吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
法案に関わって、県費負担教職員の給与負担を指定都市に移譲する問題について質問します。
本法案では、県費負担教職員の給与負担を指定都市に権限移譲するとのことですが、改めて、これまでの経過と制度上どのように権限移譲していくのか、文科省、御説明ください。
政府参考人 藤原誠君
お答え申し上げます。
指定都市の義務教育諸学校の教職員の人事権者と給与負担者が異なる、いわゆるねじれ状態の解消につきましては、平成十五年六月二十七日の閣議決定である骨太方針二〇〇三以降の課題とされてきたところでございます。
指定都市への給与負担移管を実現するためには、指定都市に対する安定的かつ確実な財源保障を確保する必要があったため、道府県と指定都市の間での税源移譲等の財政措置が主な検討課題とされてきた次第でございます。
昨年三月の閣議決定、義務付け・枠付けの第四次見直しなどを踏まえまして、関係道府県及び指定都市の間で税源移譲等に係る財政措置の在り方を協議した結果、昨年十一月に個人住民税所得割二%の税源移譲を行うことで合意が得られたところでございます。
この関係の道府県及び指定都市の間での合意を受けまして、中央教育審議会の答申、これは昨年の十二月十三日でございますが、今後の地方教育行政の在り方についての答申、それから事務・権限の移譲等に関する見直し方針について、これは昨年十二月二十日の閣議決定でございますが、これらを踏まえまして指定都市への給与負担等の移譲を行うということになった次第でございます。
吉良よし子君
ねじれを解消するため、財源の保障も確保するための協議も重ねてということでしたけれども、では、お配りした資料一の方を御覧ください。
これは、教員給与費等義務教育費国庫負担金を、指定都市ごとの教職員数の割合などで案分した額を使って、指定都市と道府県との合意による道府県住民税所得割二%が措置されたと仮定した場合の税によって措置される割合を試算した資料になります。この一番右端の方に割合が書いてありますけれども、これを見ますと、川崎市や横浜市では八割を超える措置となりますけれども、さいたま市では七割、千葉市で六割、札幌市、相模原市、静岡市、浜松市、京都市、大阪市、岡山市、広島市、福岡市ではやっと五割と。仙台市、新潟市、堺市、北九州市では四割にしかなっていないということです。アンバランスはあるものの、ほとんどの指定都市では半分程度しか措置されないという状況です。例えば神奈川県だけ見ていても、横浜、川崎、相模原と三つの指定都市がありますが、横浜、川崎のように措置される割合が高い市と、相模原のように半分程度しか措置されない市があり、県内の中でばらつきが出てしまうのではないかということが懸念されます。
文科省、このような自治体間格差がある下で権限移譲をして、義務教育の水準を偏りなく維持することができるのか、どうでしょう。
政府参考人 藤原誠君
お答え申し上げます。
今回の制度改正におきましては、既に教職員の任命権を有している指定都市の規模や能力に鑑みまして、その自由度を高めて、より現場に即した教育を行うことを可能とするためのものでございます。
文部科学省といたしましては、今回の制度改正によって義務教育の実施に影響を及ぼすことがないよう的確に対応する必要があるというふうに認識しております。そのため、義務教育の機会均等や水準の維持、確保の観点から、教職員定数措置あるいは給与費の国庫負担、これらを引き続き適切に実施するとともに、人材確保法の趣旨、関係地方公共団体との均衡等を踏まえた適切な教育条件整備が図られるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
なお、先ほど総務省の方から御説明ございましたとおり、指定都市が教職員給与費を負担するために必要な財源につきましては、道府県から指定都市に対して個人住民税所得割二%の税源移譲が行われるとともに、必要な所要額については地方交付税措置が講じられるというふうに私ども承っておりまして、その結果、指定都市の教育水準については低下することはないというふうに考えております。
吉良よし子君
影響を及ぼすことのないようという話ですが、本当にこの水準を維持できるかということは疑問が残るんです。
