働くことを希望する方という方については、より望ましい形としては無期の方が有期より多くなるということは望ましいということでありますので、そういった背景から、今回期間制限の適用除外としているわけでございます。
吉良よし子君
 結局、そうやって安定しているとおっしゃいますけれども、何度も言うように、派遣労働者である限り安定ではないわけですよ。問題は、派遣元の雇用形態じゃないんです。派遣先が派遣労働を使い続ける、これが問題であり、それをいかに臨時的、一時的にとどめるか、それが問題なわけですよ。
 あのリーマン・ショックの前後でも、キヤノンやマツダ、いすゞなど日本を代表するような企業で、工場ごと派遣労働者で運営されるような派遣工場というものも現れたわけです。これがまさに常用代替という状態だと思うわけですけど、それを防止をするという原則が適用されないような、派遣労働者がこれからどんどん増えてもいいというような考えでは、やっぱりこの法案は派遣先のための派遣利用促進法案としか私言いようがないと思うわけです。
 問題は、無期雇用の派遣労働者だけじゃないんです。期間制限が課されているという有期の派遣の場合はどうか。
 現行法では、派遣期間の制限超えたら、四十条の四や五で派遣先が直接雇用の申込義務を負っているわけですけれども、大臣は、今回の法案では、この直接雇用の義務をなくす代わりにみなし雇用制度が適用されると本委員会でも何度も述べられているわけであります。
 そこで、ここは坂口部長で結構ですけれども、聞きます。本法案で派遣期間を延長するときに、過半数代表からの意見聴取などの手続があると思いますが、その手続について、省令や指針で書き込むこと、検討している事項を含めて、全てできるだけ簡潔にお答えください。
政府参考人 坂口卓君
 お答え申し上げます。
 今委員の方からお尋ねの事業所単位の期間制限について、派遣先が事業所単位の期間制限を超えて派遣を受け入れようとする場合の手続でございますけれども、過半数労働組合等からの意見聴取を行うということをまず法律で新たに義務付けております。
 具体的には、これらの過半数労働組合等からの意見聴取の手続を担保するために、まず省令において、過半数組合がない場合に過半数代表者を選出する場合についてでございますけれども、この場合については、管理監督者以外の者で、投票、挙手……
吉良よし子君
 簡潔にお願いします。
政府参考人 坂口卓君
 はい。
 投票、挙手等の民主的な手続により選出することということ、それから、派遣先が意見聴取などの記録を一定期間保存し、周知することというようなことを規定することを予定しております。
 また、指針におきまして、派遣先から意見聴取の参考となるデータを過半数労働組合等に提供することを予定をしております。
 それから、これは御承知のとおりでございますけれども、法律上、過半労働組合等から受入れ継続に対しての異議が出た場合につきましては、派遣先から対応方針等を説明することを法的に義務付けるということとしておるところでございます。
吉良よし子君
 では、大臣に伺います。
 先ほど挙げられた手続、いろいろありましたけれども、それらに瑕疵があったり、若しくは、義務というものもありましたけれども、そうしたものに違反したらどうなるのか。全てそのみなしの対象となって適用されるということでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
 事業所単位の期間制限に関して労働契約申込みみなし制度の対象となるのは、過半数労働組合等の意見聴取をすることなく事業所単位の期間制限を超えて労働者派遣の受入れをした場合でございます。
 過半数労働組合がないなどの理由で過半数代表者を選出して意見聴取をした場合であっても、管理監督者を代表とした場合とか、あるいは民主的な手続によらず派遣先が指名をしてしまう者を代表者とした場合とか、こういう場合は意見聴取が事実上行われていないものと同視をされるようなものであって、そういう場合は、期間制限を超えて労働者派遣の受入れを継続した場合は、労働契約みなし制度の対象となるということでございます。
吉良よし子君
 先ほど、その対象となるのは、聴取をしないとか代表の選出方法に瑕疵があった場合ということですが、手続の中に過半数代表へ意見聴取したそのときの説明の文書の保存義務というのもありました。そうしたものというのは、保存していなかった場合、これはみなしの対象となるんでしょうか。
政府参考人 坂口卓君
 今大臣の方から御答弁申しましたように、やはり今回、労働契約申込みみなし制度の対象とするということにつきましては、意見聴取をした場合であっても意見聴取が行われていないものと同視されるようなケースということで先ほど大臣の方から御答弁をさせていただいたところでございます。
 御承知のとおり、この労働契約申込みみなし制度というのは非常にペナルティーの重さということもございますので、そういった意味では、派遣先の行為の違法性のバランス等にも鑑みまして、今委員の方からお尋ねがございました、事業所単位の期間制限違反の手続の中の記録の保存の義務に関する違反につきましては、労働契約申込みみなし制度の対象としないということで予定をしておるところでございます。
吉良よし子君
 結局、みなしが適用されるといいながら、意見聴取をした証拠となるべき文書を保存していなかった、それが発覚したとしても、みなしの対象とはならないと。最低、過半数の代表に話を通してさえいれば、口約束でも、派遣期間を延長する際の義務とされている手続守らなくても、みなしは適用されないというわけであって、そういう意味ではもう期間延長し放題ということになるんじゃないかというわけですよ。
 無期雇用の派遣労働者はそもそも期間制限が掛からないし、有期雇用の派遣労働者についても、期間制限違反としてみなしが適用されるというのは、本当に明らかに聴取がされなかったということが分からないといけないわけですけど、その文書の保存義務さえ守っていなくてもみなしにはならないということだと、もう本当にどんな歯止めも利かないということになっちゃうんじゃないかと。もう派遣先の常用代替防止の原則を担保するための期間制限はないも同然の法案になっていて、私、絶対にこれ許すわけにはいかないと思うんです。
 ほかにもいろいろあるんですけど、このみなしについて、本来だったら、現行法のままだったら十月一日から救われる方もいるはずなんですよ。なのに、それが救われないということもあります。大臣は派遣労働者の保護が本法案の目的などと言いますけれども、結局そうじゃない、派遣先を救済するための法案じゃないかと私は思うわけです。
 もう時間がありませんのでまとめますけれども、派遣労働者から声が寄せられているんです。この法案が通れば、派遣労働者の使い捨ては更に進む、派遣社員は今後増えることは間違いない、企業の都合ばかり考えた改正であり反対だ、こういう声が殺到している。当事者である派遣労働者からこんなひどい法案はないと言われていて、何で派遣労働者保護の法案だと言えるのかと。
 私は、やっぱりこの法案は派遣先救済法案だとしか言えないということを申し上げて、質問を終わります。