吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
私は、一昨年の参議院選挙で出会ったいわゆるブラック企業で働いていた二十代の男性が、僕はあの会社で夢という言葉が嫌いになったと言っていたこと、忘れることができません。そうやって若者から夢を奪い、人生を奪うブラック企業や非正規労働などの雇用問題、これを何とかしてほしいという皆さんの熱い思いを背負って私は国会に送り出していただきました。そして今日、いよいよ総理に直接質問する機会を得ました。よろしくお願いいたします。
まず、いわゆるブラック企業の問題について伺います。
ブラックと言われる企業での非人間的な労働実態について、私たちも独自に聞き取りを行い、その根絶を求めて国会でも度々問題にしてきました。
そこで、総理に初めに伺います。いわゆるブラック企業根絶に向けての決意をお聞かせください。
内閣総理大臣 安倍晋三君
私としても、もちろん政府としても、若者の使い捨てが疑われる企業は社会的に大きな問題であると。まさに今委員が御指摘をされたように、若者の将来と夢を奪うことにつながると思います。このため、こうした使い捨てが疑われる企業への対応の強化を図っておりまして、昨年十一月には、過労死防止法の施行に合わせまして、賃金不払残業や過重労働等が疑われる企業に対して重点的な監督指導を行いました。本年一月からは長時間残業に関する監督指導の徹底など、更に強化を図っています。
また、若者が社会に出て職に就く際、自らにふさわしい仕事を選べるようにするため、これまで、ハローワークにおいて職場情報を積極的に開示する企業について若者に対し重点的にPRする、また、大学新卒の求人に際し離職状況等を明示するなどの取組を行っています。これを更に進めるために、平均勤続年数や残業実績など新卒者の選択に役立つ職場情報の提供を企業に義務付ける、若者の使い捨てが疑われる企業についてはハローワークで新卒求人を受け付けない、若者の雇用管理が優良な中小企業について認定制度を設けるなど、新たな法案の検討を進めております。
吉良よし子君
いろいろ取組も進めているというお話でした。
しかし、今はブラックと言われる働かせ方というのはあらゆる職場に広がっているというのも事実であります。例えば、若者が初めて働く経験をする高校時代のアルバイトから既に違法、無法な働かせ方、いわゆるブラックバイトに遭遇することも珍しくはありません。
その違法事例の一つが労働時間の管理の問題です。例えば、フレッシュネスバーガーでバイトとして働いていた方によると、その店舗にはタイムカードを押すタイミングについて、出勤時は作業のできる態勢を整えた後でタイムカードを押すように、退勤時はカードを押した後で着替えをすることという指示をする張り紙があったそうです。着替えをしなければ仕事ができないのですから、本来その時間は労働時間に含まれるべきであるはずなのに労働時間からそれが除外されてしまっている、これが問題なわけです。こうした例は、今やどの職場にも蔓延している。
もう一つ典型的な事例を示します。パネルを御覧ください。(資料提示)これは、丼物の外食チェーンなか卯で、新しく入ったアルバイトの学生に対して行われたテストの中身です。出勤時、一番初めにAの挨拶をした後、二番以降、B、月間重点目標の唱和、連絡ノートの確認、経営理念の唱和、接客用語唱和、出勤打刻、これがタイムカードです、そして最後、着替え。これらをどの順番でやるのが正しいか書けという問いになっているわけです。
ここで総理に伺います。この職場で出勤打刻、タイムカードを押すのは何番目だとお思いでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
就労の問題でございますので、まず私から答えたいと思いますが、一般的には労働時間というのは使用者の指揮監督の下にある時間のことをいうのであって、作業前に行う準備等であっても使用者から義務付けられている、そういうような場合には労働時間としてカウントしないといけないということだと思います。
御指摘のような、これ、クイズのようなことになっていますが、労働時間に当たるか否かについてはその実態に即して個別に判断をすべきであるわけでございますけれども、一般的に申し上げれば、使用者の指揮監督下にあるにもかかわらずタイムカードを打刻しなければならないというなど、使用者が労働時間を適正に把握していないことが認められる場合には改善に向けた指導を行うということになる状態になるということでございます。
吉良よし子君
何番だと思うか、お答えください。
内閣総理大臣 安倍晋三君
基本的に、その職場に行った段階で常識的にはタイムカードに打刻するということだと私は思います。
吉良よし子君
