吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
本日は、参考人の皆様、ありがとうございます。
早速ですが、まず小澤参考人に、若者の参政権について伺いたいと思います。
先ほど来、若者の中に政治に対して消極的になっている若しくは絶望しているとも言われておりますが、その一方で、自分たちの意思に反する政治が次々と進められていく今の状況に対して黙っているわけにはいかないと、憲法や権利に関わって政治に対して声を上げる若者が増えているのも事実だと思います。
例えば、今年の五月三日の憲法記念日、新宿で秘密保護法に反対する学生デモが行われました。デモの主催者は学生ですから、十八歳、十九歳も入っています。実は私もこの現場に行ったんですけれども、学生たちは、僕たちにも政治に意見を言う権利がある、憲法記念日のこの日に声を上げ国民主権を実行するんだと、これが僕たちの民主主義だと声を上げ、プラカードを掲げて新宿の町を練り歩いた。この様子は多くのマスコミにも取り上げられました。
私は、こういう学生たちの姿を見て、十八歳、十九歳でも政治に対する意見を表明する判断能力、十分にあるというのはもちろんのこと、若者自身が政治に対して意見を言いたいという強い要求を持っていることを実感しています。だからこそ、十八歳、十九歳にも参政権を認めること、大変重要だと考えますが、先ほどの小澤参考人のお話では、本改正案におけるこの十八歳、十九歳の参政権については、重大な問題、憲法に照らしてリスクも負っているのではないかというお話もありました。この点について、より具体的に、どのような問題点があるのか、御意見をお聞かせください。
参考人 小澤隆一君
何歳から政治に参加させるかというのは、これは歴史的に変遷を経ていると思います。大日本帝国憲法の下では一九二五年から二十五歳ということでしたが、戦後は四五年から二十歳になっております。そして、この度、憲法改正国民投票について十八にするということを立法府でお決めになったんだろうというふうに思います。
であるとすれば、これは憲法改正国民投票という問題について判断能力がある人たち、そういうものがあるというふうに立法府としてみなされた人たちが普通の一般選挙についてないというふうに判断する根拠は、私はないというふうに思います。これは、そういう根拠を見付けるのは極めて困難だろうというふうに思います。
であるならば、憲法改正国民投票について十八にするならば、選挙権についても一緒に十八にしなければならない。これは、主権者としての平等性、選挙権の平等の要請から当然に出てくるものだというふうに思いまして、今回の法案はそこの点についての配慮が必ずしも十分ではないのではないか、このような趣旨で先ほどの意見を申し述べたわけです。
吉良よし子君
主権者としての平等性では十分ではないということですけれども、ということであれば、違憲ということで若者が声を上げるという可能性もあるということなんでしょうか。小澤参考人、お願いします。
参考人 小澤隆一君
シミュレートしてみますと、例えばこのまま四年が過ぎ十八歳投票制が実現したと、まだ選挙権については十八歳が実現していないという、こういう状態が生まれます。そうしますと、恐らくそのすぐ後にやってくる国政選挙でもって十八、十九歳は選挙できないということになりますと、私たちは憲法改正国民投票によって十八からできるというふうにされた、主権者の一員としてみなされたのに、何でこの国政選挙には参加できないんだという、そういう違憲訴訟が出てくる可能性は、これはあるんじゃないでしょうか。そういうことを誘発するような立法を果たしてなさっていいのかどうかという、こういう問題を私は指摘したいというふうに思います。
吉良よし子君
ありがとうございます。
なお、大変憲法に照らして重大な問題がある、リスクがある法の立て付けになってしまっているのではないかという御意見だったと思うのですが、この十八歳、十九歳の参政権の在り方について、小澤参考人の意見も踏まえた上で、井口参考人、また先ほど来若者にも参政権をということで御発言なさっている小川参考人にもこの点について意見を伺いたいと思います。お願いします。
参考人 井口秀作君
私、憲法改正手続法と省略して言いますけど、これを国民投票法って省略すること自体に僕、七年、八年前違和感あったのですが、国民が憲法改正に関わるプロセスというのは、決して国民投票だけではないですね。憲法改正を発議する機関である国会議員の選挙についてもこれ国民は参加するわけですから、国民投票だけ十八歳、だけど選挙の方は二十歳でもしようがないということに僕は多分ならないというふうに思っていますので、先ほどの意見はちょっと分かりにくかったかもしれませんが、私自身は憲法でこれは一致していると、それを十八歳としてまず国民投票法で書いて、当初三年間で整備するというのは立法者の意思でもあったはずですから、これが遅れているということ自体がやっぱりおかしい。
先ほどから、国民投票法がなかったことが問題だったって、かつてであれば立法不作為という言葉がはやったわけですが、そうであれば、まさに立法不作為なんではないでしょうかというふうに思っております。
以上です。
参考人 小川仁志君
これは繰り返しになりますけれども、やはり同じ主権の行使をするに当たって、国民投票も、それから選挙権についても、これは当然同様の能力が求められてくるはずですし、同様の能力があるという前提の下に国民投票に関しては十八歳と決められていたんだと思います。したがって、選挙権年齢もこれはまさに速やかに同じにしなければ、理論的には、先ほど参考人が言われたように、違憲訴訟もあり得るというふうに私も考えております。