今、国から都道府県に対して義務教育費国庫負担金というものを渡しています。今回の権限移譲でも、新たに指定都市にも同じ仕組みを当てはめるということになりますけれども、三位一体改革に伴って二〇〇四年度に義務教育費国庫負担金制度が変わったときに、国は都道府県内の小中学校などで働く教職員の定数などを基に国庫負担分である給与や諸手当などを計算した総額を渡し、都道府県側はその総額の中で給与などを自ら決めて払えるという形にしました。さらに、国の負担割合も二分の一から三分の一へと減らしました。その減った分は交付税で渡す、今回と同じような言い方ですけれども、ということでしたけれども、その結果、実際の教育現場はどうなったか。変更前後での公立小学校や中学校で働く教員数の推移について伺いたいと思います。
文科省、二〇〇五年とそして直近の二〇一二年の正規、非常勤講師、臨時的任用教員の数をそれぞれ教えてください。
政府参考人 藤原誠君
お答え申し上げます。
平成十七年度、二〇〇五年の五月一日現在における公立小中学校の正規教員の数は五十九万六千九百十五人、臨時的任用教員は四万八千三百三十九人、非常勤講師は三万五千九百六十六人でございまして、教員総数に占める非正規教員の割合は一二・三%でありました。
それから、平成二十四年度、二〇一二年の五月一日現在における公立小中学校の正規教員の数は五十八万六千七百十二人、臨時的任用教員は六万二千五百八十一人、非常勤講師は五万五百六十一人でありまして、教員総数に占める非正規教員の割合は一六・一%となっております。
吉良よし子君
割合も示していただきましたけれども、割合でも増えているということですが、お手元の資料二の方のグラフを御覧ください。これは先ほど紹介いただいた数値を基にグラフを作ったんですけれども、正規教員はこの七年間で一万人を超えて減っているのに対して、一方で非正規教員というのが七年間で二万九千人も増えていると。教員総数に占める割合は二割に迫る勢いだということです。
この非正規教員というのは元々は産休や病休などの代替者として雇用されてきましたが、グラフを見ていただいても分かるように、この七年間、日本の未来に関わる大切な仕事を担う教員を正規から非正規に置き換えてきたという事態が進められてきたということです。
教員の仕事には、学校現場で子供の成長と発達に責任を負うという仕事上、専門性や継続性が求められます。にもかかわらず、正規ではなく非正規の教員が増えている実態は、学校教育の質の向上、子供たちの成長と発達の観点から、急いで改善するべきなのではないでしょうか。文科省、いかがでしょう。
政府参考人 藤原誠君
いわゆる非正規教員につきましては、様々な教育課題への対応ということで非常に重要な役割を担っている一方、勤務時間とか任用期間の都合によりまして、児童生徒への継続的な指導が制約されたり、教職員、地域、保護者との連携が困難になっていること、あるいは雇用が安定せずに正規教員と同じ処遇が保障されていないことなどの課題があるというふうに認識をしております。
具体の教員の配置につきましては、任命権者である教育委員会が適切に行うべきものでありますが、教育の機会均等、教育水準の維持向上などを図る観点から、国としても可能な限り正規の教員が配置されることが望ましいというふうに考えております。
このため、文部科学省といたしましては、これまでも非正規教員の配置実績について公表をしてきましたとともに、各種の会議においてもその改善を促してきておりますが、各県の教員の年齢構成などの実情を踏まえた正規教員への配置改善がなされるように、各県へのヒアリングなどを通じまして今後ともきめ細やかな対応に努めていきたいというふうに考えております。
吉良よし子君
非正規が増えるのは問題だという認識を持っておられるということですが、正規でも非正規でも、子供たちの前では学校では皆同じ先生になるわけです。その待遇の格差があるということは大問題であると思います。
実際にどういう格差があるかといいますと、例えば福岡県では、大卒の非正規で働く教員の初任給月十九万五千九百円。十年ほどは昇給していきますが、上限が二十七万三千六百円と決められていることから、三十代半ば以降は固定給となります。だから、四十代後半から五十代前半で正規と非正規の月給の差は約十万円との指摘もあります。
非常勤講師の場合は更に深刻であり、東海地方で非常勤講師として二十年以上働いた男性教員の場合、年収百万円ほどで、貯金を切り崩して生活していたなど、子供と関わる専門職とは思えない状況が報じられています。