ということで、すぐということで二番に該当するのではないかというお答えでしたけれども、この職場の場合、正解とされているのが一番最後になっているわけです。店舗に入り挨拶をした後、二番にはG、着替えをして、三番にはC、連絡ノートの確認、四番目にはD、会社の経営理念を唱和して、五番目にE、接客用語の唱和があり、さらに六番目、Bの月間重点目標を唱和した後、最後の最後にやっとFの出勤打刻、タイムカードを押すようにと、こういうテストになっているわけです。
しかし、ここで挨拶した後行われている行為、先ほど厚労大臣からもお話あったとおり、使用者の指揮監督の下に行われている行為のはずなんです。これは明らかに労働時間に含まれるはずです。
もう一度確認しますけれども、このタイムカードの打刻、労働時間の管理を理念の唱和などの後に始めるというやり方というのは明らかに違法であるということでよろしいでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
今日これ初めて拝見をいたしたので、これがどういう強制力を持つかは分かりませんが、少なくとも義務付けられている、使用者側から義務付けられている行為であるならば、そこからが労働時間としてカウントされるということでございます。
吉良よし子君
義務付けられている行為なら労働時間ということですから、最後が出勤打刻というのは明らかに違法だということであります。
こうした事例はなか卯だけの問題ではありません。ファミレスなどの外食産業、スーパーなどの小売業など、ありとあらゆる職場にほとんど当たり前のように蔓延しているわけです。こうした事態、直ちに根絶するべきではないでしょうか。厚労大臣、いかがでしょう。
国務大臣 塩崎恭久君
今申し上げたように、当然、労働時間でありながらそれがその後に打刻しろというのであるならばおかしいわけでありますから、そういうことが分かれば当然指導しなければいけないと思います。
吉良よし子君
当然指導するべきとお答えがありました。すぐにでも、ありとあらゆる職場にこうした事態があるわけですから、指導の徹底をよろしくお願いいたします。
そして、こういうことを一つ一つ是正させない限り、ブラック企業というのはなくせないわけです。
昨年の予算委員会で、私は、固定残業代制を悪用した長時間労働の押し付けや残業代不払の問題を取り上げて、厚労省も新しい対応を行い始めました。そして、今度、最初に総理がお話あったように、問題ある企業の求人をハローワークでは受理しないという制度をつくるというお話がありましたが、具体的にどうするのか説明を、厚労大臣、簡潔にお願いいたします。
国務大臣 塩崎恭久君
ブラック企業根絶に向けてでございますけれども、特に、先ほど若者の使い捨てが疑われる企業の話がございましたけれども、社会的に大きな問題だということは私たちも思っていて、監督指導強化に取り組むことが重要だということで、もう既に今は先生御指摘のようにあります。
具体的には、昨年十一月に施行を行いました過労死等の防止対策推進法に定められた月間に合わせて重点的な監督指導をやってまいりました。それから、本年一月からは、月百時間超の残業が行われている……(発言する者あり)よろしいですか、そこは。
それでさらに、新卒者の選択に役立つ職場情報を企業から提供する仕組みを我々やるとともに、今の御指摘の若者の使い捨てが疑われるような事業所について、ハローワークで新卒求人を受け付けないということをやろうと思っています。
それから、若者の雇用管理……(発言する者あり)
委員長 小坂憲次君
答弁が終了してから質問をしてください。
国務大臣 塩崎恭久君
若者の雇用管理が優良な中小企業についても認定制度を設けるなど、新たな法案を今検討中でありますから、今はまだ中身が固まっていないので、追ってまた御議論をいただくということになります。
吉良よし子君
まだ固まっていないというお話でしたが、ハローワークにおいて問題のある企業の求人を不受理にするという、これはブラック企業対策において重要な前進だと私は思っているんです。
しかし、先ほど来お話あるように、それは新卒者に限られていると。二度目以降の就職、転職を希望する方などにはそのまま問題がある企業だとしても紹介されてしまうということなんです。また、民間の就職情報誌やサイトなどにはこうした対応は適用されませんので、つまりは、新卒者の方も含めて求職をしている人たちが法令違反を繰り返す問題のある悪質な企業に就職するリスクというのはまだまだ高いままだということなわけです。
それを避けるためには、やはりそうしたハローワークで新卒向けには不受理とされるような悪質な企業の名前を、社名を公表するべきだと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
貴重な御意見として賜りたいと思います。
吉良よし子君
貴重な御意見ということですが、私は、ブラック企業根絶のためには、この公表することはもう欠かせない大事なことだと思うわけです。