吉良よし子君
違憲訴訟もあり得るというようなお話であったり、遅れていること自体がおかしいという話でした。
改めて小澤参考人に伺いたいんですけれども、こうした、そうした違憲訴訟も起き得るような立法になっているという意味でも、本法案はギャンブル的であり、拙速な成立に参議院が同調せぬようにというようなお話もありましたけれども、その点をより具体的に、また、今後の参議院におけるこの審議において参考人が期待されること、どのようなことがあるか、お聞かせいただきたいと思います。
参考人 小澤隆一君
ちょっとギャンブルという言葉はきついかもしれませんけれども、しかし、先ほど申しましたように、事態として十八歳投票制と二十歳選挙制が併存するという、こういうことが今回の法案では塞がれていないわけであります。
もちろん、この度の八会派の、八党の合意は、これは立法府の皆さんの政治的な意思として、強いものとして受け止めます。ただし、法を問題にするものとしては、あくまでもそれは政治的な意思、法的な拘束力が担保されているものではない。前の法で三年という法的拘束力があるというふうにしたにもかかわらず、実際には政治の動きの中でもってその三年が徒過してしまうという、こういうことが現にあるわけですから、そうしますと、政治的な意思ではどうしようもない、法的な担保というものがないという、この問題について今回の法案はやはり対応ができていないというところに致命的な欠陥があるのではないかと、このように考えております。
吉良よし子君
では、この小澤参考人の御意見を踏まえて、同じ憲法学者である井口参考人、小林参考人はこの点どのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
参考人 井口秀作君
投票権年齢っていうのは、これ、先ほどのように、憲法九十六条の国民の範囲を確定するものですから、国会が発議する憲法改正案を承認してもらう対象の範囲ですから、これが要するによく分からない。国民投票と全く違う、公職選挙法が先に進まない、ずれが生じる、じゃ、どうするんだというような形でそもそも立法がなされること自体がおかしいというふうに私自身は思っています。
以上です。
参考人 小林節君
私は、先ほど来申しましたように、十八歳にいずれ行くことが望ましいと思いますが、一歩前進でいいではないか、そのことによって二歩目も必ず来るんですからというふうに思っております。
それから、違憲訴訟といいますけれども、実際にそういう違憲訴訟が起きても、これこそ典型的な統治行為で、最高裁は必ず判断を回避します。これはもう、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、日本の確立された判例法理ですから、それが見えているのに違憲訴訟に突っ込むのは生産的ではない。結局、違憲訴訟でだらだらやって、結局これは国会と内閣がお決めになることで、つまるところ国民が投票で決めることですと、堂々巡りになるんですね。ですから、ここで違憲訴訟を持ち出すことは憲法論的には生産的でないと私は思います。
吉良よし子君
では、話を変えまして、公務員による賛否の表明について伺いたいと思います。
小澤参考人は、先ほど法案の百条の二のただし書について、解釈と運用によっては公務員の意見表明や勧誘行為を際限なく規制し得るという御指摘と受け止めましたけれども、どういうケースがグレーゾーン、判断が際どいものとして考えられるか、御意見をお聞かせください。
また併せて、井口参考人についても、先ほど公務員法それ自体の問題性もあるというお話があったと思うんですが、その点を踏まえて御意見をお聞かせいただければと思います。
参考人 小澤隆一君
附則の三条四項に書かれている国民投票運動に関し組織により行われる云々かんぬんという、この組織によりというのが一体何を意味するのか不分明であります。考えられるのは、現存する公務員によって組織されている組織、労働組合とかいうのも含まれるでしょうが、しかし、国民投票運動に関して組織により行われる云々、個人名を名のらずに何らかの会、団体名を名のれば、それは組織により行われるというふうになってしまうのか、その辺りがこの条文からはおよそ読み取ることができません。
そういうものも、最終的に在り方について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるというふうに、まだ現時点では方向性が出てはいないのでしょうけれども、それでもこのような形での法文の書き方について、私は少し生煮えなのではないかなという、こういう印象を持っております。
参考人 井口秀作君
公務員法、特に国家公務員法ですね、これの規制の範囲、人事院規則まで含めてですが、これは非常に広範になっていて、それが刑罰も科すということになっている広範な規制だということについては、多くの憲法学説では指摘していることです。私自身もそう思っています。
憲法改正手続法の方では、地位利用についてはこれ罰則ないわけですね。しかしながら、公務員法の方には罰則がまだ残っていて、いわゆるただし書は公務員法の適用を完全に排除しているわけではないわけですから、まさにグレーゾーンというか、グレーというよりブラックのような感じもしますけれども、本来公務員であっても許されるような意見表明についてまでも罰則付きで適用される可能性はやっぱり排除されていないという点で大きな問題があるというふうに思っています。
以上です。