吉良よし子君
本共産党の吉良よし子です。
私は、日本共産党を代表して、まち・ひと・しごと創生法案及び関連法案について、総理に質問します。
法案は、東京圏への人口の過度の集中を是正すべき課題として掲げ、総理は、地方を支える人材が東京に流出するとともに、出生率が低い東京への人口集中が我が国の人口減少につながっていると述べられました。
ところが、衆議院での議論を通じて見えてきた真の狙いは、東京一極集中の是正などではなく、安倍内閣の成長戦略を進めるために、集約と活性化を掲げ、小泉内閣以来の地方構造改革を更に推進することではありませんか。
具体的には、各地方に中枢拠点都市をつくり、そこに地域インフラや行政サービスを集約し、効率化の名の下で切り捨てる方向です。衆議院地方創生特別委員会による地方公聴会では、飯泉嘉門徳島県知事が、この間進められたいわゆる平成の大合併について、新しい市町村ができ上がった場合には中核部分と周辺部分ができる、その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった、逆に合併をしなかったところはそれなりに頑張っていけたと述べています。石破大臣も衆議院で、数字を見れば事実と、合併が人口減少の原因であることを認めました。総理もこの事実を認めますか。
これ以上集約と活性化が推進されたら、地方拠点都市への一極集中が進み、地域内格差は更に拡大し、中山間地の疲弊がより加速するのではありませんか。答弁を求めます。
ここで、まず、地方活性化の基本である農業の振興について伺います。
農業、農村は今、長く続いた自民党政治の下で崩壊の危機にさらされています。先進国で最低水準に落ち込んできた食料自給率はどんどん下がり、国土の荒廃が進んでいます。総理の言う農地の集積、企業の参入などを進めれば、農村集落は崩壊が進み、決して活性化することはありません。
日本の農業と食料自給率を立て直すには、農家の選別をやめ、大小多様な農家の維持に全力を注ぐことです。それでこそ集落も農地も維持されます。こうした地域農業を支える担い手を応援すること、新規就農者を増やすための特別の努力を行うこと、農協や農業関係団体が農業振興と農村社会の維持に果たしている役割を正しく評価し重視すること、そして株式会社などの農地利用を厳しく監視することこそ必要ではありませんか。
 日々地域に向き合っている全国町村会は、産業としての農業の生産性や効率性の向上のみに着目した農業振興施策は、時として農村振興の阻害要因になり得る、水田農業において、規模拡大による大規模農業者への農地集約を無秩序に進めていくことは、地域の働く場やコミュニティーの場を喪失させることになりかねず、ひいては農村人口の減少を加速させることが懸念されると厳しく指摘しています。総理、これらの声にこそ謙虚に耳を傾けるべきではないのですか。
まして、TPPに参加して、アメリカやオーストラリアなどの外国の農産物に日本の市場を明け渡すことは最悪の選択です。地方創生どころか日本農業は壊滅的な打撃を受けることは目に見えています。総理は、今こそTPP交渉からの撤退を決断すべきではありませんか。
安心して地方に住み続けるためには、地域医療と介護の充実は不可欠です。ところが、さきの国会で成立した医療・介護総合法は、国の責任を地方に押し付け、住民をサービスから追い出そうとするものです。
医療では、各医療機関からの病床機能報告を求め、医療圏ごとの必要量が地域医療ビジョンに示されようとしています。こうして地域を超えた病床、ベッドの集約が進められれば、これまで以上に必要な医療を受けられない地域が広がってしまうのではありませんか。
介護についても、政府は、医療・介護総合法に基づき、要支援者の訪問介護、通所介護を介護保険給付から外し、市町村に押し付けました。その上、厚労省が示したガイドライン案は、費用の効率化の名の下に介護給付費の抑制を市町村に要求しています。これは、専門的な介護サービスをできるだけ受けさせないようにする認定に至らない高齢者を増加させるものです。既に予防モデル事業に名のりを上げた自治体で行われているように、要支援者はサービスからの卒業を強引に押し付けられる、介護からの強制退学を迫られようとしています。
地域の医療・介護サービスを切り捨てて、地方の創生などあり得ないのではありませんか。答弁を求めます。
総理は、繰り返し若者に夢と希望とおっしゃいます。しかし、九〇年代からの労働法制の連続改悪によって、不安定、低賃金の雇用、ブラック企業などが横行し、夢や希望を奪われているのが今の日本の若者です。内閣府の調査では、非正規雇用の状態にある若者ほど結婚や育児の将来像を持てずにいます。それでも、地方でなら人間らしく働きたいという願いを実現できるのではないかと地方回帰を選ぶ若者が増えているのです。今重要なのは、この若者の就労への不安を取り除くこと、労働者派遣法の改悪はきっぱりとやめ、地方における正社員雇用の増大や最低賃金の引上げに取り組むことではありませんか。
法案では、結婚、出産又は育児についての希望を持つことができる社会が形成されるよう環境整備を図ると言いますが、出産一つ取っても深刻な事態になっています。
