吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
先週末、百二回目となった毎週金曜日の官邸前行動を始めとする原発ゼロ、再稼働反対という多くの国民の心からの願いとは裏腹に、今、川内原発を始めとした全国十か所の原発の再稼働に向けた作業が急ピッチで進められています。
しかし、どんな場合であっても、福島第一原発の事故の教訓、そして現状から導き出される教訓は十分に考慮されなければならない、これが原則なのではないでしょうか。規制委員長、お答えください。
政府特別補佐人 田中俊一君
御指摘のとおり、新規制基準への適合性審査は、昨年七月八日の新規制基準の施行後現在までに、八電力、十原子力発電所十七基について事業者から申請を受けて審査を進めておるところでございます。
新規制基準については、国会事故調を始めとする各種の事故調査報告書で示された福島第一原発事故の教訓を踏まえ、またIAEAの基準や諸外国の規制基準も確認し、かつ我が国の自然条件の厳しさ等についても十分に配慮しながら策定したものでございます。
原子力規制委員会としましては、新規制基準の適合性について、科学技術的観点から今後とも厳正に審査を行っていくことにしたいと考えております。
吉良よし子君
福島の教訓を踏まえるという話でした。
ではここで、福島第一原発の現状について伺います。
福島第一原発は、これから数十年にわたって廃炉に向けた作業を続けなければなりません。その作業に向けて当面最大の課題と言えるのが今も増え続けている高濃度の放射性物質を含む汚染水の対策なのではないでしょうか、お答えください。
政府特別補佐人 田中俊一君
先生御指摘のように、今後とも福島第一原子力発電所の廃炉作業は長期に続くということが予想されております。それに伴って様々な汚染水が排出されますので、それについてはやはり持続可能な解決策を早期に確立することが非常に重要な課題だというふうに認識しております。その際、汚染水による環境への影響を極力抑えるということが基本的な認識であります。
汚染水対策については、政府が総力を挙げて対策を実施することとなっておりまして、原子力規制委員会においても環境と国民を守るという観点から、これには協力し、重視して取り組んでいるところでございます。今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
吉良よし子君
時間がありませんので、できるだけ簡潔に答弁をお願いします。
では、福島第一原発の敷地内で大量に汚染水が発生している、この最大の原因は何かと申しますと、昨年十二月二十日に出された原子力災害対策本部の東京電力福島第一原発廃炉・汚染水問題に対する追加対策において、原子炉建屋内に流入する地下水が建屋内に存在する燃料デブリを冷却した水と混ざることが最大の原因であると述べています。問題は、流入してくる地下水がどうして建屋内に存在する燃料デブリを冷却した水と混ざるようになったかということです。
三号機の建屋では、原子炉とつながる配管の近くが破損していることが分かったということですけれども、じゃ、それが地震による破損なのか、水素爆発による破損なのか、それとも炉心の溶融によって外からの水と混ざるようになったのか、その原因は特定できていますか、お答えください。
政府特別補佐人 田中俊一君
福島第一原子力発電所の一号機の炉室、タービン建屋の地下のいわゆる滞留水というのがございます。その中に地下水が流入してくるということが今その滞留水が少し増えているということになります。地下水ですけれども、阿武隈山系から流れてくる水と、それから敷地内に降ります雨、雨水が原因であります。
実際に地震によるものかどうかということですけれども、そこは必ずしも特定はできてはおりませんけれども、建屋とタービン建屋、その間にはいろんないわゆるパイプとかケーブルがつながっておりますので、この事故によってある程度そういったところが漏えいするような破損状況が生まれているものというふうに考えています。
吉良よし子君
調べているけれども、なぜ破損したかは特定できないと。なぜ混ざってしまうのか、その原因となる損傷が分からないというのがやっぱり問題だと思います。
そして、汚染水についてはもう一つ、その地下水が、雨水もあるという話でしたが、地下水の流入が今なかなか制御できていないという問題もあります。