今、文部科学省のホームページに掲載されている総額裁量制の概要では、給与水準の引下げにより生じた財源で教職員数を増やすことが可能になったと書かれています。国庫負担金制度が変わったのは地方の自由度を大幅に拡大するという理由でした。
しかし、結果として、地方自治体に与えられた自由というのは、教員の給与を下げる、それで正規教員を低賃金で不安定な身分の非正規教員へと置き換える、そんな自由だったのではないでしょうか。これで、教員の地位が下げられていく中で、教育の水準の維持向上ができるのかと疑問があるわけです。
資料一でお示ししたように、指定都市間には税で措置される割合にばらつきがあるというのが現状です。その不足分を低賃金の非正規を増やす自由で補うことになれば、指定都市で暮らす子供たちが受ける教育に影響が及ぶのではないかという懸念があるのですが、文科省、もう一度いかがでしょうか。
政府参考人 藤原誠君
お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、非正規教員の数が増大しているというこのトレンドについては、文部科学省としましても懸念を持っているということでございます。
ただ、元々教員の採用につきましては、各県ごとに年齢構成にいびつな部分があったりして、そこで、その年齢構成を平準化するために採用調整を行うという観点で非正規職員を雇用するという部分があるのは、ある部分致し方ない面もございます。
他方、近年、定員削減の計画とかそういうことで、非常に条例定数が絞られてきたということの連動で教員の正規職員の数が減って非正規職員の数が増えているということもございますので、私どもとしては、本来は、きちんと計画的に教職員の定数の改善計画を組んで、それにより教育条件の維持向上をしながら計画性を持った教員採用をすることによって、その結果として常勤の正規教員の数を増やしていく、また同時に非正規教員を減らしていくと、こういうことをしたいと考えているんですが、最近の財政状況を踏まえて、なかなかその部分は難しく、狙いどおりにいっていないという状況にございます。
吉良よし子君
先ほどのお話では、非正規が増えないようにすべきだというお話だったけど、それがしようがないということなのでしょうか、ちょっとよく分からなくなったんですけれども。
こういう指定都市に権限を移譲する上で非正規が増えるようなことはあってはならないと思うんですが、そうならないように文科省としてもきちんと指導なりしていくということでしょうか。
政府参考人 藤原誠君
お答え申し上げます。
ちょっと舌足らずで申し訳ございませんでした。
一定程度の非正規教員が現に存在するというのは教員採用の特殊性としてやむを得ない部分はありますが、ただ、その数が増えていくということについては問題だということでございます。
吉良よし子君
増えていくことが問題だということですから、権限移譲したことによってそういう指定都市で非正規が増えていくことにならないようにということを重ねてお願いしたいですし、非正規で働く教員が増えることで現場では本当に様々な混乱が起きていて、年度初めに担任が決まらず、発表できず、教育に穴が空くという事態が起きてしまったり、正規教員が担当しなければならない校務などが正規教員に集中して、正規教員の多忙化の一因にもなっているというような問題があります。
ここで、大臣、伺いますけれども、地方公務員でもあり、子供たちの成長と発達に関わるという専門性と継続性が最も必要とされる職種がその水準を保てないかもしれないという危機に瀕している下で今回の権限移譲というものが行われようとしています。今回の権限移譲によって今行われている教育の水準が落ちることがあってはならないし、そのために政府として責任と役割も重要と考えますが、教育の水準を守るという大臣の決意をお聞かせください。
委員長 山本香苗君
大臣、簡潔におまとめください。
国務大臣 新藤義孝君
今回のものは、指定都市と県のねじれを解消すると、ですから、学校教育の質の向上が図られるんだと、これが目的でありますから、それにおいて義務教育の実施に影響が及ぼすことのないようにするのは当然だということであります。
文科省とも連携を図りながらしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えます。
委員長 山本香苗君
もう時間が来ております。
吉良よし子君
是非、教育の水準をこの権限移譲によって下げることのないよう強く求めて、今回の質問を終わります。