日本産科婦人科学会によれば、産科医の不足が進み、福島県を始め九県では今後回復の見通しも立たない危機的状況に陥っていると指摘されています。さらに、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会の試算によれば、十年後の二〇二四年、お産を扱う施設で働く分娩医が急減し、態勢を維持することが困難と報じられています。産科医が全国で最も少ない高知県では、健診を受けるために妊産婦が五十キロも離れた場所から車で一時間以上掛けて高知市まで通う、場合によっては県外で出産せざるを得ない状況もあるのです。
 総理、この事態を打開するための具体的な計画と目標はあるのですか。それなくしてどうして結婚、出産、育児について希望を持つことができるのか、答弁を求めます。
重要なのは子育て支援です。
国の支援が不十分な中でも独自に努力している自治体もいます。島根県邑南町では、日本一の子育て村をスローガンに、第二子以降の保育料を無料にし、中学校卒業までの医療費無料などの取組で、若い世代、とりわけ子育て世代の三十代の移入が増え、注目を集めています。去る十月二十四日には、全国市長会が「目指せ出生率アップ!」を掲げ、全国一律に子供の医療費無償化、保育料、幼稚園授業料負担の軽減、産科、小児科等の地域医療の充実を求める国への緊急アピールを発表しています。
総理、本気で地方での人口減に歯止めを掛けるつもりなら、こうした自治体の取組や市長会の要求に応え、保育料の無料化、子供の医療費の無料化に国として踏み出すべきではありませんか。
最後に、消費税の一〇%への引上げについてです。
消費税の八%への増税と今進行している円安による生活物資と燃料代の上昇は、地方で暮らす人にとって重い負担になっています。地方活性化に逆行する消費税一〇%への引上げは断念するよう強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕
内閣総理大臣 安倍晋三君
吉良よし子議員にお答えをいたします。
集約と活性化による地域内格差の拡大等についてお尋ねがありました。
地方創生は、中山間地、地方都市、大都市など、地域の特性に応じた課題解決を基本的な視点に掲げて取り組むこととしており、特定の地域の切捨ては考えておりません。
また、御指摘の石破大臣の答弁は、市町村合併と人口減少の関係について分析が必要である旨を述べたものと承知しています。
農業の振興についてお尋ねがありました。
我が国農業の成長産業化を図るため、農地集積や担い手の育成確保などの改革を進めています。特に、担い手が不足している地域においては、リース方式で参入した株式会社を含め、担い手に農地を集積、集約化することによって、より効率的な農業経営の実現が図られると考えております。さらに、農協の抜本改革にも取り組んでまいります。また、日本型直接支払の実施により、担い手の規模拡大と同時に、小規模農業者も含めた地域住民が六次産業化に共同で取り組みやすくするものと考えております。
こうした改革を通じて、農業を若者に魅力ある成長産業とするとともに、地域の活性化を併せて図っていきたいと考えております。
TPP交渉についてお尋ねがありました。
TPP交渉については、交渉が最終局面を迎えている中、交渉からの脱退について言及することは不適切と考えます。
いずれにせよ、守るべきは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求していく考えです。
地域の医療・介護サービスについてのお尋ねがありました。
医療・介護総合確保推進法では、国民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、都道府県が地域医療構想を策定し、医療ニーズに応じた医療提供体制を整備することとしています。また、予防給付の見直しは、訪問介護等を地域の実情に応じて市町村が実施する事業へ見直すものであり、サービスの抑制ありきで行うものではありません。このように、地域の医療・介護サービスを切り捨てるとの御指摘は当たりません。
 労働者派遣法の改正等についてのお尋ねがありました。
 今回の労働者派遣法改正法案では、期間制限の在り方を分かりやすいものに見直すとともに、派遣労働者の雇用の安定、保護等を図るものであります。あわせて、キャリアアップ助成金等による正社員雇用の確保、最低賃金の引上げに向けた環境整備等を行うことにより、若者の就労への不安を取り除き、安心して働くことのできる環境づくりに取り組んでまいります。
産科医の確保と保育料、子供の医療費の無料化についてのお尋ねがありました。
産科医の確保については、地域枠を活用した医学部入学定員の増加、医師不足病院に医師の派遣等を行う事業等を通じ、地域の実情に応じた取組を進めてまいります。
また、保育料や子供の医療費については、保育料減免や医療費自己負担の軽減等に取り組んできていますが、これらの無料化については、財源の問題もあることから、慎重な検討が必要と考えています。
消費税率の一〇%への引上げについてお尋ねがありました。
消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものであります。他方、引上げにより景気が悪化して、税収も増加しないという事態に陥ることは避けなければなりません。経済再生と財政健全化を両立させながら、景気回復の実感を全国津々浦々にまで届けてまいります。
消費税率の一〇%への引上げについては、経済状況等を総合的に勘案しながら、本年中に適切に判断してまいります。
以上であります。(拍手)