現在、福島第一原発では、地下水のその流入を防ぐとして、地下水のバイパス設けることや凍土遮水壁の設置などを進めているという話ですけれども、この両方についても安全性に対する疑問が出されていますし、例えば地下水バイパスについても、効果があったと、安全だったとしても、一日当たりの地下水流入量は現在の四百立方メートルから三百立方メートルに百立方メートルしか減らないという想定だと。凍土遮水壁もその安全性に疑問が出されるなど、完全な地下水シャットダウンのための課題が山積しているというのが福島第一原発の現状です。こうした現実を目の当たりにすれば、原発のシビアアクシデント対策として、地下水の管理、汚染水対策というのは極めて重要なことなのは明らかなのではないでしょうか。
規制委員長に改めて伺います。再稼働申請のための新しい規制基準、ここにはこうした地下水が汚染水とならないようにするための対策、どのように定められているでしょうか。
政府特別補佐人 田中俊一君
いわゆる地下水を全て止めるということは、これはもう事実上不可能であります。福島第一を取りましても、阿武隈山系から深いところを地下水流が流れておりますので、これを止めるということはできません。
多かれ少なかれどこの発電所サイトにおいてもそういったことがございまして、そういった炉室の方に、いわゆる原子炉建屋の方に入ってくる、幾らか漏れてくるような、コンクリートですので幾らか漏れます。そういった水についてはきちっと処理して、安全上問題のないように処理できるようにという規制基準は、今回だけじゃなくて以前から課せられているものでございます。
吉良よし子君
おっしゃっているのは溢水対策、漏れないようにということで恒常的に地下水排水を行う、それは当然のことだと思います。しかし、今言っているのは事故が起こった場合なんです。事故が起きた場合、地下水が汚染水になってしまう。そうしたら、簡単に外に出せなくなるでしょう。だからこそ、福島のように大量の汚染水を発生させないような基準を今明確に作るということが大事だと思うんですが、その基準があるかどうかということを再度お聞きします。
政府特別補佐人 田中俊一君
今回のような事故が起きた場合にどうするかということですけれども、それを前提とした対策というのはなかなか大変ですので、汚れた水については、今俗に言うALPSというような、これも十分性能を発揮しておりませんけれども、そういったものできちっと処理をして、排出規制基準以下にして排水するというのが、これは国際的にもそういった方法を取られておりますし、私どもも今そういう指導をしているところでございます。
吉良よし子君
一Fの事故を前提とした対策は不可能って、事故を前提にして基準を作っていると伺っているんですが、おかしいと思うんですが。
 それでは伺いますけれども、今再稼働を申請している十個の原発があります。そこに地下水は流入していないのでしょうか。その状況をお聞かせください。
政府参考人 櫻田道夫君
今の御質問、ちょっと確認ですけれども、申請がなされている発電所ということと理解いたしましたが、今、現状のその審査の中では、委員長も御答弁申し上げたとおり、地下水の影響、それから内部に、地下水であろうと何であろうとですけれども、水が漏れてくることによる安全機能への影響、これを確認をすることになってございます。現状がどうなっているかということではなくて、現在の対策、考えられている対策で今後の安全機能が確保されるのかどうかということを審査しているという状況でございます。
吉良よし子君
もう一度伺いますけれども、管理を行っているというお話でしたが、では、それぞれ事業者が管理しているその原発に対して流入している地下水の量、それぞれは把握されているんでしょうか。
政府参考人 櫻田道夫君
私ども、現状の制度の中で報告を求めているような数字としては、今御質問のあったような流れ込んでくる地下水の量というものは把握してございません。
吉良よし子君
いざ事故が起こった場合に、地下水を汚染水にさせない、大量発生させないということが大前提だと思うけれども、その各原発に流れ込んできている地下水の量が現状どれだけかも把握されていないというのは大変驚きなんですが、お配りした資料にありますように、私は各事業者に問い合わせて各原発で管理している地下水の量を調べました。その結果がこの表です。
再稼働審査、今優先して進められている川内原発、ここでも一日三百立方メートルもの地下水をポンプアップして処理していると。福島第一原発とほぼ変わらない量です。また、再稼働優先原発として先日新たに名前の挙がった関西電力高浜原発では三百四十立方メートル、大飯原発では一日百立方メートル、九州電力玄海原発では二百立方メートル、そして、東電柏崎刈羽原発のように一日三千三百立方メートルもの地下水を毎日くみ上げているというところもあるそうです。
一方、この黄色で示しました四つの原発については、地下水毎日くみ上げているけれども、どれくらいの量くみ上げているかつかんでいないという原発もあると。これらの原発で例えば福島のような事故が起きた場合、同じようにあふれ出ると考えられる汚染水の管理が本当にこういう状況でできるのでしょうか。
