吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
まず、放送事業者の経営基盤強化計画について伺います。
本改正案で計画作成の対象とされるAM、FMラジオローカル局では、自社番組制作比率が五〇%と高く、放送ネットワークの強靱化に関する検討会中間取りまとめでも述べられているように、ラジオが今後も国民生活に欠かすことのできないメディアであり続けるための支援が求められています。中間取りまとめの中で、ラジオネットワーク、とりわけ県域ネットワークについて課題が指摘されていますが、どのようなものでしょうか。総務省、お願いします。
政府参考人 福岡徹君
お答え申し上げます。
御指摘の検討会の中間取りまとめで整理をされました当面の課題としては大きく二つございます。
まず一つは、AMラジオの送信所は、全面にアース線を地べたに埋設する必要性があるということから、広大かつ平たんな敷地が必要であるということのために、多くの場合、海や河川の近くに設置されているということから、津波や洪水などの被害を受けやすいという課題が一つでございます。
もう一つは、ラジオ放送につきましては、山間部や離島における地形的な要因による難聴、あるいは外国からの電波との混信による難聴、これは従前からもございましたが、これらに加え、特に近年は、これもAMラジオが多いわけでございますが、電子機器の普及や、建造物の高層化、堅牢化といった理由によりまして都市部における難聴が増加をしてきている。こうしたラジオ放送の難聴の解消ということが二つ目の大きな課題でございます。
吉良よし子君
二つとおっしゃいましたけれども、中間取りまとめには三つ掲げられていたと思いますね。ラジオ放送設備、AMラジオ送信アンテナの老朽化、それからラジオ難聴ということだったと思うんですが、これらの課題の解決に向けた総務省の対応はどうなっているか、お答えください。
政府参考人 福岡徹君
お答えいたします。
まず、津波や洪水等の被害を防ぐという観点からは、災害対策といたしまして、予備電源などのバックアップ設備の整備を推進するということが必要でございます。
総務省におきましては、二十五年度の補正予算によりまして補助金を措置させていただく、あるいは今年度から適用される税制上の特例措置を通じましてラジオ事業者の災害対策を支援することとしております。
また、難聴解消につきましては、これは、AMに比べまして電気的な雑音に強いといったこと、あるいは設備の費用が低廉であるということなどから、FM方式の中継局の整備を推進するということが適当であるということを踏まえまして、このFM方式の中継局施設整備を可能とするために、本年の四月に基幹放送用周波数使用計画の一部を変更いたしまして、これらの中継局用の新たな周波数を確保するといった制度整備を行い、さらに、この難聴解消を集中的に進めるために、電波利用料財源を活用して民放ラジオ難聴解消支援事業を実施をして、FM方式の中継局整備を支援するというようなことの取組をしているところでございます。
吉良よし子君
算を付けるなど対策も進められているということですが、本当にこういう課題掲げられているとおり、ラジオ、重要な問題ですから、是非今後も支援を続けていただきたいと思うんですが、今回、災害時のラジオの役割というものが強調されています。その役割を発揮するためにはラジオのローカル性の維持というものが極めて大事だと考えますが、番組や施設の統合によりそのローカル性が失われかねない点が本改正案での問題だと考えます。
本改正案では、災害時では当該地域向けの放送を行う体制の確保を求めるとしていますが、その体制を維持できるという担保はありません。とりわけ経営基盤強化計画には人員の削減も盛り込まれており、ローカル局の番組制作能力が低下しかねないという懸念があります。
そこで、今回、KBS京都の取組を紹介します。一九五一年にラジオ局として開局したKBS京都は、一九八九年に起きたイトマン事件で局が丸ごと担保となり、存続が危ぶまれました。しかし、京都の放送局、地元の放送局を守ろうと四十万もの市民の署名に支えられ、地域、市民とともに再建を進めて、二〇〇七年には会社更生手続終結宣言が出された、そういう局です。
 この過程の中で、一九九八年に発足したのがKBSアクセスクラブです。これは、アクセスクラブの会費を資金として市民がKBS京都ラジオの番組枠を買い取って、市民の企画した番組を放送するという取組です。例えば昨年は、福島から京都に避難してきた被災者の暮らし、京都市の敬老乗車証制度に関する市民の取組、丹後の市民ミュージカルの取組など、今何を報道すべきかを議論した上で企画、制作、放送しており、反響も大きいと伺っています。市民と事業者が共に番組に関わるこの取組により、局と市民との信頼性の向上はもちろん、放送の多元性、多様性、地域性が発揮され、民主主義の発展に貢献していると評する研究者もいるそうです。