その必要性を申し上げるために、今日、私は、牛丼チェーンの店舗数で全国、国内トップとなったすき家について取り上げたいと思います。
このすき家では、この間、ブラックな働かせ方、深夜一人で勤務させるワンオペなどが問題となって、大きな社会的な批判も浴びて店舗の閉鎖などを余儀なくされました。そこで、すき家の親会社ゼンショーホールディングスは、店舗の労働環境改善を経営の最重要課題に設定することとし、昨年四月、「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会を設置し、昨年七月、その調査報告書が公表されました。これは、インターネット上でも公開され、誰でも見ることができるようになっています。
ブラック企業根絶を標榜している厚労大臣はこの報告書、お読みでしょうか。読んでいるかどうか、お答えください。
国務大臣 塩崎恭久君
御指摘の報告書は、このゼンショーホールディングスが設置した第三者委員会で作られて、昨年の七月三十一日に取りまとめられたもので、今お話しのようにホームページなどにも載っているということでございまして、私も今回御質問いただいたので見させてもらいました。
報告書において、そのすき家の……(発言する者あり)質問はちゃんと手を挙げてしてください。
報告書においては、すき家の過重労働の実態やその原因を分析した上で、長時間労働の根絶、絶対的禁止のルール化など、労働環境の改善に向けた提言がまとめられているというふうに承知をしているわけでありますので、これからのブラック企業対策と、今おっしゃっているようなことについて参考にしていきたいというふうに思います。
吉良よし子君
参考にしていただきたいというお話でしたが、読んでいるかどうかの質問でしたので、そこだけでよかったんですけれども。
今後、そのすき家ですね、職場がどう改善されていくかというのは、これから推移をゆっくり見ていかなければなりませんけれども、ゼンショーがこうしてやはりすき家の労働実態改善、経営の最重要課題にし、こうした詳細な報告書まで作ったということは私も注目に値すると考えています。 本日取り上げたいのは、この調査報告書で明らかにされたすさまじい労働実態に対して労働基準監督署から度重なる是正勧告を受けながら、どうしてそれがすぐに改善へと動かなかったのかということなんです。
すき家では、ワンオペだけではなく長時間労働も蔓延しておりました。また、店舗の売上げが少ない場合、その売上額に見合う時間しか働いていないという報告を社員に出させることで、実際に社員が働いた時間分の残業代を支払わない、そういうサービス残業も蔓延していたんです。調査報告書ではこうした実態を、現場社員の生命、身体、精神に危害を及ぼし、私生活を崩壊させていると厳しく批判しているわけです。
これに対し、厚労省、労働基準監督署は、二〇一二年度、二〇一三年度の二年間の間、合わせて百四件、六十二通もの是正勧告を発したと報告書には記載されています。厚労大臣、この事実には間違いないでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
この今の御指摘の件につきましては、個別の事案でございますので、指導内容についてはもちろん、回答は差し控えさせていただきたいと思います。
いずれにしても、労働基準関係法令の違反が疑われる企業については、監督指導を実施をして、問題が認められた場合には厳しく指導し是正を図るということは当然のことでございます。
吉良よし子君
すき家、ゼンショーホールディングスがもう調査報告書として発表している資料の中に詳しく件数が書かれて、もう公表されているものなんです。それすら個別の企業のことだから政府の側では言えないとおっしゃるわけですが、私はそういう体質こそが問題なのではないかと思うわけなんです。
労働基準監督署は、度重なる是正勧告、百四件、六十二通も出していたにもかかわらず、それがすぐに公表されなかった。ここで公表されていれば被害が広がらなかったのではないかと思うんです。
というのは、報告書によりますと、すき家においてこの労働環境改善というのが最重要課題とされたのは、是正勧告がされた後ではないんです。是正勧告されても、その対応は取締役会に報告すらされていなかったと。改善が最重要課題とされたのは、ワンオペやすき家の名前が現場の告発で出されて、マスコミでも流されて社会問題化してからだったというからなんです。会社幹部への第三者委員会の聴き取りの中では、労働基準監督署とか労働環境を考えたことはないという証言まであったわけです。せっかく労働基準監督署が是正勧告出していても、経営幹部によってそれらが無視されて、社会問題化するまでの間、労働者は生命、身体、精神に危害を加えられ、私生活が崩壊させられ続けてきたわけなんです。