問題は、地下水そのものの管理だけではありません。優先審査中の川内原発の敷地面積、これは福島第一原発の三百五十万平方メートル、その半分以下になる百四十五万平方メートルしかないと。川内だけではなく、再稼働申請をしている十の原発のうち、福島第一原発より敷地が広いのは東通と柏崎刈羽の二か所だけ、あとは福島第一原発よりも狭いということですが、敷地が狭いということは、シビアアクシデントが起きた際、増え続ける汚染水をためておく貯水タンクを置く設置場所も十分に確保できないということなのではないでしょうか。規制委員会はこの事態を一体どう考えているのかと。
シビアアクシデントが起きた場合、福島第一原発のような地下水流入による汚染水、それを、とどまることのない増大を防ぐための対策をきちんと規制基準に盛り込むべきなのではないでしょうか。規制委員長、お願いします。
政府特別補佐人 田中俊一君
事故が起きた場合に地下水が入らないようにすべきではないかという御提案でございますけれども、私どもとしては、万一、格納容器が破損した場合の事故後の処理の在り方については、実際にどういった状況になるかというのを事前に想定して規制基準を特定するのではなくて、事故の状況に応じて臨機応変に対応していくことが現実的かつ適切な考え方と認識しております。
法制度上、汚染水を含めた事故後の処理については、一昨年の原子炉等規制法の改正で追加された特定原子力施設の制度に基づいて状況に応じて規制することとしております。
吉良よし子君
臨機応変にとおっしゃっていますけれども、そもそも、今現時点で汚染水が福島第一原発では大変な問題になっている、その対策が規制基準に入っていないなんて信じられないんですよ。今国民が日々目の当たりにしているのは、地下水の流入による汚染水のとどまることのない増大と汚染水タンクで埋め尽くされていく福島第一原発の姿なんです。
このシビアアクシデントを起こした福島第一原発でもいまだに抜本的な対策がなされていない汚染水問題、これを放置するというのはあり得ないと思うんです。格納容器が壊れることがないとか、地下水は汚染物質と混ざらないとか、臨機応変なんだというのは、それこそが新たな安全神話になってしまうのではないでしょうか。規制委員長、お答えください。
政府特別補佐人 田中俊一君
汚染水問題は確かに重要な問題であります。最初にお答え申し上げましたように、これは水を止めるという、全く止めてしまうということは不可能です。仮に敷地が広くてもタンクを無限に増設していくということは不可能でございますので、それをきちっと処理して、排水濃度基準以下になれば排水していただくというような持続的な対策を私どもとしては早急に確立するようにということを今求めているところでございます。
吉良よし子君
不可能であるというならば、もう原発は再稼働するべきじゃないと私は思うんですけれども。
安倍首相は、規制基準について世界一厳しい基準とおっしゃっていました。では、シビアアクシデントが発生したら制御できなくなるような地下水による汚染水対策、考慮していないような今の基準が、どうして世界一厳しい基準と言えるのでしょうか。
環境大臣、政治の責任でこの基準、見直すべきなのではないでしょうか。
国務大臣 石原伸晃君
吉良委員御承知のことだと思いますが、三条委員会は独立した三条委員会であります。その委員長が規制を作られている。私は、規制庁が環境省の外局としておりますので、この外局の規制委員会、これが全力で仕事ができる環境を整備するというのが私の使命でございます。ですから、コメントを差し控えさせていただきます。
吉良よし子君
規制委員会がやると言わないなら、やっぱりここは政治が決断するべきところだと私は思うんです。何よりも、現状の福島第一原発で最大の課題である汚染水対策すら入っていないような現在の規制基準の下で原発再稼働なんて、どの原発であれ絶対に認められないということを強く訴えて、次の質問に移ります。
火山対策についてです。日本は世界でも有数の火山が集中する国です。したがって、原発の立地は、地震や津波への備えが十分なのかという問題に加えて、火山の噴火の影響も当然考えなければなりません。今再稼働に向けて審査が続けられている九州電力川内原発の立地する九州南部は、地球の歴史から見ると巨大なカルデラ噴火の影響を大きく受けた地域であり、そのことはこの間の国会の論戦でも明らかになっています。