お話伺ったアクセスクラブの事務局長でKBS京都で番組制作に携わっておられる方は、多額の借金を背負いながらここまで頑張ってこられたのは自社制作番組をきちんと作り放送し続けることで放送局の火をなくさないでとの市民の声や思いに応えたかったからだと。経営が大変なら他局から番組をもらえばいいというのはコスト削減にしかならない、制作部門はもう要らないということになるし、何よりもリスナーはそんなことは望んでいないと話されていたのが印象的です。
大臣、こうしたKBS京都の取組についての、いかがお感じか、感想をまずお聞かせください。
国務大臣 新藤義孝君
まず、先ほども申しましたが、それぞれの放送事業者が、また特にローカル局において地域の特性を出すこと、それがあって初めてこのローカル局の存在意義というのはあるわけでございます。また、私どもも承知しておりますけれども、それぞれの地域住民において自分たちの地域放送局に対する愛着というのは非常に強く高いものがあるとも思っています。
ですから、今のような取組をどんどん続けていただくことが放送の活性化につながることは言うまでもありませんし、そのことができなくなったローカル局は存在価値を失うわけでございますから、私どもとすれば、ラジオの放送全体の経営基盤を安定させながら、そういった地域性やまた地元住民からの愛着に応える、そういうより良い地域に密着した放送、こういったローカル局ならではの放送を続けていっていただきたいと、このように期待をしておるところでございます。
吉良よし子君
地域に密着した放送を続けていただきたいというお話でしたけれども、でも、できなくなったら存在価値がなくなるとか、だから統合だというのはやはり暴論じゃないかと私は思うんですね。
こうした自主制作番組を数多く持つことこそ、大臣もおっしゃられたとおりに、放送の多元性、多様性、地域性という理念の具体化であるわけですから、これはKBS京都に限らず全国各地の地域ローカル局に求められていることなのではないでしょうか。だからこそ、地域ローカル局の経営が困難だからといって他局から番組をもらってコストのみ削減して、局の統合、合理化のみを進めることで地域性を失わさせかねないような、そういう形ではなくて、自社制作番組をこれからも作り続けていけるような経営支援策こそもっとより多く検討していくべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
国務大臣 新藤義孝君
まさにそのとおりなんです。ですから、そういった意味で、今回の改正法案におきましても、地域向け番組の自主制作努力義務というものを認定放送持ち株会社傘下の放送事業者に課しているわけでありますし、経営基盤強化計画の認定に際しましても、地域性の確保措置を講じることを求めると言っているわけであります。
そして、何よりも、そうしたものをやりながら、経営が成り立たなくては全ての番組が放送できなくなります。ですから、言わば経営を成り立たせながら地域の独自性をいかに維持していくかと、そこに工夫が求められておりますし、地域の独自性のない、そういった良い番組のない放送局は、これは地元の聴視者から果たしてどういう評価を受けるのかということも考えれば、当然、制度として確保しつつ、それはやはり放送事業者の矜持を持って是非地域の特性を発揮していただきたい、我々はそれを期待しているというところでございます。
吉良よし子君
ローカル局では、多元性、多様性、地域性の原則にのっとり、視聴者のための番組をと頑張っているわけですから、やはりそういう取組を後退させないように、単に経営コスト削減だというところだけにとどまらず、そういう自主的な取組を大いに支援していくための様々な検討を重ねていただきたいということを述べて、次にNHKの問題に移ります。
本改正案には、NHKの業務に新しくインターネット業務、国際放送の国内事業者への提供などが追加されることになっています。その是非については検討すべき議論がたくさんありますが、何よりも問題なのは、そうした業務を現在の籾井会長執行部の下でやることが妥当なのかということです。
浜田経営委員長に伺います。
四月二十二日開かれた経営委員会への籾井会長からの人事案の提出の仕方について、先日、吉川委員からも指摘があったように、放送法施行規則に反しているのではないかと疑念が持たれています。人事案というものは予算案に次いで重要案件ですが、事前に十分な時間的余裕を持って付議すべき事項、その他参考となるべき事項を明確にしないままで提案されたという話ですが、こういう提案の仕方は浜田経営委員長の判断で行ったのでしょうか。
参考人 浜田健一郎君
御指摘の役員人事案は、経営委員会の当日に示されました。これは、会長から、情報の漏えいを避けるために氏名は経営委員会の当日まで示さないことにしたいとの提案がその前の三月二十六日の経営委員会の場であったことを受けたものであります。
