吉良よし子君
日本共産党の吉良よし子です。
この間、籾井会長の発言やその後の振る舞いが公共放送であるNHKの会長として到底ふさわしくない、公共放送の根幹を揺るがすものとして国会内外で問題とされてきました。また、安倍首相によって任命された経営委員のうち、長谷川、百田両氏のおよそ日本国憲法や社会の良識とは相入れない発言も国民から厳しい批判にさらされました。この間、視聴者から寄せられた声は、先ほどのお話でも、三万六千四百件と増え続け、うち批判的意見は二万三千五百件、六五%と、かつてない多数になっているとのお話でした。
これについて、当総務委員会でも繰り返し問題にし、会長そして経営委員長にその認識について伺いましたけれども、経営委員長は、会長に二度にわたり注意を行い、今後、放送法のスタンスに立った対応をされるものと認識していると繰り返し述べられ、会長は、発言は取り消した、放送法を遵守しますということを、これも繰り返し述べられています。しかし、この放送法を遵守するというのは、NHKの会長の職にあるのであれば当然の立場であり、問題は、籾井会長の下で放送法に基づきNHKの番組基準に定めたとおりの放送が実現できるかということです。
そこで、会長に確認します。籾井会長の発言の中で、直接番組編集に関わる、政府が右と言うものを左と言うわけにはいかないというものがありました。籾井会長はこの発言も取り消したとおっしゃっていますけれども、ということは、今後、番組作りに当たってこうしたことは決してあり得ないということでしょうか。
参考人 籾井勝人君
私は何度も、個人的見解を放送番組に反映させることはないというふうに申し上げてきております。これは今も変わっておりません。
吉良よし子君
反映させることはない、決してそのようなことはしないと。第四条にある、政治的に公平で、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすることの立場を守るということですね。
ところで、二〇〇四年にも不祥事などでNHKへの信頼が大きく損なわれたことがありました。その当時、会長の下に、その当時の会長の下でデジタル時代のNHK懇談会が設置され、二〇〇六年六月、報告書が出されました。この報告書において、この懇談会、なぜ設立されたかと書いておりますが、会長、その内容を御紹介ください。
参考人 籾井勝人君
デジタル時代のNHK懇談会というところから、NHK懇談会設立の経緯から抜粋した部分を読ませていただきます。
一昨年以来相次いで発覚した金銭的不祥事と、政治との距離に対する疑念をきっかけに噴きだした視聴者からの批判と不信は、受信料の不払いや保留の急増へとつながって、その経営基盤を揺るがすまでに至った。
「デジタル時代のNHK懇談会」は、あらたに就任した橋本元一会長の諮問機関として、昨年五月に設置された。各界、各層、各地から集まった懇談会委員もまた、多くの視聴者がNHKに投げかけた批判と不信を共有し、それらをNHK改革に具体的に活かさなければならない、と考えてきた。
当初、懇談会に諮問されたのは、「デジタル時代の公共放送のあり方」「公平負担のための受信料体系のあり方」等のテーマである。しかし、すべての委員に共通していたのは、いま目の前にある危機は小手先の対応などでは解決できない、ということであり、さらに公共放送NHKの再生如何、その内容如何が日本のマスメディアの、ひいてはこの国の民主主義の将来をも左右するだろう、という危機意識であった。
というものであります。
このデジタル時代のNHK懇談会の報告書は、公共放送の社会的、文化的役割を始め、デジタル時代のNHKのあるべき姿を視聴者の視点から捉えたNHK改革への御提言であると受け止めており、その位置付けは変わっておりません。
吉良よし子君
先の質問も答えられたようですけれども、改めて伺います。
私も、先ほど、このデジタル懇談会において、公共放送のNHKの再生いかん、そしてその内容いかんが日本のマスメディアの、ひいてはこの国の民主主義の将来をも左右するだろうという危機意識、今こそこういう危機意識を持ってNHKを立て直すときだと思います。この内容というのは、現時点においてもNHKにとって尊重すべきものとして引き継がれていると考えてよろしいでしょうか。
参考人 籾井勝人君
お答えします。
今も申し上げましたけれども、このデジタル時代のNHK懇談会の報告書は、公共放送の社会的、文化的役割を始め、デジタル時代のNHKのあるべき姿を視聴者の視点から捉えたNHK改革への御提言であると受け止めておりまして、その位置付けは変わっておりません。