総理、こうした勧告が繰り返されているという事実についてもっと早く公表に踏み切っていればここまで被害が広がるのを防げた、避けられたとは思わないでしょうか。
内閣総理大臣 安倍晋三君
私はこの事案について詳細について存じ上げておりませんが、しかし、もちろんこうした法令違反は元来あってはならないことでありますし、労働基準関係法令にしっかりと従っていくことが大前提でございますが、法令違反といった事態になる前から使用者が法令遵守の意思を十分持つことが重要であろうと。ただ、元々全くそれは期待できないような状況があると、今のお話の中においてですね、そういうときには、これはやはり労働基準監督署がこれは監督指導を厳しく行い、重大又は悪質な違反に対しては司法処分を含め厳正に対処をしていくことが大切ではないかと、このように思います。
吉良よし子君
監督指導を厳しくというのももちろん重要なわけですけれども、このすき家においては何度も、百四件にわたって二年間の間に是正勧告、発せられているわけですよ。それにもかかわらず、すぐに改善へと踏み切らなかったわけです。
先ほど長時間労働のお話しましたけれども、回転と呼ばれる二十四時間連続の長時間労働がずっと行われている中で、体調不良を起こしたり、また、それによって意識を失って交通事故まで起きているという事態まですき家の現場では起きているわけなんです。それらを食い止めるためには、やはり公表をしていく、その事実を公表していくということがやっぱり必要だと思うんです。
これは、単に悪質な企業を正していくということだけではなくて、働く人を大切にする企業を伸ばすということにも私つながると思うわけなんです。ブラックと言われる働かせ方が横行している多くの企業の風土を社会全体で正していく、改めさせていくと、あるべき労使の公正な関係をつくり広げるためにも、悪質な企業の社名公表というのはやはりどうしても必要だと思うんです。これは現場労働者の切実な願いでもあるんです。
労働組合の連合が昨年行った組合員三千人に行ったアンケートの調査では、ブラック企業対策として国に進めてほしい制度や取組について、一番に挙がったのがこのブラック企業の社名公表、実に六五・〇%の方がそう答えているわけなんです。
ブラック企業をなくす、それを力を込めるというのであれば、少なくともブラック企業の情報公開、とりわけ悪質な企業の社名の公表に今こそ踏み出すべきなのではないでしょうか。総理、いかがでしょう。
国務大臣 塩崎恭久君
監督署が指導などに入るときは事業場別、つまり店舗ごとに行くわけでありますけれども、このすき家に関しても幾つかあって、今は全社的には当然、労働基準監督署から長時間労働等を是正するように指導中ではありますけれども、中身についてはやはり申し上げることはできないと思うんです。
そこで、今お話がありましたが、例えば、これは行政として告発をするなり何かのアクションがあるときは当然公表することになろうかと思いますけれども、指導の中で名前を出すということについては、まだそういうことは考えているわけではございませんので、引き続きしっかりと監督を厳しくやらなきゃいけませんし、さっき申し上げたように、十一月に過労死等防止啓発月間に合わせて重点的な監督指導をやって、三千八百十一事業場で労働基準関係法令違反が認められた、それは四千五百六十一のうち三千八百十一というかなりのところで違反が認められて、是正を指導し、違法な時間外労働があったものはこの中で二千三百四事業場、全体の半分ぐらいだったわけであります。
そういうこともございますので、引き続き徹底的に監督指導をやるようにしていきたいと思います。
吉良よし子君
ですから、指導されているということは大事なわけですよ。それだけ入って、それだけの違法企業が、事業所があったという事実は本当に問題なわけです。だからこそ、ただ、働く側としては、だからこそその中身を知りたいわけなんです。それだけ四千社なり五千社なり入って、そのうちの八割の企業で違法な事態が見られていると。それに対して何度も何度も、しかもすき家のように繰り返し是正勧告がされているような企業があると。そういう企業の名前をちゃんと公表してほしい、そういうことで社会的な抑止力を発揮してほしいというのが労働者の願いなわけなんです。
是非とも、この企業名の、悪質な企業なんです、全ての企業名をということではありません。ハローワークでも繰り返し違反が認められる企業は不受理というお話でした。ですからこそ、悪質な企業名の公表を是非とも検討していただきたい。総理、いかがでしょう。
内閣総理大臣 安倍晋三君
言わば今例として挙げられている当該企業においては、何回も何回も勧告しているにもかかわらず、それに応じていないということについては相当悪質であろうと、このように思うわけでございますが、その中において、言わば指導に従わさせるためにどのようなこちらが手段を持つかということについては、当然様々な手段を検討していく必要もあるだろうと。そういう意味で、先ほど大臣も貴重な御意見として参考にさせていただきたいと言ったのではないかと、このように思います。