これまでは、理事の任命につきましては、付議すべき事項の具体的な名前まで事前に通知する慣例がありました。今回の手順については、経営委員からも様々な意見があり、今後は情報管理を徹底しつつ十分な審議時間を確保できるような改善が必要だというふうに考えておりますので、執行部とも話し合っていきたいというふうに思っております。
吉良よし子君
議事録を読ませていただきましたけれども、その二十六日の場であった、事前にそうやって提示しないということが確認されたとありましたけれども、委員の皆さんからは、いやいや、そんな話は今日初めて聞いた、何で事前に資料が提出されなかったんだと異論が出たというお話だったと思うんです。大体、浜田経営委員長自身も、私も理事の担当案を今日初めて見ましたとおっしゃっていると、その上で、やはり二十五日に任期切れの方々が二十二日に付議されるのは日程的に無理があったかなと思いますと発言されているというわけであり、結局、二十六日に提案が事前にあったというお話があったけれども、でも、やっぱりこれは委員長の判断ではなかったんじゃないかと疑われるわけなんです。
放送法施行規則の主語は委員長ですから、経営委員長が事前に資料を提出するかどうかというのは最終的に判断するべきであるはずなのに、この議事録を読む限りは、結局のところ、籾井会長が人事を漏れるのを防ぐためにぎりぎりまで会議に付さない方がよいと勝手に判断して、その原則がゆがめられたということになるのではないでしょうか。
これは単なる手続の問題ではありません。本来、自らが監督を受けるべき経営委員会の上に自分を置く、自らがルールだと言わんばかりの大変権力的な振る舞いをしているということが問題なんです。籾井会長は、本委員会でも繰り返し、法令遵守、述べられていましたが、その法令を自分の都合の良いように勝手にねじ曲げているのでは、籾井会長が何度法令を遵守しますと約束しても、到底信用できないではありませんか。退任させられた理事の一人の方は、経営委員会で、本日、私からは、経営委員会こそが責任を持って事態の収拾に当たってほしいと申し上げたい、述べられたと書かれています。
経営委員長、経営委員会として断固たる判断、決断、下すときが来ているのではないでしょうか。
参考人 浜田健一郎君
経営委員会は、法令にのっとり粛々と委員会業務を行っているというふうに思います。現時点で、今委員の御指摘のような状況にはなっておらないというふうに思っております。
吉良よし子君
なっていないじゃなくて、やはり先ほども申したとおり、放送法施行規則に反するような事態が経営委員会の中で行われているということを指摘しているのですから、そういう事態になっていないというのは明らかにおかしいですし、大体、法令遵守と何度も言っているのに、結局はこう言って経営委員会の場でもそれを軽視しているような会長の姿勢は、私は到底認められないと思います。
何よりも、今回、一連の会長による放送法に抵触する発言で一番苦労している、足引っ張られているのが現場であるわけです。特に、視聴者・国民とじかに接する受信料の契約、集金業務に従事する労働者の苦労は並大抵ではありません。籾井会長は、経営委員会で受信料について、やはり今の七割五分前後の支払率、これをいかに高くしていくのかというのが我々の仕事の一部と述べていますが、その業務に長年中心的に携わっているのが地域スタッフと呼ばれる人たちです。
では、これらの地域スタッフと呼ばれる人たちは何人くらいいるのか、その推移を、NHK、お答えください。
参考人 塚田祐之君
地域スタッフの人数についてのお尋ねですけれども、平成二十一年度が四千六百五人、二十五年度は二千八百八十五人というふうになっております。
吉良よし子君
二十一年度には四千六百五人、二十五年度には二千八百八十五人と、およそ半減していると。その一方で何が起きているかというと、これらの業務を法人に委託するという改革が進められていると。
また、この地域スタッフという方は、一人一人は雇用関係ではなく個人事業主扱いで、委託契約という形で仕事をなさっていると伺っていますが、その皆さんの実際の仕事は一体どういうふうになっているか、私は直接お話を聞きました。
契約開発スタッフの場合、二か月を単位として、その一つの期の目標、その七割五分の支払率の維持向上という会長の言の下、例えば地上契約百三十件、口座六十件、衛星契約六十件など設定させられ、達成しないとペナルティー、挙げ句の果ては解約という名の解雇におびえて働いているというのです。
実際、それぞれの地域スタッフの方は、NHKから交付された専用の携帯端末におよそ二万世帯ほどの対象地域の世帯の衛星や地上契約者の氏名、住所、電話、支払方法、未契約者、空き家、空き室を落とし込み、それを更に住宅地図に一軒一軒落とし込んで、そこを一軒一軒回って未契約の人や空き家に入居された人に契約のお願いをすると。大体一日平均七十軒から百軒訪問し、実際に会えるのが三十軒くらい、契約できるのは二軒か三軒がいいところで、一軒も契約に至らないこともよくあると言います。昼間留守のお宅もあるから、朝から夜まで断続的に訪問を続けなければならないと。