吉良よし子君
このデジタル懇談会報告書にはほかにも重要な指摘や提言が盛り込まれておりますが、その中に、国際放送について次のようなくだりがあります。「「政府の主張を国際的に宣伝する」といった類の国際放送は、政治的中立性の観点はもとより、そもそもどの国のものであれ、国益の主張を表立って標榜する放送が影響力を持ち得ないことから言っても、NHKが携わることはふさわしくない。」というものです。
国際放送において、政府の主張を国際的に宣伝するのはNHKにとってふさわしくない、この指摘は大変大切な指摘だと思いますけれども、NHKは今後ともこの立場を貫きますか、会長。
参考人 籾井勝人君
お答えします。
NHKは、あくまでも放送法や国際番組基準に基づいて国際放送を行ってまいります。放送法は、我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を養うことや、国際親善の増進及び外国との経済交流の発展を掲げていると。また、NHKの国際番組基準では、内外のニュースを迅速かつ客観的に報道するとともに、我が国の重要な政策並びに国際問題に対する公的見解並びに我が国の世論の動向を正しく伝えると、こういうふうにうたっております。
今後も、こうした放送法や国際番組基準の原則や目的をしっかりと踏まえて国際放送をやっていきたいと思っております。そのことが影響力を持ち得る国際放送となる道であると確信いたしております。
吉良よし子君
そういう立場を守るというお答えでしたけれども、問題は、この立場を守ると今ここで口ではおっしゃっても、それが籾井会長の下で守られるのかどうかと。もっと言うならば、国民そして国際社会からもこの立場を守っていると受け止められるかどうかということなんです。
私は、先日からのこの当委員会での質疑の中でも、例えば浦和レッズの問題に対してJリーグが行った厳正な措置も紹介してきました。そこでは、措置をやった側ではなくて、それを受け止める側がどう捉えるかが問題なんだという、そういう声があったと。
籾井会長は、記者会見のときの一連の発言について、繰り返し取り消すとおっしゃった。しかし、二十五日の衆議院の総務委員会では、考えを取り消したわけではないが、申し上げたことは取り消したとおっしゃったと。自分の考えは何も変わっていないということを述べられたわけですから、そういう籾井氏に国際社会から疑念が寄せられているわけです。
今、NHKは世界からどう見られているか。ドイツにフランクフルター・アルゲマイネという新聞があります。ドイツで最も権威が高く、影響力の強い新聞と言われておりますが、その三月七日号はどう報じているか。
従軍慰安婦問題での河野談話見直しに動く日本の右派勢力の動向を報じる記事の中で、ナショナリストたちがいかに背面援護を感じているかはこの数か月のことからも明らかだ。例えば、一月に安倍氏から公共放送NHKの会長に任命された籾井勝人氏は、最初の記者会見で同様の言説を表明した。性奴隷に関連して籾井氏は、それは戦争をしているどこの国にもあったと述べた。当時起こったことは今のモラルに照らせば批判されるだろうと。当時、日本軍が参謀本部も関わって性奴隷制度をつくっていたことを籾井氏は安倍氏やその同志たちと全く同様に否認したが、それは国際的な研究のあらゆる知見に反する。NHKは安倍氏の追従者たちの圧力を受けて見る見るうちに政府の宣伝局になりつつある。外国の報道陣たちは茶化して安倍テレビと呼んでいると。
国際的にも権威ある新聞に安倍テレビとまでやゆされている。そして、これは、国会の場で公式に自分の考えを取り消したわけではないと今でも言い募る籾井氏の下では決して払拭できないのではないでしょうか。会長、いかがでしょう。
参考人 籾井勝人君
今委員がおっしゃいましたそれぞれの記事については私はコメントは差し控えますが、NHKとしましては、何度も言っておりますように、放送法やNHKの定める番組基準、放送ガイドラインなどに基づいて放送を行っていくことに変わりはございません。さらに、私は何度も申しますけれども、私の個人的な考えを放送に反映することはございません。すなわち、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。NHKは放送の自主自律を堅持するといったことであります。
私もこうした立場を守って、世界有数の公共放送のトップとしての強い自覚を持ち、日本の公共放送の使命と役割をしっかり果たしてまいりたいと思います。