吉良よし子君
貴重な御意見ということは繰り返されていますから、是非ともこの公表について検討を始めていただきたいんです。いかがでしょうか。
国務大臣 塩崎恭久君
先ほど時間がなかったのではしょりましたが、例えば今年の一月から月百時間超の残業が行われていることを把握した全ての事業場に対して監督指導の徹底などをやっておりまして、特に東京と大阪が一番こういうケースがあるものですから、この大阪と東京の労働局に過重労働の困難事案等に対応するための特別チームをつくって、対応を更にグレードアップして今やっているところでございまして、今繰り返し御提案がありましたけれども、先生の御意見、貴重な御意見として賜っていきたいというふうに思います。
吉良よし子君
では、貴重な御意見と何度もおっしゃっているわけですから、是非とも検討を進めていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
そして、このブラック企業、これが横行する背景の話に移りたいと思います。
このブラック企業が今これだけ社会中に増えている背景には、やはり派遣や有期雇用など非正規雇用が日本中に蔓延し、二千万人を超えるに至ったという現実があると思うんです。
ここで、政府は今、正社員三十万人増と掲げておりますけれども、今後提出が予定されている派遣法の改悪案というのは、その言葉に真っ向から反する内容になっていると思うんです。
パネルを御覧ください。
現行の労働者派遣法、これでは、法律で定められた派遣期間、これを過ぎたら派遣先がその派遣労働者を直接雇用しなければならないという義務規定が置かれています。特に、この第四十条の四、四十条の五では、その期間を過ぎた派遣労働者に対して労働契約の申込みをしなければならないとしっかりと書かれているわけです。しかし、これが、昨年秋に国会に提出された政府案の中では、その派遣先に課されている労働契約の申込みの義務、これらが、この二つともがすっぽりと削られてしまっているわけです。
この条項を確実に派遣先に履行させるというならまだしも、そうした義務付けをなくしてしまってどうして正社員化が進むと言えるのか、これまであった直接雇用の道をなぜ閉ざすのか、総理、お答えください。
国務大臣 塩崎恭久君
まず、すっぽり削られてしまっているというお言葉がありましたが、これは委員長にもお願いをしたいんですけれども、今そこにパネルとしてございますのは、普通あれを見れば、四十条の四というのはあれだけだろうと思うと思うんですね。実際は、実は、ちょっと見づらいかも分かりませんが、これだけがあるもののごく一部を取り出したもの、すっぽり削除して、ほかの部分は、あれだけやってあたかも条文かのように思われるので、こういうのは、出すときには全部をやっぱり出していただいて、あるいは、抜いているなら抜いているということが分かるように是非していただきたいというふうに思います。
その上で申し上げれば、提出を検討中の労働者派遣法の改正法案では、今、雇用主である派遣会社に一義的な責任を派遣で働く方の雇用の安定について負わせるということで、現行法の四十条の四、今あそこの上の部分ですね、それから四十条の五、この派遣先の直接雇用の申込義務を削除する一方で、派遣期間満了時に働く方の雇用が途切れないように、雇用の安定に図るための措置、雇用安定措置と我々は呼んでいますけれども、これを派遣会社に新たに法的に義務付けるということにしております。
さらに、現行法第四十条の四には、期間制限違反を防止するという目的ももちろんあるわけですけれども、期間制限違反については、これは今までの法律でいけば四十条の六の、古い法律の労働契約申込みみなし制度によって違反を防ぐこととしておりまして、これは実は今年の十月一日から施行になります。これによって違反を防ぐこととしておりまして、派遣で働く方の保護が後退するということは考えておりません。
労働者派遣事業については、現在、約四分の三が届出制となっておりますけれども、今後は全てを許可制とすることにして、許可制を通じて雇用安定措置の履行を確保して、そして派遣で働く方の雇用の安定を図っていこうと。そして、それは許可制でありますから、もしこの義務を履行しないということになれば、まず指導、助言があり、改善命令が来、事業停止命令もあり、そして許可取消しということになってくるわけでありますので、御懸念のことがないように私たちも新しい法律の中で働く人の権利をしっかりと強化していこうということでございます。
吉良よし子君
いろいろおっしゃられましたけれども、まず、私、ここに法案書いてあるのは、重要だと思う部分をしっかりと分かるように抜き出したわけです。ここが全部取られているということを問題にしているわけなんですけれども。