地域スタッフの方は、こうした全ての行動を携帯端末で記録して、夜のうちにNHKの本部に送信するということが義務付けられていると。そしてNHKでは、何時何分にどこの誰を訪問したのかも含め、一人一人のスタッフの行動を全て集約して、グラフ、一覧表を作って、業績の良くないスタッフに指導を行うと。そうやって、ノルマに届かなければ月二十八日間とか、場合によっては休みも取れなくなるような働き方を事実上強制されているのが実態です。
こうして、極めて不安定な契約と過酷なノルマで心の病に陥るスタッフが続出し、他方では、詐欺まがいの契約や不正、視聴者とのトラブルも発生していると伺っています。
地域スタッフを減らす一方、法人委託でこの業務を丸投げされた民間法人でも実態はもっとひどいものになっているんじゃないかということは容易に想像できます。
こうして、会長が強調する支払率の向上の掛け声とは裏腹に、NHK自ら受信料制度の信頼を取り崩していっている、掘り崩していっているのではないでしょうか。それを示すのが受信料に関する視聴者からのクレームの増大ですが、この間のスタッフの契約に関するクレーム件数の推移を述べてください。NHK、お願いします。
参考人 塚田祐之君
訪問スタッフへの意見、要望についてのお尋ねですけれども、二十一年度はコールセンター等に一万四千件寄せられました。二十二年度が一万六千件、二十三年度が一万九千件、二十四年度が二万二千件、二十五年度は三万件となっております。
吉良よし子君
年々増え続けていると。NHKがまとめたものでも、玄関先で大きな声で名前を連呼され怖かった、チャイムを何度も鳴らされたなどの声が紹介されています。先ほど紹介していただいた五年間の間に何があったかというと、法人委託ということも行われているわけです。
こうしたことは、実際、本来であればスタッフの方も誰もやりたくないはずなのに、過酷なノルマと、それを達成できなければ自らの職を失う恐怖から、こんなやり方に駆り立てられている人も出てくるのではないでしょうか。支払率向上のために下請や委託にノルマを課して歩合で成果を求めるやり方は既に限界に来ています。それはクレーム増大という結果にはっきり出ています。視聴者が納得の上で受信料を払えるようにするためには、NHKの職員として、番組内容と公共放送を支える受信料の在り方を丁寧に説明し、視聴者との信頼関係を構築しながら進めるやり方への転換が今求められていると思います。
その意味で、先日、地域スタッフは事実上の雇用関係にあると認めた神戸地裁の判決がありました。これは画期的であり、NHKとしても謙虚に受け止めるべきと思いますが、まず、この神戸地裁が下した判決で、地域スタッフが労働契約的性質を有すると判断した根拠は何か、挙げていただきたい。お願いします。
参考人 塚田祐之君
神戸地方裁判所における判決の概要として、次のように述べられております。
地域スタッフの業務内容はNHKが一方的に決定しており、勤務場所もNHKが一方的に指定し、事実上スタッフには交渉の余地がないことなどの理由から、これらの事情を基礎として総合的に評価すれば、地域スタッフとの契約は労働契約的性格を有すると解するのが相当であるというのが神戸地方裁判所の判決の概要です。
一方で、地域スタッフの労働者性につきましては……
吉良よし子君
結構です。そこまでで大丈夫です。
参考人 塚田祐之君
はい。
吉良よし子君
先ほど紹介いただいたように、総合的に判断して、どこから見てもNHKと地域スタッフとの関係は雇用関係であるというのが神戸地裁の判決です。
私は、この判決を契機に、NHKがこれらの契約スタッフを直接的に雇用して安定した働き方を保障して、視聴者とNHKを第一線で結ぶにふさわしい処遇へと改めていくべきだと思いますが、NHK、いかがお考えでしょうか。
参考人 塚田祐之君
先ほど申し上げようとしましたけれども、地域スタッフの労働者性につきましては、これを否定する複数の高裁判決が出ております。東京高裁や仙台高裁で出ております。今回の神戸地裁の判決は、その判断とは異なるものと認識しております。
NHKとしましては、地域スタッフの労働者性につきましては、このように既に複数の高裁で否定する判決が出ていますので、NHKは地域スタッフの労働者性を認める立場にはないということを申し上げたいというふうに思います。
吉良よし子君
吉良よし子君 いや、幾らそういうふうにおっしゃっても、実態として、先ほど紹介したとおり、もうノルマも定められており、逐一自分の行動を管理されており、ノルマが達成できなければそうして指導まで行われているというのは、やはり労働者性があるとしか言いようがない事態だと思うんです。
しかも、やはりそういった過大なノルマを課される中で、視聴者とNHK、そのスタッフとの間での信頼関係が揺らぐような事態が起きているのが問題であるわけで、やっぱりこれを、労働者性を認めないというNHKの対応は全然認められませんし、これからでも遅くはありませんし、受信料の信頼性向上のためにも、是非ともこの点、再考を求めて、質問を終わります。