衆議院の答弁で規制委員長は、こうした噴火の兆候を知って対処することができるとおっしゃっていますが、そもそも、事前に危険を察知して原発を止め、核燃料を取り出して安全な場所に移動させる、使用済核燃料も移動させるといった噴火対策が数日でできるわけはありません。場合によっては数か月、一年掛かると考えられる全ての作業工程を可能にするくらい、事前の段階であらかじめ正確に火山の噴火の時期、その危険を察知できるという根拠がどこにあるのかと。
例えば、川内原発からもそう離れていない霧島火山帯の新燃岳、二〇一一年一月二十六日、五十二年ぶりに本格的マグマ噴火を起こしました。周辺の地域や農業に大きな被害与えたことはまだ記憶に新しいのですが、気象庁は、この爆発的噴火の時期をあらかじめ特定し、予知できていたのでしょうか。
政府参考人 西出則武君
霧島山・新燃岳では、平成二十二年五月から地震活動が活発化したことを受けて、気象庁では同年五月六日に噴火警戒レベルを二に引き上げ、これに伴い、火口から半径一キロメートル以内への立入りが規制されました。気象庁は、噴火に対する警戒を呼びかけるとともに、臨時に機動観測を実施するなど火山活動の監視を強化しておりました。その後、平成二十三年一月二十六日に本格的マグマ噴火が発生し、気象庁は同日、噴火警戒レベルを三に引き上げ、これに伴い、火口から半径二キロメートル以内への立入り規制が行われました。
地殻変動観測の結果からマグマ噴火の可能性はあると考えておりましたが、具体的な発生時期やその規模を事前に予測することはできませんでした。
吉良よし子君
ありがとうございます。
具体的なその時期までは結局、その五月、一年前の五月から警戒レベル二にして経過は見ていたけれども、時期までは特定できなかったという話なんです。五十二年ぶりという噴火でもきちんと時期がつかめなかった、そういう現実を前にして、破局的な噴火は前兆がつかめる、しかも、現に稼働している原発を無害化するための時間的な余裕を持ってつかめるなどということがなぜ言えるのでしょう。
火山噴火予知連絡会の会長藤井東大名誉教授は、前兆現象を数年前に把握できた例は世界的にない、これまで前兆現象を認識できたのはせいぜい数日前で、ほとんどが数時間前、モニタリングで噴火時期が判定できるというのは火山学の常識から外れていると述べています。これを踏まえれば、規制委員長の事前に兆候を予知して、察知して対処するという発言というのは余りにもいいかげんなのではないかと思うのですが、規制委員長、いかがでしょう。
政府特別補佐人 田中俊一君
噴火も、大噴火とそれからカルデラ噴火のような非常に破局的な噴火というのがございます。カルデラ噴火についての科学的な知見は必ずしも世界的に十分ではありませんけれども、最近のGPS等による詳細な観測によりますと、カルデラ噴火が起こるようなときにはマグマが集中的にたまってくると。そのたまってくることによって地形変動がかなり大きく動くということが分かってきております。
大体十年ぐらいさきからそういった兆候が現れるということですので、十分、原子炉、そういったものを判断して原子炉を止めて、必要ならば使用済燃料を運び出すということを指導していくという方向で今審査を進めております。もちろん、そのためにGPS等の観測網についての充実については、今、事業者に強く求めているところでございます。
吉良よし子君
結局のところ、破局的噴火というものの知見というのは世界的に十分ではないと。地形の変化も見ているけれども、じゃ、それが何年後のいつ頃に噴火するということがはっきり分かるとは言えないということなんですよ。人類史上明確な記憶として、破局的な噴火というものは、経験として残っているものは一つもないんです。ましてや、現在の火山学においても誰も経験したことがない現象であり、過去の噴火の軌跡をたどって一生懸命研究している段階であって、分かっていることは必ず起きるだろうということだけであり、それがいつなのか、数年のうちなのか数千年のうちなのか、はたまた数万年後なのか全く分からない、これが火山学の常識であり、現状の到達点なのではないでしょうか。
もし九州で巨大カルデラの破局的噴火起きれば、それは九州全域にわたって壊滅的打撃を与えるような災害を引き起こすでしょうし、日本全土、地球全体にとっても極めて深刻な事態を引き起こすと考えられます。これに原発事故が加われば、火山の堆積物や放射能に汚染された灰など、被害は更に深刻になるばかりか、火山災害からの救助や復旧も極めて困難になると考えられるわけです。
九州には破局的な噴火の跡が多数集積している。今再稼働に向けて進められている川内原発こそ原発立地に最も適していない原発と言うべきであり、再稼働なんて絶対に認められませんし、そもそも世界有数の地震国であり、そして火山国でもある日本列島と原子力発電所は共存できない。もう原発は日本からなくすしかないということを強く主張して、私からの質問を終わります。