先ほど来、みなしなどの話もありますけれども、それらは、無期雇用の場合はその対象から外れると、派遣元で無期雇用の場合は。だから、派遣社員全員がカバーされないという仕組みになっているわけです。許可制などとおっしゃっていますけど、そもそも専門二十六業務に限定していたものを外すということは派遣労働者が増えるということであって、正社員が増えるということでは決してないということなんです。
私が伺っているのは、派遣先が直接派遣労働者に、直接雇用をすると、それが義務だったわけです。その義務を、派遣先の義務を外してどうして正社員化が進むのかと、そのことなんですが、お答えください。
国務大臣 塩崎恭久君
これは理事の皆さん方にも申し上げたいんですけれども、そっくり削除するなら削除したということが分かるように「…」と書くとか、部分的にやったということをやっぱりはっきり書いていただかないといけないということを繰り返しておきたいと思います。
それで、先生今御指摘の四十条の四のところでありますけれども、これ実は、先ほど申し上げたように、落ちている条文のところをしっかりと読めば、この四十条の四は、まず第一に、二十六業務以外の業務について、派遣先が三年の上限に達した際に、その際受けている派遣で働く方を派遣先が上限を超えて引き続き受け入れようとする場合であって、そして五番目に、働く方が派遣先に雇用されることを希望する場合という全ての要件を満たした場合について派遣先に直接雇用の申込義務を課すものでありまして、今お話ございましたけれども、あたかも全ての希望者に申込義務を課すかのようにおっしゃるのは、それは不正確だということを申し上げておかなければいけないというふうに思います。
吉良よし子君
あのですね……(発言する者あり)
委員長 小坂憲次君
静粛に願います。
吉良よし子君
希望すると言いました。私は何度も、期間が過ぎた派遣労働者が希望した場合には直接雇用する義務があるということは口頭で何度も申し上げているわけでありまして、決してそれをはしょっているわけではありませんし、私が聞いているのは、その義務を外してどうして正社員が増えるのかというお話なんですよ。
今だって、現行の規定が守られていないといって闘っている事例がたくさんあるわけです。なのに、そうした規定すら取り外してしまったら、まさに派遣先の義務は何もなくなって、正社員は増えなくなるじゃないかと、直接雇用が増えなくなるじゃないかと、その道が閉ざされてしまうではないかと、そういうお話をしているわけです。何でそれで正社員が増えるのかと、そこのところをお答えください。
国務大臣 塩崎恭久君
今回、今まで何もなかった正社員化に向けての規律というものをたくさん導入します。その一つがさっき申し上げた雇用安定措置であり、それから、許可要件としても、教育訓練やキャリアコンサルティングの機能がちゃんとなければ、システムとしてなければいけないということを申し上げているわけであって、それから、もちろん派遣先にも、今までなかった例えば正社員募集情報の提供を義務付けるとか、あるいは募集情報の提供、これも義務付けていますし、それから、派遣元に、キャリアアップの支援をするという意味において、派遣労働者の仕事ぶりの情報をきちっと派遣元に提供することを努力義務で課すというようなこともやっているわけであって、あたかも正社員化が進まないとおっしゃいますけど、むしろ逆に、我々は、正社員になりたい人は正社員化が進むように今まで何もなかった規制を掛けていくということをやり、そして何よりも、さっき申し上げたように、そういう新たに加える義務に対して……
委員長 小坂憲次君
答弁をまとめてください。時間が過ぎております。
国務大臣 塩崎恭久君
履行しないときには許可の下で指導をしていくということであります。
吉良よし子君
ですから、それで何で正社員になるのか全然分からないんですよ。教育訓練をしたからといって……
委員長 小坂憲次君
吉良よし子君、時間が経過しております。
吉良よし子君
お願いをしたからといって、それで直接雇用になるとは決して保証はどこにもないじゃないですか。何より現場の派遣労働者が全然納得していないんです。
委員長 小坂憲次君
吉良よし子君、申合せの時間が経過いたしております。
吉良よし子君
ニコンで五年間も派遣労働し、やっと直接雇用されたのに半年後に解雇された同い年の男性は、今の規制ですら守られていない、それを取っ払うなんて僕にとっては絶望国家法案だとおっしゃっていました。若者に夢と希望というんではなく、絶望を押し付けるような派遣労働者の……
委員長 小坂憲次君
吉良よし子君、発言者に申し上げます。委員長の指示に従ってください。
吉良よし子君
改悪法の今国会への再提出はきっぱり諦めるよう申し上げて、質問を終わります。