吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
私が今回の派遣に当たって最も印象に残ったのは、ドイツのレナーテ・キューナスト司法・消費者保護委員長の言葉です。彼女は、いろいろなお話の中で、憲法は解釈によって変えるものではないとおっしゃいました。この発言に照らせば、日本の集団的自衛権の容認のように、憲法九条の下ではできないというこれまでの歴代政府の解釈を百八十度変えるという解釈による改憲というのは、ほかの立憲主義国家から見ても異様な事態であるとの認識を新たにしました。
もう一つ印象に残ったのは、訪問した国々の憲法において、とりわけ人権については国際法など国際社会の到達を反映させたものにしているということです。
 今回訪問したドイツ、イタリア、イギリスは全てEU加盟国ですから、立法や違憲判断の過程でEU条約等に配慮しているとの旨の発言は各国でありました。事実、憲法改正を繰り返しているドイツの改正内容を調べますと、EU法などの条約批准に伴うものもあります。
では、国内の法改正や違憲判断に当たり国際法やEU条約などに配慮しているのはEUに加盟しているからなのかといえば、それだけが理由とは言えません。例えば、不文憲法の国イギリスの最高裁判所において、とりわけ人権に関わって、国内の議会法の妥当性についてEU人権条約など国際法に照らして判断を下すというお話がありました。それは先ほど小坂先生のおっしゃったようなことです。
一方で、イギリスにおいては、五月の総選挙を前にEUからの脱退も議論されております。そこで、もしEUから脱退した場合にはイギリスにおいて規範となる法がなくなってしまうのかという点を伺ったところ、それはどうなるか実際にやってみないと分かりませんが、たとえEUから脱退したとしても、その他の人権をうたう国際法はいろいろとあり、それらが判断の基準になり得るとの回答がありました。つまり、EUに加盟しているかどうかにかかわらず、とりわけ人権に関しては国際法や国際社会の到達点というものを国内法にも反映させるという姿勢が貫かれていると考えられます。
 現在、日本においても、日本国憲法九十七条に「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」とあります。これを読めば、今の日本国憲法は国際社会の到達というものをしっかりと取り入れていることが分かります。
こうした点からも、日本国憲法は決して古いものではないこと、むしろ現在の国際社会の到達にも合致する生きた憲法になっていることを誇るべきだと、今回の派遣で再認識いたしました。
また、最後になりますが、金子副団長からの御報告もありましたように、イタリアの国民投票の最低投票率について、ボイコット運動があるのではないかという点について問題意識はないというお話がありました。その背景には、国民的関心が高い事項であれば最低投票率を超えると、だからボイコット運動というのは問題にならないという話も印象に残りました。そのことも付け加えさせていただき、私からの御報告といたします。
ありがとうございました。
吉良よし子君
立憲主義についての質問などもありましたので、私の方から一言言わせていただきますと、具体的には、先ほど先生方がおっしゃったように、立憲主義を議題にするということはなかったのではありますが、しかしやはり国民を縛るものだという、憲法が国民を縛るものだというよりは、国民が主体となるものであるということは前提となっているような印象を受けました。
例えば、イタリアでも憲法改正について相当長い間議論がなされている中で、その委員長自身もやはり国民投票が必要だとおっしゃるだとか、またイギリスにおいても上院改革が進まないのは国民の関心が低いためだとか、そういうお話がありまして、やはり憲法を変える主体は国民であって、その関心が低ければ変える必要はないと、そういう意識でした。
とりわけ印象的だったのはドイツなんですけれども、ドイツで、先ほど私は、司法委員長が憲法は解釈によって変えるものではないとおっしゃったと言いましたが、それも立憲主義に関わるお話だと思いますし、印象に残ったのは、政府関係者や議員の皆さんなど懇談された方が必ず手元に憲法の法典を書いた冊子を手元に持って、それを見ながらお話、説明をしてくださったということで、やはり憲法を守るべきなのは、そういう政府関係者であったり議員であったり、そうした権力を持っている側であってと、そういう意識があるのではないかなという印象を受けたということをお話しさせていただきます。
また、人権についての国際的なコンセンサスというお話ですが、先ほども私から御報告したとおり、やはりEU人権条約であったり、そうしたものにかなり配慮しているというような様子は見られましたし、とりわけイギリスなどにおいてはそういう国際的な人権意識が国民の中に浸透していると、だからこそそこに配慮する必要があるんだというようなお話もあったかに思っております。ですから、たとえEUから脱退したとしても、国際法に照らしてというのと同時に、それに準拠するような国内の人権法も作るべきではないかという議論もされているというお話があったやに思っております。
以上でございます。