吉良よし子君
世界有数の報道機関のトップとしてとおっしゃっていますけれども、国際社会の報道機関からそれにふさわしくないと受け取られているということが問題だと申しているわけです。
こうした国際的な評価というのは、もう現場での取材をも困難にしているのではないでしょうか。先日、「クローズアップ現代」へのアメリカ大使の取材拒否に関する問題が当委員会でも取り上げられましたけれども、二月二十六日の日放労からのメッセージにおいても、取材や営業の現場で厳しい対応を受けることが増えている、経営の混乱を背負わざるを得ない現場はつらいという声が上がっていると書かれているではありませんか。
こうして現場に多大な迷惑、影響を与えている、そういう公共放送の根幹を揺るがす発言をしたことについて会長はどのように認識されているのでしょう。責任を取るべきなのではないでしょうか。
参考人 籾井勝人君
何度も申しておりますが、私の一連の発言がもとになって取材や営業の現場でも厳しい対応を受けることがあり、職員にも心配を掛けていることについては私は誠に申し訳なく思っております。
私は、自由闊達な経営というものをモットーにしておりまして、現場を知るためにも今後できるだけ職員とコミュニケーションを取りたいと思いますし、受信料の収納につきましても、私も含めまして役職員一丸となって営業活動や受信料の公平負担について理解促進に取り組むことで、収納が落ち込むことがないように努力していきたいというふうに思います。
また、NHKの信頼回復のためには、放送法に基づいたきちんとした放送を続けることは何より大切だというふうに思っております。これまで以上に信頼を得られるNHKとなるように、私自身も通常業務に全力で取り組んでまいりたいと思います。
吉良よし子君
信頼回復とおっしゃいますけれども、今、現時点でこれだけ批判の声が次々と上がっていると、そして、取材の現場でも営業の現場でも厳しい対応が続いていると。もう本当に後戻りできないところにまで来ている、そういう問題になっているのではないでしょうか。だからこそ、あなたには会長を担う資格はないと申し上げているわけです。
改めてここで、経営委員会の経営委員長に伺います。籾井氏を罷免するべきではないでしょうか。
参考人 浜田健一郎君
籾井会長は、業務執行に当たっては放送法を遵守すると繰り返し明言し、不偏不党の立場を取っていく旨も表明をされております。反省の上に立ち、会長としての職務を執行いただけるものと期待をしております。
籾井会長以下執行部が一丸となって、今後とも、NHKが放送法で定められた公共放送の使命を果たすよう、経営委員会としても監督する役割を果たしてまいります。
吉良よし子君
言葉だけではやはり信頼できないと思うんですね。それがこの間の議論の中で明らかになっていると思うんですよ。
私、NHKの現場で頑張っている職員の皆さんにもいろいろお話を聞いてまいりました。その中でも、公共放送としてのNHKで仕事できること、職員の皆さん、大きな誇りを持ちながら仕事されているということを感じております。ある人は、過疎の村で暮らしているお年寄りがNHKの放送を楽しみにして、心細い年金の中からでも受信料を支払ってくださる、集金に行ったらお茶まで出してくれたことが忘れられないと語って、NHKの公共性というのはそういう一人一人の弱い人の立場に立つことだと語っていらっしゃいました。
先日も、東日本大震災から三年、NHKでも、改めてあの震災とは何だったのか、私たちは今何をしなければならないかを考えさせる番組が続いておりました。その中に、被災者から震災直後、三か月後、六か月後、一年後、そして現在に至るまで定期的にアンケートを取り、被災者の状態や心の変化をたどった優れたドキュメンタリーもありました。余りにもつらく悲しい体験を、それでも一生懸命テレビの前で語って、アンケートにも記入する多くの被災者の方々がいらっしゃるのを見て、私は、これこそ公共放送としてのNHKの役割、国民との間にしっかりとした信頼に支えられているNHKの姿を見たように思いました。それは、取材に携わる現場のスタッフの皆さんの日頃からの真摯な取材姿勢、受信料を支払う視聴者と直接話をし、視聴者の声を生で受け止めて活動する営業職の皆さんの苦労の上に成り立っている信頼関係だと思っているんです。
現場の人たちと視聴者の間で培ってきたこの信頼関係を経営トップの資質や振る舞いによって無に帰すことのないよう強く求めて、私の質問を終わります。